過失がある場合にはすぐに示談するから訴訟にならない。医者が過失はない、と考えるものだけ訴訟になる、と言う考えについて

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 「過失がある場合にはすぐに示談するから訴訟にならない。医者が過失はない、と考えるものだけ訴訟になる。だから、患者の敗訴率が高いのは当たり前。むしろこれだけ医療機関が負けているのはおかしい」、と言う意見があります。しかし、医療機関が過失を認めれば示談等がすぐ成立するかと言うと、必ずしも、あるいは、相当数の場合そうではなく、普通の事件よりはるかに示談交渉自体がすくないというのが、むしろ弁護士の感覚である、とされます。  なぜなら、任意で示談したからと言って、保険会社がその金額を払うか、というと、なかなか難しいという問題があります。保険会社から見れば、払うべき場合かどうか、また、その金額が妥当なのかどうかというのがわからないからです。保険会社の習性として、数十万程度の支払については、かなり鷹揚というか、理由がはっきりしなくても出しますが、それ以上になると、極端にシビアになります。そこで、裁判所の判決・和解であれば、客観的にはっきりするから払うということになるのです。また、保険会社も経済的合理性を追求する以上、できるだけ支出を抑えようとします。たとえば、自動車事故の場合、被害者に最初に提示される金額は、一番低い自賠責(この点の制度の説明は省略します)程度の金額であることが多いです。これに対し、被害者が交渉すると、金額を上げ、さらに弁護士が交渉すると更にあげ、裁判の和解になると更にあげますが、判決で出される金額よりは、まだ少ないということになります。むしろ、保険会社の担当者から、会社の決済がおりないから、これ以上あげるためには訴訟を起こしてくれと言われることもあります。保険に掛けてなくて、地方自治体が払うという場合も、議会を通すために、裁判所の判決・和解が必要というケースもあります。  また、医療側の顧問弁護士の一定数の方は、説明会等の要求があっても、これを受け付けないとの方針です(なぜなら、患者との関係で、返って、事態をこじらす、ということが第一にあります。また、後の訴訟を考えた場合、どこまで、オープンにするかという訴訟戦術の関係もあります)。ですから、そもそも、示談交渉に入りようがなく、この場合、訴訟となります。又、患者側の弁護士としても、示談はほとんど成立しないという感覚から、いきなり訴訟という方が多数いられると思います。特に昔は医事紛争といえば、双方不信の固まりで、医療側はカルテを隠し込むので、遺棄改竄を防ぐために、患者からは何はさておきカルテ保全(裁判所の命令によりカルテのコピーを取る)、しかるのちに訴訟、という段取りでした。カルテを確保した上で、示談する方法も考えられなくはありませんが、実際問題として、一旦、法的な強制措置を発動してしまうと、病院も頑なになり、示談の機運が薄れて、訴訟に流れていってしまうと思います。さすがに今では医療側がカルテ内容を完全に隠すことはないにしても、カルテそのものを見せることを嫌がる風潮は依然としてあります。「カルテ要約書」という一種の説明文書を交付してくれる場合はありますが、患者にはもともと不信感がありますから、現物を見ない限り納得しません。かくて、患者は、示談の提案内容が妥当かどうか確証が持てない以上応諾できない、訴訟でトコトン追及するしかないと思い、医療側としても、そこまで言うならやってもらおうじゃないか、ということになってしまうようです。  ただ、東京の場合、最近の迅速裁判との関係で、いきなり訴訟をすると持たないという背景もあり、また、意外と示談もできるのではないかということから、最近、説明会、示談交渉というパターンが徐々に有力になっているともされています。また、係争額が比較的低額のものについてはほとんど相対交渉で示談成立するようです。医療機関側もそのくらいのものなら示談ですませたほうがいい」と考えて早期に紛争を終結させようと考えるし、保険会社も示談条件を承認しやすいからです。  さらには、明らかに患者側の言いがかりであるような場合には通常、弁護士は引き受けません。 [[過失がある場合にはすぐに示談するから訴訟にならない。医者が過失はない、と考えるものだけ訴訟になる、と言う考えについて]]
 「過失がある場合にはすぐに示談するから訴訟にならない。医者が過失はない、と考えるものだけ訴訟になる。だから、患者の敗訴率が高いのは当たり前。むしろこれだけ医療機関が負けているのはおかしい」、と言う意見があります。しかし、医療機関が過失を認めれば示談等がすぐ成立するかと言うと、必ずしも、あるいは、相当数の場合そうではなく、普通の事件よりはるかに示談交渉自体がすくないというのが、むしろ弁護士の感覚である、とされます。  なぜなら、任意で示談したからと言って、保険会社がその金額を払うか、というと、なかなか難しいという問題があります。保険会社から見れば、払うべき場合かどうか、また、その金額が妥当なのかどうかというのがわからないからです。保険会社の習性として、数十万程度の支払については、かなり鷹揚というか、理由がはっきりしなくても出しますが、それ以上になると、極端にシビアになります。そこで、裁判所の判決・和解であれば、客観的にはっきりするから払うということになるのです。また、保険会社も経済的合理性を追求する以上、できるだけ支出を抑えようとします。たとえば、自動車事故の場合、被害者に最初に提示される金額は、一番低い自賠責(この点の制度の説明は省略します)程度の金額であることが多いです。これに対し、被害者が交渉すると、金額を上げ、さらに弁護士が交渉すると更にあげ、裁判の和解になると更にあげますが、判決で出される金額よりは、まだ少ないということになります。むしろ、保険会社の担当者から、会社の決済がおりないから、これ以上あげるためには訴訟を起こしてくれと言われることもあります。保険に掛けてなくて、地方自治体が払うという場合も、議会を通すために、裁判所の判決・和解が必要というケースもあります。  また、医療側の顧問弁護士の一定数の方は、説明会等の要求があっても、これを受け付けないとの方針です(なぜなら、患者との関係で、返って、事態をこじらす、ということが第一にあります。また、後の訴訟を考えた場合、どこまで、オープンにするかという訴訟戦術の関係もあります)。ですから、そもそも、示談交渉に入りようがなく、この場合、訴訟となります。又、患者側の弁護士としても、示談はほとんど成立しないという感覚から、いきなり訴訟という方が多数いられると思います。特に昔は医事紛争といえば、双方不信の固まりで、医療側はカルテを隠し込むので、遺棄改竄を防ぐために、患者からは何はさておきカルテ保全(裁判所の命令によりカルテのコピーを取る)、しかるのちに訴訟、という段取りでした。カルテを確保した上で、示談する方法も考えられなくはありませんが、実際問題として、一旦、法的な強制措置を発動してしまうと、病院も頑なになり、示談の機運が薄れて、訴訟に流れていってしまうと思います。さすがに今では医療側がカルテ内容を完全に隠すことはないにしても、カルテそのものを見せることを嫌がる風潮は依然としてあります。「カルテ要約書」という一種の説明文書を交付してくれる場合はありますが、患者にはもともと不信感がありますから、現物を見ない限り納得しません。かくて、患者は、示談の提案内容が妥当かどうか確証が持てない以上応諾できない、訴訟でトコトン追及するしかないと思い、医療側としても、そこまで言うならやってもらおうじゃないか、ということになってしまうようです。  ただ、東京の場合、最近の迅速裁判との関係で、いきなり訴訟をすると持たないという背景もあり、また、意外と示談もできるのではないかということから、最近、説明会、示談交渉というパターンが徐々に有力になっているともされています。また、係争額が比較的低額のものについてはほとんど相対交渉で示談成立するようです。医療機関側もそのくらいのものなら示談ですませたほうがいい」と考えて早期に紛争を終結させようと考えるし、保険会社も示談条件を承認しやすいからです。  さらには、明らかに患者側の言いがかりであるような場合には通常、弁護士は引き受けません。 [[過失がある場合にはすぐに示談するから訴訟にならない。医者が過失はない、と考えるものだけ訴訟になる、と言う考えについて(C)]]

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