割り箸事件


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  • 割り箸事件の診断について
    脳外科医や救急科医なら無症状でもCTとりますからゼッタイ帰宅にはしません.
    だからといって脳外科医や救急医が優れているというだけの話ではなく(専門だから優れていて当然ですが)脳外科や救急科に送られているという時点ですでに選択されているわけで他科と同等の環境にいるわけではない.小児や神経に慣れてない医師なら所見をとることが難しいとおもいます.
    彼らは神経の心配だけをしていればいい身分ではないのです.明確な異常所見が無いのに頭部CTを撮る習慣も無い.
    この場合の所見とは具体的な意識状態評価以前に意識障害を疑うセンスとか印象,職業上のカンの話になります.
    「開眼がある軽度の意識障害の把握は大人でも難しい小児はなおさら難しい」と検察側証人も証言しています.
    以上が医師としての私の見解です。
  • 診断が難しいというより,診断に関する議論の方がはるかにややこしいです.立証の方法も概念的理解・議論も難しい.文献も客観的データもなく,経験論だけの世界です.
  • あの事件では割り箸という鈍的な異物が「奇跡的な確率で」頸静脈孔と言う極めて小さい穴を貫通し脳へ刺さったものです。一般的には喉に鈍的異物が刺さっても骨(頭蓋骨)によって邪魔されるため、割り箸が喉から脳に刺さることはありません。
  • 死亡後CTの所見は法廷で読影した6人の脳外科医の意見を総合すると以下の通り

    1 左側が厚い約1cmの後頭蓋窩急性硬膜下血腫 血腫による数ミリの脳幹圧排
    2 ごく微量の気脳症(頭蓋内に空気が入ること)
    3 頚静脈孔からの方向に一致して直線状に連続した小脳半球内のair density(空気のように見えるもの)
    4 軽度の脳室拡大
    5 四丘体槽の狭小化
    こう書くと異常だらけのようですが,死亡後の時点の所見です.上記の各項目について初診撮影時の所見に関するいのげの推測は以下の通り

    1 初診時にもすでに後頭蓋窩内出血があったのは間違いありません.
    おそらく杏林大病院の当時のCTの性能からして脳外科医放射線科医なら少なくても読影できた所見であると思います.
    ただし,初診時の血腫の量については死亡時より少なかった可能性が少なからずあると考えますが,議論の余地のあるところでしょう.

    2 空気は受傷時にのみ入ったと考えられ,吸収されるのに通常数日を要するので初診時の空気量もほぼ同様であったのは間違いありません(位置については動いた可能性ある)所見として特徴的でもあり,初診時に読影できた可能性は議論の余地が有りません.じっくり読影すれば専門外医師でも見逃さないと思います.

    3 言うまでもなくこれが割り箸です.写っている事は写っているのです
    CT所見上は空気と見分けにくい.実際に空気も入っているからこそ見る事はできてもそれが異物であると断定できたか疑問です.
    後から見れば空気にしてはなぜか小脳半球の内部にあるとか,連続したスライスを綿密に追えばやけに直線状だとか,そこを追うと頚静脈孔に至るとか,やけに丸いとか,結果を知っている後からみれば思い当たる節もあるでしょうが,この所見と「割り箸遺残」という診断がつながるかどうかについてはおおいに疑問です.
    専門医からみてもこれでイッパツで診断する人が居たら敬服いたします.

    4 後頭蓋窩内出血によって脳室内髄液の流出が阻害されたことによる水頭症です.
    初診時は受傷後40分程度で脳室拡大が存在しなかったのは確実です.

    5 通常は上行性ヘルニアのと解釈する所見です.頭蓋内圧上昇の程度にもよりますが初診時点では無かった可能性が大と思います.専門外医,(ひょっとしたら放射線科医も)には指摘するのはちょっと困難な所見だと考えます.

    結論としては初診時CTを脳外科医が読影していたら頭蓋内出血の診断で入院・経過観察していたのは確実です.血腫の量次第では即刻緊急手術という可能性も有ります.
    ちなみに昨年ある放射線科雑誌の読影クイズ問題に頭蓋内異物(プラスチック箸)の問題が出て約50名の回答があったが正解者はゼロだったという事実があります.割り箸事件の後である点にご留意下さい.
  • 「CTさえ撮っていれば少なくとも診断はついた」、ということが確定された事実とされていましたが、いのげさんが議論の対象とされているのは死後撮られた、おそらくはこれ以上望めないほど条件のよいCTです。死体は動きません。呼吸性移動すらありません。そしておそらくかなりの thin sliceで撮ったものでしょう。生きている子供は動きます。撮ったとしても5mm厚くらいのsilceでしょう。 きちんとCTを撮るためには鎮静剤の投与が必要でしょうが、もし投与していればその場でとどめを刺すことになっていたかもしれません。また、この耳鼻科の先生は「子供が割り箸でのどをついた」という情報しか与えられなかったということです(母親もそれ以上の説明はしていないようです)。普通こういう言葉を聞いたときまさか突き刺さった、とは思わないでしょう。折れた割り箸でも持ってきていれば、事態は変わったかもしれません。しかし、不思議なことに、誰が、どのようにして口に突き刺さっていた割り箸を折ったのかも分からず、また、その断片も発見されませんでした。