ラグナ・ギムル危機(第二次クロイティス危機)
概要
総説
クロイティス銀河大戦が
ヴァーツ撤退で終結した後発生した、その余波とも言うべき危機。
大戦に対して協力的な姿勢を取らなかったヘクトジェネラルに対し、ヴァーツが粛清とも言うべき攻撃を敢行。
最終的にヴァーツ軍の撤退で幕を閉じるが、この戦いによって
アトラス・イグザ銀河団における大きな火種であったヘクトジェネラルは、その火種としての性格を大いに減じることとなる。
背景
クロイティス銀河大戦以前、ヘクトジェネラルとヴァーツは
ゾアクロイド組織として若干の理念の違いはあるものの概ね協調してやってきていた。
ところが、クロイティス銀河大戦でその歩調は激しく乱れた。
大戦中、ヴァーツはヘクトジェネラルとの盟約を破り、ヘクトジェネラルが戦後もらうと約束していた資源豊かな惑星をぶち壊すことが続いた。
これに怒ったヘクトジェネラルは
惑星ウィルトリアで戦意のないにらみ合いに終始し、結果的に
アトラス銀河系侵攻は失敗に終わった。ヘクトジェネラルが本気を出せば、他種族の援軍が期待できない状況下で、ウィルトリア防衛線は「破れないはずがなかった」だけに、ヴァーツの中にはヘクトジェネラルに対して不穏な感情を抱く者もあらわれた。
他方、ヘクトジェネラル総統である
バルン・ゲイズは、大戦に不用意に参戦したばかりに自身の最も信頼する部下である
ラミエル・リトヴェルグを失い、大戦は骨折り損のくたびれ儲けとしか評しようのない結末になってしまった。
もともと
ラミエルは「ヴァーツが約束を守るとは思えない」として大戦への参加には反対の立場をとっており、そのラミエルの予言は軒並み的中。
しかもウィルトリアで前アトラス銀河系
ディガス大使長、ヴェルゼッグ・アドライグスと相討ちの形でラミエルを失ったゲイズは大戦への参戦を失策と認め、非常に嘆いたと言う(ヘクトジェネラルにとっては、ヴェルゼッグを討ち取ったことそれ自体には何の価値もなかった)。
そんな状況下で、ヴァーツがヘクトジェネラルの本拠地であるラグナ・ギムルに急襲を仕掛けたのは、クロイティス銀河大戦におけるヴァーツ主力撤退後僅か??年後のことであった。この戦いの終わりまでをクロイティス銀河大戦と呼ぶべきだという歴史学上の説もある。
実を言えば、ヴァーツの組織的な総意がヘクトジェネラルを敵視した、と言う訳ではない。元々吹き溜まり色の強いヴァーツであるから、独自歩調を取る者が出てくること程度は想定の範囲を出ない。
ましてや、ヘクトジェネラルは同盟組織に過ぎない以上ますます独自歩調を取るのは当たり前の話である。
にも関わらず
ラグナ・ギムルを急襲した司令官は、大戦で討死した超魔神ヴェルガの部下である魔神ザノドゥームであった。
ヴェルガとその起源種
エヴィリアンにとって、「思い通りにならない」ヘクトジェネラルは、それだけならともかく、それが原因で超魔神までなくせばもはや容認しがたいと言ってもよい。
さらに超魔神であるヴェルガを失い、
ヴァーツ7派からの転落がほぼ確実となったエヴィリアンとしては、ここで存在感を見せつけておかなければ、という焦りもあったようである。
苛烈な決戦
決戦は激しいものとなった。
全長約2000㎞に及ぶラグナ・ギムルはあちこちが炎上、ヘクトジェネラルの擁する強力な艦隊も深刻な痛手を受け、ヘクトジェネラルは苦戦を強いられた。
とはいえ、ヘクトジェネラルは強力な艦隊司令官や総統バルン・ゲイズ自身の応戦等もあり統制を保ち(統制力の高さではヘクトジェネラルはヴァーツを上回る)、純個人戦主体のヴァーツ軍の攻勢を甚大な損害を受けながらも数度に渡って押し返し、急襲のはずが事態は長引いた。
大陸をも引き裂くエネルギー斬撃を放つバルン・ゲイズと、強力な魔導触手の束でラグナ・ギムルをずたずたに引き裂くザノドゥームの間で繰り広げられた戦いは惑星上で起これば一大カタストロフを招いたであろう激戦となり、クロイティス銀河大戦込みで考えても5本の指に入る大激戦であったと言われる。
もっとも、ヴァーツは「長引いたところで援軍が来る訳ではない」と楽観的な思考で侵攻に際して無理をある程度避けてはいた。
アトラス連合、
イグザ連合、
ミゼル連合などの監視者連合はクロイティス銀河大戦で疲弊していた上、
「共倒れしてくれればそれに越したことはない」と状況を静観するにとどめていた。迂闊に割って入ろうとすると途端にヴァーツとヘクトジェネラルが手を組み直す可能性も考えられた。
しかし、ヘクトジェネラル危急の知らせによもやの援軍を差し向けた勢力があった。
文明秩序側の魔族組織として有名なデル・ヴォスであった。
デル・ヴォスは大ボスである
ザルガ・ギラを失っていた上、一応は親監視者派であることから、まさか援軍に来ることもあるまいとヴァーツの要注意リストから外れていたが、これが大誤算。
元々秩序維持に親和的な思考をする者の多い
ヘクトジェネラルは個人レベルでデル・ヴォスと親しい者もおり、その伝で援軍がやってきたのである。また、デル・ヴォス関係者と親しい
ディガス大使らも個人単位で援軍に参加した例があったようである。
全く予定外の援軍から挟撃を喰らい、ついにヴァーツ軍は敗走することとなる。
危機のその後
この戦争によりヴァーツとヘクトジェネラルの溝は決定的となり、ヴァーツは
イグザ・クロイティスにおける足がかりをほぼ完全に失うことになった。
その後、更に驚くべき結果が起こる。
ヘクトジェネラルはヴァーツをあてこするかのようにミゼル連合との間に休戦境界を定めた停戦条約を締結。(元々事実上の休戦境界はあったが、あくまでも自然発生的な物で具体的な合意があった訳ではなかった)決して平和友好条約ではなく、しかもいくつかの惑星の領有権をヘクトジェネラルが主張するというものであったが、常にミゼアン銀河系の不穏分子であったヘクトジェネラルが大人しくなるのであれば、この程度の譲歩は安いものであった。
更に、バルン・ゲイズは後にアトラス銀河系で行われた
リーヴァス宇宙連合総会に魔族組織総統として初めて出席を許された。
少なくともバルン・ゲイズが死亡するまで、ミゼル連合とヘクトジェネラルで結ばれた条約は破られることはなかった。
この事件は、クロイティス銀河大戦における対魔価値観の変容の一例としても、関係者の脳裏に強い印象を残すことになったのである。
デザイン・プロフィール:クロイティス銀河大戦の設定拡充にあたって考案したもので、大戦がゾアクロイドをめぐる大きな変容を伴うものであることから、ヴァーツ以外では(既存設定においては)最大級の大型魔族組織であるヘクトジェネラルをその変容に意図的に巻き込んでみたもの。
バルン・ゲイズ&ヘクトジェネラルのネタ元となった大魔王バーン&魔王軍は、元をただせば魔族が神々に過酷過ぎる魔界に押し込められた故に豊かな地上が欲しかったという意味では情状酌量の余地や対話による解決の余地もありえたと考えており、大戦の事後処理として一定の歩み寄りを見せてもいいと考えたもの。
ゲイズ自身の戦闘エピソードもこれまでなかった(ゲイズ自身、白銀考案文明種でトップ5クラスの実力者である)ため、ここで大バトルをさせてみた。ザノドゥームも、実はこのエピソードのために考案されていたりする(考案時はヴァーツ側の指揮官は未定であった)。
なお、
高町なのはをモチーフとするリブゼラジルを参戦させて天地魔闘の構えを覚えさせようかという妄想もあるが、具体案はまとまっていない(爆)
最終更新:2014年09月04日 00:24