ナリズマ・シボンズ

「知らねえよ。ま、化けの皮になったって事は…死んでんだろ」

【名前】 ナリズマ・シボンズ
【読み方】 なりずま・しぼんず
【声/演者】 高階俊嗣/秦野浩孝
【登場作品】 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
【登場話】 ♯44「見つけた真実」
【所属】 異世界犯罪者集団ギャングラー
【分類】 ギャングラー怪人/ステイタス・ダブル
【武装】 シーホースナイパー
【犯罪歴】 身分偽装、機密情報漏洩
【犯罪技】 シーホースナイプ
ルパンコレクション①】 「人形遣い~Le maitre des marionnettes~」
【ルパンコレクション②】 「万人の声~Un million de voix~」
【金庫/識別番号】 右胸/「310」
左胸/「930」
【化けの皮】 東雲悟
【人間界での犯罪内容】 国際警察に侵入し機密情報を漏洩。また東雲悟になりすまし国際警察、及び高尾ノエルの口封じ
【生物モチーフ】 タツノオトシゴ
【その他のモチーフ】 保安官、海藻
【名(名前)の由来】 なりすま
【姓(名字)の由来】 タツノオトシゴ(英:seahorse)
【暗証番号の由来】 不明

【詳細】

タツノオトシゴのような姿のギャングラー怪人。

胸部に金庫を2つ持つステイタス・ダブルに分類される怪人であり、右胸の金庫にはあらゆる人間の声を再現する「万人の声~Un million de voix~」、
左胸の金庫には「しなやかな心~Le c?ur elastique~」を格納していたが、トカゲイル・ナクシャークが持っていた「人形遣い~Le maitre des marionnettes~」を強奪して格納している。
なお「しなやかな心」は後述する状況を利用するためトカゲイルに正体を伏せて譲渡した。

海馬銃シーホースナイパーという狙撃銃で武装しており、体を操るタクト型の「人形遣い」を駆使することで最低4人もの人間の体を自由自在に動かしてしまうことが可能であり、
「万人の声」を使うことで他人の声を完璧に模倣する。
化けの皮はあくまで外見を偽装するもので、声自体はごまかせないが、ナリズマはルパンコレクションの力で声を変えてしまうことで完全なる擬態が可能なギャングラーである。
トカゲイルから元からあったコレクションを押し付ける形で「人形遣い」を強奪した理由は定かではないが、恐らくは…

化けの皮は線の細い男性、東雲悟。
彼はVSチェンジャーを始めとするルパンコレクションが配備される前のかつて国際警察のメンバーであり、咲也の前任者である元パトレン2号であった青年。
現在は日本支部を離れ国際警察の本部があるフランスに戻っていた悟の身分を悪用し、化けの皮をかぶって彼になりすまして国際警察の内部から様々な重要機密を盗み出してはザミーゴ・デルマに横流ししていた。
情報漏洩を行ったのはナリズマだが、ギャングラーの中で情報屋として通じていたのはザミーゴであり、化けの皮の選別もザミーゴが国際警察の情報を盗み出すのに的確な人間の皮を選んで渡したと思われる。
最も正体発覚が終盤だったため、ナリズマ自体もこういったことを商売かなにかとして日常的に行っていた可能性も否めない(そもそも最初から持っていたのが変声機のコレクションな時点でお察しという話である)。

ナリズマは物語が始まった直後からギャングラーに情報を流しており、フランス本部から移送されてきたサイクロンダイヤルファイターとトリガーマシンバイカーの情報や、
日本支部に保管されていたギャングラーの金庫の在り処司法取引して逃げようとしていたギャングラーの護送ルート等、様々な情報を入手してはギャングラー側へ漏洩させていた。

だがその事実を元々フランス本部にいた高尾ノエルが嗅ぎつけたため、彼の始末を目論んで来日。
手始めにトカゲイルを騙して「人形遣い」を入手すると、代わりに自分が持っていた「しなやかな心」をノエル名義でトカゲイルに送りつけ、「万人の声」を使ってヒルトップに成り済ましトカゲイルのアジトにノエルを誘導。
単純にノエルからコレクションを譲られたと喜ぶトカゲイルとノエルが居合わせる現場を国際警察のメンバーに目撃させることで、ノエルがスパイである証拠とし合法的に抹殺できる状況を整えた。

事前にフランス本部から帰国してきたかつての同僚という体裁でつかさや圭一郎と接触したナリズマは、
情報漏えいの犯人は高尾ノエルだとしてトカゲイルの隠れ家に誘導し、自分の言葉が本当であると信じ込ませた。
そして「人形遣い」の効果でノエルの体を動かしXチェンジャーを発砲させると、もはや言葉だけでは弁明はできないとノエルも悟りその場を逃走。
圭一郎からVSチェンジャーを奪い取ったナリズマはノエルを追跡し、始末しようとしたが仕留めきれずに圭一郎と合流。

ノエルがスパイであることを認めたがらない圭一郎に苛立ちつナリズマだったが、その苛立ちに違和感を覚えた圭一郎は悟に化けた者の正体に気が付き、
つかさと咲也は情報が漏れていたのは日本支部からではなく、ノエルが来る前から起きていたことに気がついたことで彼がスパイでは無いことに思い至る。

そして埠頭に呼び出され、3人から問い詰められるが逆にそれを好機と捉え彼らを殺そうとして「人形遣い」で体を操ってお互いに銃口を向けさせる。
だがその場にノエルもおり、彼の攻撃でコレクションの効果が中断された上、正体を見抜かれたことで化けの皮を壊されギャングラーとしての正体が露見。

ナリズマはあくまでザミーゴから手に入れた化けの皮であった人間のポジションを利用しただけで誰であったかは興味がなく、
悪びれず化けの皮にされた悟が既に死んでいることを国際警察に告げ、怒りに燃えるパトレンジャーとパトレンエックスと交戦に入る。

彼らの猛攻に圧倒されるも「人形遣い」の効果で彼らの動きを止めたが、ルパンレンジャーたちが乱入して手早くコレクションを奪取。
これによって防御手段を失ってしまい、去り際にスーパールパンレッドがサイレンストライカーを起動したことでルパンエックスはスーパー化。
さらにふらっと現れたグッドストライカーの力で一致団結したパトレンジャーはU号に合体し、イチゲキストライクとスーパースペリオルストライクの同時攻撃を受けたことで敗北、爆散した。

その後現れたゴーシュ・ル・メドゥのコレクションの力で巨大化。
自分を倒した国際警察の面々に対する怒りに燃え、エックスエンペラースラッシュ、パトカイザーと巨大戦を繰り広げる。
だがエックスエンペラーはガンナーへとスイッチし、サイレンストライカーをパトレンエックスから渡された1号はそれを使ってサイレンパトカイザーへとパワーアップ。
パトレンジャーサイレンガンナーストライクと、エックスエンペラーガンナーストライクを叩き込まれ、警察に化けたことを後悔する言葉を残し撃破された。

その様子を見ていたザミーゴは貴重な情報源が消えてしまったことを一瞬嘆くも「まあ、いいか」と彼の事をどうでもいいように立ち直り、
化けの皮が人間で作られていることを知った国際警察はかつての同僚に事件の解決を強く誓うこととなる。

悟として振る舞っていたときは理知的な言動だったが、端々に元来である粗暴な気性が見え隠れしており、
今までどちらか一方に肩入れせず中立を貫き、喧嘩の仲裁をしていたもともとの悟の性格を熟知していた圭一郎はそこから正体に感づくことになる。
音楽を好んでいた悟が、音楽プレイヤーとイヤホンをつけていながら、プレイヤーには音楽データが入っていなかったのも、偽物であることを裏付ける証拠となった。

フランス本部に潜入するにあたり、ある程度悟の人となりや好み等を調べていたと思われるが、ナリズマは音楽を聞く余裕も落ち着いた心もなく、
自分の目的のために仲間であるはずのトカゲイルを捨て石に使う等、本物の東雲悟とは正反対の極悪な怪人達が揃うギャングラーの中でも屈指の外道であった。
予めノエルに濡れ衣を着せるための状況を作り出すため、トカゲイルからそれに必要なコレクションを強奪し、代わりに自分のコレクションをノエル名義で送りつけることで、
合法的にノエルを抹殺可能な状況を作り出していることから、計画立案能力は優れていたと見える。
その一方で圭一郎の葛藤から計画がうまくいかなくなるとすぐに苛立つ等、隠しきれない短気さが仇となる形となった。
なおノエルはフランス本部を調べるのと同時期に悟が来日してきた上に、自分に敵意を向けていたためスパイが彼であることはすぐにわかったようだが、化けの皮を被ったギャングラーとは信じたくなかった模様。
国際警察の本部にいたということは、もしかすると僅かな期間であっても同僚で顔見知りだった可能性もある。

断末魔は警官に化けたことを後悔するものだったが、仲間を利用したことに対する罪悪感等なく、終始自分勝手な言動を貫いたキャラクターだったと言えるだろう。

【余談】

モチーフとなった生物は、その外見から高い知名度を持つタツノオトシゴ。
名前の由来も彼が劇中で行っていた身分詐称、つまり成り済ましと、タツノオトシゴの英名であるシーホースをもじったものと思われる。

上述の通り様々な情報や物資の横流しに関与していたと見られ、クラッシュブラザーズの二人が何故かトリガーマシンを手に入れていたのもフランス本部からナリズマが横流しした可能性が高い。
序盤にてサイクロンダイヤルファイターとトリガーマシンバイカーが日本支部に来るという情報をザミーゴを通してデストラに伝え、彼の舎弟であるブンドルトが強奪に動いたこともあり、
似たような手段を持ってクレーン&ドリルを横流ししたのだろう。
クレーン&ドリルはグッティが見ないうちに引き金付き=トリガーマシンに改造されており、国際警察フランス本部でノエルがVSチェンジャーやトリガーマシン等パトレンジャーの装備を作っていたことも考えると、
ノエルがトリガーマシンに改造したクレーン&ドリルをナリズマが掠め取ってギャングラーに横流ししたと思われる。

またピョードルも何者かからの情報提供を受け国際警察の日本支部を洗脳した咲也を使って爆弾でふっとばそうとした事案も、ナリズマの情報提供である可能性が高い。

ルパンレンジャー側からは単なるコレクションを2つ持ったギャングラーという接点であったが、快盗達がノエルを本心から仲間であると受け入れるきっかけになった存在、
パトレンジャー側からは「化けの皮が何で作られているものか」という真実と、これまでギャングラー怪人が化けていた人間たちが既に殺されてしまっていることを知ることとなった重要な存在である。
パトレンジャーは化けの皮の外見から都内で発生した連続消失事件の本質と、その被害者の中に快盗達の身内がいたこと、ノエルの「コレクションを揃えて大切な人を取り戻す」という発言から、
快盗達の正体を確信するという、直接的にしろ間接的にしろ、今まで曖昧だった両戦隊の距離を一気に縮めたストーリー中でも重要な役回りのギャングラー怪人となった。

『VSアルティメットコレクション』によると、デザイナーはこのような悪人顔をデザインしたかったという理由から『タツノオトシゴ』をモチーフにしたという。
元々タツノオトシゴ自体擬態能力に秀でた生物であり、「海藻への擬態」繋がりで海藻状のコートをしているが、デザイナー本人は単なる通常怪人として意識しており、まさか擬態能力を駆使した重要な位置づけにいるとは予想だにしてなかったらしい。

最終更新:2019年10月18日 02:04