アレルヤ奪回作戦


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第10話「アレルヤ奪回作戦」


スメラギ・李・ノリエガは世界を変えられると信じ、
ソレスタルビーイングに身を投じた。
だが……多くの仲間を犠牲にしてまで戦い抜いても、
結局なにも変わらなかった。
未だに、世界には紛争が溢れている。
それどころか再び連邦とプラントは全面戦争に突入しようとしている。
だからスメラギは、旧知のビリー・カタギリの許で酒びたりの生活を送っていた。
そんな彼女を、刹那・F・セイエイは迎えに来て、そして言う。
アレルヤ・ハプティズムを助け出すために戦術予報を出してくれ、と。


ブリザードシティでのダリウス軍、そしてテラーコンとの死闘から数日後。
地球防衛軍は補給のために近隣の連邦軍ノーザランド基地にその身を寄せていた。
幸いなことに、ノーザランド基地司令オーラーブ・オーディンは地球防衛軍に好意的であり、
なにより、彼は防衛軍の一員であるベル・ランス中尉の伯父であり、育ての親だった。
久しぶりに伯父や、従兄妹のアディルス、サラと再会し笑顔をみせるランス。
短い休息ではあるが、地球防衛軍の戦士たちも、先の激戦の疲れを癒していた。
だが真田長官は、オーディン司令よりひとつの依頼を提示されていた。


かつて、ジョージ・グレンが木星圏からエヴィデンス01とともに持ち帰った6個の金属生命体。
地球で言うところの胚、いわゆる「卵」のようなものだとされたが、
それは間違いなく、人類が歴史上初めて遭遇した、生きた地球外高等生命体である。
だが一年戦争時、戦災に巻き込まれそれらは全て失われた……とされている。

真相は違う。
この「卵」が優れたパワープラントになりうることに気付いた連邦政府は、
ジオンに対抗するため、これらを動力源として用いた機動兵器を開発したのだ。
そうして完成した機動兵器は装甲巨神と名付けられた。
実戦に投入された装甲巨神は、その威力を存分に発揮したという。
敵も味方も、非戦闘員の区別すら無く全て殲滅するというかたちで。
故に記録ごと封印され、そしてそのまま歴史の闇に埋もれて現在に至る。

その伝説の装甲巨神の一体「Zナイト」が今、オーディン司令と真田の目の前にあった。
もし装甲巨神が完全に制御出来たならば、
ダリウス帝国や邪魔大王国などに対抗するための重要な戦力となるだろう。
そう言う司令に対して
「判りました。出来る限りやってみましょう」
そうカッコつけたものの、研究者として、未知のモノに触れる機会に、
ついニヤけてしまう真田長官だった。

そうして真田長官があれこれZナイトを調べている最中、
防衛軍に二つの知らせが舞い込んだ。
一つは出所不明だったが、グランドコンボイ宛。
それはロシア地区のアロウズ基地に、
サイバトロンの戦士が捕えられているというものだった。
だがその囚われの戦士は、ホットロディマスの仲間……
シティコマンダー・ウルトラマグナスだったのだ。
加えて彼だけではなく、G1デストロン兵士たちもまた、
数多く虜囚となっているというのである。
そしてもう一つの通信は、その当のアロウズ基地からのものだった。
対ソレスタルビーイング迎撃作戦への、協力要請である。

タイミングからしていかにも胡散臭い情報だったが、無視はできなかった。
情報の発信者の意図はともかくとして、
ホットロディマスの仲間の映像がある以上、信憑性自体は極めて高いだろう。
そう判断し、地球防衛軍は協力要請を受けることにした。
ことの真偽を確かめたかったが、
むろんアロウズが馬鹿正直に答えるはずがない。
そこで、宙が潜入を試みることになった。
開発中のジーグの新兵器、アースパーツを使い、
地中から侵入しようというのである。
ただしこのアースパーツはまだ未完成の試作品で、
ごくごく短時間の使用しかできない。
そこで交戦中のドサクサに紛れて作戦を実行することになった。

さて、件のアロウズ基地の司令であるチャムリー卿の機嫌はあまりよくはなかった。
彼はブルーコスモスの意を受けて
はぐれトランスフォーマーを秘密裏に狩り出していたのだが、
今、それはアロウズ本部からの直接司令によって中断させられてしまった。
別の獲物、すなわち、復活したソレスタルビーイングを仕留めよというのだ。
獲物としては最上級だろう。だが所詮は人間であり、
トランスフォーマーほどの魅力は感じない。
さらに命令書にあった、地球防衛軍に協力を求めよ、という一文も、
彼のプライドをいたく傷付けるものだった。
さらには、その命令書を携えてやってきた、
ミスターブシドーと呼ばれる仮面の男も気に入らない。
とはいえ、彼も超一流のハンターである。
幾重にも張り巡らされた罠を用意し、
獲物が餌に食いつく瞬間を待っていた。


アレルヤの身柄がロシア地区のアロウズ基地に移送された、
という情報は協力者の王留美によって、CBにももたらされていた。
それだけではなく、マリナ・イスマイール、
かつて刹那たちが深く関わったアザディスタンの王女も拘束され、
同じ施設に囚われているのだという。
さらにご丁寧も、近隣の重犯罪者刑務所から
カタロンのメンバーも移されているらしい。
あきらかに罠である。
さらに地球防衛軍まで防衛に加わっていることが確認された。
これではいかなガンダムといえど、正面から乗り込むわけにはいかない。
それについては留美や、亡き兄を継いでロックオン・ストラトスを名乗ることになった
ライル・ディランディを通じてカタロンに協力を要請したのだが……。
プトレマイオス2は、「その時」が来るのを衛星軌道上で息を潜めて待っている。
だが未だ艦に乗ったままの沙慈は、その苛立ちを刹那にぶつけるのだった。


それぞれの陣営が、それぞれの思惑のもとで事態が動くのを待つ中、
ソーマ・ピーリスはアレルヤの尋問に立ち会っていた。
その最中、アレルヤから「マリー・パーファシー」と
呼びかけられたソーマは困惑し、
それは何者なのか重ねて問おうとするが、
敵襲を告げる警報音が、その機会を奪った。

襲撃の主はデストロンだった。
その殆どはジェットロンやインセクトロンなどの向こう側のデストロン兵だが、
中にはちらほら、この世界のデストロン兵も混じっている。
そしてその先頭に立つのは……航空参謀スタースクリームだ!
予想外の相手にチャムリー卿は驚きつつも、
ただちに基地駐留部隊に出撃を命じる。
地球防衛軍もそれに倣った。
デストロン来襲の報に真っ先に飛び出したホットロディマスは
そのまま真っ直ぐにスタースクリームに挑みかかった!
「スタースクリーム!貴様、何を企んでいる!?」
「ほう、誰かと思えばホットロディマスか。何を企んでるかって?
ふん。聞けば、この世界のデストロンはサイバトロンの使い走りに甘んじてるそうじゃないか?
ならばこの俺様がデストロンを再興し、リーダーになってやる!」
スタースクリームもまた、この基地に捕らわれているデストロン兵を救出しに来たのだ。
「くっ、そうはさせん!」
地の利と、なによりホットロディマスの奮戦もあって、
以前のオーブ戦のときほどには苦労せずにデストロン軍団の攻撃を凌ぎ、
そして押し返す地球防衛軍。

そんな中、鋼鉄ジーグは地中を掘り進み、
首尾良く基地地下にある巨大格納庫(を利用したTF用監獄)に侵入を果たした。
……だが、様子がおかしい。
いくら戦闘中とはいえ、兵士の一人も見えず、
捕えられているというデストロン兵士たちの姿すらない。
警戒しつつ進む宙の耳に、
なにやらロボットが殺気だって騒ぐ音が聞こえてくる。
罠を警戒しつつも、とにかく宙はそちらを確認してみることにした。


まっすぐ基地を目指し軌道上から落下してくる物体がある、
という報告に、レアリー艦長は眉を潜めた。
隕石か?……否、そんな偶然はありえない!
「ソレスタルビーイング!?」
軌道上から一気に駆け下りたプトレマイオス2は、
ほとんど減速せずに基地前の海に着水した。
その衝撃で発生した津波が基地と、周辺の部隊を敵味方問わず押し流していく。
津波だけではない。続けて放たれた砲撃がさらに混乱を拡大する。
その混乱に乗じて、アレルヤを救出するのがスメラギが立てた作戦だった。
デストロンの乱入は想定外だったが、咄嗟の判断で作戦を前倒ししたのだ。
「昨日の友は今日の敵、か。せちがらい世の中だねぇ」
「しょせん地球防衛軍も連邦の下部組織だからな」
ぼやくロックオンにティエリアが返すが、無駄話をしている間にも
地球防衛軍のうち、F91を始めとした何機かが、即座に反応してくる。
ロックオンのケルディムガンダムは駐留部隊やデストロンの足止めを担当するため、
しぜんとティエリアがF91を迎え撃つかたちになる。
「さすがは地球防衛軍、反応が早い!……だが、ガンダムの正統は我々だ!」
「あのガンダムは、あの時の!さすがに速い!……けどッ!」
強敵の登場に、だがシーブックは臆せずに立ち向かっていった。

三陣営入り乱れての乱戦になるなか、ダブルオーで基地に突入した刹那は
首尾よくアレルヤ、そしてカタロンのメンバーを解放し、捕らわれたマリナも救出する。
作戦目的を達成したCBは、即座に脱出しようとするが。
遅れて基地から発進したアヘッドのカスタム機がダブルオーの、
ソーマのキュリオスがアレルヤが乗り込んだアリオスガンダムの、それぞれ進路を阻む。
刃を交えるこ数合、砲火を交わすこと数射。
「この剣捌き、間違いない。あの時の少年だ……!」
カスタムアヘッド「サキガケ」のパイロットが歓喜の声を上げる。
それはアロウズ司令部からやってきた、仮面の男ミスターブシドーだった。
さらに刃を交える両者。だがマリナを同乗させているダブルオーの動きはどうしても鈍くなる。
遂に追い詰められたダブルオーがあわや両断させるか、というところで、
だが、不意に別方向からの殺到した砲撃がサキガケの動きを止める。
カタロン部隊が戦場に到着、CBの離脱支援のために割って入ったのだ。
生じた一瞬の隙をついて撤退していくダブルオーの背に、
ブシドーは再戦の闘志を燃やすのだった。
一方でキュリオスに乗るのがソーマ……マリーだと気付いたアレルヤは呼びかけを続けたが、
遂にその声は届くことはなく、両者の道は再び分かたてしまった。

どこか暗闇の空間に、ウルトラマグナスは浮かんでいた。
そこに、デストロンインシグニアが襲い掛かってくる。
それもウルトラマグナスの何倍もの大きさの、だ。
何の冗談だ?!
混乱しつつもウルトラマグナスは反撃し、これを退けたが、
巨大インシグニアが最期の苦し紛れに撃った小さな弾丸、
避けるまでもなさそうなほんの小さな弾丸が、
ウルトラマグナスの腹部を引き裂いた……

「うわぁぁぁぁッ!」
「……気付いたか?おい、大丈夫か!?」
ウルトラマグナスが目を覚ますと、
黄色と緑の見慣れぬロボットが自分を見下ろしていた。
「……君は?」
「俺は鋼鉄ジーグ。ホットロディマスの友人だ」
混乱するウルトラマグナスの拘束を解きつつ、宙は状況を説明した。
地中から侵入したのは地球防衛軍だけではなかったのだ。
デストロンたちもまた、仲間を救出するために同じ方法を採ったのである。
その際に積年の仇敵ウルトラマグナスを破壊していこうとしたデストロン兵を
すんでのところで鋼鉄ジーグが蹴散らしたのだ。
「おっと、詳しい話はあとだ。脱出しよう。歩けるか?」
「大丈夫だ、俺は不死身だ」
そう豪語するウルトラマグナスの言葉が、
不意に宙の胸に刺さって彼の動きを止める。
だが今は深く考えている時ではない。
とにかく宙はウルトラマグナスと共に来た道を戻るのだった。


プトレマイオス2が離脱を果たしたのち、戦闘は急速に収束していった。
カタロン部隊は解放されたメンバーを回収するとプトレマイオス2に続き、
スタースクリーム率いるデストロン軍団も最後まで抵抗したが、
限界に達したのかやがて撤退していった。
実際には作戦が成功したからだろうが、
それを地球防衛軍が知るのは戦闘終了後である。
結果として、今回の戦闘は完敗だ。
しかし、宙も見事にウルトラマグナスの救出を果たしていた。
その意味では、地球防衛軍にとっての作戦は成功したといえるだろう。
再びノーザランド基地に移動するスペースアークの船上で、
再会を喜び合うホットロディマスたち。
ウルトラマグナスいわく、
コンボイ司令を始めとして数名の仲間たちがともに転移したはずだが、
こちらの世界に到着した時には既に姿は見えなかった、と。
どうやら三月とホットロディマスが別々の地点に出現したのと同じ事態のようだ。
だが、きっと世界の何処かにいる……そう信じて、
彼はロディマスとともに行動することに決める。

そして、艦の片隅で外の景色を眺める宙の表情は冴えなかった。
それは己の身体の異常さに気付いたからである……。
過去の様々な事件事故での不死身さを、思い出したからであった。


……ほぼ同時刻、世界のいずこかの、近世ヨーロッパ様式の屋敷の中。
2人の美少年が、言葉を交わしていた。
「厄介な二つの不確定要素を噛み合せて共倒れさせる、か。
少し虫が良すぎたみたいだね、リボンズ」
「道化の闖入は予想外だ、やむをえないな。
まあいいさ、地球防衛軍にはまだ利用価値はある。
それよりもリジェネ、遂に連邦がプラントに宣戦を布告したよ。
すでに艦隊もプラントに向けて出撃している」
「へぇ、いよいよ始まるんだね」
「そう、イオリアの計画が、真に成就するときが来たのさ……」






  • 初登場ユニット

ケルディムガンダム(ロックオン)
アリオスガンダム(アレルヤ)

サキガケ(ミスターブシドー)
その他MS

ウルトラマグナス

インセクトロン各種


  • 初登場キャラクター

アレルヤ・ハプティズム
スメラギ・李・ノリエガ
マリナ・イスマイル

ミスターブシドー
ビリー・カタギリ
リボンズ・アルマーク
リジェネ・レジェッタ

シティコマンダー・ウルトラマグナス

オーラーブ・オーディン
アディルス・オーディン
サラ・オーディン

チェックポイント

  • ソレスタルビーイング関連
カタロンとの協力関係を若干前倒しして強化してある以外は
ほぼ原作通りの展開です。

  • 装甲巨神Zナイト
折角前話が北欧なんで、機体と関連キャラを登場させてみました。
このまま機体だけ日本に持って帰っちゃうものアリか?

  • アロウズ
今後味方連中がアロウズと一緒にトレミーを追うわけには行かないので、
ここでブシドーは出しちゃいました。
ネタが出てたのでマネキン大佐の代わりにチャムリー卿を配置。
そのマネキン大佐はたぶん、宇宙でこれからザフトと戦うのかな?

  • スタースクリーム軍団
デストロンのニューリーダー、スタースクリームさんが久しぶりに参上。
いずれメガトロン様が登場したときにその座を追われるんでしょうけど、
それまでは良い目をみさせてやるということで。
腐ってもデストロンのNo.2ですし、それなりに有能な面も描写。

  • アースパーツ
ドリル装備ですが、マッハドリルとは違い、王道(?)の地中潜行用です。
本来は新サイボーグ後の装備なんですが、
前倒して試作品ということで登場させてみました。

  • 開戦とか
いろいろ長すぎたんで宣戦布告(の報告)だけで、
すいませんが会戦の結果は次回まわしで
邪魔大王国ですとか、イオラオスや双子とかはちょっと入りませんでした。
もうしわけないです。