留学生のしおり

イタリア:国際声楽学校

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ri2590shiori

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イタリア 孫田 愛子
2007年度奨学生(1学年度)
留学先:国際声楽学校
専攻:声楽


a 留学準備

イタリア留学準備の手続きの中で、最難関が就学ビザの取得です。私の場合、最終的に私立の音楽学校に決定しましたが、国立以外の専門学校(語学学校を除く)へのビザ発給に関しては、私が手続きを行った時期(2007年7月頃)、イタリア大使館は非常に厳しかったです。事前に確認したビザ発給の条件(月間80時間以上の授業数がある事やその他の書類の提出)を満たしていたにもかかわらず、すぐに発給されず、何回も確認の電話をしながら待っていたところ、「現在の担当者は私立校へのビザ発給を快く思っていないので、このままではあなたの出発までにビザが下りないと思う。」と連絡があったため、ビザのないまま一旦渡伊しようとあきらめましたが、奇跡的に出発直前にもらう事ができました。これは就学以外の目的で渡伊させる事を防ぐために慎重になっているためらしく、申請する学校によっては、信用がない場合、条件を満たしていてもビザが下りない事もあるそうです。
国立の学校の場合は発給は問題なくされるはずですが、ビザ申請をするために必要な書類と手続きが非常に多く、すぐに手に入れにくいものばかりなので毎年3月頃あたりからイタリア文化会館(国立のビザ申請だけはこちらでする)の担当者宛てにその年の要綱を申し込んでおくと良いと思います。申請のための説明会開催から締め切りまで期間が非常に短く、ハードなスケジュールになると思いますので事前にホームページなどで定期的にチェックすると良いと思います。
どちらの場合でも、一ヶ月前に聞いた条件や必要書類がまた変わった、という様な事はよくあります。事前に確認しておく事はもちろん大切ですが、準備の段階で不明な点があったら、小さな事でもすぐに直接確認する事をお勧めします。

b 語学研修

イタリアのフィレンツェの「ダンテ・アリギエーリ校」で一ヶ月の語学研修を受けました。イタリアには沢山語学学校がありますが、RF本部からの指定がされていた学校だったため、ロータリーの奨学生用の特別コースとして、文学の授業もあり、教師の質も高く、非常に良い学校でした。勉強の面だけでなく、世界各地から来た生徒や先生方との交流も私にとっては大きいもので、今でもメールの交換をしています。
研修の間はホームステイする事が義務付けられていますが、私のステイ先は非常にかわいらしい老婦人の一人暮らしで、他のアメリカから来た留学生と三人で楽しく毎日過ごせました。フィレンツェの街の美しさを感じる事もでき、非常に充実した一ヶ月間でした。


c 学業面

ペーザロの「Accademia Internazionale Di Canto」という声楽の専門学校に通っています。後から知った事ですが、この学校がボランティア団体が運営している学校らしく、非常に非常に小さい学校です。留学前に確認した月間80時間以上の授業数があるという話とは反対に、入学してみたら実際は授業数がとても少ない学校でした。希望者は提携している語学学校で語学クラスを取る事もできますが(現在申請中です)、それ以外の実技を含む音楽関係の授業は多い時で平均週五時間くらいです。なので、自分で学校の練習室で勉強したり、欠席した生徒のかわりの空いた時間でレッスンを受けたり、工夫しています。学長は非常に優れた方で、声楽教育界では有名な方です。その他の教授陣も優れた歌い手やピアニスト、かつての俳優と優れた人達ばかりなので聴講しているだけでも勉強になります。
学校のコンサートホールを使用して地元の音楽ファンのお客様を招いてのコンサート月間などもあり、我々生徒達も出演の機会があるので良い経験になっています。

d コンピューター、メールなどのIT環境

イタリアは、事前に聞いていた噂にたがわずIT環境は良くないです。回線が整っていない場所が多く、アパートで回線を引いたり、携帯モデムを購入してつなげようとも思いましたが、時間制限が厳しかったり、かなりの高額になったり、最低二年という条件があったりで断念しました。現在は下宿先から目と鼻の先にあるネットポイントの年間定期(時間無制限)を購入してネットを利用しています。最初は持参したPCをそこで接続しようと試みましたが、出来ませんでした。そして、その店には日本語の読み書きができるPCもありませんでしたが、ソフトをダウンロードしたりしてなんとか使う事が出来ている状態です。私の住んでいるペーザロはとても小さい街なのでこのような状況ですが、ミラノ・ローマ・フィレンツェではもう少し便利だと思います。

e 生活面

ご存知の通り、現在はユーロが高いという事が、一番の難点です。そして、私の住んでいるペーザロはリゾート地のため、他の小さな街と比較しても物価などあまり安くはありません。
それでも、イタリアは外食が高い反面食材が比較的安いため、ほぼ自炊の生活になりますが、珍しい食材が豊富にあるので、飽きる事はまずありません。反対に、自国の食べ物が一番という考えが主流なので大都市以外では日本の食材を手に入れるのが難しいです。お店やレストランなどは昼過ぎから夕方にかけて閉まる店が多く、日曜や祝祭日もほとんどが休みますのでこれも注意が必要です。レストラン等は夜八時前後から営業するところが多いです。
現在、修道院に住んでいますが、門限があるため、夜、コンサートなど観に行く事が簡単に出来ないのが悩みです。最初はアパートを探すつもりでしたが、今の修道院を学校に紹介され、最初はアパートを探す間だけの仮住まいのつもりでした。しかし、ペーザロにいる期間が約8ヶ月と短くすぐに手ごろな物件もルームメイトも見つからなかったため(一人で住めるような安い物件が無いため)、このまま修道院で暮らす事にしました。バス・トイレ・台所が共同なので正直不便な事は多々ありますが、毎日生活の場でイタリア人と一緒にいられる事は大きなメリットだと思います。修道院に宿泊する、というのはイタリアではかなり一般的な事のようで、一日から泊まれるところもあるようです。門限など注意する事もありますが、ホテル代わりとしてやアパートを探す間だけ利用するのも良いかもしれません。
さらに、イタリアは日本に負けない携帯電話大国です。料金システムは異なり、携帯電話本体を購入して(これも高額です。)、事前に使用したい分の通話料をカードを買うか、店頭でチャージするという方法で使います。

f ロータリー関係の活動

ペーザロのロータリークラブのクリスマスパーティにご招待頂き、沢山のロータリアンの方々とお知り合いになれましたが、こちらのクラブとの本格的な交流はこれからになりそうです。
私の顧問ロータリアンの方には到着以来いろいろな面で大変お世話になっています。非常に多忙な方ですが、私の生活面全般から学業面まで常に親身に相談にのって下さり、私にイタリアの文化を見せようと家族ぐるみの夕食やクリスマスパーティやお正月の内輪の集まりにいつも招いて下さいます。皆さん日本の文化や横浜の話などに興味を持っておられるので、話をすると皆さんとても喜んで下さいます。ご本人はもちろん、ご家族やお友達も非常に良い方達ばかりで、沢山の友達ができました。


g その他

最初の留学準備の項でも少し触れましたが、イタリアという国は時期や人によって言う事やルールがすぐに変わります。私もイタリア国内での覚悟はしていましたが、日本での留学準備の時から痛感しました。そして、手続きや時間にルーズな面が多くありますので出来る事は何でも先にやっておくと良いと思います。同時に、その際にはメールだけでなく直接電話する方が確実で一番早いと思います。メールを出してもすぐに返事が帰ってくる事は非常にまれで、数ヶ月先だったり、返事がない時もあります。
担当者なのに詳細を良く分かっていない、という事もよくありますので自分で調べられる事は事前に調べておくと時間のロスが少ないと思います(これは現地での生活の時にも有効です)。
融通がきかない事もありますが、周囲の人(場合によっては知らない人でも)に少し言ってみるだけでも、その人達の影響で解決できたという事もあります。一般的によく知られる「コネ社会」と言うと言葉は悪いですが、人と人との繋がりを大切にするイタリアならではの現象だと思いますので、些細な事でも困った事があったら、まず周囲の人に話してみるだけでも解決への糸口が見つかると思います。






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