発信元不明の情報からCVが行動することを知り、
阻止するためにすでにボロボロのエクシアを修理しながら刹那はつぶやく。
「俺は、ガンダムなんだ」
罠の可能性も鑑みずに。
第二話 「フロンティアIVの惨劇」
ロディマスはレズリーに頼み込み、使っていない車庫を貸してもらった。
その中でビークルモードを取りながら(そもそも眠らないが)眠れない夜をすごす。
過去に平行世界へ行ったものの中には、サイバトロンとデストロンの善悪が逆転した世界へ行ったものもいるという。
この世界ではなんといってもサイバトロンとデストロンの区別がないのだ。
一体何が起こるかわかるかわかったもんじゃない。
さらに自分はマトリクスも持っているのだ。
慎重に動かねば。
次の朝、学園祭の日。
シーブックが学校へと出かける。
そんなシーブックに対し、本当に申し訳ないと謝るロディマス。
しかしシーブックはリィズとの約束さえ守ってくれれば別に仕方ないさ、と手を振って家を出て行った。
それはもちろん気にしていないのではなく、別のことで頭が一杯だったからだ。
セシリー・フェアチャイルド、最近仲良くなった女の子にミスコンに出ることを誘った自分、
そしてついでにミスコンの優勝者を賭けさせて、儲けられる事……
そんな事をまったく知らないロディマスは車庫にごろごろとタイヤを回して戻り、
先日にもらったデータを元にこれからの行動を考える。
「それに世話になったこの家の人たちに迷惑かけるわけにもいかないよな」
「作戦を開始する」
ブッホコンツェルンの私兵集団クロスボーン・バンガードのパイロット達に指令が下った。
作戦、フロンティア4を制圧する第一フェーズの始まりだ。
何隻もの母艦から、ブッホコンツェルン独自開発の機体が発進していく。
いかに動くべきか、それを考えていたロディマスは緊急警報を聞きつけた。
傍受した内容によると外部からの謎のMS部隊の侵攻らしい。
それを聞いたロディマスは真っ先に優先順位をつけた。
レズリーはコロニーの外壁部にいるだろうが、今のところ謎の軍隊は内部にしか攻撃を加えていないらしい。
つまり内部の制圧が目的と見るべきだろう。
そしてシーブックとリィズは学園にいる。
人が多いところは必然的に狙われるはず。
なら、レズリーは安全な可能性が高い。そして2人はほぼ間違いなく危険に遭遇する。
数コンマでロディマスはそう弾き出し、出せる限りの速度と安全運転で2人の元へと向かった。
慎重に、と昨晩考えていたことはすでに頭にない。
「俺達のこの職場での初仕事だ!気合入れていけよ!」
パトリック・コーラサワーの激が部下達に飛ぶ。
フロンティア4では少数ながらも最新鋭機ジンクス3が配備されており、
4年前の歴戦の勇士であるコーラサワーも指揮官として赴任していたのだ。
またフロンティア4では数が少ないジンクス3を有効に扱うため、各MS大隊の総指揮官機として使っていた。
一騎当千のジンクス3ならばバラバラに各所で運用した方が役に立つと言うことだ。
すでにコロニーの各地区では謎のMS部隊が動いていると言う。
ここで撃退せねば連邦軍の沽券にかかわる。
「よっしゃいくぜぇ!」
連邦軍のMS部隊が発進する光景をシーブックたちは見ていた。
アーサーをはじめとした友人達数人やリィズと共に街の中を逃げていたのだ。
その中には先ほどまで怒っているセシリー・フェアチャイルドの姿もある。
信頼していたシーブックが自分をダシにトトカルチョをしていた事にある意味当然ながら腹を立てていた。
流石にこのような緊急事態とあって、この問題は頭の中で後回しにされているようだ。
「やった!これで助かった!あれってTVでよく宣伝してる奴だよな!」
誰かが後ろで叫ぶ。
「ガンダムじゃないなら俺の敵じゃねえな!」
コーラサワーのジンクス3が突出する。
次の瞬間、360度から攻撃が殺到した。
クロスボーン・バンガードは圧倒的な性能を誇る擬似太陽炉機への対策も事前に講じていた。
各エリアに配備されているジンクス3の数は把握されている。
そしてそのジンクス3が配備されているエリアには手空きのMSが数個小隊待機しており、
一機ずつ確実に仕留める。
単純ながらも堅実、それがCVの対策だった。
このようにしてCVにも被害はあったものの、ジンクスは各地で次第に数を減らしていった。
残ったジェガンやGキャノンはデナンゾンなどに駆逐されるのを待つ身。
もはやフロンティア4の制圧は時間の問題だった。
シーブック達の目の前で、ジンクス3が落ちていく。
一同から言葉が消え、絶望感が漂う。
ジンクス3と言えば、大々的に宣伝され防衛の要として発表されたMSなのだ。
それがあっさりと撃墜されたとあっては……
「とにかく、歩こう」
撃墜され、消え行くジンクス3のモニターに1つの影が映った。
白いガンダム、エクシア。
「刹那・F・セイエイ、これより武力介入を開始する」
エクシアの左腕が抜いたビームサーベルは薬莢をばら撒き、下の守るべき民間人を危険に晒していたGキャノンを刺し貫き、
返す刀でデナンゾンを袈裟懸けにする。
今の刹那の標的はCVと連邦軍。
侵攻するCV、いたずらに被害を拡大する連邦軍、両軍ともに刹那は敵と見なした。
「ガンダムー!」
コーラサワーが落ちていく。
「やっと見つけた!」
爆風に次ぐ爆風を潜り抜けたロディマスがシーブックの元へと走りより、トランスフォームする。
周りの面子は話には聞いていても本物の異星人-それもロボットの-を前にして驚きは隠せない。
「俺が君達を守るぞ、なんとしても」
そう言った後、「さあ乗ってくれ」と言おうとしてロディマスは言葉に困った。
ロディマスはスポーツカーをスキャンしている。
このスポーツカーには2人分しか座席がないのだ!
今、謎のMSがもうすぐここを攻撃しに来る。
その前にシーブックとリィズを乗せ、すぐさま自慢の脚で(タイヤで)走り去るつもりだったのだが……
だがもう時間はない。すぐさまにもメガネのMSはここへと来るだろう。
どうするべきか悩んだが、とにかく銃を持つためロディマスは手に持っていた邪魔なマトリクスを胸の隙間へと放り込んだ。
「ガンダムだと?」
ザビーネが問い返した。
一応指揮を取ってはいるものの、ほぼ担当地区は反撃も抑え制圧状態にあった。
「やっかいだな……私も向かおう」
刹那は苦しい状況下にあった。
十分なメンテナンスが受けられたのはこの4年間で数えるほど
流石の世界変革の力といえど、そんな状況では厳しいものがある。
だが、それでも刹那は連邦、CVの両軍を相手に立ち回りを続けていた。
顔面が破損し、装甲が砕けている場所すらあるエクシアが次々とMSを屠っていく姿は
その場に居合わせた誰もが恐怖を覚えた。
「そこか、ガンダム!」
そこに1機の黒いMS、そして何機かの随伴機が到着する。
ザビーネのベルガ・ギロス、そしてデナン・ゲーやエビル・Sだ。
「我々の理想の邪魔はさせん。4年前の亡霊はおとなしく眠っていれば良いのだ!」
そしてベルガ・ギロスとエクシアの打ち合いが30合。
間合いを一度あけて、さらに20合ほど打ち合い、お互い共に被害は大きかった。
ベルガ・ギロスはもはや動けぬ状況、そしてエクシアは頭部を切り裂かれ、左腕はショットランサーに貫かれている。
だが、ザビーネは1人で戦っていたわけではない
ベルガ・ギロスが撃破されても、他の友軍がエクシアを仕留めるだろう。
それを察知した刹那は逃げの手を打った。
「俺を、俺を導いてくれ、ガンダム……」
追うものはいない。
CVの今の目的はフロンティア4制圧であり、あのボロボロのエクシアならば数に任せればいつでも撃破出来るからだ。
ロディマスの姿が変わっていく。
黄金の光が消え去った時、そこには1周りほど大きくなったロディマスがいた。
胸へ入れたマトリクスがホットロディマスの身体を司令官用のボディへと、ロディマスコンボイへと再構成したのだ。
「さあみんな、乗るんだ!」
老けたロディマスが威厳のこもった声で言う。
そしてロディマス自身はスポーツカーではなくキャンピングカーへとトランスフォームした。
これならば5人、いや10人が乗ることができる!
シーブック達は突然のロディマスの変貌にためらいつつ、促されて乗り込んだ。
・チェックポイント
とりあえずネーナ辺りが裏で糸引いてるんじゃないかと
ただ、明記はしてないのでこれから先の展開で自由に使ってください
TFファンクラブ広報誌などで書かれたシャッタード・グラスと言う作品が元ネタ
全力で正義の味方をするメガトロン様と、極悪非道なコンボイの世界にクリフ(RE:未登場)が迷い込みます
多分この後で原作どおりの赴任をするんじゃないかと
エクシアリペアの左腕が無いのを劇中で描写したいがために用意した展開
GNフラッグに切り取られてないのか、それとも切られたけど修理したのか、どちらかは考えていません
ホットロディマスはマトリクスを保有できる数少ないTF
普通のTFはマトリクスを胸に入れたとしても何も起きないし、マトリクスを開放して力を使うことも出来ません
ちなみにロディマスコンボイになっても特にパワーアップしてないというか、劇中描写を見るとホットロディマスの方が強いです
総司令官の証
英知の結晶とも言われ、開放することで奇跡を起こすもの
命を作り出すことも出来るとされていたり
また、ユニクロン特効薬でもあります
新登場キャラクター
味方ユニット
敵ユニット
- ザビーネ・シャル(ベルガ・ギロス)
- パトリック・コーラサワー(ジンクス3)
- 刹那・F・セイエイ(ガンダムエクシアリペア)
その他
最終更新:2009年10月02日 20:01