人選について

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-「医師主体の第三者機関が医事紛争を扱うようにすべきだ」とのご見解がいくつか見られますが、不確定な要素を意識しつつ将来指向的に行う臨床医の判断を基準とするのではなく、病理解剖をはじめとする確定的所見が揃った段階で示される鑑定医の回顧的判断を基準とするのであれば、裁判官が事実認定の主体であろうと医師が事実認定の主体であろうと、裁かれる立場に置かれる臨床医の不満は解消されないように思われます。もし仮に、医師を主体とする第三者機関を設けるとしても、審判者たる医師が臨床現場から長く遠ざかっている者であれば、結局皆さまが今の鑑定意見に対して抱く不満と同様の不満を第三者機関の判断に対して抱くことになるでしょう。臨床医の皆さまは、臨床経験の乏しい厚労省医官のような者が、理論上は誤りではないが医療の現実に即していない、結果論的・回顧的な判断基準で皆さまを裁いたとしても、「医師主体の専門機関が下した判断だから」といってご納得なさるのでしょうか?おそらくそうではないだろうと思います。&br() 結局のところ、各医学会が適任者を鑑定医として選定すること、臨床医が積極的に医事鑑定に協力すること、鑑定医が結果論ではなくより臨床の実際に即した医事鑑定を行うこと、審判者(司法なり第三者機関なり)が医事鑑定に結果論を求めないことが、現行制度の下でも、第三者機関のような新たな制度の下でも、必要なのではないかと考える次第です。 ->ある麻酔科医教授は、鑑定を引き受けると必ず医師会が何か言ってくると面談した私に言っていたし、ある内科教授は学会での人間関係をまずくしたくないと断る理由を教えてくれた。またある大学の産婦人科講師は、医師に責任がない事例では鑑定を引き受けるが、責任があると思われる事例では鑑定を断るとの実態を、裁判所が主催する公式の会場で述べていた。&br()「医療と裁判」岩波書店 (P.123)&br()とあります。これは弁護士の方の意見なので、バイアスがかかっているとは思いますが、第三者機関を作るにせよ、中立性をどう保証するのかが、不可欠だと思います。現場の医師の意見を重視するためには、現場の医師の中立性が必要だと思います。 -病院内や大学内に事案ごとに設置される調査委員会は、東京女子医大事件のように第一線の医師をスケープゴートにして有力者を守ろうという意向が働くおそれや、その意向に従って事故関係者に対する圧力がかけられ証拠が隠滅されるおそれがないとは言えませんから、内部調査委員会のいうままに捜査機関が捜査を控えたり先延ばしにしたりするのはあまり好ましくないように思われます。例えば航空・鉄道事故調査委員会のような公的調査機関や、そこまでいかなくても医師会や病院協会、日本医療機能評価機構といった組織が常設する医療事故調査機関による調査については捜査機関による捜査に優先させるべしということであれば理解できます。 - 「第三者機関」の機能・性格をどのように考えるかによりますが、「第三者機関」に紛争解決機関としての役割を持たせるならば、医師から見て公正であることはもちろん、患者側から見て公正に見えることが何より重要であり不可欠の条件となります。客観的に公正であるだけでは不十分で、紛争当事者から見て「公正に見える」ということが重要です。 -実際に庇い合いが生じるかという点では、「今までの経験によれば生じる」としか、言いようがありません。業界が設置し業界の者が裁定する機関では、必ず庇い合いが生じ、業界よりの解決しか、なされてきませんでした。解りやすい事例で説明しますと、多重債務者から債務整理の相談を受ける機関で示される解決案の基準は、&br()1.貸金業協会の和解あっせん&br()  過去の利息制限法超の支払利息については不問、将来にわたり年利10~15%の利息を付した額で、分割払い&br()2.裁判所の債務者特定調停&br()  過去の利息制限法超の支払利息については引き直し計算、将来にわたり利息なしで分割払い&br()というような差があります。多重債務者としては、どちらの機関を訪ねるべきかは、言うまでもありません。&br()この経験則は強固ですが、医師が作る第三者機関は違うという、確たる根拠はあるのでしょうか?また、本当はどうかということに加えて、世間から「どう見えるか」(評判)ということも大切です。第三者機関による紛争解決システムが成功するか否かは、患者が「裁判するより第三者機関での解決を選好する」ことになるかどうかの1点にかかっています。法改正をしないり、第三者機関での解決を強制しえないのですから、一種の客商売であって、裁判所との競争です。その中で、もし患者が、(実際どうあれ)「第三者機関では公正な解決は得られない」と思ってしまったら、解決を頼まないでしょう。そうすると、第三者機関が多くの客を呼び込むためには、外部から見て「公正らしく見える」ようにしなければなりません。法律をもって訴訟に前置させる制度を創設するにしも、国会で多数の支持を得るために、やはり外観上の「公正らしさ」が必要です。そのためには、医師だけで判断するのではなく、業界以外の外部からの識者を参加させるべきであると考えます。実際に、現に稼働しているADR(裁判外紛争解決機関)においては、弁護士が関与しているケースが多いです。
-「医師主体の第三者機関が医事紛争を扱うようにすべきだ」とのご見解がいくつか見られますが、不確定な要素を意識しつつ将来指向的に行う臨床医の判断を基準とするのではなく、病理解剖をはじめとする確定的所見が揃った段階で示される鑑定医の回顧的判断を基準とするのであれば、裁判官が事実認定の主体であろうと医師が事実認定の主体であろうと、裁かれる立場に置かれる臨床医の不満は解消されないように思われます。もし仮に、医師を主体とする第三者機関を設けるとしても、審判者たる医師が臨床現場から長く遠ざかっている者であれば、結局皆さまが今の鑑定意見に対して抱く不満と同様の不満を第三者機関の判断に対して抱くことになるでしょう。臨床医の皆さまは、臨床経験の乏しい厚労省医官のような者が、理論上は誤りではないが医療の現実に即していない、結果論的・回顧的な判断基準で皆さまを裁いたとしても、「医師主体の専門機関が下した判断だから」といってご納得なさるのでしょうか?おそらくそうではないだろうと思います。&br() 結局のところ、各医学会が適任者を鑑定医として選定すること、臨床医が積極的に医事鑑定に協力すること、鑑定医が結果論ではなくより臨床の実際に即した医事鑑定を行うこと、審判者(司法なり第三者機関なり)が医事鑑定に結果論を求めないことが、現行制度の下でも、第三者機関のような新たな制度の下でも、必要なのではないかと考える次第です。 ->ある麻酔科医教授は、鑑定を引き受けると必ず医師会が何か言ってくると面談した私に言っていたし、ある内科教授は学会での人間関係をまずくしたくないと断る理由を教えてくれた。またある大学の産婦人科講師は、医師に責任がない事例では鑑定を引き受けるが、責任があると思われる事例では鑑定を断るとの実態を、裁判所が主催する公式の会場で述べていた。&br()「医療と裁判」岩波書店 (P.123)&br()とあります。これは弁護士の方の意見なので、バイアスがかかっているとは思いますが、第三者機関を作るにせよ、中立性をどう保証するのかが、不可欠だと思います。現場の医師の意見を重視するためには、現場の医師の中立性が必要だと思います。 -病院内や大学内に事案ごとに設置される調査委員会は、東京女子医大事件のように第一線の医師をスケープゴートにして有力者を守ろうという意向が働くおそれや、その意向に従って事故関係者に対する圧力がかけられ証拠が隠滅されるおそれがないとは言えませんから、内部調査委員会のいうままに捜査機関が捜査を控えたり先延ばしにしたりするのはあまり好ましくないように思われます。例えば航空・鉄道事故調査委員会のような公的調査機関や、そこまでいかなくても医師会や病院協会、日本医療機能評価機構といった組織が常設する医療事故調査機関による調査については捜査機関による捜査に優先させるべしということであれば理解できます。 - 「第三者機関」の機能・性格をどのように考えるかによりますが、「第三者機関」に紛争解決機関としての役割を持たせるならば、医師から見て公正であることはもちろん、患者側から見て公正に見えることが何より重要であり不可欠の条件となります。客観的に公正であるだけでは不十分で、紛争当事者から見て「公正に見える」ということが重要です。 -実際に庇い合いが生じるかという点では、「今までの経験によれば生じる」としか、言いようがありません。業界が設置し業界の者が裁定する機関では、必ず庇い合いが生じ、業界よりの解決しか、なされてきませんでした。解りやすい事例で説明しますと、多重債務者から債務整理の相談を受ける機関で示される解決案の基準は、&br()1.貸金業協会の和解あっせん&br()  過去の利息制限法超の支払利息については不問、将来にわたり年利10~15%の利息を付した額で、分割払い&br()2.裁判所の債務者特定調停&br()  過去の利息制限法超の支払利息については引き直し計算、将来にわたり利息なしで分割払い&br()というような差があります。多重債務者としては、どちらの機関を訪ねるべきかは、言うまでもありません。&br()この経験則は強固ですが、医師が作る第三者機関は違うという、確たる根拠はあるのでしょうか?また、本当はどうかということに加えて、世間から「どう見えるか」(評判)ということも大切です。第三者機関による紛争解決システムが成功するか否かは、患者が「裁判するより第三者機関での解決を選好する」ことになるかどうかの1点にかかっています。法改正をしないり、第三者機関での解決を強制しえないのですから、一種の客商売であって、裁判所との競争です。その中で、もし患者が、(実際どうあれ)「第三者機関では公正な解決は得られない」と思ってしまったら、解決を頼まないでしょう。そうすると、第三者機関が多くの客を呼び込むためには、外部から見て「公正らしく見える」ようにしなければなりません。法律をもって訴訟に前置させる制度を創設するにしも、国会で多数の支持を得るために、やはり外観上の「公正らしさ」が必要です。そのためには、医師だけで判断するのではなく、業界以外の外部からの識者を参加させるべきであると考えます。実際に、現に稼働しているADR(裁判外紛争解決機関)においては、弁護士が関与しているケースが多いです。 -それぞれの場面で当事者からの独立性・中立性を確保し、社会的な信頼性を確保した第三者機関の存在が必要となる。一方、じこ情報収集機関が専門的な医療行為の適否を判断すると言う性格を有する以上、医療に全くの素人が第三者として力を発揮することは非現実的である。そこで、専門性確保のためには医療知識を有する専門家の協力が第三者機関に求められる。そうすると、第三者機関の主体には、専門性を有する医療業界。規制権限と影響力を持つ行政、独立性を有するNPOと言ったそれぞれの組織の組み合わせや役割分担が必要と考えられる[[医療事故情報システムの機能要件>http://shakai-gijutsu.org/ronbun2/293.pdf]]

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