たんなるクレーマーの訴訟もトリアージできず、不毛な裁判を余儀なくされているのか

「たんなるクレーマーの訴訟もトリアージできず、不毛な裁判を余儀なくされているのか」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

たんなるクレーマーの訴訟もトリアージできず、不毛な裁判を余儀なくされているのか」(2008/07/27 (日) 23:37:48) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

-たしかに個別事件に対する検察の判断に対する賛否はそれぞれあると思いますが、それでもなお、マクロで見れば、日本の司法は医療事故・事件には抑制的だと思います。年間に民事の医療訴訟は現在約1000件です。一方、検察が起訴し有罪になる医療事件は20件ほどです。民事も含めてこの数字は実際に起こる医療事故・事件の一部分だろうと思われます。また民事訴訟を起こす人もほとんどは最初から民事を希望するわけでは無いと言います。最初に弁護士に依頼するときは、刑事告訴を求める事が多く、警察・検察、あるいは弁護士から、よほどのことでないと刑事は難しいと諭されて民事裁判に切り替える人が少なくないそうです。しかも民事としても、専門性が高く時間も通常事件の2倍かかり当然その分費用も掛かる医療事件は訴える側にとって決して楽な道ではありません。それでもなお日本の裁判では医療訴訟の勝訴率は通常事件の2分の1であり、やはりマクロで見れば抑制的と言って良いでしょう。 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0221400/js/another03.html -医療紛争は弁護士にとって極めて負担の重い類型なので、まともな弁護士であれば、ロクに選別もせず受任してとりあえず金を要求するなんてことはしないと思います。ただ、弁護士を通さず、本人が交渉しているケースがどれだけあるのか、その中で、言いがかりとしか思えないが泣く泣く金を払って解決したというケースがどれだけあるのか、自分としては知る術がありません。その辺りは、病院側と弁護士側とで感覚を共有しにくいところだと思います。病院側は、弁護士による一応の整理すらされていない、何を言いたいのかも分からない苦情に日々悩まされており、それを前提に「とんでもない言いがかりばっかりだ」と嘆くことになり、患者側弁護士は、患者が不満を抱くのももっともだと考えて受任したケースが念頭にあるから、「患者の訴えを軽視する姿勢はけしからん」的な発想になる、と。 -日弁連の機関誌「自由と正義」(一般の人でも日弁連から購入できます。)平成18年8月号で「医療事故と弁護士の役割」という特集が組まれ(ちなみに用語として「医療事故」「医療関係訴訟」等が用いられています。)、裁判官・患者側弁護士・医療側弁護士からそれぞれ寄稿がなされています。&br()医療側弁護士としては、東京の小西弁護士が「医療事件を受任した医療側弁護士の役割」と題して寄稿をしています。&br()その中で、小西弁護士は、医療側弁護士の医療界に対する役割として、『近時、医療側に厳しい判断が相次いでいるが、中には医療現場の実態とかけ離れた判断がされてしまっている場合もある。医療行為は不可避的に不確実性を伴うものであり、また医療資源には限界があり、その中にあっても大半の医療現場は関係者の献身的な努力によって支えられているが、そのことが適切に裁判所に理解されないことで、特に産科・小児科・救急医療などでは萎縮的な医療が蔓延しつつあり、結果として社会全体の利益を損ねている。裁判所から適切な判断を得て医療関係者が安心して医療行為を行うことができ、その利益が社会に還元される環境を作り出すことに寄与することも、医療側代理人としての重要な役割であると考える。』と述べておられます。&br()さらに続けて、受任にあたって医療側弁護士が果たすべき役割の中で、『医療訴訟を提起された医療機関は「患者のためを思って一生懸命やったうえでの結果なのに、何ゆえ訴訟を提起されなければならないのか」との思いが強く、ただでさえ忙しい中で訴訟準備に追われることに対して理解を得ることが難しいことがある。』『大半の医療機関は医師賠償責任保険に入っており、敗訴となったとしても直接的に金銭的なダメージを被ることはない。そのため、本来ならば争うべき事案であっても早期の金銭的な解決を希望してくる医療機関も少なからず存在する。しかし、そのような安易な態度が医療界全体に及ぼす負の影響は大きい。』『医療訴訟では被告医療側の負担感は極めて重いが、被告医療側の積極的な関与なしに医療訴訟を円滑に進行させ、患者側の納得を得られることは不可能である。』などの指摘をしています。これは、イコール医療側弁護士として実際に苦労している点ということではないでしょうか。 -現状では、患者側の弁護士は、弁護士に相談がくる案件の約10分の1程度しか、訴訟に持って行っていません。ただ、上記のADRが、職権的なものであればあるだけ、ということは、申立人がなにもしなければよければよいほど、弁護士に相談するよりは、まず、申し立ててということになるかと思います。 -現場ではその数十~数千倍のトラブルを経験していると考えてください。 弁護士事務所まで辿り着く方は氷山のてっぺん数cmです。 -法的に全く成り立ち得ない、無理な主張をする相談者に対しては、その旨を説明して訴訟を断念させることも弁護士の役割の重要な部分であり、
-たしかに個別事件に対する検察の判断に対する賛否はそれぞれあると思いますが、それでもなお、マクロで見れば、日本の司法は医療事故・事件には抑制的だと思います。年間に民事の医療訴訟は現在約1000件です。一方、検察が起訴し有罪になる医療事件は20件ほどです。民事も含めてこの数字は実際に起こる医療事故・事件の一部分だろうと思われます。また民事訴訟を起こす人もほとんどは最初から民事を希望するわけでは無いと言います。最初に弁護士に依頼するときは、刑事告訴を求める事が多く、警察・検察、あるいは弁護士から、よほどのことでないと刑事は難しいと諭されて民事裁判に切り替える人が少なくないそうです。しかも民事としても、専門性が高く時間も通常事件の2倍かかり当然その分費用も掛かる医療事件は訴える側にとって決して楽な道ではありません。それでもなお日本の裁判では医療訴訟の勝訴率は通常事件の2分の1であり、やはりマクロで見れば抑制的と言って良いでしょう。 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0221400/js/another03.html -医療紛争は弁護士にとって極めて負担の重い類型なので、まともな弁護士であれば、ロクに選別もせず受任してとりあえず金を要求するなんてことはしないと思います。ただ、弁護士を通さず、本人が交渉しているケースがどれだけあるのか、その中で、言いがかりとしか思えないが泣く泣く金を払って解決したというケースがどれだけあるのか、自分としては知る術がありません。その辺りは、病院側と弁護士側とで感覚を共有しにくいところだと思います。病院側は、弁護士による一応の整理すらされていない、何を言いたいのかも分からない苦情に日々悩まされており、それを前提に「とんでもない言いがかりばっかりだ」と嘆くことになり、患者側弁護士は、患者が不満を抱くのももっともだと考えて受任したケースが念頭にあるから、「患者の訴えを軽視する姿勢はけしからん」的な発想になる、と。 -日弁連の機関誌「自由と正義」(一般の人でも日弁連から購入できます。)平成18年8月号で「医療事故と弁護士の役割」という特集が組まれ(ちなみに用語として「医療事故」「医療関係訴訟」等が用いられています。)、裁判官・患者側弁護士・医療側弁護士からそれぞれ寄稿がなされています。&br()医療側弁護士としては、東京の小西弁護士が「医療事件を受任した医療側弁護士の役割」と題して寄稿をしています。&br()その中で、小西弁護士は、医療側弁護士の医療界に対する役割として、『近時、医療側に厳しい判断が相次いでいるが、中には医療現場の実態とかけ離れた判断がされてしまっている場合もある。医療行為は不可避的に不確実性を伴うものであり、また医療資源には限界があり、その中にあっても大半の医療現場は関係者の献身的な努力によって支えられているが、そのことが適切に裁判所に理解されないことで、特に産科・小児科・救急医療などでは萎縮的な医療が蔓延しつつあり、結果として社会全体の利益を損ねている。裁判所から適切な判断を得て医療関係者が安心して医療行為を行うことができ、その利益が社会に還元される環境を作り出すことに寄与することも、医療側代理人としての重要な役割であると考える。』と述べておられます。&br()さらに続けて、受任にあたって医療側弁護士が果たすべき役割の中で、『医療訴訟を提起された医療機関は「患者のためを思って一生懸命やったうえでの結果なのに、何ゆえ訴訟を提起されなければならないのか」との思いが強く、ただでさえ忙しい中で訴訟準備に追われることに対して理解を得ることが難しいことがある。』『大半の医療機関は医師賠償責任保険に入っており、敗訴となったとしても直接的に金銭的なダメージを被ることはない。そのため、本来ならば争うべき事案であっても早期の金銭的な解決を希望してくる医療機関も少なからず存在する。しかし、そのような安易な態度が医療界全体に及ぼす負の影響は大きい。』『医療訴訟では被告医療側の負担感は極めて重いが、被告医療側の積極的な関与なしに医療訴訟を円滑に進行させ、患者側の納得を得られることは不可能である。』などの指摘をしています。これは、イコール医療側弁護士として実際に苦労している点ということではないでしょうか。 -現状では、患者側の弁護士は、弁護士に相談がくる案件の約10分の1程度しか、訴訟に持って行っていません。ただ、上記のADRが、職権的なものであればあるだけ、ということは、申立人がなにもしなければよければよいほど、弁護士に相談するよりは、まず、申し立ててということになるかと思います。 -現場ではその数十~数千倍のトラブルを経験していると考えてください。 弁護士事務所まで辿り着く方は氷山のてっぺん数cmです。 -法的に全く成り立ち得ない、無理な主張をする相談者に対しては、その旨を説明して訴訟を断念させることも弁護士の役割の重要な部分であり、 -弁護士は、「訴訟を提起すること」を受任するわけでなく、紛争の解決を目的として仕事を受けるわけです。そして、受任した事件のうち、訴訟に至るケースの割合は、人にもよりますが、おそらく外部の方がお考えになるほど高いものではありません。証拠を検討した結果、勝ち目が薄いと判断したときは、訴訟を断念するようクライアントを説得するのも極めて重要な仕事です

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: