更新日 : 2016/11/19 Sat 22:33:51


白銀的な考え方⑨「味方化」は楽じゃない


 かつて敵として猛威を振るったキャラが改心し、味方として更なる強敵と共闘。
 少年漫画では王道の熱い展開である。

 GDWでもその辺トレースした展開は多い。

 だが、この考え方は実は決して安易に使える考え方ではない。
 GDW古典設定であるヴェギアス危機にもそういった考え方があるのでダメではないだろうが、「展開として熱いから使いたい」というだけでは説得力に乏しい設定になってしまうのである。

「敵として猛威を振るう」というのは、こちらが正義の側である限り、敵は何らかの罪を犯したと考えられる。
なぜ罪を犯した者は処罰されるのか。白銀にもよくわからない議論ではあるが、一つ大切なことがある。
「そのような犯人を放置しておくことに対して、市民は納得するのか」 ということである。

「罪を犯した以上、苦しい思いをするべきだ」という意見。
「痛い思いをさせなければ、また次の犯罪者が現れてしまうかもしれない」という不安。
「痛い思いをさせなければ、彼はまた同じことをやらかすのではないか」という不安。

 民主的な政治が行われているならば、こうした処罰に対する国民の不安や意見は無視できないはずである。
(王政を取っている政府もいくつか設定されているが、その場合でも何らかの形で国民感情を適切に汲み上げる仕組みが用意されているものと思われる)
 仮に今の日本で、オウム真理教のような国家転覆未遂や大量殺人をやっておいて「更生しているから処罰しない」と言ったら、世論の怒りは爆発することだろう。
 裁判所や検察庁、弁護人に対して感情的な攻撃が行われる例、裁判所がやらないなら個人でやってしまえと言わんばかりの言説は、今でも多数ある。

 こうした怒りを無視し、司法機関が信頼を失うことは、社会の安全を台無しにすることだってあり得るのだ(この辺りは別論稿で考証する)。
 「功績を上げたのだから見逃そう」という意見もあるが、それは逆に言えば「罪を犯した以上は苦しい思いをするべきだ」という感覚が健在であることの裏返しとも言える。

 もちろん、これらの言い分が現実の人類社会と比べて理性の発達した銀河社会において支配的な感情と言えるかどうかはなってみないと分からない。
 犯罪に対しての処罰が決して犯罪の抑止になっていないことは、日本でも指摘されている。
 処罰が犯罪の抑止にならないということが分かっている、処罰より役に立つ社会貢献が重視される銀河社会では、しゃかりきに処罰にこだわる世論が作られている、とは言えないのかもしれない。
 惑星の文化、時には銀河連合ごとの個性という形で差がある可能性もあるだろう。

 この辺りは創造者感覚補正もあるだろうと思うし、文化的な個性は否定されないとも思うが、 GDW銀河社会においては、こうした感覚から完全に自由にはなっていないと思われる。
 復讐論先行ではないが、とにかく社会貢献さえ最大になるならば処罰がいらない、とまでは考えられていないのだ。
 せめて、社会が納得するだけのみそぎは済ませなければならない、というのがGDW世界の一般的な感覚だと考えるべきだろう。
 もちろん、社会貢献をもって処罰とすることもあり得るのだが。



 さて、そうすると重大な罪を犯した人物に対し、見逃して熱い展開をやりたいならどうするべきだろうか。

①もみ消す


 ドラゴンボールの魔人ブウ(ミスター・ブウ)の例がある。
 善のブウについて、ミスター・サタンがしばらく家にかくまい、最後はドラゴンボールで人々からブウの記憶を消した。
 従って、市民はブウに対して不穏な感情を抱かなくなった。これで、ブウさえ何もしなければ、事態は解決ということになるのである。
 また、ピッコロがブウ編の天下一武道会でマジュニアと名乗っていたように、別人として振る舞うというのもある種のもみ消しだと思われる。

 とはいえ、流石にやったことの規模の問題があり、一定以上になるともみ消しも不可能になることには留意すべきであろう。
 ただし、白銀神族であるアケメルロスは古代に大戦火を起こした結果、複数代に渡る謹慎処分となったが、これによって銀河社会の主力の
 開発者も大幅に代替わりしたので許しやすくなったという設定がある。
 つまり、「時間の経過によるもみ消し」という手は一応あると思うのだ。

②しっかり処罰を受ける


死刑しかないような犯罪でなければ、いつか処罰は終わる時が来るかもしれない。
その時まではしっかり処罰を受けよ、その後は活動してよいという対応である。

③処罰されない場所に行く


 ヴェギアス危機のミラ・ゼノキスの例を考えてみよう。
 懲役99年を受けた後ディガス大使に推薦されているが、ディガスならば惑星の外で活動する大使も少なくないはずである(資格程度の感覚で大使をやっている人物も少なくはないが)。
 ミラは惑星の政府を転覆させようとした訳だが、こうした政治犯については、国内では許すわけにはいかないが、国外に行くのならば寛大に扱いやすいという性質がある。
 ヴェギアス政府の転覆はもちろん大きな問題だが、他の惑星からしてみればそこまで厳しく対応すべき件ではない。
 少なくとも、星の中で処罰を受けた以上、それ以上屋上屋を重ねる必要はないということは考えられる。
 なので、 ミラをディガスに推薦したのは、ヴェギアスを離れて活動させることでけじめをつけさせている、という訳である。
 ちなみに実は、これは公式というよりは白銀の脳内補完である。寿命1500年の種族について懲役99年で済ませていいのかと思う訳だが、懲役99年の後を追放処分とすることで手を打ったという考え方である。

④許しはするが、重要な地位にはつけない


 ドラゴンボールのベジータや魔人ブウ・ピッコロなどは別に政府関係者ではなく、あくまで一民間人として戦っている。
 責任ある立場にはつけないが、一個人としての生活は許す、というのが一つの考え方である。
 責任ある立場には信頼も必要になる。例え本人にその気がなくとも、疑いを作ってしまうだけで事態は深刻なのだ。
 もみ消しとの合わせ技で、「重要な地位につけはするがついていること自体秘密」という手もある。
 また、もっとソフトな方法として、「犯罪者として追いかけられる立場はそのままにする。ただし、あえて本気で追いかけない」というものもあるだろう。

⑤許さざるを得ない緊急事態が起こる。


 あまりにも強敵がいて太刀打ちするために、どうしても敵の力が必要。
 あるいは、強敵相手に二正面作戦は取れないという事態はありえる。
 そんな場合に、司法取引として見逃して実質的な共闘体制を築く。せめて中立でいてもらうというのはありだろう。
 よりソフトな方法として、「決して許したわけではないのですが共闘自体結果論でした」と言い訳するという手もある。
 GDW銀河社会の場合、特定キャラがいるだけで何とかなる、という事態は考えにくい気もしない訳ではない(特定キャラがチートであることの証拠になる)が、組織全体に恩赦をかけるとか、電撃侵攻に対する一時しのぎの手法としてはありだろう。




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