第三者機関の難しさ


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  • 「医師等から構成される第三者機関による紛争処理システム」(以下「新システム」といいます)と、現行の裁判所による紛争処理システムの関係をどう考えるかは様々で、単純に新システムを設けて並立させる方法もあるし、「裁判所に医事訴訟を提起する前提として、新システムによる審理を経なければならない」という方法もありうるところです(現在も、まず家裁で調停をしないと離婚訴訟を提起できないというように、同種のルールはあります。)。
    ただ、いずれにせよ、紛争の当事者には裁判所における訴訟で最終的な解決を図るという選択肢が残されているわけで、これはつまり、患者と病院の双方が、「訴訟より新システムで紛争を解決した方が得だ」と考えなければ新システムは利用されず(又は、利用されても最終的決着に至らず、訴訟に移行して)、訴訟を抑制するという効果は得られないことを意味します。訴訟は当事者のどちらかが望めば利用できるのに対し、新システムは、双方の意向が合致しないと利用できないのです。
    たとえば、よく引き合いに出される賠償額の低額化についてですが、医師を主体とする新システムにおいて、病院有責の場合における補償額を現行の訴訟より低く算定する運用がなされれば、病院にとっては嬉しいでしょうが、患者側にとっては当然ありがたくないわけで、それなら新システムなんて使わずに訴訟を起こすよ、ということになるでしょう(※)。こうなると、何のために新システムを作ったのか分からんわけです。新システムにおける審理・審査に訴訟より時間がかかったり、費用がかかったりする場合、新システムが過失ありと判断したのに補償に応じない病院が増えた場合なども、それ位なら訴訟をする、ということになるはずです。新システムにおいて過失が認められる割合が、訴訟より明らかに低くなった場合も同様でしょう。
  • 民事損害賠償請求については、憲法32条との兼ね合いから、訴訟提起を完全に禁止することは許されないと解されます。訴訟を少なくする手だてとしては、行政不服審査等、何らかの訴訟外の紛争解決手段を前置することが考えられます(法改正が必要)。