法曹界の自浄努力について


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①上級審で判決がひっくり返った下級審の裁判官は処罰されるのか?これもあるいみ業務上の過失ですよね。
→上級審で判決がひっくり返っても下級審の裁判官が処罰されることはありません。
裁判官は、職権行使の独立が憲法上保障され(76条3項)、良心に従って判決をすればよいことになっています。
憲法81条が最高裁判所をして終審裁判所としていることは、下級審の判断がひっくり返されることがありうることを当然の前提としています。
ちなみに業務上過失致死傷罪における「業務」とは、「社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、生命身体に危険を生じ得るもの」をいいます。
裁判行為それ自体は、生命身体に危険を生じうる行為ではありませんので「業務」ではありません。
参考までに、自動車の運転は「業務」ですが、自転車の運転は「業務」ではありません。

②敗訴した弁護士はクライアントから訴えられるのは一般的なのか。
→一般的とはいえないと思います。
多くの弁護士は、事件を受任するときに、負け筋の事件は分かります。
クライアントには事件の見通し等を説明したうえで、受任します。
ただ、よく説明しても、一生懸命事件処理をしても、依頼者から、損害賠償請求をくらったり、懲戒請求をくらったりすることはあります。
多くの弁護士は弁護過誤保険に入っています。
懲戒請求に対しても粛々と対応しているようです。

③誤認逮捕した警察・検察はどうなのか。
→刑事訴訟法は、誤認逮捕等が起こりうることを前提として制度設計されています。
逮捕とは、犯罪を疑う相当理由があるときに逃げたり証拠を隠滅したりしないように取り敢えず身柄を警察・検察が確保する制度です。
逮捕は「取り敢えず」的な処分のため、逮捕そのもの争う手段は法律上ありません。
明らかに違法逮捕でも、その時点で弁護人は警察に抗議するぐらいしかできません。
なお、逮捕時の状況から誤認してもやむをえないという事情があれば、最終的に誤認逮捕だったとしても、違法にはならないと思います。
捜査機関の職務行為については、特別公務員職権濫用や特別公務員暴行陵虐罪、特別公務員職権濫用等致死傷罪、収賄罪等に該当すれば、処罰されます。

④司法判断が間違っていたことに関して、逮捕されたりするのか。
裁判官には職権行使の独立が認められております。
罪刑法定主義のもとでは罪と罰が法律に定められていなくてはなりませんが、司法判断が間違っていたことを処罰する法律はありません。
  • 若干補足しますと、裁判官は司法権の独立という理念のもとに憲法上、強力な身分保障が与えられています。つまり、それが国家的制度設計であるわけです。その意味で、裁判官は特別です。 ですから
つまり、裁判官は良心に従って判決をくだせば過失の有無を問われないのですね。単純な疑問ですが、では医師はどうしてそうではないのでしょうか。
のように、裁判官と他の職業を比較することは議論を混乱させるおそれがあります。
 元研修医 さんの論理に従えば、「では医師は」の「医師」の部分にはあらゆる職業が入ることになりますが、あらゆる職業を裁判官と同視することはできません。というか、法的責任に関して、裁判官以外の職業を裁判官と同視することはできないというべきでしょう。日本の憲法下においてはですが。
 とはいうものの裁判官に対するコントロールはあります。下級審裁判官の再任拒否、最高裁判事の国民審査、分限裁判、弾劾裁判などがあります。
  • 我が国では、上級審と異なる判決を導いたことが直ちに過失とは看做されておりません。私たちの社会は「司法権の独立」と「上訴」という制度を採用しています。これは、私たちの社会が裁判所に対して、個々の具体的事件に即して社会各層の正義・衡平感覚を汲み上げて、法的規準の継続形成や修正を直接行ったり間接的に促進したりすることを求めており、そのために各級の裁判所が異なる判決を下すことを積極的に許容しているからです(田中成明「裁判の正統性」新藤幸司編『講座 民事訴訟 第1巻』(弘文堂))。もしも、上級審で判決が破棄されたことのみを以って下級審裁判官を処罰すべきというのであれば、そもそも「上訴」という制度自体を採用しないでしょう。
  • 弁護士も弁護過誤で訴えられることも。また、懲戒もある
  • 裁判所で判断するスタイルの責任追及手段としては、他に損害賠償請求(国家賠償請求)が考えられます。、しかし、誤判について国家賠償請求をすることは、判例は裁判官の故意に近いようなケースでなければ認めないとして、ハードルを非常に高くしています。また、国家賠償法では、裁判官に限らず、公権力行使に当たる公務員の個人に対して賠償請求するのではなくて、国または公共団体を相手としなければならないというのが、確定した判例です。
  • 弁護士会の場合には,もちろん個々の訴訟行為について良い悪いというところは最終的には裁判所の判断になるが,綱紀委員会で,「あの弁護士さんはお金を預かって返してくれない」とか,ある程度は訴訟代理行為と結びつくようなことにも懲罰を科することができる。それで当事者が納得してしまうこともあるし,もちろん訴訟になる場合もある。それから苦情処理や個別の紛争については,弁護士会が一種の調停をして,細かい事件はそれで大体もうおさまってしまう。だから,弁護士が被告になっている訴訟代理の過誤事件と医療関係事件とを比べると,弁護士が被告になっている民事事件は非常に少ない。そういう意味で,弁護士会という強制加盟の職能集団にはそれなりのファンクション(機能)がある。裁判所の立場からすると,裁判でなければどうしようもないようなことだけ扱いたいという感じがあり,第1ハードル,第2ハードルといったところで区分けして裁判でなければだめだというものだけが来るようなシステムにしなければ,どんどん事件数が増えて処理し切れないという問題が出てくる。(最高裁)http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/asu_kondan/asu_kyogi13.html