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梶田孝道、丹野清人、樋口直人著(2005年)『顔の見えない定住化』名古屋大学出版

P3
入管法で区別される「日系人」カテゴリーは在日コリアンの処遇問題をめぐる副産物

P6(デカセギの要因)
デカセギ斡旋が無風状態からデカセギ者の流れを生み出したわけではなく、日本とブラジル双方の構造的条件に規定されていた。プッシュ要因としては、ラテンアメリカ全域をおそったインフレなど経済状況の悪化が挙げられる。ブラジルのインフレは1980年以降ほぼ100%を超過し、特に88年には682%、89年には1769%とハイパーインフレといわれる水準に達した。このようなインフレは日系人だけではなく、ブラジル人全体の出移民を促した。プル要因をみると、80年代後半に深刻化した日本側での労働力不足は日系人労働力に限らず、外国人労働力全般に対する需要を高めた。85年のプラザ合意によって円高が進み、日本での就労が相対的に魅力になった点も挙げられる。

P35(統合政策のめぐるジレンマ -各国の統合政策―)
→必要があればまとめます。一応保留・・・

P46、48(日本の移民政策の問題点)
  • 国レベルでは定住化阻止を前提として、体系的な移民統合政策を有していない。入国管理政策と帰化政策がなんら連動していないことに見られるように、各省庁が矛盾しており、統一されたナショナルレベルでの統合政策がないのである。(入国管理や外国人登録をする法務省や、子どもの教育をする文部科学省・・・)
  • こうしたナショナルな政策の欠如を補う役割を果たしているのが自治体と草の根運動である。(外国人集住都市会議など)


P119(入管法改正されたときの思惑の筆者の予想)
日系人に関する法改正の意図の中に「労働者不足を日系人で補う」という動機が仮に含まれたとしても、当時の日系人は1世2世が大部分であり、彼らとは様相を大いに異にする3世やその配偶者を中心にして日系人が数十万人の規模で増大することは誰にとっても予想を超える事態であり、「意図せざる結果」であったという点である。(あくまで筆者の仮説)

p201(来日後、学校入学手続きまでの流れ)
B氏(事業全体を統括し、その下で2人の通訳スタッフが係長としてそれぞれ担当企業を受け持ちつつ、担当先の労働力に合わせて日々ブラジル人労働者を送り続けていた)または通訳スタッフが当日休みで役所関係の手続きが必要な労働者を車で関係先から連れて行く。全員同じ団地に居住している。子どもの小中学校への転入手続き代行とその説明があった。当日はB氏、日系2世の母親、13歳の長男、9歳の次男である。豊田市の教育委員会へいき、外国人登録を確認し、学校へ通うことの説明があり、市に対する手続きは終了した。
その後通学する予定の学校でさらなる手続きの説明を受ける必要があった。子どもたちの登校は学校へ行くための学用品等の準備があるので今月の給料をもらってからとし、翌月から通うことにした。ところがこの2人の子どもの通学について母親は次男の通学のみを希望し、長男については工場に働きに出ることを望んでいた。この点については15歳未満では工場で働けないこと、工場で働くにしても日本語が必要であることを役所に行く前説明し、長男の中学編入を了承したはずだった。しかし、役所で働けないか再度確認をしていた。

P279(サンプル数1978人)定住化についての当事者の主観的見通しについて(3つのグループ)
  • 自動車、不動産購入が目的→1年から5年の就労を予定
 リピーターが多い(ブラジルでは生活を築けない)日本に残って就労するものも多い。
主観的な対日意識と客観的な対日期間にずれ
  • 日本に長期間住むことを目的。滞日生活の満足度が高い。日本に子どものいる比率が高く、エスニック・ビジネスの利用度が高い反面、アソシエーションに参加するものは多い。従来の定住化モデルに最も合致する
  • 来日の目的があいまい→対日期間も定まっておらず、自分の生活状況について評価できない。貯金に熱心なわけでもなく、ブラジルでも日本でもやりたいことが特になし。消費志向が強いわけでもない。確たる目的が無いので日本に今後住み続ける可能性は強い。(=定住意識なき定住化)

p281(ブラジル人が頻繁に行き来する理由)
日本政府の外国人に対する姿勢は高度な技術や知識を持った人々の場合は入国を促進する。しかし、通常の労働者は初めから入国を制限されている

身分、地位に基づく在留資格の場合は、日本の入国、就労に制限がない。日系人はいつでも出入りが自由であり、それを規制することはできない。それゆえ、彼らは自由に行ったり来たりすることが可能であり、定住化の必要性が遠のくことになる。

子どもの問題
  • 多くの子どもは日本の学校に通っており、日本の生活しか知らない。
  • 日本生まれの場合言語も日本語のほうが主。ポルトガル語から疎遠になる
  • 子どものための滞在見通しが長期化している層も(数は多くない。前のページ参照)
  • 子どもたちにとって、ブラジル、ポルトガル語は抽象的な存在でしかない=社会学的意味では「外国人」でなく、「日本人」
  • 日本におけるブラジル人の子どもの存在とその長期的滞在はいうまでもなく「定住化」に直結する
  • 子どもの教育が滞日意識や実際の行動に影響を及ぼしている比率は決して高くない
  • 多くの場合、親の生産活動の従属変数であり、企業や工場は変わるに伴って教育も移動する
  • ブラジル人の不就学や学業不振が大きく問題に
  • 子どもが日本の公立学校に通う場合はその結果として当人の定住化が進行していくと見ていいだろう
  • ブラジル人学校は地理的、経済的に限られている
  • ブラジルの帰国の準備になるにしても、ブラジルでの学歴社会の対応策になるとは限らない
  • こどもはデカセギが続く限り、その犠牲者となりやすい

P294
外国人政策にかかわる部署は国内に居住するマイノリティーとしてではなく、外国から来た一時滞在者の延長として捉える傾向が強い。

P298(統合政策)
統合という概念は政治経済的領域での格差解消を重視する点で、共生にはないメリットがある。
社会文化的領域での多元性と政治経済的領域の平等を推進するために「権利」「コミュニティー」に焦点を当てる

外国人は自国の文化を保持する権利が重要。
→コミュニティーの実質強化(社会教育施設の外国人登用、外国人によるさまざま活動の助成)

労働のフレキシブル化に歯止めをかけ、より安定した生活を営む条件の整備

正規労働者への登用の道

P300(教育に関する提言)
  • トランスナショナリズムな議論にあっても、移動を繰り返す子どもについてはほとんど言及されていない
  • 家族や親族の紐帯を利用することで、出身地に子ども預け私立学校に行かせることで学歴取得がはかれる。移民先で上手くいかないときは、出身地へ送り返される。

親族が養父母になることで親族間の絆が深まることもある
↓が!!
上手くいくのがすべてのケースではない。
自らの意思によらず移動する可能性にさらされ続ける子どもの場合、さらに勉学動機を維持し続けるのは難しくなるだろう。(例、ドミニカからアメリカの移民の子ども)

長期的なリスク低下を視野に入れると
① 日本に残る、ブラジルに帰国する、両国を行き来するといった選択肢にかかわらず、最低限の教育効果を保障する
② 親子間のギャップが生じないような文化保障を行う

過激的な補償教育としての日本語教育だけでは不十分

バイリンガル教育が望ましい(国境を越えた教育システムに適応する)
  • 母語教育を権利として保障
  • 母語を維持できる機能の整備
で教育効果もいっそう高まる
  • コミュニティー強化も必要不可欠

  • 入試によって母語による学力を測定されるべき
  • 高校への希望者全入
  • 高校・大学での外国人枠の拡充
  • エスニックビジネスとして営まれる教育機関は一定の教育水準を確保することを条件に助成を行う→資源の集中化と学費の低減
添付ファイル