医療裁判は医療機関に不利なのか(C)


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参照エントリ:
医療崩壊について考え、語るエントリ(その5)
No.123 YUNYUNさん
  • 私の直感としては、医療機関が訴訟を隠したいというだけの動機で、過失もないのに大金を払うとは思えないのですが。医師個人は積極的に闘う気持ちがなくても(ご指摘の、雇い主任せ、保険でカバー、患者への同情という理由はありうることと思います)、医療機関としては、患者の要求するままに無制限にお金を出すことはできないでしょう。公立病院であれば税金の支出について議会の調査等の縛りがありますし、民間病院でも収支の帳尻を合わせる必要があります。
  • 私はやはり、病院が理不尽な要求を黙って飲むとは思えないのです。
    理由は、
    1.感情的な不快感 普通の人間は、身に覚えのない過失を指弾されれば、大変な屈辱を感じます。相手の言いなりにお金を払うくらいなら、同じ金額を弁護士に払うわい、として訴訟を追行する人は多いです。
    2.他のユスリタカリを誘発する あの病院はお金をくれるところだという噂が広まっては、不当な請求者がどんどん現れ、食い物にされるおそれがあります。
    特に、病院側にはほとんど弁護士代理人が付いているでしょうから、こうした理不尽な和解を受けるように勧めるとは思われません。病院側代理人というと、病院の顧問弁護士や保険会社の弁護士でしょうが、そういった人達が揃いも揃って、原告側の弁護士と比べて、著しく能力が低いとは考えにくい。

No.124 FFFさん
  • 和解については、金銭の支払いを伴わないものも含めて「和解」とカウントされます。分かりにくいところだと思いますが、何しろ和解なので、当事者がそれでよいといえば、基本的にはどんな内容だってよいということです。医療訴訟に限らず、金銭の行き来なしで和解になるということは結構あります。が、それが何%かという統計はちょっと見当たりません。すみません。
    裁判所による和解勧試のあり方については、裁判官個人のキャラクター、ポリシーがかなり強く現れるところなので、一概にこうだということは申し上げられません。そもそも、裁判所が何も勧めなくても、当事者同士で交渉を進めて裁判上の和解に至るケースだって少なくありません。
    和解を拒否した場合に不利に扱われるか、というのはよくあるテーマで、法律家によって全く解説が異なる論点でもあります(笑)。自分の見解では、「和解を蹴ったことの腹いせとして殊更不利に扱われることはない。ただ、裁判所は、もともと当事者の弱いところを念頭に、判決になった場合の結論を考えて和解案を出しているので、和解案を蹴っても、大体それに近い結果が待っている。」というものです。裁判所不信、権力不信の強い弁護士なら、「和解を拒んだら判決で仕返しされた!」位のことは言うと思いますが・・・・。

No.133 YUNYUNさん
  • 被告側に立つ弁護士は、病院の顧問あるいは保険会社の顧問弁護士であって、医療訴訟を何件も手掛けたベテランであることが多いのです。保険会社としては、下手くそな弁護士を紹介して不当に敗訴され、本来払わなくてよいはずの保険金を払わされては損しますので、普段から一定の能力を持った弁護士を選んで顧問にしておき、医師に紹介していると思います。これに対して、原告側の弁護士は、普段は医療訴訟はやっていないが、特に頼まれてスポット的に引き受けるということもありえます。
    現実には、弁護士業界では医事紛争は専門性の高い訴訟類型と目されていて、どんな弁護士でも手掛けるというわけではありません。原告側であれ被告側であれ、医事紛争を引き受ける以上は、それなりの覚悟で専門的に勉強もし、意欲を持って仕事に打ち込んでいると思います。従って、特に被告医師側の代理人弁護士が、無能でいいかげんな仕事をしているとは、考えにくいのです。

  • さて、日医医賠責にかからなかった約4割の医事紛争は、整形A先生ご指摘のとおり、まず医師・病院が保険会社の意向を背景としつつ患者との相対交渉に応じます。もちろん、あまりにもあからさまな過誤があったという場合には相対交渉で示談が成立するでしょうし、見舞金程度で患者が納得する場合にも同様に示談成立の見込みが高いでしょう。しかし、賠償額がそれなりに大きい場合には、保険会社としては顧問医師や顧問弁護士の判断だけでは支払の正当性を獲得できないと考えるでしょうから、いきおい第三者機関(調停や訴訟)の判断に委ねようとします。したがって、相対交渉は短期に終了するか全く行われず、調停や訴訟に移行します。そして、そのうち約4割が裁判上の和解によって双方の合意が確認され、約5割が合意形成に至らず判決が出されます。約5割の判決のうち、4割程度原告が勝利し、6割程度は被告が勝利します。なお、賠償額100万円以下の低額紛争については、医師会加入者のかかわる紛争の場合は都道府県医師会に置かれた医事紛争処理委員会が調査整理し、日医医賠責へ付託しない決定をするとともに当事者医師・保険会社に通知します。当事者医師と保険会社はその通知内容に従って患者と示談交渉を行い、示談を成立させるなり訴訟に応じるなりします。医師会非加入者のかかわる低額紛争の場合は、病院が加入する病院等開設者を対象とする賠償責任保険や医師個人向けの賠償責任保険(ヤブ医者先生が加入しておられるような各種学会保険など)の適用を受けるわけですが、これについては前に「日医医賠責にかからなかった約4割の医事紛争」で述べたとおりです(いずれにせよ、日医医賠責には付託されない以上、「同審査会が医師側有責とした約6割」の中には含まれませんので、「被害軽微な単純ミスが、同審査会の判定の医師側有責率を引き上げている」ということにはなりません)。
  • 日医加入者の事案で、日医医賠責に付託された事案のうち約84%はそこで解決する。
    ・日医加入者の事案で、日医医賠責で終結せず訴訟に向かった約16%のうち、約70%は結局患者が負ける(「30%も医師が負ける」とも言える)。
    ・日医非加入者の事案で、係争額が比較的高額の事案では、相対交渉はほとんど行われないか行われたとしてもその期間は短く、比較的早期に訴訟に向かう(L.A.LAW先生の抱いておられる印象のとおり。弁護士が患者側代理人として登場する事案は比較的高額の賠償請求を伴うものが多い)。
    ・(日医加入・非加入を問わず)係争額が比較的低額のもの(日医医賠責だと100万円に満たないもの)についてはほとんど相対交渉で示談成立する。「医療機関側もそのくらいのものなら示談ですませたほうがいい」と考えて早期に紛争を終結させようと考えるし、保険会社も示談条件を承認しやすいからである(整形A先生やyama先生の抱いておられる印象のとおり。また、係争額が100万円を下回るような事案では、少なくとも初期の示談交渉で弁護士が登場することはあまりないので、L.A.LAW先生の抱いておられる印象とは相違することになる)。

  • 一般の民事事件の処理でもそうであるが,そういった人間関係や人間の心理的な対応ということについて上告審までもつれてきてしまうこともあり,その中には「これは患者の方が気の毒だ。医師はどうしているのだ」と感じる事件と,「これは医師の方が気の毒だ。何でこんなので訴えられるのか」という事件と,それぞれかなりのプロポーション(割合)がある。その辺の処理がうまく整理がついてくれば全体の審理ももっと合理的になるのだが,純法律だけで済む問題ではなく,結局,関係当事者が「これはもうしようがないな」というところへ持っていくような訴訟の運営も必要ではないかと感じている(最高裁)http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/asu_kondan/asu_kyogi13.html