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和の憂鬱4/4 衣×京太郎×咲×和 衣の人 第3局>>440~>>467 「衣さんの家のお風呂・・凄いんですね、まるでホテルの様な・・そんな感じでした」  初めて衣の家の風呂に入った和は、豪華絢爛の風呂に少々あっけに取られていた。 「ああ、まあ・・初めてだと驚くだろうな、ところで和、衣の事名前で呼ぶことにしたんだな」 「あっ、はい・・先ほど、お風呂の中で言われまして、友達の上に恋人になったのにいつまで名前で呼ばない気だと・・それで、折角の機会なので・・衣さんと・・それに宮永さんも、咲さんと・・」 「当然だ、ノノカは友達で京太郎の恋人の一員だからな、それに衣もノノカと呼んでいるからな、改めてよろしくなノノカ」 「うん、私も原村さんの事を・・和ちゃんって呼ぶことにしたから、よろしくね和ちゃん」 「はい、よろしくお願いします、衣さん、咲さん」  友達という輪に更に強い同じ恋人言う輪、それによってより強固な関係を築き、衣、咲、そして和は、改めて挨拶を交わしながらとても嬉しそうで楽しそうな笑みを浮かべていた、次の瞬間までは。 「和ちゃんが恋人入りしたって知ったら、優希ちゃん喜びそうだな」 「ゆーき・・・そうでした、ゆーき・・」  咲のなにげない発言で、和の表情が一転して不安そうで直ぐにも泣き出してしまいそうな、そんな急変を遂げた。 「おい、どうした和!?」「ノノカおなかでも痛いのか!?」「えっ、ど、どうしたの和ちゃん・・わ、私、何か悪いこといっちゃった?」  突然の変化に心配する京太郎と衣と咲、しかし和はゆっくりと頭を横に振る。 「い・・いえ、ち、違うんです、咲さんが・・・いえ、京太郎さんも衣さんも悪いわけじゃないんです、わ・・私が駄目だから・・私がゆーきに酷いことしてしまったから」  眼に涙を浮かべながら、自分の仕出かしてしまったことの大きさを思い、和は自己嫌悪に陥る。 「和・・・良かったら話してくれないか、何をしたのかを・・」 「で、でも・・これは、私の・・私のしてしまった事で・・」  自分で仕出かした事だから自分で解決しなければならいない、と思い込んでいる和に京太郎は和の頭に自らの手を置いて優しく撫ぜる。 「これでも、今日からだけど、和の恋人なんだからさ・・遠慮はいらないぞ、それに・・少しは頼って欲しいかなって・・」 「きょ、京太郎さん・・・」  今度は嬉しさから泣きそうになってしまう和、そんな和に恋人の先輩でもある衣と咲も黙っては居ない。 「京太郎は頼りになるが、京太郎だけではなく衣達も頼りにしてくれて良いんだぞ、同じ恋人の友達だからな、遠慮不要だ」 「そうだね・・私も同じ京ちゃんの恋人として、一人の友達として協力するよ」 「衣さん・・咲さん・・すん・あ、ありがとうございます・・わ、わかりました、それではお話します・・」  涙を堪えながら二人にお礼を言う和、そして三人の心遣いに感動して感謝した和は意を決し口を開いた。 「なるほど、的確な助言をしてくれた優希を一歩的に怒って電話を切ってしまったと」 「はい・・あの時はそれが本当に適切なアドバイスだなどとは夢にも思わず、今にして思えばこの上なく適切なものだとわかるんですが・・・」  電話の件を話し終えた和は肩を落として、すっかり意気消沈してしまっていた。 「でも、さっきの電話の話だと・・信じられなくても仕方ないかなって思うけど、京ちゃんはどう思う?」 「俺か・・う~~ん、優希らしいといえばらしな、簡単に話そうとして・・・まあ間違ってはいないんだが」 「うん、そうだね・・」  言葉が足りないと思った京太郎と咲だが、結局細かく説明しても和は信じられず怒り、落ち込む結果になったであろうと容易に想像がついた。 「まあ電話の内容は言っても仕方ないだろうな、それよりも重要な事は・・・和は優希に謝って仲直りしたいんだよな?」  優希の発言の内容を議論しても仕方ないと思い、京太郎は一番重要な点を和に訪ねる。 「もちろんです!・・・ゆーきが・・許してくれたらの話ですが・・あっ・・」  一も二も無く返事をしながらも心配そうにする和に対して、京太郎は和の頭を優しく撫ぜて心配を取り除く。 「大丈夫だ・・・優希もきっと仲直りしたいと思っているよ、だから仲直りしたい気があるなら大丈夫だ」 「京太郎さん・・・」 「衣も京太郎の言う通り大丈夫だと思うぞ」「私も・・きっと優希ちゃんも早く仲直りしたいと思っていると思うよ」 「衣さん・・咲さん・・・、そうですね、このまま泣き言を言っても仕方ありませんよね」  溜まった涙を指で拭い嘆くのを止めた和は三人をまっすぐ見つめ。 「明日優希に謝ります、ちゃんと・・心こめて」  しっかりとそう宣言するのだった。 「すぅ・・はぁ・・」  翌日の放課後、麻雀部部室の入り口に緊張した面持ちで深呼吸をする和の姿があった。 「よぉ・・和、今からか?」  部活に出るためにやってきた京太郎は、その姿からまだ問題が解決していないと思い和に声をかける。 「京太郎さん・・・はい、その今日は昼休みとか、時間が取れなくて・・そ、それで」 「そっか・・頑張れよ」 「はい・・で、でも・・悪い結果を考えると、つい・・あ、足がすくんでしまって」  どうしてもネガティブな方向に思考が進んでしまうのか腰が引けている和、それを見た京太郎は苦笑いを浮かべた。 「はは・・・それじゃあ、恋人として後押ししてやるか・・」 「えっ・・?」  京太郎は和の迷う心を振り払う様に部室の扉を開いた。  勢いよく開けられた扉に部室内に居た全員の視線が集中する、部室内に居たのは優希だけではなく咲に久にまこと部員全員がそろっていたが、いつものように和気藹々とした雰囲気でも大会前の引き締まった空気でもなく、微妙な空気が流れていた。  京太郎は部室に入ると和と優希から少し離れた位置で二人の様子を窺う。 「のぅ・・京太郎、今日は優希が妙に落ち込んでいたんじゃが・・」 「そうね、和を怒らせたって・・大丈夫なの、須賀君?」  普段とあまりに違う優希の様子にさすがに心配していたのか、自分たちよりは多少事態を理解していそうな京太郎に小声で話しかけてくるまこと久。 「心配は要りませんよ」 「ほぅ・・妙に自信ありじゃの」「須賀君がそう言うんなら、見守っておきましょうか」  妙に自信ありげな京太郎に、少し疑問を抱きながらも一先ず見守ることにまこと久、咲は少し離れた位置でしっかりと優希と和を見守っていた。 「の・・のどちゃん・・」「ゆ、ゆーき・・・」  互いの名前を呼び互いをじっと見合ったまま、部室内がしばしの間沈黙に支配される。 「・・ほ、本当に大丈夫・・なんじゃろうな?」「ど、どうかしら・・・」  動きの無い優希と和にまこと久が不安を抱き始めた、その時。 「ごめんなさい!・・えっ?」×2  二人の謝る声と頭を下げる動作が見事に重なる、驚いた二人はゆっくりと顔を上げた。 「のどちゃん、その・・・怒ってないのか?」 「怒っていませんよ、こちらが電話して・・ゆーきがちゃんと答えてくれたにも関わらず、勝手に勘違いして・・それであんな風に怒ってしまって、だから私はてっきり・・ゆーきが凄く怒っていると・・それで・・」 「怒ってないじぇ、それよりも・・のどちゃんが・・だから嫌われたのかと心配してたんだじょ・・あっ・・」  そこで和と優希ははっとして、互いが同じ事を心配していることに気がつき・・そして。 「同じことを・・心配していたようですね・・ふふ」「だじぇ・・はは」  それが妙におかしかったのか、堪えきれず声に出して笑ってしまう和と優希、そして一通り笑う声を抑えて再びしっかりと見詰め合い。 「ゆーき、あの時はすみませんでした、電話で相談しておいて・・それなのにあんな態度をとってしまって」 「気にしてないじぇ、それにのどちゃんの悩みが解消できたなら・・それで十分だじぇ」  改めて謝る和に対して、怒っていなかった優希は気にした様子もない、それよりも和の悩みが無くなった事と仲直りできたのが嬉しいようで笑っていた。 「ゆーき・・・ありがとうございます」「ちょっ・・くすぐったいじぇ、のどちゃん・・」  優希の言葉が嬉しかった和は感極まり思わず抱きついてしまう、優希は少し照れくさそうに笑いながらも、そのまま和としばしの包容を味わうのだった。 「無事、問題解決したようだな」「そうだね、よかったね優希ちゃん、和ちゃん」  しっかりと仲直りをした和と優希の元に、京太郎と咲も喜びながら歩み寄ってきた。 「京太郎、咲ちゃん・・心配かけたじぇ、部長と染谷先輩も・・・」 「京太郎さん、咲さん・・・それに部長にまこさんも、ご心配をおかけしました」  優希と和は包容を止めて離れると、心配をかけた全員に謝罪を述べた。 その様子を見ていたまこと久も安心し四人の所に歩み寄る。 「はぁぁぁ、落ちこんどるから心配したが・・余計なお世話じゃったの」 「でも、仲直りしてくれたんだから、それは言いっこなしよ」  苦笑しながらも、問題が拗れなかった事に胸を撫で下ろすまこと久。 「京太郎さんの言う通りでした、さすがです・・優希の事もよく分かっているんですね」 「まあな」  昨日の言葉を思い出して改めて感心する和に、褒められて少し照れくさそうにする京太郎、そんな二人の会話を聞いていた久が疑問を口にした。 「あら・・和、何時の間に須賀君と咲を名前で呼ぶようになったのね」 「はい、昨日・・ちょっと」 「ほう名前でのぅ・・でも急に京太郎を名前で呼ぶようになったら、噂話しとる奴に勘違いされかね・」「まこ!」  まこが噂の事を口にすると、久は声を荒げてそれを止めた。 「あっ、す、すまん、和・・これからはそういう奴には注意しておくから・・」  久の一声で、同じ話で和が機嫌を悪くしたことを思い出したまこは、慌てて謝りながら話を逸らそうとしたが、今日の和は先日までの和とは違っていた。 「あっ、そのことなら良いんです・・」 「あら・・気にしないことにしたのね、そうね、それが一番いいわ」「まあな、変な噂は気にしいひんのが一番じゃからのぅ」  今度は和の怒りに触れなかったと安心し、久とまこは噂は無視するのが一番だと話を終わらせようとしたのだが、性格上なのか、それとも言いたくて仕方なかったのか、和は間違った部分を訂正した。 「いえ、そうではなくて・・・事実になってしまった事を否定して廻るのはどうかと思いますんで」  「そうよね、事実になったことを否定したら・・・えっ、事実?」 「そうじゃの、事実を嘘って言うのは・・・えっ、事実?」  最後の部分で声が重なりあう久とまこ、すぐに意味が理解できない二人は鳩が豆鉄砲を食らったような表情で固まり、しばし沈黙が流れ・・・そして。 「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!」×2  久とまこは部室中に響き渡るほどの声を上げて驚く、当然声を上げただけで落ち着きが取り戻せるわけも無く。 「ど、どういうことじゃ京太郎、いつのまに天江と別れたんじゃ!?」 「いえ、京太郎さんは衣さんと別れていませんよ、昨日も衣さんととても仲良さそうに・・していましたから」  昨日の事を思い出し、ついで情交の事も思い出した和は頬を染める。 「・・もしかして・・天江は和と京太郎の仲を知らないとか・・」 「い、いえ・・ちゃんと衣さんも認めてくれましたよ、しっかりと・・」 「認める・・天江が・・ええっ?」  衣が決して京太郎を誰かに譲ることは無いと思っていたまこにとって、今の和の発言は信じられないもので、疑問を解決するために聞いた事が、逆に疑問を増やす結果になり結果さらに混乱した。 「そ、そじゃあなに、須賀君は天江さんと和、二人の恋人になったとでも言うの!?」  表面上は落ち着きを繕った久、しかしこめかみはぴくぴくと動いて、混乱する内情を露にしていたが、なんとか事の根幹を和に訪ねる。 「あっ、それは違います」 「そ、そうよね・・恋人が二人って・・・」「な、無いじゃろ・・さ、さすがに・・」  和の即座の否定により、少し落ち着きを取り戻したように見えた久とまこであったが、次の瞬間。 「二人ではありません、だってゆーきも咲さんも、京太郎さんの恋人ですから」 「そうだじぇ、私だって京太郎のこ・い・び・となんだじぇ!」「私も・・京ちゃんと衣ちゃんが許してくれたんで」  満面笑みで訂正する和に、同じく満面の笑みで京太郎の左右の腕に抱きつきながら答える優希と咲、ただでさえ和の事で混乱している久とまこにとって、ここに来ての優希と咲の事も重なり・・そして。 「ええっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!?」×2  驚いて声を上げる他に道は無く、久とまこの叫びは建物全域に響き渡った。 「ぶ、部長、染谷先輩・・大丈夫です・・」 「さ、さんにん・・いや、四人って・・ど、どういう事じゃ・・」 「さ、さささ、最近の子は進んでいるって聞くけど・・まさか、そんなに・・」  混乱の極みに達したまこと久に京太郎の言葉は届かず、二人はただぶつぶつと何やら呟き続けるのみだった。 「う~ん、今日はもり無理そうだね」「そうですね。理解するにも時間がかかるでしょうし」  冷静に事態を見ながら、咲と和は二人に今日これ以上話をする事を諦めたようだ。 「まあ部長と染谷先輩の事は置いとくとして・・のどちゃん」  しばらくはこちらに帰ってこないであろう、久とまこを無視して優希は再び和を見つめた。 「なんですか、ゆーき?」 「ちゃんと言ってなかったじぇ、京太郎の恋人になれておめでとうだじぇ、今日からは恋人仲間としてもよろくしだじぇ!」  喜び・・新たな意味での仲間になった和に優希は祝福の言葉を掛けて歓迎する。 「ゆーき・・・あ、ありがとうございます、こちらこそ今日からよろしくお願いしますね」  眼にうれし涙を浮かべながらも和はしっかりとした笑顔で優希に答える。 「私も改めて、よろしくね和ちゃん」 「はい、咲さんもよろしくお願いします」  この場に居るもう一人である咲とも改めての挨拶を交わした和は、最後に京太郎の方を向いた。 「良かったな和、全部上手く行って」 「はい・・ありがとうございます・・」  最初に全てが上手く行った事を祝福する京太郎と、その祝福に礼を言う和、そして和はゆっくりと口を開いた。 「その・・不束者ですが、あ、改めてよろくお願いしますね、京太郎さん」  少し自信がなさそうにお願いする和に、京太郎はただ優しく笑いかけて静かにだが力強く答えた。 「ああ、よろしくな・・和」  その笑みが和に自信を与えて不安など吹き飛ばす、そして自分のコンプレックスであった胸を誇らしげに張って、しっかりとした口調で和は高らかに言い放つ。 「はい、京太郎さん、大好きです!」     終わり

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