更新日:2016/08/12 Fri 23:07:35


シン・ゴジラは最強か?


※当項目はネタバレ項目です。ネタバレが苦にならない方以外は本編鑑賞まで閲覧を控えることをお勧めします。














白銀も、シン・ゴジラを鑑賞してきた。
見ていると、自分がスポーツのプレイヤーにでもなったような感覚で臨むことができ、実に楽しめたと言える。
鑑賞前、赤いものが浮き出たゴジラはデスギドラにむしろ近いのではないか、という感想を抱いたが、設定を見るとあながち外れていなかった感もあった。

ひねくれ者な白銀は映画を見ていてしばしばツッコミを入れる。
シン・ゴジラの場合「これはツッコミ所なのか?」と思った所もある。
例えば鎌倉上陸の際、まだ住民が走って避難していたときなど、いくら何でも避難がとろすぎるのではないかという印象を抱いた。
しかし、「いや、白銀の方が知識不足・読み取り不足、検証不足なのかもしれんぞ・・・」と感じてしまうくらいの迫力もあった。
事前に庵野氏の凄まじい考証がなされているという情報を得ていたのも一因かもしれないが。


さて、同作に登場するゴジラ。差別化のために個体名もシンゴジと呼称しよう。
シンゴジはゴジラ史上最強のゴジラだったのだろうか。twitter上でしばしばシンゴジ最強という意見が出るので、白銀の感覚を開陳してみる。
白銀も最強議論に憧れる男の子なのだ。


白銀の感覚は、シンゴジは歴代最強ではないというものだ。

シンゴジの場合、生きていれば更なる進化を遂げたとも考えられるが、これは不確定要素が大きすぎるために除外する。
(なお、デストロイアなども劇中に登場した形態が最終形態である保証はないとされる。)
シンゴジは最終形態の体格こそ過去最大規模であるが、運動能力と言う点からすればむしろのろまである。人類がシンゴジを倒した方法も、シンゴジののろまさを突いたと言える。
むしろ、そういった肉体的なのろまさを補うためにシンゴジは対空能力を得た、というのは深読みのしすぎだろうか。


おそらく、最強説の根拠は、東京を焼き払い、上空の戦闘機を全滅させた多方向への熱線であると推察する。
エヴァンゲリオンや巨神兵のプロトンビームを彷彿とさせる熱線は確かにすさまじかったと言える。
白銀は、演出は確かに最強だったと呼ぶにふさわしいと言える。
「災害」というよりは「審判」という感想も抱いた。
シンゴジは簡単に息切れしてしまうことも作中で明らかになっているが、それを踏まえてもなるほど恐るべき威力であるという感想には異論がない。

だが、それは演出によるものが大きい。
それは、シン・ゴジラがダメだと言うのではなく、歴代の熱線もきちんと演出すればこれくらいはできたはずではないか?ということなのである。

特に対怪獣戦・対秘密兵器を意識する場合、熱線一発で爆散して終結では、平たく言えば作品として面白くない。
最終的に熱線で爆破という結果になるのはよいが、対戦怪獣にもある程度は熱線に耐える耐久力を用意させなければ面白くない。
熱線でかなりダメージを受けていたビオランテですら、体格に物を言わせて何発かは耐えしのいでいたのである。
結果として、ゴジラの熱線に何発かは耐える怪獣が多数現れ、熱線ってそんなに強くないのかな?と言う印象を与えてしまっている面がある。
だが、それは耐えきった敵怪獣や、耐えきる秘密兵器を作った人類を褒めたたえるべきことであって、熱線が弱いと言う根拠にはならない。

シンゴジの熱線の場合、命中したものはすべて破壊しているが、いずれも日本の都市や、既存の兵器に過ぎず、平成vsシリーズなどに見られたような超兵器などに命中することはなかった。
おそらく、歴代のゴジラで考えたとしても、熱線が命中しさえすれば全て簡単に撃墜されたと思われるし、逆にスーパーXのように歴代ゴジラの熱線に耐えた兵器だったら、おそらくは撃墜されることもなかっただろう。
まして、ラドンやモスラ・バトラと言った飛行怪獣を相手にするとなれば、シンゴジの対空攻撃の威力は牽制程度でしかないように思われる。(余談だが、命中精度も実はそんなに高くなく数に物を言わせている面がある)。
主砲と言うべき口からの放射で東京はがれきの山にはなったが、線路や高層ビルが健在だったりするなど意外と壊滅していない。

更に、最大威力級の熱線を撃つと、シンゴジは何日も機能停止してしまう。スタミナがなさすぎるのだ。
スーパーX2に熱線を何発返されても吐き続けたvsゴジラや南極からの連戦をこなし続けたFWゴジラの体力とは比べられない。
耐久力も確かに高いが、米軍の攻撃が効いていたことからすると超兵器以外効く気配がないvsゴジラやFWゴジラの耐久力を上回る、とはちょっと考えにくいものがある。

ではシンゴジに勝機がないのか、と言うとそうも考えてはいない。
シンゴジの熱線の場合、凄まじい熱量を持ったレーザーメスと言うイメージもあり、エネルギー以上の殺傷能力がある可能性がある。
その辺りをシンゴジ有利に捉え、先制攻撃によって初撃で大ダメージを与えられたならば、vsゴジラやFWゴジラにも勝機はあるかもしれないと思われる。
ただ、これは不確定要素の問題であり、結論の出せないジャンルである。


シンゴジは、いろいろな意味で「現代の人間にとっての脅威だった」と言えるかもしれない。
人間視点からすれば戦闘機や特車、高層ビルを破壊できればそれだけでもう十分以上な脅威なのである。

スーパーXや轟天号・メカゴジラを作れる人類にとっての脅威は圧倒的な熱線の力と耐久力で勝負する平成vsゴジラやFWゴジラであり、
現代兵器しか持たない人類にとっての脅威は手数で押してくる上に下手な攻撃がかえって自己進化を招くシンゴジだったのである。


そういう意味でも、シンゴジは「最強生物」以上に「人類の敵」として作られたように思われるのだ。
庵野氏は二作目をやることは考えていないようだが、もし仮に怪獣対決にしてしてあのシンゴジのままだったとするなら、シンゴジの魅力は半減してしまうのではないだろうか。



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最終更新:2016年08月12日 23:07