留学生のしおり

5 これまでの奨学生より-2

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ri2590shiori

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5 これまでの奨学生より


■1995年度奨学生 原 千草
留学先:アメリカ イェール大学大学院
専攻;国際開発経済学

私はモルガン・スタンレー証券会社で内部監査の仕事をしています。現在、会社の短期派遣で一年ほど本社のニューヨークに来ており、公私共に刺激的な毎日を送っています。

内部監査というとまだ世間の認知度が低く、余り耳慣れない職業かと思いますが、最近は企業統治(コーポレート・ガバナンス)が日本でも騒がれ出し、俄かに脚光を浴びてきている分野です。ワールドコムの不正を摘発したのが内部監査だった、というのは記憶に新しいかと思います。

ここで、内部監査について理解していただくためにも、よく勘違いされる例ベスト3を挙げてみたいと思います。
1.法務・コンプライアンス:これらの仕事は法令順守が基本ですが、内部監査はそれら以外のリスクも見ます。
2.検査:内部監査は取り締まるためにいるのではなく、被監査人と協力して会社の改善を目的としています。
3.外部監査:外部監査は本来会計の立場から財務諸表の適正を外部の人間として監査しますが、内部監査は業務プロセスを中心に社内の人間として監査します。

私は簡単に説明するために、よく一言で言うと「社内のリスクコンサルタント」だと説明しています。また、会社を経営者に近い立場で全体像として見れるとてもチャレンジングで知的好奇心をくすぐられる仕事でもあります。例えば、私は証券業界にいるので、監査、会計、金融、法務、システム、などの多岐に渡る知識が要求されます。内部監査を初めてはや10 年目に突入しましたが、一人前になるにはまだまだ時間がかかりそうです。

こんな私ですが、実はロータリー財団の国際親善奨学生で留学した際は、開発経済学を勉強しました。開発経済学と内部監査がどこで関係あるのか、と聞かれてしまうとなかなかつらいものがありますが、それでも、確実に言えるとことはロータリー財団の奨学生として留学したからこそ今の私がいるのであり、留学して得た経験やネットワークは決して無駄になっていないということではないでしょうか。ふとしたきっかけと何かの縁で内部監査という仕事に辿り着いたわけですが、例えば将来、国際機関で内部監査をし、開発経済学と結びつけることができたらいいな、と密かに思っています。

そんなロータリー財団の奨学金の素晴らしい所は、お金をもらってそこで終わらないところ、まさにそれに尽きると思います。ビジネスの場でもちょっとした機会にロータリー財団の奨学生だった、というと一目置かれたりします。

私は留学してからしばらく経ちましたが、つい最近までずっと幹事として学友会に関わってきました。それはもちろん、お世話になったロータリーに少しでも恩返ししたいという義務感にもよりますが、それよりはむしろ、色んな人たちに会えて楽しい、という単純で身勝手な理由によると言えます。これだけ色々な国に行く人(他の奨学金って英米に集中してますよね)、またいろんな分野(文学、社会学、ビジネスに限らず、音楽、演劇、建築関係の人など)で勉強する人と交流する機会ははっきり言ってなかなかないと思います。日々の生活に埋没してしまってふとした時に学友会でこれから出発する奨学生たちの意気込みとかを聞いていると私もまた頑張るぞ、という気になってくるのです。

そういうわけで、奨学生のみなさん、このまたとない機会を大切に、気をつけて行ってらっしゃい!そしてこれからもパワーを分けてください。





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