医事関係訴訟は一般の弁護士にとってあまり美味しい仕事とは言いがたい訴訟です。
専門的知識が必要
過誤がなくとも、通常の自然経過で患者の悪化や死は生じます。そして、実務的に立証責任は原告にあるとされます。中途半端なチャレンジは、否認や抗弁で容易に返り討ち状態に陥るのです。
また、被告側弁護士なら被告である医師や医師会等からサポートを受けることは非常に容易です。原告側弁護士はそれなりのフィーを払って味方になってくれる奇特な医師からサポート意見を入手しなければなりません。
敗訴率が高い
原告にとって経費負担が重いため、着手金は不要とする弁護士もいますし、少なくとも高額な着手金は取れません。敗訴した場合は目も当てられません。また、小額で和解できても経費にそのほとんどが消え、原告から残ったわずかなお金をいただくのは心苦しいため弁護士はほとんどお金を得ることができない場合も多いようです。
経費が高い
医療訴訟は長く、最低、二年、三年はかかります(
平均審理機関 平成19年:23.6ヶ月)。そして、費用は期間に比例してかかります。結局、時給換算ではあまり高額の報酬とはなりません。また、必ずといってよいほど出て来る話の鑑定についても、費用は予納金として準備しなければなりません。物入りな原告から高額の弁護料は取れません。
したがって、原告側の事件が大半を占める医療弁護士は貧乏ひまなしが当たり前になるようです。
もっとも、今後医療訴訟は一つの市場となるのではないか、とも言われます。この点については
弁護士増員の影響へ
最終更新:2008年07月28日 00:03