優希印           衣×京太郎×優希                   衣の人    


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優希印1/3 衣×京太郎×優希 衣の人
第2局>>396~>>421 支援3つ

   「最近、京太郎が私を見る目が変わったじぇ」
    そんな発言が優希の口から飛び出したのは、片岡優希、宮永咲、原村和の清澄麻雀部女子一年が揃って部室に向かい歩いているときだった。
   「そうでしょうか?」
    いつもの事と割り切っているのか和は眉一つ動かさない。
   「あぃ、咲ちゃんも最近京太郎が変わったと思うじょ?」
   「えっ・・・う~ん」
    優希に聴かれるがまま、咲は少し考えてみると。
   (そういえば、京ちゃん少し変わった気がする・・・・一週間前くらいかな?)
    それは気にするほどでもない些細な変化の様な気もしたが、よく思い出せば少し引っかかりを覚えるほどではあった。
   「うん、少しだけど変わったかな・・・」
    何と具体的な所までは判らないが、変化を感じたという点では優希の言葉は間違っていないと咲には思えた。
   「きっと今更ながら私の魅力に気付いてしまった京太郎は、どうしたら良いか悶々とした日々を送っているんだじょ」
    自信満々に語らう優希に、咲は再び最近の京太郎の様子を思い返す。
   (そうなのかな、なんか違うようにも感じるけど・・・でも、よくわからないかな)
    やはり多少の違いは感じるものの、それ以上は思い当たらない咲。
   「でも、ゆーき、その・・須賀君が本気になったらどうするんですか?」
   「まあ、京太郎がどうしてもって言うなら、付き合ってやってもいいじぇ」
   「えっ、優希ちゃん、本気なの?」
   「当然、どうでもいい相手にあそこまでするほど私は軽い女じゃないじぇ」
    優希の本気の発言に驚く咲と和。
   「宮永さん、ど、どうなんですか、その須賀君は・・優希の事を?」
    優希の親友故に和も話を聞いていて、京太郎の気持ちが気になっていた。
   「う~ん、どうだろう・・・京ちゃんが変わったのは本当だけど、でも好きなのかな?」
    咲も京太郎本人ではないし、まして京太郎に何があったかを知らないため予測する事ができない、ただ一つある事を思い出し咲はそのまま口に出す。
   「そういえば、この前に駅の近くにあるお饅頭屋さんで、京ちゃん女の子と一緒に食べたけ・・」
   「な、何、さっそく浮気か許すせないじょ!」
    咲の話に怒りを露にする優希、咲はそれをなだめ様と必死に自分の記憶を思い出すが。
   「でも遠目だったから、よく分からないよ、小さかったし近所の子かも・・」
    遠目で一瞬しか見ていないので、ぎりぎり小さめの女の子っぽかった事しか思い出せなかった。
   「むむむ、それはいかん、子供に手を出す前に大人の女を教えてやら無いといけなじぇ」
    小さな女の子という言葉が、逆に優希の決意を新たにする、しかし咲にはそんな優希の決意より引っかかる事があった。
   (その子ってどこかで見た気がするんだけど、どこだったかな・・・う~ん一瞬見ただけだから、覚えていないや)
   「とにかく、心配無用たとえ京太郎が私の専属の犬になっても部で使うことは許すじぇ、それにのどちゃんは私の嫁だじょ」
   「嫁じゃありませんよ・・はぁ」
    気楽な優希の様子に、心配にしていたのが馬鹿らしくなりため息をつく和。
   (ふふ~ん、今日こそ決めてやるじぇ!、絶対に犬にしてくださいと言わせてやるじょ!)
    あくまで上から目線だが、決意を固める優希。
   (どうなるんだろう、でも京ちゃんが優希ちゃんに答えたら、二人は恋人に・・・あれ?)
    京太郎と優希が恋人なる、そう考えると何かどす黒く嫌な感情が咲の胸に広がる。
   (えっ、い、今の何・・・気のせいなのかな?)
    だが、それを何か意識する前に咲の胸からその感情が消えていた。

    京太郎は部活に向かう最中携帯電話を開く。
   「今日は部活に出ないとな、あとで電話でもするか」
    京太郎の携帯に移っているのは、恋人である衣が大エトペンに抱きついている写真。
   「そろそろ咲達にも言っておかないとな、駄目だよな」
    まさかの敵の大将をしていた人間と恋人関係になったとは、さすがに最初の一週間は言い辛く、まだこの学園で京太郎に恋人が居ると知る人物は本人を除き誰も居ないはずだ。
   「はぁ・・・優希のアプローチ・・雰囲気がな・・」
    今までは何も感じなかった、優希に触れられる、飛びつかれる、見つめられる等のアクション&スキンシップが、衣と恋人になったあとでは完全なアプローチに思えてきた、そしてそれはどこか衣の恋人に向けるものと気配が似ていた・・・つまり。

   「あいつ、本気だったのかな?・・・それなら俺って鈍かったんだな」
    もしかして自分は凄くひどい奴なのかもしれないと落ち込んでしまったが、それはそれ、これはこれ、ちゃんと決着をつけないと衣に申し訳が立たないだろう。
   「もしも・・・」
    if、もしも、京太郎が衣に出会うより先に、優希の気持ちに気付いてあげていればあるいは・・結ばれていたのかもしれない、けど今はそれもないだろう。
   「ちゃんといっておくか、それがけじめだしな・・・まあ、勘違いなら良いんだが」
    ただの勘違いで、友達としてのスキンシップだったのなら、自分が笑いものになるだけで済む、京太郎はそうなる事を祈りつつ部活に向かい歩く速度を上げるのだった。

   「先輩たちはもう来ているんだろうな」
    京太郎が部室の扉を開けようとしたちょうどその時、廊下から何やら聞き覚えのある賑や声が聞こえたのでそちらを見ると、咲、和、そして優希の一年生三人娘がこちらにやってきた。
   「おっ、京太郎~」
   「あっ、京ちゃん、先生に頼まれ事はもう終わったの?」
   「ああ、たいしたこと無い事だったからな、お前らはちょっと遅くないか?」
   「タコス買いに学食に行ってきたんだじぇ」
    誇らしげにタコスの入った袋を右手で掲げる優希、ちなみに左手には残り一口のタコスが握られていた。
   「相変わらずタコス好きだな・・・で、咲と和は?」
   「私達はそれに付き合って、ついでに新入荷の飲み物を買ってきたんだよ」
   「・・これも新しい味だそうです」
    咲と和が持っていたのは、京太郎がまだ見た事のない新しい味のジュースだった。
   「そんなの入ったんだ、へぇ~」
   「ふ~ん、それよりも京太郎、私に何か言うことはないか?」
   「何かって・・・うっ」
    屈んで胸元を見せ付ける優希だが、どれだけ強調しようとしても無いものは無いのだが、無いために隙間から優希の小さな膨らみが見えそうになり、慌てて視線を逸らす京太郎。
   (あっ、京ちゃん視線を逸らした)(須賀君、やはり変わったんでしょうか?)
   (ふふ~ん、やっぱり京太郎は私にメロメロのキュアキュアなんだじぇ)
    優希の話を聞いていたため、三人にはその行動がいつもの京太郎とは違うと感じ取る、いつもなら別に気にも留めないはずだ・・・だが、優希の思惑とは違い。
   (うっ、いかんな・・・こんなことで一々どきどきしていたら、しょうがない部活終わりにでも報告しておくか)
   「あっ~今日はさ、後で大事な話があるから聞いて欲しいんだけど、良いか?」
   「もちろん、OKだじぇ」(きた、きたじぇ!)
   「えっ、う、うん」(えっ、や、やっぱり京ちゃん、今日優希ちゃんに告白するの?)
   「大事なですか、なんですか?」(優希の件でしょうか・・・)
    三人一様、優希の話を聞いていた三人にはその話以外想像できなかった。
   「あっ、いや、後にするわ、部活の邪魔になってもなんだし」
   (なんせ敵の大将が恋人だからな・・・)
    別に先延ばしにしたいわけではない、もしかしたら衣が恋人ということでぎくしゃくするかも知れない、それならば部活終わりのほうが多少はましだろうと京太郎は考えていた。
   (ふふ、照れちゃって・・かわいいじょ)
    京太郎の態度を勘違いしている優希はにやついていた。
   「とにかく、入ろうぜ」
    いつものように扉を開けて、いつものように部室に入る京太郎。
   「京太郎~!」
    ただいつもとは違う声が聞こえて、いつもとは違い衝撃が京太郎を襲った。
   「うわぁと!?」
    体勢が崩れそうになったものの何とか踏みとどまる京太郎、飛びついてきたのは今しがたまで携帯に移っていた少女、京太郎の恋人天江衣であった。
   「こ、衣、なんでここに?」
   「会いたかったぞ、京太郎!」
    にっぱ~と元気な笑顔で京太郎に話しかける衣、後ろから入ってきた咲、和も予想外の人物がいたので驚いている。
   「こ、衣ちゃん?」「え、天江さん?」
    和と咲を見て、京太郎から飛び降りて挨拶をする衣。
   「おおっ、久しいなののか、咲、こんにちはお邪魔しているぞ!」

   「う、うん、いらっしゃい衣ちゃん」「は、はい、いらっしゃいませ、天江さん」
    なんだ動じぬ衣の態度に、驚きの声より先に返事を返してしまう咲と和。
   「なななな・・」
    あっけに取られる咲達、そこに落ち着いた、いや落ち着きすぎた二つの声が聞こえた。
   「あら、あなた達遅かったわね」
   「待ちくたびれたぞ」
    部長の武井久と唯一の二年生部員の染谷まこが優雅に紅茶を飲んでいた、それを淹れているのは龍門渕家の執事であるハギヨシであった。
    京太郎達を見ると、ハギヨシは軽く会釈する。
   「あっ、どうもです」「こ、こんにちは」「こんにちは」
    優希を除く三人がそれに応じる。
   「えっ~と、それでどうして衣とハギヨシさんが・・」
   「二人が須賀君を訪ねるついでに、ここに挨拶をしたって言うから通したのよ、そしたら」
   「見てみぃ、この豪華なケーキのお土産を!」
    どどーん、漫画ならそんな文字が後ろ出そうな勢いでまこが開けた箱の中には、色とりどりの季節のフルーツがふんだんに使われたケーキが7個入っていた。
   「あっ、このお店のケーキ知っています、前にTVで見ました、確かものすごく高いんですよね?」
   「はい、ですがそれ以前に大人気で入手するのも難しいはずですが・・・おいしそう」
    豪華なケーキの登場に興奮する咲と和、やはり二人とも女の子と言ったところか。
   「衣、あれどうしたんだ?」
   「うん、ああ、焼き饅頭のお礼を言いに行こうと思ってその旨を透華に話したら、何か返さなければ名が廃ると、手配は自分とハギヨシでするからまかせろと」
   「あっ~なるほど」
    透華が『あれは確かにおいしかったですわ、それ相応のもの・・・いいえ、それよりは数倍目立って、味も確かで、なおかつ高級なケーキを』と、言うシーンが京太郎にもなんとなく想像がついた。
   「それで、どうせならののか達にも持っていきたい、といったら更にやる気をだして、まあ、衣も前に食べたことがあるから味は保障する、確かに美味しいぞここのケーキは」
   「まあ、確かに美味そうだ」
    一目見れば、メロンや何やらおそらくそれらも最高級の食材なのだろう、だから京太郎には気になる事がある、どうしても聞きたいことが。
   「野暮なことを聞くが、あれっていくらなんだ?」
   「さぁ、衣は知らん、手配と支払いはハギヨシがやってくれたからな」
    京太郎がハギヨシを見ると、ハギヨシが話を聞きつけて歩み寄ってきた。
   「値段の話をするのは無粋ですが、どうしても聞きたいとおっしゃるのならお答えします、たいした値段ありませんが一つ2000円程です」
   「ぶっ、に、にせん・・・ちょっと、まってください、俺が前に衣に私のって、焼き饅頭二十個・・・それと同じ値段ですよ」
    焼き饅頭は一つ100円、そしてこのケーキは一つ2000円、材料が違うとはいえ値段の差に唖然とする京太郎。
   「何を言う、あの焼き饅頭は透華達にも大好評だったんだぞ、だから味では負けていない」
    味では負けていなくても値段で大敗、京太郎が言葉を失っていると。
   「はい、透華お嬢様をはじめ、一様、純様、智紀様、そして衣様と全員で美味しく頂かせていただきました、ありがとうござます」
    焼き饅頭のお礼を言うハギヨシ、それも少し空しく感じたが・・。
   「あっ、いえ、こちらこそ、すみません気を使わせちゃって、衣も別にいいんだぞ気を使わなくても」
   「衣はただ、お礼を言いにきただけだ」
   「そうか・・」
    そんな話を片耳で聞いて、感心するのは久とまこの二人。
   「へぇ~あの焼き饅頭がね・・」「すごい錬金術じゃのぉ」
   「あ、あの、これ食べてもいいんですよね?」
    咲が有名高級ケーキを前にそわそわと落ち着かない様子だった。
   「ええ、天江さんの分もあるし、どうせなら全員で食べようと思ってまっていたのよ」
   「それならお茶を淹れますね」
    和が立ち上がろうとすると、ハギヨシがそれを静止した。
   「紅茶は私が淹れますので、皆様はどうぞおくつろぎください」

   「あっ、で、でも・・」
   「その執事さんが淹れる紅茶びっくりするほど美味しいのよ、折角だからお願いしようと思うんだけど」
   「お気に召していただければ、幸いです」
    久の助言もあり、和もハギヨシに任すことになった。
   「それではお願いします」
   「はい、少々お待ちください」
    と、言ってものの一分で人数分の用意をするハギヨシ。
   「なんど見ても、どこからカップ出しとるんかわからんな・・」
   「お気になさらずに、執事のたしなみですので」
    笑顔も一切崩さず、人数分のお茶とケーキをとりわけてティータイムの準備が整う。
   「さぁ、早く食べましょう」「そうじゃな」
   「楽しみ」「そうですね、私もここのは初めてです」
   「ほら、京太郎、衣たちも一緒に」「ああ、そうだな」
    盛り上がる衣と清澄高校麻雀部面々、一人を除いては・・・。
   「ま、まつじぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
    その一人である優希が叫ぶように、いや実際に叫び声を上げた。
   「ななな、なんじゃ?」「あら、どうしたの優希、ケーキは全部同じ種類よ?」
   「ど、どうしたの優希ちゃん?」「どうしたんですか優希、ケーキ好きでしょ?」
   「・・・五月蝿い」「あっ~耳がキンキンする、どうしたんだよ優希?」
    全員の視線が優希に注がれる、するとそこには半泣き優希が立っていた。
   「どうしたもこうしたもないじぇ、っていうか京太郎、この小さいのは京太郎といったいどういう関係なんだじぇ!?」
    衣を指差して、京太郎に詰め寄る優希。
   「えっ、ああ、みんなには話して無かったな、悪い今日話すつもりでいたのも、そのことなんだ」
   「ど、どういうことだじょ?」
    今度は全員の視線が京太郎と衣に集まる。
   「京太郎、衣との関係はまだ話していないのか?」
   「ああ、色々とあって今から話すところだ、良いよな?」
   「もちろんだ、それに友達であるののかにも知っておいて貰いたいからな、えへへ」
    友達に恋人が出来たという報告をする事に胸が踊り嬉しそうにする衣、優希から発せられる空気などあってないがごとく。
   「えっ~、この度、俺は天江衣さんとお付き合いすることになりました」
   「ええっ、そ、そうなの!?」「い、いきなりですね・・」「あ・・あぅ・・」
    咲、和、優希は京太郎の宣言に驚いていたが。
   「そう、おめでとう」(まあ、須賀君が来るまでの天江さんの態度を見る限りね)
   「ほほう、まあ、おめでとうさん」(あの抱きつき方に、あの笑顔じゃな・・)
    久とまこは衣の態度と仕草から察していたため、特に驚かず祝辞を述べるのみ。
    それを見て少し落ち着きを取り戻した咲と和も続き。
   「えっ~とおめでとう、京ちゃん、衣ちゃん」
   (それで京ちゃんが変わったと思えたのは、恋人かそれは変わるよね、けど京ちゃん原村さんみたいな人が好きなんだと思っていたけど、衣ちゃんか・・・なんだろう少し寂しく感じるな)
    一応祝福しながらも、自分でもよく分からない喪失感苛まれる咲。
   「お、おめでとうございます・・・というべきなんでしょうね」
   (須賀君って、天江さんみたいな子が好みだったんですね、それなら何故優希には反応しなかったんでしょうか、優希よりも天江さんの方が幼く見えますが、もしかして・・ロリコ、い、いえ天江さんは年上ですよ、年上)
   「なぁ、なななな・・・」
    概ね歓迎ムードの様子に優希は一人言葉を失っていた。
   「祝辞、感謝するぞ」
    一人その声に答えた衣、京太郎はあまりにあっさりしていたので、逆にあっけに取られていた。
   「・・・えっ、そ、それだけですか?」
   「それだけって、ああっ、祝儀は出ないわよ結婚式じゃないんだから」
   「いや、そうじゃなくて、その・・恋人が敵の大将だと、いろいろとまずいとか、無いんですか?」
   「良いんじゃないの、別に情報を漏らすとかも無いわけだし」
   「そうじゃの、京太郎じゃたいした情報も渡せんだろうし」

   「よ、良かったような、なんか駄目なような・・・心配して損した」
    久とまこのあまりのあっけなさに、力なく膝をつく京太郎。
    そんな京太郎を無視して、話を始める優希を除く面々。
   「まあ、それは良いけど、どうして須賀君と天江さんが知り合ったか、気になるわね」
   「うん、ゲームーセンターとかいう場所で声をかけられた」
   「ええっ、京ちゃん、衣ちゃんをナンパしたの?」
   「いや、まて、確かに衣の言っていることは間違いではないが、ナンパした訳じゃないぞ」
   「そうだ、京太郎は衣の欲しがっていた大きなぬいぐるみをとってくれて、しかもそれを家まで運んでくれたんだぞ」
   「須賀君・・」「京太郎・・」「京ちゃん・・そ、そんな」「須賀君・・」
    衣の説明を聞く限りで、久、まこ、咲、和は「物で衣を釣って、家に上がりこんだ」という印象を持った。
   「まてまてまて、違うぞ、いいか君達、その想像とはまったく違うからな!」
    四人の視線に耐えかねて慌てて否定する京太郎だが、四人は何やらひそひそ話まで始めだす。
   「須賀様はお荷物をお運びいただいただけで帰られようとなさいましたので、無理に呼び止めたのは私なので、どうか勘違いをなされぬ様にお願いいたします」
   「あら、やっぱり」「あはは、冗談じゃ冗談」「ええ、そこまで鬼畜とは思っていません」
   「わ、私は最初から京ちゃんの事、信じていたよ」
   「嘘付け、全員疑ってだろうが!」
    ハギヨシの言葉を受けての態度の翻すさまに、さすがにツッコミを入れる京太郎。
   「もう男の子なら、その程度気にしないの、それで仲良くなって好きあったって事かしら?」
    怒る京太郎を無視して話を戻す久。
   「そうだ、そしてこれが京太郎にもらった大エトペンだ!」
    服の中か一枚の写真を取り出す衣、それに映っていたのは京太郎が部活に来る時に見ていたのと同じ写真。
   「うわぁ・・立派・・・」「大きいのぉ・・」「これって原村さんの・・」
   「うわぁ~大きいですね、少し欲しい気もしますが、私の部屋には大きすぎてなんとも・・」
    和も欲しい気持ちはあるが、写真から見て取れる1メートルオーバーの大きさに躊躇した、過ぎたるは及ばざるが如しと言ったところか。
   「見たいなら今度遊びに来るといいぞ、ののか」
   「そうですね、では遊びにいかせて貰いますね」
   「うん、その時はあの人形も持ってきてくれると嬉しいぞ」
    和と遊ぶ約束が満足そうな衣、それは和も同じだった。
   「しかし天江も恋人が他校と辛いやろ、なかなか会えへんし」
   「そんなことはない、京太郎はちゃんと電話もしてくれるし、時間が空けば会ってもくれる、会えないのは寂しいが、その分会えた時の嬉しさが大きい」
   「あっ~ええ子じゃ、ほんにええ子供じゃのう、天江は」
   「こ、こら、頭をなぜるな、それに子供じゃない衣だ!」
    衣の健気な態度、その可愛らしさからまこは衣の頭をぐりぐりと撫ぜるが、子供扱いが嫌いな衣は不服そうに直ぐに脱出する。
   「もしかして、この前焼き饅頭屋で京ちゃんと一緒に居た女の子って・・衣ちゃん?」
   「うん、あの時食べさせっこをした焼き饅頭は美味しかったな」
    焼き饅頭屋での出来事を思い出し、とても幸せそうな笑顔になる衣。
   (こ、これは、ぐっとくるわね)(あっ~この笑顔じゃ、男じゃなくても撃沈するな)
   (か、可愛い、こ、これなら京ちゃんが好きになるのも、仕方ない・・よね)
   (こ、これは、なんでしょうかこの気持ち、天江さんを今すぐ抱きしめたい)
    それを見ていた優希を除く清澄女子が全員撃沈される、だがやはり優希だけはなんとか堪えて衣を睨みつける。
   (くっ、た、確かにかわいいけど、この顔で京太郎を誑かしたに違いないじょ!)
   「さて、話も終わったところで、さっそくケーキを食べましょうか」
    久が話をまとめようとした瞬間。
   「納得いかないじょ・・」
   「ゆーき?」
   優希が再び口を開いた。
   「この、この小さいのが京太郎の恋人だなんて、私は認めないじょ」
   「認めないって・・お前な、別にお前に・」
    京太郎が優希に文句を言おうとしたが・・・。
   「私は絶対に認めないじょ!!」

    目に悔し涙を溜めながら叫ぶ優希を見て、黙り込む京太郎。
   「・・・優希・・お前・・」
   (ゆーき、本当に本気なんですね、須賀君の事)(優希ちゃん本気なんだ・・)
    部活に来る途中で話していた、優希の言葉が嘘ではない事をようやく理解する和と咲、そして京太郎もそれをなんとなくだが理解した。
   「で、でもだなゆう・」
   「まて、京太郎」
    何か言おうとした京太郎を止めたのは、他でもないもう一人の当事者である衣だった。
   「小さいの・・」
   「誰が小さいか、お前よりは大きいじぇ!」
   「むっ・・ならば名乗るが良い、衣は天江衣だ!」
    優希の言葉に少しイラっとしながらも、自分が名乗り優希に名を問う衣。
   「片岡・・優希だじぇ!」
    涙を拭き取り、優希もしっかりと名乗りを上げた。
   「して、片岡とやら、どうすればお前は京太郎と衣の事を認めるのだ?」
   「ここで決めるとなったら決まっているじぇ!」
    優希が指差したのは部に置かれている雀卓、つまりは麻雀勝負。
   「お、おい、優希、お前分かっているのか!?」
   「そうじゃ、相手はあの天江衣じゃあぞ、お主が勝てると思っとんのか!?」
    京太郎とまこが止めに入る、天江衣という牌に愛されている者を相手に、多少東場の得意な優希が勝てるとはとうてい思えなかったからだ。
   「衣に麻雀を挑む、その意味がわかっているのか?」
    衣も余裕の笑みを浮かべていた、咲に負けたとはいえ麻雀の自信が失われたわけではない、咲クラスの特殊な相手以外なら今までどおり打てば勝利を疑う余地など無かった。
   「わかっているじぇ、でも私も天才だから負けない・・・それに、女には逃げちゃいけない勝負があるじぇ!」
   「ゆーき」「優希ちゃん」
    優希の目には決意の炎が宿っていた、それは誰にも止められないほど燃え上がっていて、優希の気持ちを知っている和と咲、だけではなく京太郎やまこも止められなかった。
   「有象無象など相手にする気は無いと言いたいところ・・・だが、良いだろう受けよう」
   「こ、衣!?」
    衣の言葉に驚いて、衣の方を見る京太郎・・・だが衣に先ほどの余裕の笑みは無く、真剣な眼差しで優希を見ていた。
   「京太郎、片岡は女の意地をかけて真剣に勝負を挑んできている、だから衣は絶対に引く訳にはいかないんだ、わかってくれ」
    衣の言うとおり、今の状況のまま何もせずに終わらせるのは無理なことだろう。
   「わかった・・・」
    京太郎もその空気感じ取り止めるのを止めた。
   「ちょっと部長、止めんでええんか!?」
    まこだけは納得できないのか、最後の希望である久に話を振る・・が。
   「やりたいなら、やればいいんじゃないかしら」
   「ちょ・・・たくぅ~、勝手にせい!」
    久の止める気の無さに、呆れたまこも止める気も無くなった。

    参加するのは、当事者である衣と優希、そして残る二人はくじで久とまこになった。
   「はぁ・・やれやれ」
   「すまない、京太郎」
   「いや、まあ・・いいよ、俺にも責任はあるしな、もう少し早く話していればな・・」
    優希の気持ちに気付いてやれなかったことに、京太郎も多少は責任を感じずには居られなかった。
   「衣・・そのな」
   「安心しろ京太郎、壊す気など無い・・片岡も京太郎の友達だからな」
    京太郎の心配そうな表情から言いたいことを読み取る衣、それを聞いて安心する京太郎だったが、次の衣の言葉に表情が曇る。
   「ただし、本気で倒しに行くがな」
   「衣・・・」
   「すまない京太郎、だがやはり京太郎との事は皆に祝福されたいと思う、衣の我侭だ許してくれ」
    本当にすまなそうに謝る衣を見て、京太郎は衣の頭を優しく撫ぜて笑った。
   「良いぞ、いって来い、本気でぶつかれば優希もきっと理解してくれるだろうからな、そして勝ってこい」


   「ありがとう京太郎、必勝を期する!」
    衣は開いる最後の椅子に腰掛ける。
   「じゃあ、ルールの確認よ、ありありで手持ちが2万5千、半荘終了時点に優希か天江さんの得点の高いほうが勝ち、どちらかが0を下回ればその場でそちらの負け、私達の得点は関係ない、で良いわね?」
   「万事了承、問題ない」
   「OKだじぇ」
    久のルール確認に同意する衣と優希。
   「あとは、天江さんが勝った場合、優希は天江さんと須賀君の関係を認める」
   「わかっているじぇ」
   「それで、優希が勝ったらだけど・・どうするの天江さん、別れるとかは無いはずだけど」
   「そうだな・・では、今後一切清澄には近づかず、清澄近辺で京太郎に会わない」
   「ほうぉ・・」「えっ、そ、そんな約束していいの!?」「天江さん・・」
    驚くまこ、咲、和に対して、覚悟を決めたのか京太郎は何も言わず衣を見守っていた。
   「それでいいじぇ」
   「両者納得したところで、始めましょうか」
   「全身全霊を掛けて、参る!」
   「こいだじぇ!」
    こうして衣と優希、女と女の意地を掛けた麻雀勝負が始まった。

   「リーチ一発ツモピンフにドラ2、6000オール」
    最初に上がったのは親である優希。
   「ふふ~ん、このままバリバリ良くじぇ」
    幸先の良いスタートにすっかりいい気になっている優希。
   (まあ、優希はスタートダッシュが得意じゃからな・・)
   (さてと、これで天江衣はどんな反応を・・)
    まこと久がと衣の様子を窺うが、衣は表情を変えずに居た・・・だが。
   「ふっ、これなら私の圧勝で認めなくてすみそうだじぇ」
    優希が余裕からの発言をした瞬間、衣は両目を大きく見開いた。
   「それは駄目だ、必ず認めさせる!」
   「!?」×6
   衣が言葉を発した瞬間、その場に居た衣以外の者は空気が変わるのを感じた。
   (な、なんですか、この感じは?)(これって、決勝の時にも感じた・・)
   (これが、天江衣!?)(すごいのぉ、よくわからんが・・体が震える)
   (な、なんだじぇ・・これは!?)
   (衣・・大丈夫だよな・・優希も、お前も・・)
    清澄女性が震える中、京太郎だけは衣と優希の身を案じ無事に終わることを願っていた。


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