大畑与七著『経済のグローバル化と世界経済』より
■経済のグローバル化
★国民経済と国際経済の違い★
  国民経済 … 一国の繁栄を目指し、閉鎖的で自己完結・自己循環的な経済体質を作り出そうと         する経済。
  国際経済 … 各国の国民経済における財政や金融などを総合的に考え、繁栄を目指す経済。

→モノの移動が国家レベルでほとんどない状況においては国民経済が成り立っていたが、産業や輸送手段が発達し、モノが国際的に移動し始めたことにより、国民経済から国際経済へと変化している。しかし、あくまでもそれは企業間での国際経済化、つまりグローバル化(ミクロ)であり、国家レベルでのグローバル化(マクロ)はそれほど進んでいない。これがミクロとマクロのギャップである。これが大きいと、国内経済の“空洞化”(国内産業が海外へ転出することにより国内の産業が空洞化すること)が起こりやすい。このギャップを、経済を海外へ開放、関税等規制の緩和、「小さな政府」を目指す民営化によって埋めることが有効であり、課題である。つまり、日本においてグローバル化は移行段階であり、達成されてはいない。
(考察)
 経済においては、マクロレベルでのグローバル化はまだ達成されていないという見方が強い。ここでのグローバル化とは、国際経済(上記)へと移っていくことを定義としている。問題点は、ギャップが存在することにより、グローバル化する過程での弊害(産業の空洞化)がかなり大きいということである。 
■金融のグローバル化
 金融のグローバル化とは、証券化・新金融商品の開発・世界規模での金融の自由化・規制緩和が一体となった世界的金融市場の発展のことを総称するものである。この金融のグローバル化が原因で、‘金融の空洞化’が起こった。厳しい規制や高い取引コストが原因で、本来ならその国で行われるべき金融取引が海外に流出し、金融機関も海外へ移動する現象を指す。日本では、①東京証券取引所に上場していた外国株の取引が激減し、上場を中止する企業が増えた、②日本株式の国際取引がロンドンやニューヨークに流出した、などがその理由として挙げられる。

柳田ただし著『新版世界経済』より
■グローバリゼーション
 グローバリゼーションの定義:国境を越えた政治経済的かつまた社会文化的な関係の強化
(グローバリゼーションを引き起こしたのは政治ではなく市場。つまりグローバル化とは、市場経済化の世界展開と見なせる。)
 現在、グローバル化・世界市場の論理を受け入れているが、その一方で、自国の国力向上において損益にならないようにそれに抵抗しもする、という矛盾が生じている。

要約BYたご
最終更新:2008年08月29日 12:37