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「で、それが遅れた原因の鍵か?」
「……本当ゴメンナサイ」
「マーテルの遅刻癖はもう治んないな」

シンとクロウはマーテルの謝罪に呆れと諦めの顔を見せた。
それよりも気になるのは、先ほどの話にあった不思議な鍵のことだ。

「…でもまあ、ホントに凄ェ装飾だな。コレとか本物かよ?」
コレ、とは鍵の先端につけられている宝石のことだろう。
シンとクロウは興味深そうに、マーテルの手から鍵を受け取り眺める。

「わかんないけど…これが本当に神殿のなら、きっと」
「お前の母さん神殿に入ったのか?」
「さあ?そんな素振りなかったと思うけど…」
でも、とマーテルは考え込む。

「お母さんが資料を持ってたってことは、絶対調べてたんだと思う。
それなのに関係性の高い建物に入らないなんて」
「ありえない、か。まああの人ならやりそうだな」
シンもファウンテンの仕事ぶりを思い出して納得する。

「でも本当にあそこの神殿なのかよ?」
クロウが疑わしそうに二人へ問いかけた。
「いや、あそこの神殿で合っているだろう。国内にある他の神殿はこの街から離れている。
いくらなんでも遠出をすれば、マーテルでも気づくはずだ」

シンの冷静な言い分にクロウも納得した様子だった。
そんな様子を見ていたマーテルの頭に、一つの案が浮かぶ。

「じゃああたし後で実際に行ってみる」
「は!?」
クロウは目を剥き、シンは口が開いている。
しかしそんな二人に構わず、マーテルはだって気になるし…と行く気満々のようだ。
「あ、大丈夫。二人を無理矢理付き合わせようとは思ってないし」
「お前なぁ、魔物もいるんだぞ」
「戦闘も強く無いのに…一人じゃ危なすぎるだろ」

そんな心配しなくてもいいのにーと遠慮しているんだか、ただ単に甘く見ているのか
わからないマーテルを見てシンが提案する。
「なぁ、俺達今日は見舞いへ行くだろう?病院があるのは港から船で出た島だ。
そして神殿が建っている島と病院の島は近い」
「…ついでにちょうどいいってことか。俺達も一緒でいいだろマーテル?」
「まぁ、二人はあたしより強いし頼りになるけど…いいの?」
「俺もその謎が気になるしな」
「よし、決まりだな」

三人は揃ってこくん、と頷いた。





最終更新:2010年05月10日 16:03