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理解助ける2か国語授業

「甘酒の味は?」 子供たちにひな祭りを体験させる坂本さん(左から2人目)
  二つの言葉で授業ができる外国人教師を採用した自治体がある
 壁に張ったひな飾りの絵を指しながら、日本人教師が「これが『ぼんぼり』。昔の人が使っていた明かりです」と説明したが、聞き慣れない日本語にきょとんとする児童がいる。傍らにいた坂本裕美(ひろみ)教諭(35)が、すかさずポルトガル語で言い換えた。
 群馬県太田市立九合(くあい)小学校で3日、日系ブラジル人ら外国籍の児童らが体験したひな祭り。和室に正座し、桃の花を前に、ひなあられと牛乳で薄めた甘酒も味わった。
 坂本さん自身も日系ブラジル人で、市が採用した7人のバイリンガル教員の1人。昨春から小中3校を行き来し、主に、日本語が苦手な子を集めた国際教室で指導にあたる。授業は基本的に日本語だが、ポルトガル語も交える。
  「両方の言葉と文化を知っているので、どこでつまずいているかがわかる。その場で母語を使って補ってあげると、子供たちの理解はぐんと深まります」

自動車工場などがある太田市は外国人労働者が多く、人口約22万人の4%が外国人。定住化も進み、市立小中学校に通う外国籍の子も約360人いる。その3分の2がブラジル国籍だ。市は以前から、こうした子が多い学校にポルトガル語ができる指導助手を派遣してきたが、授業についていけない子は少なくなかった。
 「 勤務時間が短く、教員免許も持たない指導助手だけでは、日本語の基本会話を教えるのが精いっぱい」と市教委外国人児童生徒コーディネーターの根岸親(ちかし)さん(27)が語る。 自らも指導助手の経験者だ。
 曽祖父がブラジルに移民した根岸さんも、日系人の親類が多い。サンパウロの貧困地区で1年間、子供たちの教育にかかわったボランティア経験もある。指導助手時代の3年前、放課後の小中学校でポルトガル語を交えた補習授業を手がけた。こうした試みが母語で教科指導もできる教員の誕生につながった。
 市は国の構造改革特区を活用して2004年7月、ブラジルでも教員募集を開始。どちらかの国の教員免許を持ち、3年以上の実務経験などを条件に、現地で面接もして2人を採用した。ほかの5人は国内からだ。
 7年前に家族と来日した坂本さんは、長野県内のブラジル人学校などで働いていた。「日本の学校の教壇に立つのが夢でした。安定した収入も魅力」と語る。

 この1年で、坂本さんの最も印象に残るのが、ある児童の打ち明け話だ。いつも明るい子なのに、ふさぎがちだった。何度も話しかけると、両親の不仲に心を痛めていることをポルトガル語で話してくれた。坂本さんは、日本語が話せない父親と面談し、その児童の様子を伝えた。保護者とのパイプ役も、バイリンガル教員の大事な仕事だ。
 「単なる通訳ではなく、いつも接している教師だから信頼し、話してくれたんだと思います」
 それが坂本さんの自信になっている。(梅沢清次)

  2万人…日本語指導が必要な子供
 文部科学省によると、公立の小中高校、盲ろう養護学校に在籍し、日本語が十分に使いこなせない外国人は、2004年9月現在、計1万9678人。10年前の2倍近くになり、2割近くが特段の指導を受けていなかった。10人以上いる学校が465校ある。母語別ではポルトガル語(7033人)、中国語(4628人)、スペイン語(2926人)の順。
(2006年3月23日 読売新聞)2008/09/19閲覧
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20060323us41.htm