「ことばの教室、カナリーニョ教室について」


A-2 外国人子ども教育支援協議会(委託事業)
(事業内容)
 外国人子ども教育支援事業を推進。元城小学校内に事務局を設置。

A-2-1 ことばの教室〈事業内容〉
 外国人児童生徒の学校生活への円滑な適応を支援。オリエンテーションをはじめ、学校活動時間内に、習熟度に合わせた言語に関する指導を実施。合わせて学習について支援。子ども・保護者からの相談に対応。
 また、進学を希望する中学2・3年生を対象に、教科の補充学習を実施する教室を設置し、進学を支援。

(実績・効果)

学校の授業として実施しているため、子どもたちの取組みの意識は高く、2教室合わせて47人が通級(平成18年6月)。

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長期期間残留する外国人の家族に増えるに従い、外国人労働者の子どもたちも増加に至った。次第に浜松市は、外国人の子どもたちへの教育問題のひとつとして不就学問題がある。そこで、不就学状態に陥りやすい外国人市民の子どもを指導するためにつくられたのが、カナリーニョ教室である。カナリーニョ教室は2002年度市内の3ヶ所で開設された。教室は外郭団体の「外国人学習サポート協議会」により運営されており、約10人のポルトガル語を話せる教員がいるという(ブラジル人及び日本人)。
2002年には約90人の就学あるいは未就学の生徒が、日本語・算数・ポルトガル語を少人数クラス学んでいた。その中でも、全就学児童の10%である31人が未就学の生徒であり、そのうちの19人が公立学校に就学することになったという。以下が浜松市外国人子ども教育支援事業計画が、平成18ねんどまでの取組みをまとめたものである。

A-2 外国人子ども教育支援協議会(委託事業)
(事業内容)
 外国人子ども教育支援事業を推進。元城小学校内に事務局を設置。

A-2-2 カナリーニョ教室
〈事業内容〉
 外国人の子どもの実状に合わせた学習指導を実施し、保護者や地域と連携を取りながら、不就学や不登校の問題解決に対応。
 ① 不就学の子どもに対し、学校に入る不安をやわらげるためのオリエンテーションを実施。
 ② 家庭の事情などで不就学が長期化する場合においては、年齢相応の学力の維持をめざした学習指導を実施。
 ③ バイリンガルの指導員が、基本教科の補習指導を実施。
 ④ 子どもの言語力、学力について保護者と情報交換を実施。
 ⑤ 子ども・保護者からの相談に対応。
 ⑥ 子どもと保護者とのコミュニケーション向上を目指し、母語教育を実施。
   (ポルトガル語の会話及び基礎的な読書き指導)

〈実績・効果〉
 子どもたちの学習意欲の向上、母語教育による自己の確立。保護者の教育への意識の変化と、家族関係の向上。不就学の子どもに対する継続的な働きかけにより就学へつなげた事例もある。

●ことばの教室、カナリーニョ教室の動向

 ことばの教室は、平成5年4月、外国人の子どもの学校生活への円滑な適応を支援するために開設された。一方、カナリーニョ教室は、浜松市外国人市民会議の提言を受け、外国人の子どもの実状に合わせた様々な教育機会を提供するために、平成14年4月に開設されました。指導には、日本語及び母語のバイリンガルの指導員が当たり、不就学の子どもたちへの就学支援と、就学している子どもたちへの学習支援を実施がなされた。
 これらの教室の実施により、子どもたちの学習意欲を高めることや、各学校の外国人の子どもを受け入れる体制の整備を助けるなど、大きな成果があったという。より効果的に事業を進めるために、平成18年度から教育委員会に事業を一元化しました。そして、平成19年度から、ことばの教室とカナリーニョ教室を統合・再編し、新たな事業を始めることとなった。
 外国人の子どもの教育支援をさらに推進するために、ことばの教室とカナリーニョ教室を統合し、特に学習言語としての日本語の習得を目指した支援事業を充実をのぞむもので、以下が支援内容である。

 1、日本語教育支援
 市内公立小・中学校に在籍する外国人の子どもが学校生活への円滑適応を支援するために、学校活動時間内に日本語を習得する教室を開催。

 2、母国語教育支援
 母語や母国の社会・歴史について学ぶために、母国語教室を開催。
 ポルトガル語、スペイン語、中国語、ヴェトナム語、フィリピノ語等に対応。
 学校からの依頼に応じて、指導員を派遣。通訳・翻訳、転入直後の支援を実施。
 日本語指導教室へ指導員を派遣。

 3、不就学対策支援
 地域・学校・行政・企業等からの情報収集と支援組織づくりを実施。
 交流・相談の場を設け、教育の連続性の中へ。



浜松市外国人子ども教育支援事業計画HP
目次より、1~4章↓
http://www.city.hamamatsu-szo.ed.jp/shikyoi/4ask/gaikokujin/mokuji.HTM



カナリーニョ教室は、国境を越えた移動(母国への帰国)を将来する可能性がある子どもたちにとってのバイリンガル教育を提供するということ、または学校教育から隔絶されてしまい社会から孤立することがないように予防するという点では重要な施策であるといわれているが、不就学児童への教育というよりも、主に就学時児童への補習授業として展開されているのではないかという指摘もある。

中井歩『ニューカマーと90年代以降の地方政府 : 浜松市の定住外国人と行政的対応』2007、
最終更新:2008年10月21日 22:56