ファントム

「○○は絶望して(とっくの昔に)死んだ。俺というファントムを生み出してな」

【名前】 ファントム
【読み方】 ふぁんとむ
【登場作品】 仮面ライダーウィザード
【名前の由来】 幻肢痛(英:phantom pain)
【一覧】 こちらを参照

【詳細】

『ウィザード』に登場する魔物の集団、及び人間の精神世界「アンダーワールド」に巣食う魔物の総称。

高い魔力を持つ「ゲート」と呼ばれる人間が絶望した瞬間、その者のアンダーワールドに誕生、ゲートをアンダーワールドから浸食し、内側から破壊する事で現実世界に出没する。
顕現したファントムは殺害したゲートの姿に擬態し人間社会に溶け込む事が可能な知能を持ち、警察官として働いていたファントムもいるが、
ケットシーのように有事以外は適当に暮らしているファントムも存在する。

ゲートの記憶を引き継いではいるが、人格自体は全くの別物であり多重人格化しているというわけでもなく、
花が好きで穏やかな青年だった人間から破壊衝動の塊であるフェニックスが生まれるという、生前の人間性はファントム化に際してあまり関係していない(一人だけ例外はいる)。

その存在は「魔力の塊」と呼ぶに相応しく、通常の武器は一切通用せず、魔法を使って倒す以外に方法がない。
そのためウィザードのような魔法使い(仮面ライダー)でないと対処が難しく、
その強力な力を有する一方で「ゲートを絶望させて新たな同胞を増やす」という目的のもと行動しているため大規模な破壊活動を行うファントムは少ない。

これはカーバンクルの指示によるものであり、同族を増やすことに乗り気なファントムは割りと少ない。
ゲートを大量に殺戮していたリザードマンのような存在や、めんどくさがっていたケットシーなどがいるくらいである上に、
同族による仲間意識も低く、ウィザードラゴンは他のファントムを倒すことに全く躊躇や抵抗を覚えている描写が無く、
ビーストキマイラに至っては自分の食事のために積極的に狩ろうとしている。

ファントムを増やすためにはゲートを殺さずに絶望させるという割りと面倒な手段が必要なため、
精神的に追い詰めようとして暗躍していたり特殊能力で周りの人間に危害を加えたりする個体が多いが、
回りくどい手段をめんどくさがってときに正面から襲いかかって死への恐れから絶望させようとする個体も存在する。


基本的に既に覚醒しているファントムは人型、彼らによってゲートのアンダーワールドで誕生したファントムは巨大な魔獣の姿をしている(後者が覚醒した場合、人型に縮小する形で変化されるのか、そのままの姿で現出するのかは定かではない)。

作中には上級ファントムとされる特殊なファントムが幹部として他のファントムに指示を出し基本的にその命令には従順だが、ケットシーリザードマンのような反抗的な個体も存在する。
また、上級のファントムはどのような基準で決まるかは不明で、一部のファントムは幹部に対してタメ口を聞くなど対等な関係でいる個体も存在する。
このことから幹部のファントムは白い魔法使いが自分の手駒として動かしやすいファントムを見出している可能性もある。

その姿と名前は神話や伝承の怪物に由来し、大昔に存在していたビーストキマイラとそれを内部に封じ込め魔法使いのアーキタイプとしての装備であるビーストドライバーを見るに、
太古からファントムは存在していたと思われる。
となるとゲートが絶望した際に自然発生していたのを、白い魔法使いが他のファントム達を使い急速にペースを上げていたと見るべきか。
基本的に一人のゲートにつき一体のファントムしか生まれないが、一度に複数のファントムを生み出すには日蝕の儀式「サバト」を行う必要がある。

理由は不明だが、警察の暗部は情報操作を行い、彼らの存在を公には秘匿している模様。

【余談】

声は二重で野太い声に加工され、本性を表す際に上記の台詞をお約束のように発言する。

「幽霊」の英語名(phantom)と勘違いしやすいが、名前は「幻肢痛」の英語名「ファントムペイン」に由来している。

脚本家を務めたきだつよし氏が「幻覚を見せて人間を絶望させる存在」という事で名付けたが、「長い」という理由でプロデューサーである宇都宮孝明氏が省略した。
その際にきだ氏が『イナズマン』に同名の組織がいる事を宇都宮氏に指摘したが、本人は知らなかった為にそのまま決定した模様。

「幻肢痛」は人間が何らかの理由で身体の一部を欠損し、失った筈の部位から来る痛覚に苦しむ病とされる。
実際は感覚神経を扱う頭脳の一部の変異により他の箇所の感覚を認識し、脳の誤作動に過ぎない為に現在ではリハビリで治療できる。

このように現代医学では解明されている症状だが、「本来存在しない筈の『無』から生まれる」という彼らを比喩するのに相応しい表現と言える。

デザイナーを務める丸山浩氏は長年、平成ウルトラシリーズを担当した経験があるため、一部のファントムには『ウルトラマンティガ』以降のウルトラ怪獣の意匠が見られる。

人間から敵が生まれる設定は『仮面ライダーW』から『仮面ライダーフォーゼ』、人間に化けて暗躍する敵は『仮面ライダーカブト』のワームや『仮面ライダーキバ』のファンガイアと同様となっている(今作は前者のように元になった人間は助からない為、後者で度々描かれた「人間との共存」はできない為に絶対に倒さなけばならない存在となっているが、ワームに至っては擬態元の人間が必ずしも命を落としている訳ではない)。


更に特定の人間の心に漬け込み、相手の強い記憶で構成された無人世界に誕生し、人間の姿で声を変えてまで正体を隠している

他のシリーズのを持つ怪人と違い、2クールを過ぎた現在でもレギュラー以外の女性怪人や人間態が描写されていない怪人が登場していない。

テレビ朝日公式サイトでは『仮面ライダー555』のオルフェノクや『仮面ライダー剣』のアンデッドと同様、バックナンバー型からアイコン整列型に切り替わっている。

巨大ファントムの紹介は編集に時間が掛かる為なのか、最初は名称と説明文だけの場合が多い。

『ウィザード』の世界ではファントムが神話などの伝承を生んだ可能性もある。
ビーストドライバーに封印されていたビーストキマイラのような例を見るに、古代から自然発生した可能性も捨てきれない。

最終更新:2023年03月15日 00:49