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はじめに(p125~)
  • 平成元年(1989)年の入管法改正に伴い、南米系日系人が多く就労のために来日する。
  • 昨今、南米日系人の滞在の長期化のみならず、定住傾向も
  • これに伴い、多様な背景を持つ子女が増加している。特に北関東・東海地方等の外国人集住地域の自治体では子女の教育問題への対応は喫緊の課題
  • 「不就学」は学びの機会そのものを欠き、学習機会が剥奪されている点で最も深刻。
  • 早期に学業を放棄した10代の日系ブラジル人の犯罪の増加
  • 教育を通じて日本への社会の適応が可能になることが重要な問題

外国人の就学問題の現状
1、 公立学校における状況
(1)概略
  • 日本語指導が必要な児童生徒全員に日本語指導が行き届いていないことが現状
(小学校で86.8%、中学校で83.2% 平成18年度)
  • 在籍人数が「5人未満」の学校が8割の一方、「30人以上」在籍する小学校が74校。
  • 在籍数が多い学校はある程度の対応が実施されているが、少ない学校では、十分な対応ができているとは言いがたい
  • 文科省が平成4年(1992)より教員の加配制度を実施
  • JSLカリキュラムや日本語指導教員の講習会、連絡協議会の実施
  • 「就学案内などの徹底」「就学援助制度の周知の明確化」「日本語指導体制が整備された学校への受け入れ促進」などの「平成15年勧告」を行う
  • 不就学外国人支援事業を実施、不就学の実態調査への支援(「専門支援員」の配置や就学前の子どもたちに対する初期指導教室の実施)
→集住地域や教育現場から指摘された国の対応の遅れを取り戻すことが期待されよう

(2)公立学校における対応の現状
公立学校に通わせる理由
  • 無償
  • 自宅から歩いて登校できる範囲にあるから
  • 将来日本で暮らすことを考えて、日本人と同じ教育を受けさせたい
  • 日本の教育のほうがブラジルより優れているとの認識を持つ者も少ないこと

問題点
  • 文化、生活習慣の違い
  • 本国との学校システムの違い
  • 教師との関係が異なること
  • 親とのコミュニケーションに支障をきたす(母語を急速に忘れる)
中学校の場合は、
  • 学習内容の難易度
  • 学校の規則の厳しさ
  • 仲間はずれやいじめにあう    など

加配措置(平成15年度より)
  • 国(文部科学省)と地方(都道府県)が1対2の割合で加配の経費を負担
  • 各学校の加配要求→市町村の教育委員会→都道府県の教育委員会→文部科学省に申請

加配制度の問題
  • 単年度単位、次年度も継続できるかわからないので長期的なシステムが構築できない
  • 加配についての全国基準がなく、都道府県により違う(市町村が独自の予算を組むしかないときも)
  • 教員が児童生徒の母語知識が乏しいためコミュニケーション不全に
→そのため、通訳等を追加的に雇用しているケースも

太田市の例

(3)学力問題と適切な日本語教育
  • カミンズ(トロント大学);日常会話の「生活言語能力(BISCS)」と学術的活動を行うのに必要な「認知言語能力(CALP)」を区別する必要がある
  • 「ダブルリミテッド」、「セミリンガル」の問題(どちらの言葉も中途半端で年齢相応の語学力より低いこと)→学年が進むにつれて、学習についていけない。精神的に不安定に
↓対策
☆JSLカリキュラム(2001年開始)
  • 小学校は「トピック型」と「教科志向型」(例:図形学習を実際の学年より易しい日本語で学ぶ)
  • 中学校は各教科の学習内容を前提に、生徒が学ぶべき基本事項一覧が作成、それを下に授業組み立てを目指す
  • 各地域での日本語指導カリキュラムの作成、ポルトガル語による教材作成

問題点・カリキュラムが普及していない
  • JSLの専門教員がいない→国の教員養成に位置づけるべき

(4)浜松市の事例(ゆかちんのまとめを見てください)

2外国人学校における状況
(1) 概略
  • 外国人学校は外国人集住地域に集中
  • 不就学・不登校問題やポルトガル語教育の要望により学校として扱われるように
  • 本国政府の認可は日本語や日本文化教育を義務付け
  • 保護者の頻繁な国内移動やブラジルに帰国するケースがあり児童生徒数は不安定

(2) 教育の実態
  • 日本にある南米系外国人学校の大半はブラジル人学校(2006年は99校中96校)
  • 在日ブラジル人学校のうち19校に対して大学受験資格付与
  • 多くは初等前教育課程~中等教育過程まである
  • 教職員の多くはブラジル人(本国採用や日本にいる有資格者)
  • 帰国を最初念頭においていてブラジル人学校に入学させるが、帰国せずとどまる人も

問題点やデメリット
  • 運動施設の不足、敷地の狭さ、耐震基準不足
  • 財政的支援がない(ブラジル・日本政府)
  • 授業料などの金銭的負担→家庭の経済状況で入退学が頻繁
  • 通学時間が長い
  • 教職員は不安定な雇用で、社会保険に加入していない
  • ブラジル政府認可校以外は教育の質で劣る(「非行化防止のための行き場を失った生徒のたまり場」など)
 ブラジル人学校経営者が脱税容疑で逮捕
 「非熟練労働者を生産する場」と揶揄される
  • 日本語教育が義務付けられても、日本語教育や日本社会の適応は重視されてない。
→学校を卒業しても日本語が話せないケースも。

メリット
  • ブラジル人のアイデンティティーを保つ
  • 来日後の適応がスムーズ
  • 教育の継続性(スプレチーボの結果をそのまま利用できる)・ポルトガル語が学べる
  • 公立学校でのいじめからの緊急的避難

  • ブラジル人学校が日本政府に公的教育施設の無償貸与を求める
  • 親の就労や帰国方針に関わらず、日本語や日本社会への適応教育を重視する方向性を目指すべきではないか

(3) 外国人学校の法的地位
  • 各種学校認定されている南米系外国人学校は3校のみ(調べる必要あり)
  • 大多数は私塾や有限会社という位置づけで公的助成が受けられない。本来、学校であれば免除されるべき経費(授業料など)の負担がある
  • 認可基準は校地、校舎の原則自己所有など、経営が苦しい学校には高いハードル
↓そこで
浜松市は各種学校認定基準の緩和を国や県に働きかけ
→国は却下した。県は外国人学校に限り各種学校申請の基準を緩和。施設も自前でなくても構わないとした。

実現したのがムンド・デ・アレグリア

☆ ムンド・デ・アレグリア
  • 日本社会への適応を目指す
  • 母語を確立することで、第2言語として日本語を取得。日本の文化、習慣、法律を学ぶ。
  • 日本語授業は木曜以外毎日
  • 2005年より、市からの補助金(初年度145万円)、消費税の免除、通学定期の適用
  • 同年、計2000万円の寄付(地元企業53社より)
→授業料も46000円から15000円に

  • 岐阜県、愛知県も各種学校認可基準の緩和措置

HIRO学園(2006年)、エスコーラフジ(静岡県富士市)(2007年)

問題点
  • 外部交渉が出来るスタッフをもたない
  • 日本語による申請が難しい
  • 各種学校になる条件や申請方法を知らない、ハードルが高い

今後、これまでほとんど協力関係がなかった外国人学校同士が連携することで、学校間の助言が受けやすいシステムを整備すること、また、都道府県が申請のしやすい環境づくりを整備することが必要ではないだろうか?(p134)

  • 外国人学校に対する財政援助として今後検討すべき問題は指定寄付金制度の運用と特定公益増進法人認定の問題
特定公益増進法人→外国人学校に対する税制上の優遇措置が追加され、指定された法人への個人への企業の寄付が免除
↓しかし
外国人学校を①バカロレア認定されている学校②児童生徒の保護者が「外交」などの在留資格をもつもの(つまり、インターナショナルスクール)

南米系学校だけでなく、中華学校、朝鮮学校からも反発!!

南米系外国人学校が抱える様々な困難の根幹は我が国においては外国人学校が法的に位置づけられていない、という問題がある。1960年代、外国人学校制度創設のための法案成立を目指したが、実現しなかった。(朝鮮学校の規制のため)同法案が廃案とされたのち、現在まで政府による外国人学校の制度化の動きは、全く見られていない。(p135)

3不就学問題
(1) 我が国における外国人の教育に関する規定
  • 法令で、外国人子女に対する教育についての定めなし

☆在日韓国人
  • 外国人子女の義務教育諸学校への就学は基本的に文部省が1965年に日韓条約締結を受けて全国の教育委員会に出した通達に基づく
  • 在日韓国人が入学を希望する時、保護者に入学の申請をさせる。授業料、教科書も無償

  • 1979年国際人権規約に基づき、公立学校に入学を希望する場合日本人子女同様に無償の教育が受けられる機会の保障が義務化

日本政府のスタンスには批判が多い
  • 欧米では義務教育を普遍的な人間の基本的権利であると考えるので、不就学が少ない
  • 教育をすべての者に同一に扱う「形式的平等」ではなく、外国人の言語・文化的背景を考慮した「実質的平等」に基づいたものであるべきという意見
  • 外国人集住都市会議でも規制改革要望書を国に提出→却下(義務教育は国民の人格形成などを目的としているため)

(2) 就学状況把握の難しさー外国人登録制度の問題点―
  • 外国人登録を一旦行うと、居住地を変更する際に自治体に届けでる必要はない
  • 各自治体は外国人登録票に基づき、保護者に対し就学案内を発送、就学を希望する場合は申請書提出を求める

問題
  • 南米系外国人のように住所がころころ変わると、居住地の把握が不可能(転居後に不就学になるケースも)
  • 就学案内を送っても、その後のフォローアップがなされてない
  • 非正規滞在者には通知はなされない

(3) 不就学の実態調査
  • 1998年に豊橋市の外国人登録者の日本の就学状況調査より実態が明らかに
  • 集住地区の実態調査は行われたが、全国的な調査は行われていず、実態が明らかでない
  • 2007年の文部科学省の調査は不就学者1,7%とかなり低い

→不就学者の親のアンケート(2007年の文部科学省の調査)
☆ 不就学の理由
お金が無い、日本語がわからない、すぐに母国に帰るから
☆ 何をしているか
何もしてない、仕事・バイト、兄弟姉妹の世話
☆ 希望
就学(32%)就労(19,2%)、帰国(17,9%)
      ↓
2007年に13,14歳の少年の就労が判明、派遣業者が逮捕(15歳以下の少年就労禁止のため)

☆岐阜県可児市の調査(中3、36人 2003~2005年)
  • 14人(33%)が不就学
  • 就学期に不就学経験がないと、就学の継続傾向が強い
  • 外国人学校に就学していた就学継続率が高い
外国人学校の担う役割の重要性も指摘されている

(4) 不就学問題と少年非行
  • 不就学のままで義務教育年齢を超過した少年は就労も難しく、非行や犯罪に走りやすい傾向
  • 1993~2002年の収容総数はブラジル国籍少年が86%
☆ 久里浜少年院の事例(詳しくは田後ちゃんの犯罪率とのまとめを見てください)
日本語を学ぶ動機付けの点では、日本で就労するためには日本語能力は不可欠である、という将来の展望を与える必要性があると考えられよう

4将来的展望―定住か帰国か―
  • 南米系外国人の子どもたちは、親の就労方針が定まらないため、はっきりとした将来展望を持てずにいる→日本語習得や学習意欲の低さに
  • 日本での定住を考える場合は、安定した職業を得るためにも高校の卒業資格が必要
↓しかし
高校への進学は容易ではなく、進学率も低い。進学する場合は定時制高校がほとんど

  • 高校入試特別枠の設置、職業訓練学校等各種学校への進学を求める声
  • 中退率の高さから、出口保障を行う必要がある
  • 日本への大学進学の実現が課題(特別枠を設ける必要性)

ブラジルへ帰国するとき
  • 帰国後に不適応を起こす場合も
  • 海外帰国子女への特別な教育が行われていないため、学校社会に溶け込めない、学校に行きたがらない
  • 日本でいじめを受けた、母語喪失→日本滞在時の教育の充実が求められる

おわりに
不就学の問題の背景
  • 外国人子女の教育が義務でない法制度上の問題
  • 外国人登録制度の問題

  • 日本に長期滞在している外国人の子どもに義務教育を課すことを文部科学省も検討しているといわれているが、立法化の動きが無い

学校教育法に外国人子女の教育を義務とすることで以下の問題が解決
  • 日本語教員養成や教員配置の法的根拠
  • 学習指導要領における日本語科の設置
  • 不就学問題への対応

社会保障の問題と同様に、費用負担の問題
→経団連(2007年)「自治体に加え企業の自発的に資金を拠出できるスキームの校地が必要」
企業からの資金拠出を要請するためにもまずは政府全体として外国人に対する一貫した政策を策定することが必要

本格的な外国人労働者の受け入れが始まれば、自治体や市民レベルでの対応は追いつかない。国として早急に外国人児童生徒教育の基本方針の策定と受け入れ態勢の整備が求められる
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