ドイツ

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-ドイツ医師会は医事紛争の急増に応じて、その迅速妥当な解決に資するため、1970年代にドイツ全国にまたがって「医療事故鑑定委員会・調停所(引用者注:以下「調停所等」と引用する。)」を設立した。現在は、各州の法律によって医師会に調停所等の設立が義務付けられているようである。調停所等の費用は、医師会と保険会社の拠出金によって賄われており、これを利用するにあたって患者の費用負担はない。鑑定委員会及び調停委員会の委員は医師及び法律家であり、鑑定を実施し、提出された書証や当事者から出された意見を踏まえて、委員会で検討した結果、委員会の最終判断を書面で出す。右最終判断に基づいて合意するか否かは当事者に委ねられている。調停所等に申し立てられる事件数は増加傾向が顕著である。ここで実体判断を受けた事件の医師の過誤の肯定率は約3 割である。調停所等は、中立的存在と評価されているのであって、多くの医事紛争は調停所等の最終判断によって解決しており、これで解決せずに提訴された場合でも、調停所等の最終判断を経ているために既に争点が明確にされており、その鑑定書が裁判所に書証として提出されることで事案も解明しやすい。&br()(以上、中村也寸志「日本の専門訴訟の問題はどこにあるか」判例タイムズ第1011号17頁より) - ドイツの「医療事故鑑定委員会・調停所」では、例えば一般の開業医が関係する医療事故の鑑定には、大学病院あるいは大学の教授などではなく、その開業医のすぐ上のレベルの医師に依頼するそうです。もちろん、高度医療が対象になっている場合には大学病院の医師や、ときには外国の医師にも(といってもお隣のスイスとかですが)依頼するようです。&br()この「医療事故鑑定委員会・調停所」は、1970年代に医師会と保険会社が任意に設立したものですから、出発点は我が国の日医医賠責審査会や各都道府県医師会に設置されている医事紛争処理委員会と同じということができます。出発点は同じでしたが、我が国の日医賠償責任審査会・医事紛争処理委員会は医師にすら「どんな組織なのかわからない」といわれるようになり、ドイツのそれは国民から広く支持され、任意の民間機関から州立機関へと変化していくことになりました。この違いを生じさせた最も大きな要因は、ドイツの医師会が強制加入団体であり、全ての医師が加入していることから、勤務医の関係する医事紛争であると開業医の関係する医事紛争であるとを問わず、広く医事紛争をカバーするものであったこと、ドイツの鑑定委員会・調停所は我が国の賠償責任審査会・医事紛争処理委員会のように「有責・無責」のみを述べ鑑定結果を明らかにしないということがなく、きちんと鑑定書という形で双方当事者に審査の結果が明らかにされるので、患者原告の「何が起こったのか知りたい」という希望をきちんと叶えてきたこと、訴訟前に明らかにされた鑑定書は、もし紛争が訴訟に発展した場合には公的鑑定として当然重要視されるし、患者が訴訟を提起するために訴訟救助(法律扶助)を求めようとしても、法律扶助協会が「勝訴の見込みがあるかどうか」を審査する上でこの鑑定書を重視するので、事実上「医療事故鑑定委員会・調停所」で原告不利の鑑定が出た時点で原告は訴訟による勝利はあきらめざるを得ないということになったため、医師にとってもメリットの大きい制度として認識されたことなどがあると思います。 -http://www.sj-ri.co.jp/issue/quarterly/q21_2.html#2 -医療過誤訴訟の急増を受けて、ドイツでは裁判所の受ける訴訟圧力の緩和と迅速な紛争解決を目的として、1975年、裁判外紛争処理機構である「調停所(Schlichtungsstelle)」あるいは「鑑定委員会(Gutachterkommission)」が相次いで設立された。上記の調停所・鑑定委員会に申し立てられ、処理された件数を見ると、1970年代後半には年平均約1,600件、80年代前半に入り年平均約3,200件、1991年には年間約5,200件、1994年には年間約7,100件 i と急激な増加を示している -最後に、医療過誤の賠償リスクを高めている直接的な要因は、医師・病院に対する民事上の責任強化にある。ただし、ドイツにおいて医療過誤を規律する特別な法律は無く、民法に基づく一般不法行為法が適用されている。そのため、原則は過失責任主義に置かれているが、連邦最高裁判所等の判例により、いくつかの医師・病院に対する義務の強化が行われており、過失責任主義の一部実質的な修正が図られている。
-ドイツ医師会は医事紛争の急増に応じて、その迅速妥当な解決に資するため、1970年代にドイツ全国にまたがって「医療事故鑑定委員会・調停所(引用者注:以下「調停所等」と引用する。)」を設立した。現在は、各州の法律によって医師会に調停所等の設立が義務付けられているようである。調停所等の費用は、医師会と保険会社の拠出金によって賄われており、これを利用するにあたって患者の費用負担はない。鑑定委員会及び調停委員会の委員は医師及び法律家であり、鑑定を実施し、提出された書証や当事者から出された意見を踏まえて、委員会で検討した結果、委員会の最終判断を書面で出す。右最終判断に基づいて合意するか否かは当事者に委ねられている。調停所等に申し立てられる事件数は増加傾向が顕著である。ここで実体判断を受けた事件の医師の過誤の肯定率は約3 割である。調停所等は、中立的存在と評価されているのであって、多くの医事紛争は調停所等の最終判断によって解決しており、これで解決せずに提訴された場合でも、調停所等の最終判断を経ているために既に争点が明確にされており、その鑑定書が裁判所に書証として提出されることで事案も解明しやすい。&br()(以上、中村也寸志「日本の専門訴訟の問題はどこにあるか」判例タイムズ第1011号17頁より) - ドイツの「医療事故鑑定委員会・調停所」では、例えば一般の開業医が関係する医療事故の鑑定には、大学病院あるいは大学の教授などではなく、その開業医のすぐ上のレベルの医師に依頼するそうです。もちろん、高度医療が対象になっている場合には大学病院の医師や、ときには外国の医師にも(といってもお隣のスイスとかですが)依頼するようです。&br()この「医療事故鑑定委員会・調停所」は、1970年代に医師会と保険会社が任意に設立したものですから、出発点は我が国の日医医賠責審査会や各都道府県医師会に設置されている医事紛争処理委員会と同じということができます。出発点は同じでしたが、我が国の日医賠償責任審査会・医事紛争処理委員会は医師にすら「どんな組織なのかわからない」といわれるようになり、ドイツのそれは国民から広く支持され、任意の民間機関から州立機関へと変化していくことになりました。この違いを生じさせた最も大きな要因は、ドイツの医師会が強制加入団体であり、全ての医師が加入していることから、勤務医の関係する医事紛争であると開業医の関係する医事紛争であるとを問わず、広く医事紛争をカバーするものであったこと、ドイツの鑑定委員会・調停所は我が国の賠償責任審査会・医事紛争処理委員会のように「有責・無責」のみを述べ鑑定結果を明らかにしないということがなく、きちんと鑑定書という形で双方当事者に審査の結果が明らかにされるので、患者原告の「何が起こったのか知りたい」という希望をきちんと叶えてきたこと、訴訟前に明らかにされた鑑定書は、もし紛争が訴訟に発展した場合には公的鑑定として当然重要視されるし、患者が訴訟を提起するために訴訟救助(法律扶助)を求めようとしても、法律扶助協会が「勝訴の見込みがあるかどうか」を審査する上でこの鑑定書を重視するので、事実上「医療事故鑑定委員会・調停所」で原告不利の鑑定が出た時点で原告は訴訟による勝利はあきらめざるを得ないということになったため、医師にとってもメリットの大きい制度として認識されたことなどがあると思います。 -http://www.sj-ri.co.jp/issue/quarterly/q21_2.html#2 -医療過誤訴訟の急増を受けて、ドイツでは裁判所の受ける訴訟圧力の緩和と迅速な紛争解決を目的として、1975年、裁判外紛争処理機構である「調停所(Schlichtungsstelle)」あるいは「鑑定委員会(Gutachterkommission)」が相次いで設立された。上記の調停所・鑑定委員会に申し立てられ、処理された件数を見ると、1970年代後半には年平均約1,600件、80年代前半に入り年平均約3,200件、1991年には年間約5,200件、1994年には年間約7,100件 i と急激な増加を示している -最後に、医療過誤の賠償リスクを高めている直接的な要因は、医師・病院に対する民事上の責任強化にある。ただし、ドイツにおいて医療過誤を規律する特別な法律は無く、民法に基づく一般不法行為法が適用されている。そのため、原則は過失責任主義に置かれているが、連邦最高裁判所等の判例により、いくつかの医師・病院に対する義務の強化が行われており、過失責任主義の一部実質的な修正が図られている。 -医療過誤事件については、患者が民事賠償請求に留まらず、医師を刑事告訴し、傷害事件として捜査が行われる事例も決して希ではない。 医療過誤に関連する刑事告訴は、毎年2,500件近くなされている。そのうち90%は公訴保留となるが、1%は立件され公訴されている。

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