テルミノ戦争
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投稿先:『GDW』投稿用BBS(消滅)
更新日:2014/08/17 Sun 19:45:36
概要
総説
7万年前、まさしく最盛期を迎えていたアムーグア帝国は、アトラス・イグザ銀河団を仕切るイグザ銀河系に攻め入ろうとして先にその伴銀河であるテルミノ銀河系の攻略を狙った。
アムーグア帝国はテルミノ系自体が欲しかったのではなく、テルミノ系は瞬時に攻略して、そのままのど元に剣を突き付けた形でイグザ銀河系との外交戦を有利に進めようとする腹であったともいわれている。
当然、他銀河への侵略者に瞬時に白旗をあげるほどエリジェルオンもテルミノ神獣族も弱腰ではなく、先端は主にテルミノ銀河系のレフネント腕側で開かれた。
当初、エリジェルズネスト並びに
レホルリン神獣騎団は果敢に抵抗していた。人と獣がまさしく一体となって向かってくる騎兵軍の威力をいかんなく発揮し、
地上戦、あるいは大気圏内での戦いであればエリジェルズネスト軍はデフォルトでGex7や8にもなるアムーグア相手にむしろ優位に戦局を進めていた。
しかし、アムーグアはテルミノ系を前哨基地にしようとしているに過ぎず、地上制圧にはあまり興味がなかった(そもそも地上制圧をやっていたら何年かかるかわかったものではない)。そのため、アムーグアは抵抗が激しいと見るや実験も同然にオーバーテクノロジーを次々と投入。いくら個体の力がすごくともオーバーテクノロジーによる吹き飛ばしが相手ではどうにもならず、レフネント腕側の主要な植民惑星のいくつかは陥落。
更にアムーグアはエリジェルオン以外の種族で、これまで仲間外れにされ、細々とした交易以外の道を封じられてきた少数派種族にアムーグア勝利の暁にはテクノロジーのバラマキをすることを約束し、テルミノ内部にも味方を作り始め、エリジェルズネストはじわじわと孤立していた。
防戦すらままならない状況に、エリジェルズネスト内部でも脱出ないし降伏説が上がりはじめる始末だった。
ここまで事態が深刻化した原因として、
エリジェルズネストの宇宙船は火力が著しく低かったこと。高度な機械を忌避する彼らは宇宙船をほとんど輸送船程度にしかとらえていなかった。空間シールドはつけていたが、威力の高い砲はほとんどつけなかったのだ。
さらに、
エリジェルズネスト側は機械的な兵器を中心としたイグザ連合に対して正式には援軍を要請しようとしなかった、
イグザ銀河系側でも、この侵攻は重大な危機として受け止められていたが、「頼まれてもいない軍隊を送るべきではない」という見解と「イグザの危機でもあるのに派遣をためらうべきでない」とする見解が割れ、一大論争を巻き起こしてしまったのである。
イグザ連合・
エディオル連合軍は
ディガスの支援艦隊も含め、テルミノに向かう銀河の外縁部に集結してけん制はしていたものの、結局テルミノへの進軍は見送らざるを得なかった。
一方、
レホルリン神獣騎団は独自の立場でディガスに救援を求め、現にディガス独自である程度の援軍は送られていたが、この戦力もうまく使えなかった。
ディガスとエリジェルズネストは反りがうまく合わず、その連携は随所で綻び、はかばかしい戦果をあげられないままであり、間に立つレホルリンは交戦以前にその調整に苦心する羽目になっていた。エリジェルズネストに遠慮してディガスの艦隊はほとんど送ることができず、いくらディガスの猛者でもアムーグアのオーバーテクノロジーを前にしては艦隊なしで抗戦することは難しい。
ただでも敵が戦力で上回る現在、内部分裂まで起こしていてはアムーグアのテルミノ制圧は時間の問題であった。
ちなみに、この頃レフネント腕のある惑星に陣取ったアムーグア帝国軍は、意外な勢力の反撃に遭って惑星を引き払っている。
惑星の名は、ジルフィオン。無人惑星を基地にしようともくろんだアムーグアであったが、現地の神獣族
ジルメルノに襲われたのだ。ジルメルノは宇宙まで追いかけてくるようなことはしなかったので、アムーグアもさほど力を入れることなく別惑星に移った。
ただ、この時高位体の一部はアムーグアに捕獲、連れ去られており、後にこの個体がアムーグアの強大な生物兵器
ギガロードの到達点とされる、「聖光神裁麟」
アソルレイアとなったと言われている。
意外な援軍の到来~エルケス攻防戦
さて、エリジェルズネスト大苦戦のさなか、いくつかの惑星に建設されていたアムーグア軍の基地が次々と地下から破壊され、さらに鷲に乗った強大な鳥騎兵軍団が
アムーグア軍をいくつかの惑星で追い払ったというニュースが飛び込む。
地下からの破壊を行ったのは地下性げっ歯類の進化人類にして、テルミノの少数派種族、高位開発者ピグラスタン種であった。彼らは地底を掘り進む能力に長け、そのため必然的に高い出力をもった比較的高度な文明が形成されていたのであった。また、汚染をはじめとする環境異変の影響を受けやすい地底で生まれ育った彼らは、生態系に関する理解もエリジェルズネストに負けず劣らず深かった。
しかし、文明を持つ他種族に対して冷淡に振る舞ってきたエリジェルズネスト(他種族の救援要請などもはねつけており、その冷淡さも、戦況悪化の一つの原因である)に、なぜピグラスタンが突如救援を出したのか。
そこには、さらに意外な援軍の存在があった。
もう一つ、帝国軍を追い払った鷲騎兵は、かつてエリジェルズネストを脱退したエリジェルオン・イグドロン種であった。元々ピグラスタンは、エリジェルズネストを脱退して一匹狼状態となっていたイグドロンに交易を持ちかけ、同盟惑星となっており、その盟約に基づいてゲリラ戦を展開していたのである。
イグドロンは、かつてエリジェルズネストにケンカを売って勝手に脱退したという経緯を持っていたが、自分たちだけでアムーグアは撃退できないことを慮った彼らは、一部の帝国軍撃退を手土産に、「恥を忍んで」エリジェルズネスト復帰を要請。
この頃、アムーグア帝国軍はエリジェルズネスト本部
惑星エリジェリウスを迂回。イグザ銀河系との仲の良い監視者種族、
エリジェルオン・エオケイアの陣取る
惑星エルケスを攻略にかかった。エリジェルズネストを壊滅させると、テルミノ系のエリジェルオンのまとめ役がいなくなることから、彼等の降伏を誘う意図であったとされる。
エルケスが落ちれば、エリジェリウスは事実上孤立する。
だが、エルケスは一筋縄どころではなかった。物静かな印象の強いエオケイアも元々は高位体の巣窟に他ならない。その上テルミノ神獣族の
マルケイオス竜が、パートナーを組まない野生個体まで集まって総反撃を仕掛けた。
さらに、近隣惑星エドゥーコも、現地の竜族
エドレシフスと組み、エルケスとの強固な防衛ラインを形成。
エオケイアはこれに加えて独自にディガスに救援を求め、十分な協力体制まで築いていたのである。
テルミノ系では考えられないほどの凄まじい防衛体制の前に、流石のアムーグアも攻めあぐみ、数度にわたる総攻撃が残らず跳ね返され、帝国軍はエルケスで事実上釘づけになってしまったのだ。
他方、イグドロンはついにエリジェルズネストに復帰し、ピグラスタンも「臨時」とはいえエリジェルズネストの中核に入りこむことに成功した。
彼らはゲリラ的に、しかし確実にアムーグアのあちこちの惑星に駐留する軍隊に甚大なる被害を与えていった。その働きは、これまで機械文明というものに対して否定的だった小さからぬエリジェルオン種の気質をも動かすきっかけとなった。
ついにエリジェルズネストは残された惑星の兵力を結集し、後陣にほとんどしまわせていたディガス艦隊(一応輸送用)を引っ張ってこさせ、ディガスとの共同防衛ラインを持たせた。アムーグアは両者の構えがいずれ綻びると判断して持久戦の構えを取ったが、予想に関して彼らの連携は綻びなかった。
イグザ援軍到来~帝国の撤退
そうこうしているうちに、ついにイグザ・ディガス連合軍が、テルミノ銀河系に大軍を率いてきた。
エリジェルズネストがやっとイグザに援軍を要請したのだ。エリジェルズネストが公式に呼んでくれたとなれば、もはや論争など関係はない。勇躍イグザ連合軍はテルミノ系に乗り込んだ。
焦ったアムーグアはさらにユリス銀河系から援軍を派遣して総攻めの態勢に入ったが、イグザ・テルミノ・ディガスの連合軍は簡単には譲らなかった。
ネオロードはじめ、アムーグアの改造魔獣の類は
レホルリン神獣騎団に続けざまに撃退され、戦艦などもディガスとイグザで束になられては一筋縄ではいかない。イグザもテルミノで撃退できないとなれば確実にイグザに攻め入られるか外交上不利極まりない立場に置かれ、甚大な被害発生は必至の情勢。
イグザも譲らない。戦況は膠着状態のまま動きそうにもなかった。
そこに、アムーグアを驚愕させる知らせが入る。帝国本体にひびが入ったのだ。
アムーグアの敷いていた恐怖政治は、上からの恐怖がなくなれば必然的に自壊の危険をもたらすものだった。
多数の援軍をテルミノ系に派遣し、本部の戦力が落ちたことを見すました、5万年近い長きにわたって非合法組織とされ弾圧されてきた旧監視者連合の残党軍や各惑星のレジスタンスが一斉蜂起を決行。一時は残党軍がユリス銀河第2のテクトラクタ(監視者連合軍の旧都であった)を制圧するに及んで、ついにアムーグアはテルミノを撤退し、本国の反乱鎮圧に向かわざるを得なくなった。
こうして、10年にも及んだ大戦争は、帝国の撤退という形で幕を閉じる。
戦後、帝国は残党軍を再び撃退し、あちこちのレジスタンスを封じることには成功するが、10分の1ほどのサイズしかない銀河系すら攻め落とせぬ帝国の力には疑問を持つ勢力が現れ始めた。
それが直接の原因となった訳ではないが、これも一つの遠因として、帝国の恐怖支配も崩壊し、現在のような滅亡状態に至ることになる。
一方、テルミノ銀河系では、ピグラスタン種やイグザ連合、ディガスの活躍を機に、機械文明に対する見方についても見直しが行われた。元々ピグラスタンはかなりの文明をもちながら地上生態系の保護については一家言ある種族であったことも幸いと言えば幸いであった。
まだ他の文明種族に対して他人行儀なところはあるが、機械文明の力を「うまく取り入れる」必要性に対しては理解が進み、エリジェルズネストに他種族の加入が認められ、上院ができた。
これらを経て、
エリジェルオン・アナキス種が監視者種族と認められる一つのきっかけともなった。
ただ、この損害は今でも小さくない爪痕を残しており、レフネント腕側にエリジェルオンの植民惑星が少ない原因は、この時帝国に滅ぼされ壊滅した名残なのだ。
デザイン・プロフィール:記念すべき100記事にはこれを当てました。
ちょうど、このころ、私が主導で新銀河を作ってみようということで、イグザ銀河系の伴銀河テルミノ銀河系を頂き(?)元々構想のあったエリジェルオン種や神獣族を割り振っていた。
そして、これと同時期に設定が充実し始めていたのが、失われた深宇宙の帝国アムーグア帝国。ネオロードなどの改造魔獣の設定も登場していた頃で、両者の設定充実に際して決まったバトルと言う訳である。まだ帝国の内部についての設定が充実しているとも言い難いので、更なるエピソードの拡充があるかもしれない。
最終更新:2014年08月17日 19:45