ロイミュード

「午後3時32分、ロイミュード108体、撲滅完了。」

【名前】 ロイミュード
【読み方】 ろいみゅーど
【登場作品】 仮面ライダードライブ
【名前の由来】 「人造人間(英:android)」と「突然変異体(英:mutant)」を重ね合わせた造語
【一覧】 主な登場個体はこちらを参照。
すべての個体はこちらを参照。

【残存数】

残り0体。撲滅、完了。


【詳細】

蛮野天十郎が作り出した総勢108体存在する増殖強化型アンドロイド。

その起源は約15年前に始まり、当時その開発に行き詰っていた蛮野はその打開策として当時はまだ親友だったクリム・スタインベルトに協力を依頼し、彼の発明した「コア・ドライビア」を動力源として導入することで完成に漕ぎ着けた。
このコア・ドライビアは従来のエンジンを超える強力な動力システムではあるが、「高稼働させる事で重加速を引き起こす」という重大な欠陥が存在していたため、これを組み込んだことでロイミュードは重加速を発生させる能力を獲得。
この欠点の危険性を承知していたクリムは、後に開発する仮面ライダーのシステムにもコア・ドライビアを組み込むことで重加速を相殺出来るように対処を行った。

だが、完成した時期に前後してとある青年実業家に融資を断られた蛮野は初期に完成した個体のうち、002に彼の姿をコピーさせ、耐久実験と称して拷問まがいの行為を行っており、それをクリムに知られたことで袂を分かつことになる。
さらに妻と子供達にも去られていた蛮野は完全に人の道を踏み外し、ロイミュード達に悪の心を植えつけた。
その結果反逆の意思に目覚めた001~003の3体が彼とクリムを殺害し、配下のロイミュード達を引き連れて、重加速を用いた人類に対する大規模なテロ「グローバルフリーズ」を実行する。

しかし、ドライブドライバーに意識をダウンロードしていたクリムは強化ロイミュードとしてプロトゼロを開発し、彼用の戦闘装備として「プロトドライブ」とシフトカーの運用形態を整え世界各地で暴れるロイミュード達を撃退。
グローバルフリーズを失敗に終わらせることに成功するも、当時のプロトドライブはロイミュードの肉体こそ破壊できたが、コアを壊せるだけの性能がなく、完全に滅することは不可能だった。
そのためグローバルフリーズが失敗に終わったあともコアのみ生き残ったロイミュード達は数年の間息を潜め潜伏することになる。
十二分な大打撃を与えられた彼らは、プロトドライブを「仮面ライダー」と呼称して畏怖し、水面下で再び第二のグローバルフリーズを引き起こすための力を蓄えていた。

その為に現在はその反省点からかつてのような早急な一斉蜂起ではなく、幹部以外の下級ロイミュードの一部が実体化して暗躍し、ある程度進化したロイミュードの人員を集めてから再び人類への反逆を目論んでいる(人間社会で目立つ悪事を働けば、幹部の執行によって「データに還元される」というルールがある)。
最終的には進化態を約束の数揃え、第二のグローバルフリーズを引き起こすのが目的と語られていた。

ロイミュードの本体はそれぞれ3桁の数字で割り振られた序列を象る数字型のエネルギー体。
それがバイラルコアというシフトカーにも似たアイテムを元に肉体を作っているに過ぎず、それぞれの個体は胸部のプレートにその序列を表示している。
この序列が進化していない下級ロイミュードなどでは名前として機能しており、「029(ぜろにーきゅう)」などと呼ばれているが、進化した個体は「ペイント」や「クラッシュ」などと怪人名のファーストネームで呼ばれている。
ただし、実際には「名は体を表す」という言葉通り、その進化後に得た名前が自分達の能力を意味していることから、仲間内でも進化態の能力を伏せている連中に対してはコードネームとしてのナンバーで呼ばざるを得ないケースもある(37話の時点の006、008)。
また、警察組織がマスメディアに向けた公表、つまり世間一般では「機械生命体○○○(序列)」と呼び名で事件が扱われている(グロンギにおける「未確認生命体第○号」という呼び方のオマージュだろうか)。

なお、本体であるコアだが、攻撃を受ける事で肉体が消滅してもコアが無事なら新たなバイラルコアを与えられる事で何度も復活できる。
上記の通りプロトドライブがロイミュードを殲滅しきれなかったのもこの特性故であるが、より強力な攻撃の場合はその精神体も完全に消滅する。主に仮面ライダーの必殺技が該当するが、
時折それ以外の強烈なダメージを受けると肉体ごとコアが消滅し滅び去っている個体も何体か確認されている。
ちなみに数字の精神体も触れることができるなど質量が存在するようだ(001のコアが海に落下した際水飛沫が上がるのが確認できる上、コアを仮面ライダーが「掴む」描写がある)。

ハートの独白によれば、その最終目的は「『機械』とは別物の新たな『種』としてこの世界に樹立する事」らしい。
その進化の過程として各々が人間の「欲望」や「欲求」の学習を生業とし、普段は目を付けた人間の姿に偽装している。

人間に擬態する際は特殊な表皮に覆われ、人間の皮膚の質感は勿論、脈の鼓動なども完璧に偽装でき、擬態された本人の記憶までも読み取って完璧にコピーしている。
その為に(『仮面ライダーカブト』のワームなどのように)外見から「人間に擬態したロイミュード」という事を見破るのは至難の業となる。
なお製作者である蛮野によるとロイミュードは自分達で増えることは出来ないという。本体がコアというデータの存在であるが、それをコピペすることは出来ないらしい。
記事の上部にもあるが、「増殖強化型アンドロイド」の増殖とは何をさすのだろうか?

一部のロイミュードは自身の進化を促そうと擬態した人間の意思や思想に従って行動しているケースが多く、その因果律からコピーされた人間自体が悪人だったり、自らロイミュードと共謀する事も少なくないが、
その逆で(共感する部分が偏っているものの)072のように善人との接触で穏健派に寝返った例もある。
上記の通りロイミュードの悪の心はあとから植え付けられたものであるため、むしろ協力関係にあったりその事件に関係していた人間のほうがロイミュードを超える外道であった場合も少なくない。
むしろ最初に植え付けられた感情が悪意だっただけで、ロイミュードは学習した要素によってはどんな存在にもなりうる、上手く共存できれば人間社会にとって非常に有益な生命だったとも言える。

ベルトさん(ドライブドライバー)によれば、「『人間に奉仕する使命を持ったシフトカー』とは対となる『人間に破滅を齎す存在』」らしい。
進ノ介はドライブ(シフトカー)が「重加速中」という彼らと同様の環境下で活動できる事から「あんた(ベルトさん)と深い関わりがある」、「下手すりゃ出所(起源)が一緒かもな」と疑っていたものの、
その経緯を知ってからはベルトさんの気持ちを理解しつつも、ロイミュード全てを一概に悪と断罪できず複雑な心境となっている。

一般的に3種類の生物のいずれかの姿をした下級ロイミュードが存在し、彼らが一定の人間から何らかのデータを吸収する事で進化態への変貌を遂げる。
25話からは001が開発したネオバイラルコアを用いて人間と融合しより強力に進化した融合進化態が登場。
さらに中盤から示唆されていたロイミュードが獲得した感情を最大限まで高めることで到達する超進化態が登場。
上記の約束の数も、地球全土を重加速で包むために必要なコア・ドライビアを持つ超進化態が4体必要であったための数であることが判明する。

正式な単語を聞き間違えた警視庁捜査一課、警部補の追田現八郎は回を追う毎に変な名前(「ロリショージョ」「モエニュウドウ」「コイニョーボ」「ロイモーチョ」など)で呼んでいるが、実は「記憶改竄の能力を有する001の影響」という視聴者も予想しなかった伏線だった事が判明する(当初は次第に原形を留めていない点から霧子に「わざと(間違えている)」と指摘され、本人はシーカー柄みの事件で暴走した際に「どいつもこいつも俺が怪物の名前をちゃんと言えない事を馬鹿にしやがって」と憤っていた)。

主に悪事を働く際は人間を無抵抗にしようと重加速を発動する傾向があり、ロイミュード絡みの事件を調査している特状課は事件現場に残留している「重加速粒子」から痕跡を辿る事が多い(しかし、意図的に重加速以外の固有能力で暗躍する個体も存在し、必ずしもその方法で足取りが掴めるとは限らない)。
更に「本体が肉体を持たずに電脳空間に潜伏している間は特殊な痕跡を残してしまう」という欠点があり、第21話で警視庁特状課客員ネットワーク研究家の西城究はその法則を発見し、彼の手によって新たに潜伏経路を割り出す手法が開発された(これに関してはベルトさんも「彼はやはり天才だ」と感服している)。

第11話で「各国のロイミュード幹部達が沈静化している」というベルトさんの台詞から既に複数が幹部(上級)に進化し、世界規模で暗躍している事が示唆されている。
日本以外の国ではシフトカー軍団と衝突していたらしいが、それらも全て「第2のグローバルフリーズ」を発現させる為、日本にいるハートの下に集まって来ている。

しかし、仮面ライダーによって超進化したフリーズとブレン(ただし辛うじて生存)が立ち続けに敗れ、さらにブレンが所有していた蛮野の意志が宿るタブレットを剛に奪われたことから、37話でリーダー格のハートによって「仮面ライダー及びそれを支援する警察組織(特状課)の打倒」、「蛮野の意志が宿るタブレットの奪還ないしは破壊」、「より早急な超進化態の収集」という3つの行動方針が啓示された。

物語が進むに連れ、ロイミュードを仲間と認識するハートや、072などのようにコピー元の影響を受けて善人になってしまう個体が存在するように、ロイミュードを一概に悪と断言できない描写が増えてきたが、
それもそのはずであり、ロイミュードの持つ悪の心は上記の通り蛮野博士が後付で植えつけたものであり、ある意味後天的なものだった(これまで多くのロイミュードを倒していた進ノ介も、最期を迎えようとしたハートや彼らの心に共感し、「ロイミュードは人間の悪意に沿ってしまったただけの被害者」と訴えている)。
ハートにはその悪の心を植え付ける前にすでに人間体を得ていたこともあり、他のロイミュードとは若干異なる精神構造を獲得している。

その多くは仮面ライダー達によって撃破され、108体いた個体も終盤では残り少なくなり、最終的にシグマサーキュラーとの戦いで致命傷を負っていたハートが消滅したことでプロトゼロ、サイバロイドZZZを含む全てのロイミュードの撲滅が完了した。
だがアニマシステムを使い人間の感情を集めることで復活した005のように、今後復活する個体がないとも言い切れない。
劇場版MOVIE大戦ジェネシスでは進ノ介達が過去に飛んだバタフライ・エフェクトによりハートら大勢のロイミュードが一時的に復活した。

またドライブサーガ第2弾にて、沢神りんながプロトボディを復元(?)し、複製したドライブドライバーと世界に散らばったロイミュードの情報を収束するシフトカー型の装置を開発。
それを元にチェイスを復活するための実験を行ったが、失敗し何故かハート、そしてブレンとメディックの意識が復活。
それに纏わる事件が描かれる。

【余談】

『ドライブ』本編の物語が西暦2014年の出来事と仮定すれば、ロイミュードの起源は1999年に始まった事になる(同年はノストラダムスの人類滅亡の預言で有名な年号となり、『仮面ライダーカブト』で渋谷に隕石が落下した年でもある)。

各種のモチーフは一言で言うと「職業怪人」、或いは「スキル怪人」という事で人間から学習して吸収した「人間性」や「才能」がそのまま体現した怪物に変化する。

公式完全読本『マキシマムイグニッション』によれば、クリーチャーデザインの共通点として「思考が読み取れない不気味さ」を醸し出すよう下級や幹部を含め殆どのロイミュードたちが敢えて目(瞳)が無いように造形され、また有機的な人間たちをコピーした生物的な部分と無機質な機械生命体である部分の両面を強調しようと、とくに背面の脊髄パーツが機械的なモールドでリアルにデザインされている(マントなどで背中が隠れる個体を除く。なお、冗談混じりのコメントだが対談によれば後者は着ぐるみスーツのチャックも隠せるという利点があるという)。
当初は進化態の数は絞り、下級ロイミュードで話を回す予定だったと言うが実際には実現しなかった。

しかし後に竹谷隆之が再びクリーチャーデザインを担当する仮面ライダーギーツではその構想が復活、あるいはリベンジ目的なのか下級怪人に相当する存在が実際に人間のような衣服を着用する「コスプレ」めいた派生怪人が登場しまくるようになった。
ルーク、ビショップと上位個体も存在しているが、ポーンが一番派生が多い。
ロイミュードとジャマトは人間の都合で生み出され、それに振り回される怪人という共通点が有る。

脚本家である三条陸氏によれば、「前作怪人の「植物+バイオ生物」という要素と差別化するように構想された怪人にした」らしい。

最終更新:2023年07月08日 16:35