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ただいま留学中!イタリア編


■2008年度奨学生 鈴木 鉄忠
留学先:トリエステ大学
専攻:社会学


a 留学準備

 書類の準備に苦労しました。とくにイタリアの大学の受入承諾書と大使館のヴィザです。通常イタリアの大学は秋に新年度が始まりますが、受講を希望する講義が開講されるのかどうか、開講されるとしたらいつ行われるのかなど、開講1,2か月前にならないとわかりませんでした。また6月から9月は夏季休業期間にあたるため、イタリアの大学の事務に問い合わせてもすぐに返事をもらえないことが多いです。私の場合、受入れ大学の指導教官から受入承諾書をもらっていたのですが、留学期間を明記した大学事務局発行の承諾書を取得するようにと大使館に言われました。イタリアの大使館は、留学を希望する大学の事務局が発行する受入承諾書がなければ就学ヴィザを発行してくれません。何度か大学事務局に問合せても、まだ正式な開講講座と期日が決まっていないといわれましたが、ようやく8月下旬に決まり、承諾書を電子文書で送ってもらいました。その後すぐに大使館に駆け込んで9月中旬にヴィザを発行してもらいました。
留学準備の正式な手続きには、希望先の大学学部、イタリア文化会館、イタリア大使館の少なくとも3つの承認を得ることが必要になります。3つの機関に緊密な連絡があるわけではないため、自分で必要な情報を入手し、錯綜する情報を整理し、つじつまが合わない点は先方に問い合わせて、既定の期日までに書類を揃えなければなりません。その際に、同期の奨学生と連絡を取り合い、おたがいの進捗を確認しながら準備を進めたことが、いちばん助けになりました。


b 語学研修

 ヴェネツィアの語学学校Istituto Veneziaで研修を受けました。留学先のトリエステに近い都市を自分で探した結果この学校をみつけ、ロータリーにお願いして許可をもらいました。授業は月曜日から金曜日の9時から13時まで、4週間受講しました。レベルごとに学習カリキュラムが決められているようでしたが、実際の授業では、担当の先生がクラスの顔ぶれや雰囲気をみて柔軟に組み替えて教えていました。1クラスは10名ほど、担当の先生は親切で熱心でした。適量の宿題も出ます。4週間はあっというまでしたが、語学研修のおかげで基礎固めができました。


c 学業面

 大学では現代史と地域史の講義を受講しています。各講義は週3回×2時間です。何よりも語学でつまずくことが多いですが、クラスやアパートの友人に助けてもらっています。大学がないときは地域調査を行っています。トリエステには、精神病院と国境線という、近代社会の内部と外部に刻み込まれた二つの境界線が残っています。「残っている」というのは、1978年には精神病院の地域開放運動によりトリエステにて世界で初めて精神病院の壁が取り払われたからであり、また2007年末には欧州統合の過程により国境地域のトリエステに設置されていたイタリアとスロヴェニアの国境検問所がなくなったからです。その後、近代社会の境界線が残る(ex-boundaries)トリエステには、どのような制度、運動、考え方がつくられていったのか、それらは現代社会にどのような意味を投げかけているのかを理解するのが大きな課題になります。


d コンピューター、メールなどのIT環境

 IT環境はあまりよくありません。私はノート・パソコンをもっていきました。語学研修のときは、語学学校のネットが使える平日の午後にネットを利用していました。それ以外の時間帯はネットカフェを利用しましたが、ヴェネツィアの相場は1時間約4ユーロ(600円)と高く、長時間利用するときは苦労しました。トリエステに移ってからは、大学のワイアレスを利用するか、ネットカフェ(1時間1ユーロ)を利用しています。アパートにネットを引くことも考えましたが、契約手続きがややこしく、安価でもないため、結局引かずにいます。ですが逆に良い点もあります。必要なときだけネットを使うようになったため、ネット漬けにならずに済み、かえって他のことに時間を使うようになりました。


e 生活面

 トリエステはとても暮らしやすい街です。ミラノなどのような大都市でもなければ小規模の街や村でもなく、そのちょうど中間くらいの適度な規模の街です。真夜中に女の人がひとりで歩いて帰っても大丈夫なくらい治安はよいです。家賃はシェアだと200-300ユーロ(3-4万円)、一人部屋だと300ユーロ以上ですので、それほど高くありません。私はイタリア人の大学生3人とアパートをシェアして仲良く暮らしています。食料は、野菜、果物、お肉、お魚など、いずれも日本と同じくらいの値段で手に入ります。トリエステはヨーロッパ文化の交錯する地点に位置するため、地中海、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパの食事とお酒が比較的簡単に入手でき、食事にはまず困りません。また街の中心部に集中している劇場、催事場、カフェなどでは、ほぼ毎日何らかのイベントが行われており、文化的な活動も盛んです。


f ロータリー関係の活動

 コーディネーターのかたが例会や特別イベントに招いて下さり、良好な関係を築いています。トリエステに到着するとすぐに連絡を下さり、地区で活動している3つすべてのロータリークラブを訪れることができました。1924年に設立されたトリエステのロータリークラブは、イタリアのなかでもミラノに次いで2番目に古いクラブです。クラブの活動に参加したり、ロータリアンのかたがたの話を聞くたびに歴史の重みを感じます。ローターアクトも地域で独自のネットワークをつくりながら活発に活動を進めています。学業もひと段落し生活も落ち着いてきたので、ロータリー関係の活動を通じて交流親善大使としての役目を果たしていきたいと思っています。


g その他

 自分で準備できるところはやりつくす実行力と、それでもできないところは他のひとたちの助力を受ける柔軟力の両方が大事だと痛感しています。自社会を離れると、すべてが見慣れないものに変わるため、思い通りいかないことのほうが多いです。ささいなことでも人の助けを借りなければできないことばかりです。その際、助けを求めているばかりではこちらも気が引けてしまうし、相手もすべてやってくれるわけではありません。まず自分で試行錯誤した上で助けを求めていることが伝わると、相手も助けてくれます。また逆に、これまでささいな習慣だったもの(箸の持ち方や日本語の名前の意味など)が、相手の文脈ではとても価値のある文化になるという体験をしばしばしました。このような異文化の体験の機会を与えて下さっているロータリーに深く感謝します。


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