アナザーブレイド

【名前】 アナザーブレイド
【読み方】 あなざーぶれいど
【声/俳優】 梶原ひかり
【登場作品】 仮面ライダージオウ
【登場話】 EP29「ブレイド・ジョーカー!?2019」
EP30「2019:トリニティはじめました!」
EP43「2019:ツクヨミ・コンフィデンシャル」
【分類】 アナザーライダー
【変身者】 栗原天音
【特色/力】 大剣を操る
【モチーフ】 仮面ライダーブレイド、スペードマーク

【詳細】

スウォルツが所持していた「アナザーブレイドウォッチ」を受け取った白ウォズが、栗原天音に埋め込むことで作り出した「仮面ライダーブレイド」の力を持つアナザーライダー

仮面ライダーブレイドの大まなか外見をなぞりつつ、全身のいたるところにスペードマーク型のパーツが配置され、
アンデッド共通のレザー風の装飾が施された下半身の形状と、オリジナルに比べ大幅にボリュームアップした上半身が特徴的。
これまでのアナザーライダー同様、瞳と歯をむき出しにした口がデザインされているが、このアナザーブレイドの両目はバイザー等で覆い隠されておらず、
口元も轡のようなものが噛まされている等、従来のアナザーライダーの共通要素から一歩外れた姿をしている。

このような大柄な姿からはとても変身者が女性だと判別するのはほぼ不可能であると言える。

これほどまでにマッシヴな上半身は、複数のアンデッドを思わせるパーツで構成されており、カブトムシか三葉虫のような節のある頭部、両肩から突き出たともとも見えるパーツ等、スペードスートに属するアンデッドの集合体のようでもある。
他にもアンモナイトや、上記の人間のような瞳、大柄な体格はライノセラスアンデッドエレファントアンデッド等大型動物のアンデッドを意識したのでは無いかとも言われている。

ジョーカーがベルトにカードを通せばあらゆるアンデッドに変身出来るが何者の祖でもない独自の立ち位置にいるのに対し、オリジナルのブレイドはアンデッドとの融合を繰り返すことで最終的に自身も新たなジョーカーになってしまった。
アナザーブレイドのデザインを通してみると、「アンデッドにおけるジョーカー」という存在をベースに様々な角度からそれを仮面ライダーブレイドの姿に詰め込んで仕上げたかのようにも受け取れる。
  • 最終話で剣崎一真はジョーカーとなったもののこれまでと変わらずブレイドにも変身できる=逆算的にブレイドはジョーカーであるとしアンデッドを無理やり寄せ集めて作り上げた新たなアンデッドとして原作最終回のジョーカー化したブレイドを示してる。
  • 人間の瞳が見えることから、素体となる人間を複数のアンデッドで封じ込め、バトルファイトの運命に逆らえないよう閉じ込めている(運命に逆らうのではなく、囚われている)。
  • 変身者が原典にも登場した栗原天音であることから、バイザーなどに覆われていない瞳は「始に会いたい」という天音の思いが反映されている。
  • 瞳が隠れていないのも目を見開いて始を探す姿勢の表れであり、前述したアンデッドに封じ込められた人間も、目的とは裏腹にバトルファイトの運命に巻き込まれてしまった人間(栗原天音)を示している(♡2のスピリット・ヒューマンのカードデザインは「鎖で束縛された人間」)。
等、仮面ライダーブレイド、ジョーカー、アンデッド等諸々の要素を一つにまとめあげた「ブレイドの別側面」。

胸部装甲は向かい合った3つのスペードのようでもあるが、スペードがひっくり返ったことでカリスを意味するハートマークになっているようにも見え、
腹部側にある装甲にはひっくり返り簡易化されたジョーカーの紋章が刻まれている。後述する強化状態では残る胸部側にも右胸にハートマーク、左胸にジョーカーの紋章が出現した。
最初からあったジョーカーの紋章は、ジョーカーの逆位置、新たに生まれた正規のジョーカーの対となる存在になったブレイドのことを表していると見える。

世界と友を守るためアンデッドになり、代償に友と二度と会えなくなったオリジナルのブレイド」のアナザーライダーが、「自分を置いていなくなってしまった大切な人を探そうとしている」というのは最高の皮肉であると言えるだろう。

武器としてアナザー鎧武のように巨大な剣を装備し、これを振るう接近戦を得意としている。
この剣はトレイを展開したブレイラウザーを思わせるが、トレイが丸鋸のようになり、本来のブレイラウザーに比べると大幅に巨大化している。
また腹部からディアー・サンダーと思われる強力な雷撃ビームを発射したり、大剣の切れ味を一時的にブーストするなど、
ブレイドが使っていたラウズカードの能力を引き出して攻撃できるようだ。
これら、ラウズせずカード能力を使用できるのはキングフォームの力であり、全体的に大柄になっているのはキングフォームもデザインに組み込まれているからだろうか。

「BLADE」という名前と、年号は背中に刻まれているのだが、何故か年号は「2004」ではなく、「2019」であり…

初登場はEP29。
始がいなくなってからもハカランダで思いを押し殺しながら生活していた天音の前に、白ウォズが現われアナザーウォッチを埋め込むことで彼女をアナザーブレイドへと仕立て上げる。
アナザーライダーとなった影響で始と会いたい天音の感情が暴走し、カメラマンだった始が関係するフォトスタジオを次々に襲撃していた。

始を探して彷徨うアナザーブレイドは一般人を巻き込む攻撃も容赦なく行い、ジオウを相手にしても一歩も引かない攻防を繰り広げる。
タイムブレークが直撃し大きなダメージを受けるも、すぐに起き上がって行動を再開するという正にアンデッド染みた不死身のタフネスを発揮。
どうにかアナザーブレイドの攻撃に対処するためジオウは鎧武アーマーを装着し、手数で押していく。

そうして繰り広げられる戦いの最中、突然後ろから待った、の声がかかる。ジオウが振り返ったそこには…アナザーブレイド=栗原天音が探し求めた相川始の姿があった。
始は仮面ライダーカリスに変身し、スピニングダンスでジオウ鎧武アーマーをノーマル状態に戻してしまう。

そして、さらにその場には再開してはいけない存在、仮面ライダーブレイドこと剣崎一真の姿があった。
天音をジオウの攻撃から守るため、再びジョーカーの力を使ってしまった始だったが、そのことでもうひとりのジョーカーである剣崎もまたその場に呼び寄せられてしまい、
昂ぶるジョーカーの闘争本能から、変身したブレイドとカリスは激しい戦いを開始してしまう。

続くEP30ではブレイドが発動したライトニングソニックを庇ったカリス諸共食らって変身を解除。
カリスはもとよりブレイドも変身者が天音であったことを確認して動揺する。
それ以上戦闘を続ける訳にはいかないためカリスは撤退し、天音もそれを追って走り去ったため、その場には事態を把握出来ず右往左往するジオウとただ立ち尽くすブレイドが残された。

その後クジゴジ堂に一真を連れて行ったソウゴらは彼の話から、仮面ライダー剣の物語で起きたバトルファイトの顛末を聞き、
白ウォズの目的が二人のジョーカーに縁がある天音をアナザーライダーに仕立て上げることで、バトルファイトを再開させ、それを利用して世界を滅ぼすことであることを悟る。

そして白ウォズはノートに一真と始が出会うよう書き込み、それを止めようとする天音が取り込んでいたアナザーブレイドウォッチを再起動したことで彼女はアナザーブレイドに変身。
彼女の意識は奪われ、天音を相手には本気で戦えないブレイドとカリスを圧倒し変身解除に追い込むと同時、二人からジョーカーの力を奪い取ってしまう。

アナザーブレイドという「ジョーカーが一人」の状態になったことでバトルファイト決着の条件が整い、虚空に統率者のモノリスが出現。
無数のジョーカーに似た生命体が蠢くモノリスは周囲を曇天に変えてしまい、世界終末のカウントダウンが始まってしまうかに思われた。
だが過去のわだかまりを捨て、新たな未来を創造するため心を一つにしたウォズとゲイツの元に、白ウォズからジオウトリニティライドウォッチを受け取ったジオウが駆けつける。
そのままジオウトリニティライドウォッチをジオウが起動するがその途端、しし座のレグルスから暖かな光が注がれモノリスの発生させた暗雲を消し飛ばし、それを浴びたゲイツ、ウォズがウォッチを起動したジオウを中心に合体し、仮面ライダージオウトリニティが誕生。

三人のライダーの力を結集させたジオウトリニティの力にただ圧倒され、トリニティタイムブレークバーストエクスプロージョンを受け大爆発。
アナザーブレイドウォッチは砕け散ると同時に、その場にはブレイドライドウォッチとカリスライドウォッチがこぼれ落ちた。

「アナザーライダーは正規の仮面ライダーの力を奪う」という特性が現代で発揮されたため、仮面ライダーの力を奪われた剣崎一真と相原始はジョーカーとしての力を失っており、統率者も消滅。
探し求めた始と和解した栗原天音は自分の世界を探してみることを彼と約束し、始もまた改めて彼女を見守ることを誓い、
すべてを捨てて苦渋の決断をした一真もまた、ソウゴに向けて「ようやく未来に進める」と嬉しげに語り、十数年後しの「未来」に仮面ライダー剣の物語の「悲しみは、終わることになった」のである。

EP43ではアナザージオウⅡが生み出した個体が登場し、決戦に投入されている。
だが絆を取り戻した仮面ライダーたちには歯が立たず、ウォズギンガファイナリーの超ギンガエクスプロージョンで他の個体共々まとめて撃破された。

【余談】

『セレブレート ジ ジオウ コンプレーション』によると、カブトムシがモチーフの仮面ライダーだが後に登場するアナザーカブトと差別化するため、刺々しい「甲冑」の要素を重点に置き、アンデッドのように痛々しくビス止めで固定している。
デザイン当初は誰が変身するのか定まっていなかったが、本編要素を敢えて補足するなら「初期の頃の相川始のギョロ目」とのこと。
ブレイドになってしまった始(=ジョーカー)といったところか。

変身者が女性であるはじめてのアナザーライダー。
他作品のゲストキャラがアナザーライダーに変身するのはアナザーオーズという先例がいるが、このアナザーブレイドに変身しているのは、
原作にも登場していた栗原天音である。
なお天音は劇場版MISSINGACEでも邪神14復活の鍵としてアルビノジョーカー、及び彼が復活させたアンデッド達に狙われており、キーキャラクターとなっていた。
時間軸が異なる劇場版とジオウ本編で天音がキーとなって仮面ライダー剣の物語をそれぞれTV本編と異なる結末を迎えることになったのも興味深い話である。
また天音を演じた梶原ひかり女史は『仮面ライダーフォーゼ』にてアルター・ゾディアーツのスイッチャーとして出演している他、さらに昔の『仮面ライダーW』でもドーパントの被害者役として出演している。
なお後に女性変身者として釈由美子女史が変身したアナザーキバが登場した。

背中に刻まれた「2019」の刻印、変身能力が失われていないブレイドとカリス、ラウズカードが効力を有している=アンデッドの存在が生き続けている等、何故か歴史改変が行われていないフシがある。
白ウォズはゲイツが自分の思い通りにならないことから「世界を破滅させるしか無い」と告げており、
このアナザーブレイドを作り出したのも、出会ってはいけないジョーカー同士を再び集結させることでバトルファイトを再開させるのが目的であった。
歴史改変が行われていないのは、公式サイドによると新たなパラドックスが発生しているのが関係しているともされているが、
仮面ライダーの力を奪うことで発生するタイムパラドックスが現代までブレイドの物語が続いていたので、歴史改変が現代で起きるためになったからだとも考えられている。

アナザーライダー、というよりアナザーウォッチの「正規ライダーの力を奪い、埋め込まれた人間に仮面ライダーの力を与える」という特性が初めてプラスに働いた例であると言える。
この話は剣後期OPである「ELEMENT」の歌詞と合致することもあり、原作ファンからしてみれば賛否両論もあろうが、当時は成し得なかった一つのハッピーエンドであることは間違いないだろう。

何れにせよ白ウォズも消滅した上、EP30より各話タイトルの配置規則が変化しており、ジオウの物語自体もここから佳境に入っていくのだと推察できる。

最終更新:2022年10月21日 14:21