無題            かじゅ×モモ        百合注意         ID:p6b9g2ZM  


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無題 かじゅ×モモ 百合注意 ID:p6b9g2ZM氏
第1局>>35~>>40

   加治木先輩から「君が欲しい!!」と言われ、麻雀部に入り早2ヶ月が過ぎた。
   私たち鶴賀学園は1ヶ月前、県予選で清澄高校に敗北し、全国への切符を手にすることができなかった。
   秋の選抜には3年生である先輩は出られない。
   部活には出ているが、もともと先輩のためにしていた麻雀だったので、私は抜け殻のようだった。

   県予選が終わった後も先輩はよく顔を出してくれていた。
   「モモ、もうすっかり暗いぞー早く帰ろう」
   「今すぐ行くっす!待ってて下さい!」

   急いで帰りの支度をして、先輩の所へ向かう。
   先輩とは家が近いのもあって一緒に帰ることが多く、それは嬉しくもあり、辛くもあった。
   今日もいつもどおり町を見下ろせる並木道を歩いていく。

   「2ヶ月間弱音も吐かずに毎日練習してるみたいだな、選抜期待してるよ」
   「い・・いえ、その・・あの・・・先輩も練習に付き合ってくれて本当に感謝っす!」

   先輩のことを意識し始めてからどんどん会話がぎこちなくなっていくのがわかった。
   私と先輩を繋げているものは麻雀だけ。でも、それもあっという間にちぎれてしまいそうだ。
   あるいは、もうすでにちぎれてしまっているのかもしれない。
   余計なことを考えてしまって上手に話せない、思い切って自分の気持ちを話してしまった方が楽になれるのだろうか、でもそんなことをしたら、大切な人を永遠に失うのではないか。
   それは絶対嫌だ。もう、孤独は嫌だ。
   辛い、苦しい。

   「こないだの試合は無駄じゃない、鶴賀は秋の選抜に必ずいい結果を残せるよ」
   「・・・・・・・・」

   「ん・・?どうした黙り込んで」
   「せ・・先輩は、好きな人とかいたりするんすか?」

   色々考え過ぎて頭がいっぱいになり、いきなりとんでもない質問をしてしまった。

   「す・・好きな人か・・・、どうだろうなぁ・・」

   無理やりにでもこの会話を終わらせれば良かった。

   「えっと・・じ・・じゃあ私の事どう思ってます?」
   「ん・・?それは・・どういう意味だ?」
   「あっ、いや・・あれ・・・そういう意味じゃなくて、あの・・その・・・」

   頭では分かっているのに、どうしてあんな事聞いてしまったのだろうか。
   その後どんな会話をして、どう別れたのかまったく覚えていない。
   心は、磨り減り、ふくらみ、もつれていく。

   「おっす、モモ。どうだ調子は。」
   次の日の放課後、何もなかったように先輩は話しかけてきてくれた。
   私はやっぱり昨日のことを考えてしまい、スコアは散々な結果だった。

   「どうした、今日は調子悪いのか?」
   「い・・いや・・あの・・はい、ちょっと今日はー・・ダメみたいっすね」

   その後もスコアはひどい結果だった。

   「もう6時回るな、そろそろ帰るか」
   「せ・・先輩、きょ・・今日は先に帰ってて下さい!」
   「ん・・何か用事あるのか?」
   「いや・・用事というか何というか・・」
   「どうせカギ閉めなきゃいけないし、待ってるから早く支度しろよー」

   間髪入れずに言われてしまった。
   もう一緒に帰るのは辛い、一緒にいる機会が多いほど気持ちは強く、強くなっていく。

   支度を済ませ、先輩の所へ向かう
   「電気消すぞー、じゃあ帰ろうか」

   それから先輩は黙ったままだ
   もちろん私も黙ったまま

   9月も下旬で、日もすっかり落ちて、背中からとくとくと注がれる寒さに首をすくめる。


   昨日の並木道に通りかかった時、先輩が口を開いた。

   「月が出てるな、空も広いし、明日も晴れそうだ」

   見上げると、白い三日月が見えた。

   「そ、そうっすね・・月・・出てますね・・」
   「・・・・・・・」
   「今日は調子悪かったみたいだな」
   「明日は大丈夫です、今日はたまたまっすよ」
   「・・・・・・・」

   また沈黙が続く
   先輩はすっと息を吸い込むと、また口を開いた。

   「・・昨日は、悪かった」
   「え?」
   「だから、昨日は悪かった、ごまかしたりして。
   いきなりあんな事いうから、私もびっくりし・・」

   これから言われるであろうことが怖かった。
   周りの音が一瞬で消え、だた一定のリズムで鳴る心臓の鼓動が胸をザクザク切りつけている。

   「き・・昨日のことは忘れて下さい!!私何か色々考えちゃって、それで、どうかしてて・・。
   そんな事で、先輩を失いたくないから、・・もう忘れて下さい!
   でも、もう遅いですよね、県予選も負けちゃって、せっかく先輩が見つけてくれたのに!!こんな私を大勢の人の前で叫んで求めてくれたのに!!先輩のために頑張るって決めたのに!!!先輩と繋がっているものも失ってしまって!!!一緒にいる意味なんか・・!!!」

   最後の言葉を言い終えようとしたとき、先輩の声がさえぎった。

   「モモ・・私はそんな風に思ってないよ」
   「でも・・」
   「言っただろう、最初に会った時に、お前が必要だ・・って。
   それは今でも変わらないし・・」
   「えーと・・ちょっと目つぶれ」
   「え・・?」
   「いいから目つぶれ」

   唇に先輩の温もりが伝わった

   「これからもお前が必要だ、お前のことが好きなんだよ、モモ。」
   先輩は頬を赤らめ、そう言ってそして私を抱きしめてくれた。

   「私とお前が繋がっているものは、麻雀だけじゃないよ、嬉しいのも苦しいのも全部一緒なんだから。」
   それまで溜まってたものが一気にあふれ出した。

   「うぐっ・・えぐっ・・先輩、先輩・・」
   「ごめんな、辛い思いさせて」
   「うぐっ・・先輩・・・」
   「え?何言ってるかわかんないって」
   「先輩・・先輩・・」
   「なんだ?」
   「・・大好きっすよ!!」
   「・・・・・・」
   「お前・・泣いてんのか怒ってんのか笑ってんのかわかんないよ」
   「えへへ・・・全部っすよ!」
   その後、ずいぶん長い間先輩の胸元で泣いた

   「なんとなく気づいてたんだけどな、お前の気持ち。」
   「じゃあ何でごまかしたりしたんですかー!」
   「いや、昨日私も同じこと聞こうしてたのに、先に言われたからびっくりして・・」
   「モモはもう怒ったっす!」
   「ごめんごめん、何でもするから許してくれ」
   「何でも?」
   「うん、何でも。」
   「じゃあもう一回ちゅーしてくれたら許してあげるっす!」
   「い・・いま?」
   「今じゃなきゃもう許さないっす!」
   「分かった分かった、恥ずかしいから目つぶれ」

   また、先輩の温もりが伝わるのが分かった。

   「先輩、これからずっと一緒っすよ!」
   「そうだな、ずっと一緒だ。」
   「えへへ、じゃあもう一回ちゅーして下さいっす」
   「じゃあって何だ、もう許してもらったからな、ずいぶん遅いし早く帰るぞ」
   「えーー!もう一回だけもう一回だけ!今度は私がー・・!!」

   先輩はもう歩き始めてしまっている。

   「わがまま言ってるともう置いてくからなー」

   そんな事を言いつつ、不器用に後ろに手を伸ばしてくれた。
   私は急いで先輩の所へかけより、右手でぎゅっと握りしめた。

   秋の選抜、頑張ろう。
   嬉しいのも苦しいのも一緒なんだ。

   ふと空を見上げると、白い三日月がさっき見たときより少し満ちていて、それは大きく、大きく見えた。
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