留学生のしおり

ただいま留学中!アメリカ編-2006

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ri2590shiori

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ただいま留学中!アメリカ編


■2006年度奨学生(1学年度) 神谷 智彦
留学先:ジョージタウン大学法律センター
専攻:法律学


a 留学準備

まず、ロータリー親善奨学金への出願ですが、出願の前年12月ころにインターネットでタイムラインをチェックし、年明け早々にロータリークラブに問い合わせをしました。1月の半ばに出願希望を伝える所定の用紙を提出し、出願書類をいただきました。ここからは案外時が早く過ぎていき、2月上旬のロータリークラブ面接、出願書類準備、推薦状のお願いと手配、日英両言語での出願書類(エッセー含む)の準備であっという間に期限の3月末が来てしまいました。その後、5月上旬の語学試験、中旬に面接、6月上旬に合格発表がありました。合格発表時、北米出張中であったこともあり、時差や出張時の多忙も手伝って、合格発表直後のオリエンテーション出席の調整が非常に難しかったことを記憶しています。インターネットのおかげでガバナー事務所と連絡を取ることができましたが、奨学生の義務を果たす上でも常に関係者の連絡先を把握しておくことは非常に重要で、留学中も同様だと思います。

第二に、学校への出願ですが、私の場合は米国ロースクールということもあり、TOEFLのスコアメーキングが非常に重要でした。学校が要求する最低要求水準を余裕で上回る得点を取っておかなければ、合格は難しいと感じていたので、奨学生候補者となってから夏の間、TOEFLに集中する体制をとり、9月ころから出願書類の準備に入りました。9月の度重なる海外出張の合間に推薦状を書いていただきたい方との連絡とお願いを始めたのもこの頃です。米国ロースクールは、11月上旬ころから有名校の出願締切が始まり、私の場合はジョージタウンの早期出願制度で出願したため、11月の半ばに最初の出願締め切りがやってくる感じで、その後、12月中旬まで出願する学校の書類準備、成績証明書の手配、過去の推薦状の手配確認などに奔走することとなりました。デッドラインには絶対に間に合わせないといけないものの、推薦状等は多忙な推薦者の都合もあって自分のコントロール外の要素が大きいといえます。推薦状の送付が学校の要求するデッドラインに間に合わない場合に備えて、対策を考えておくこともお勧めします。私の場合は、ジョージタウンの合格通知が比較的早い段階で来ましたので、その後の出願については、行わないこととしました。


b 語学研修

語学研修は受けませんでした。


c 学業面

私は、法学修士過程(LL.M過程)で勉強していますが、米国での法学教育は徹底した議論を
重んじるため、教授から教室で何かを教えてもらうというよりは、議論に参加し、主体的に考え、自分で答えを探していく過程にこそ価値が置かれています。実際、数百人がいる教室でも、教授はアットランダムに特定の学生を指名し、判例について質問し、さらに判例の事案と前提事実を変え結論が異なるかどうか、尋ねたりします。つまりは、前提として宿題として読むことを求められている判例や教科書については最低限読んでおかなければお話にならず、多くの学生は突然教授に指されて答えられないのが恐ろしいため、必死に勉強しているというのが偽らざる事実といえるでしょう。私の場合は可能な限り要領も追求していますが、考える過程そのものがトレーニングであるため、タイムマネージメントを常に考え、可能な限り読んで考える時間を確保できるように工夫しています。自分への戒めでもあるのですが、面倒でも判例の要約を書いておくと期末試験のときに大変楽になることは間違いないでしょう。ある米国人学生は、「教授は我々に何も教えてはくれない、我々が教授に判例やドクトリンについて調べたり考えた結果を教えているようなものだ」と皮肉混じりに言っていたことを思い出します。つまりは、米国ロースクールでは、知識は自分で勉強し、考えて結論を出す過程を教室の議論を通じて鍛えるのであって、その意味で単なる教育機関ではなく、職業訓練機関に近いというのが正しいのではないかと思います。


d 生活面

ワシントンDCは米国の首都であり、各国大使館がある割には案外日本食、アジア食などの調達が難しく、実家から送ってもらったり、時折自動車を持っている友人とメリーランド郊外にある韓国系マーケットに調達に行ったりしています。確かに、米国滞在中にアメリカ食を満喫することも重要な文化体験なのですが、留学という比較的長期にわたる滞在を伴う場合は、体質の違い等もあり、必ずしも毎日食べられないものもあります。特に気をつけているのが、ジャンクフードなどを食べて体調を崩すことで、中・長期的な健康管理にとって重要です。私の場合は下手ながらこれまで日本で余りしてこなかった料理にも挑戦し、おそらくは留学中のひとつの成果のひとつとなるものと思います。

住まいの事情ですが、DCは特別に物価が高いこともあって、アパート探しは難儀しました。ただ、アパート探しの過程は、日本との文化の違いがあるため、ぜひそうした違いについて経験すると面白いと思います。私の場合は、大家さんと契約交渉を行い、譲るべきは譲り、主張すべきは主張してみました。その過程でこちらのリスク等も分かるので、将来のトラブル防止にも役に立つでしょう。なお、私は現在は一人で住んでいますが、学期が始まる前に経験したように、高い家賃を抑えるためにルームメイトと住むこともよい経験になるのではないかと思っています。

学期中は学生同士のパーティー、大学バスケットの試合観戦等が主な娯楽でしたが、秋にかけてはDC郊外の美しい自然を満喫すべく、ピクニックに出かけたりしました。ちょっと都心から離れただけで野生の鹿の親子に出会えたりするのも、こちらならではの経験であると思います。現在は期末試験が終わったばかりですが、クリスマスにかけてどのようなイベントがあるのか今から楽しみです。


e コンピューター・メールなどのIT環境

米国、特にロースクールでは、概ねほとんどの学校行事の連絡は電子メールで行い、月謝の支払い、宿題の提出、授業の資料配布等もオンラインで行うため、ラップトップPCを持っていることが大前提となっています。期末試験も80%くらいの学生がラップトップで受験し、手書きでの試験受験は、特別な届出が必要である等、例外的な扱いになっているほどです。
日本人留学生として気をつけたいのがPCセキュリティーです。最新ウィルスやスパイウェア対策ソフトは英語版の更新が最も早く、日本語版の更新が追いつかない結果、日本語版アンチスパイウェア、アンチウィルスソフトを使っていても英語版ウィルス、スパイウェアに感染してしまい、気がつかないうちに深刻なダメージを受けている場合があります。私の場合、購入から3年ほど経ったラップトップを持ってきていましたが、秋学期後半から著しく動作が遅くなり、印刷用インターフェースが使い物にならないなど、リサーチや宿題提出にも支障が出かねない事態に陥りました。これはスパイウェア、ウィルスによるものであったらしく、結局、現地で米国仕様のラップトップを買い直しました。米国仕様であれば、学校のITサポート、米国でのメーカーサポートも受けられるとともに、学校のラップトップでの試験等でも問題が少ないと思いますので、現地でラップトップを調達することも悪い選択ではないと思います。


f ロータリー関係の活動

留学先でのホストRC・ロータリアンとの交流やイベントについては、正直この紙面だけでは語りつくせないほど多くの機会があります。制限字数はオーバーしてしまいますが、あえて私のこれまでの経験をシェアしたいと思います。

① ホストロータリークラブ
私が派遣されましたキャピトルヒル・ロータリークラブは2003年に誕生した比較的新しいロータリークラブで、参加人数も平均15名前後の小さなクラブです。週定例ミーティングは、国会議事堂がすぐそばに見える「ハイアット・リージェンシーホテルワシントン」にてモーニングオン形式で毎週水曜日朝7時15分から行われています。会合では、Club Presidentの音頭でロータリアンの誓い、Sunny Side of Street斉唱、星条旗への誓いが行われ、引き続き卓話が行われます。ロータリアンの方々は若い方から年配の方までさまざまで、土地柄に比し、思ったほどは保守的ではなく、和気藹々とした会合になっています。
8月17日に行った初参加の際に、横浜保土ヶ谷のフラッグ交換の他、お土産の紹介を通じての日本文化の説明、去る9月27日には卓話にて横浜保土ヶ谷の歴史と現在、ロータリークラブの活動の様子など、写真を交えてお伝えする機会を持つことができました。

② ホストロータリアン
私のホストロータリアンのショーン・マクリスターさんは、通常はご自身のビジネスで大変お忙しくされていますが、ロータリークラブの活動の他、今後はローターアクトの活動にも関わる予定とのことで、大変積極的にロータリーの活動にも関与されています。また、同じクラブでジョージワシントン大学ロースクール派遣のカザフスタンの奨学生のホストロータリアン、ピーター・カイル氏は、私達同様にロータリー奨学生としてヴァージニアのロースクールで学んで以来、ワシントンで生活し、現在は世界銀行に勤めておられ、私たちの活動や勉学等にも大変理解のある方です。カイル氏は、元奨学生ということで、様々な活動のサポートをしてくださり、元奨学生とのレセプション、他のロータリークラブとの連絡の他、ワシントンという土地柄も相俟って、ニュージーランド大使館でのレセプション、ブルガリア大使館レセプション等、多くの活動の機会を提供してくださり、そうした機会がさらにワシントンローターアクト活動への誘いとなるなど等、多大なご協力をいただいている現状です。ニュージーランド大使館では、訪問中のロータリーインターナショナルプレジデントのBill Boyd氏、ニュージーランド大使館大使とも面会する機会を持つことができ、横浜保土ヶ谷ロータリークラブのお話をする機会を持ちました。


g その他

11月4日には国連ロータリーデイへ参加してまいりました。今後も継続的にワシントンDC地域での卓話などの活動を行う予定で、1月にはワシントンDC RC、メリーランド州ベセスダ地区の2つのRCおよびローレルRCでのスピーチが予定されています。また、昨日は試験後にローターアクトの会合に参加し、今後活動にも関与していく予定です。追ってロータリー奨学生としての活動の報告をさせていただければ幸いです。







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