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第1章


ゲーム開始時の国際関係

アメリカ合衆国はカナダ侵攻計画等のごたごたにより国際的な信用を失っています。
そのため欧州派遣軍や在日米軍など海外に展開しているアメリカ軍はすべて国内に撤収しています。
隣国のカナダ、メキシコはもとより、中米、南米各国およびアフリカ諸国との関係はよくありません。
欧州に関しては英仏との関係は良好ですが、ドイツやイタリアとの関係は冷却化してします。しかしながらロシアの脅威を感じている東欧諸国との関係は比較的良好です。
中東ではセオリーどおり、イスラエルとの関係は良好ですが、サウジアラビアを含む他のアラブ諸国との関係は最悪です。
中国の脅威があり、アジアについては良好な関係を保っています。
オセアニアについてはオーストラリア、ニュージランドとの関係は良好ですが、他の島嶼部の国との関係はよくありません。

よってゲーム開始時の同盟関係は以下のようになりました。

主要同盟国

英国・イスラエル・日本・フランス・韓国・台湾・モンゴル・フィリピン・シンガポール・マレーシア・インド・パキスタン・オーストラリア・ニュージーランド・フィンランド 他、バルト3国や東欧諸国、中央アジア諸国とも知らない間に同盟を結んでいるようです。
(お誘いがあったら基本的にNOといわないアメリカ)

ゲーム開始時の国内関係

アメリカは基本的になにをやっても大丈夫な国のため、特に意識して何かをやったりはしていません。
各種資源が不足していたら増産を行っています。油田・ウラン鉱山・メタル関係鉱山の開発を行いました。

ゲーム開始時の部隊配置

陸軍 一杯あってわけがわからないので放置
空軍 一杯あってわけがわからないので放置
海軍 一杯あってわけがわからないので放置

対カナダ戦で一度総動員をかけ、戦後にわかりやすく部隊を再配置しました。ここらへんはプレーヤの好みの範疇になりますが、戦闘部隊・支援部隊・守備隊・予備隊の役割ごとに駐留させる場所を変えておくと動員する再に楽になります。特に、空軍に関しては燃料やら航続距離やらがあるので、アメリカの中心部に巨大な飛行場を作り一度底に集めてから種別、方面別に割り振りました。


星条旗はためく下に 第1章 2020年1月~2020年12月


クライシス2020。後に人々はこの年のことをそう呼んだ・・・。

 2020年の人類社会は不安と驚きの中始まった。2010年代後半から続く全世界の混乱がついにこの年、臨界点に達したのだ。まず中東の火薬庫が火を噴いた。アメリカ軍の撤退によりあたらなミリタリーバランスを模索している中東地域において、イスラエルが追い詰められる形で周辺アラブ諸国に宣戦布告、第5次中東戦争が勃発する。戦況は、開戦奇襲に成功したイスラエルが有利に進めるものの、アメリカの後方支援がない状況では近いうちに攻勢の限界点に達するのは誰の目にも明らかであった。アメリカ政府は万一に備えワプス級強襲揚陸艦と地上部隊を主軸とする地中海方面艦隊を編成、イスラエルが危機に陥った場合に備えた。一方アジアではインドとパキスタンがついに先端を開き、それに乗じた中国がインドに宣戦布告。さらにロシアにも宣戦を布告した。北朝鮮もこの混乱に乗じ南進。世界は一挙に混迷の度合いを深めつつあった。

 しかし何より世界中を驚かせたのは、ドイツ軍の対仏宣戦布告であった。長引く経済混乱により、極右ネオナチが政権をとったドイツではEUの崩壊によって発生したヨーロッパの混乱を千載一遇の好機と捉え、フランスに戦線を布告。独仏戦争が勃発する。国連安全保障理事会はドイツを国連から除名する。対するフランスも、ドイツ軍がかつての大戦と同様に低地諸国を通過することを危惧し、オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの保証占領を要求。しかし各国政府に拒否されるとすぐさま宣戦を布告。常任理事国の暴走に国連はなすすべもなくその機能を停止した。周辺諸国の対応はすばやかった。英国は独仏両国に対しすぐさま戦線を布告。スペイン、イタリア、ポーランド、デンマークもそれに続いた。

 ヨーロッパの混乱に対してアメリカ政府は介入するすべを持たなかった。交戦国の双方が同盟国であり、介入の正当性が保てなかったこともあるが、なによりも北の隣国カナダの宣戦布告により海外の情勢にかまう余裕がなくなってしまったともいえる。


 現代史にはいくつかの謎があります。この一件もその謎の一つでしょう。99.99%勝ち目のない相手に戦争を仕掛けるというその合理性のなさは「謎」としか説明が出来ません。パールハーバーに奇襲攻撃を仕掛けてきた日本軍は彼らなりの勝算があったのでしょうが、今回のカナダ軍の動きは暴発、暴走としか言いようがありません。なにやら得体の知れない怪物が歴史の背後をうごめきまわっている。そんな感じがしてならないのです。
(NY証券取引所のトレーダー)


 カナダ軍の侵攻に対して合衆国政府は直ちに戦時体制を宣言。北部各州に展開している陸軍にカナダ軍迎撃と越境攻撃を指令する。大西洋、太平洋艦隊もカナダ沿岸を北上する。しかしながら西側先進装備を持つ軍隊同士のぶつかり合いのため、またアメリカ軍がその規模ゆえに戦力を逐次動員し挿入しなければならないという制約もあり戦況の推移はゆっくりであった。しかし、アメリカ陸軍第一軍団がカナダ主要都市、オタワ、トロント、モントリオールを制圧すると戦況は一挙にアメリカ軍優位に傾く。2020年6月、国境沿いの大都市がすべて陥落したのをうけ、カナダ政府はアメリカ政府に対して無条件降伏を宣言。アメリカはカナダ全土を併合した。

 北米での戦いが終わるころ、中東でも一つの戦いが終わりを告げようとしていた。最新兵器で身を固めため、4度にわたる中東戦争を生き抜いてきた戦闘国家イスラエルが、ついに最期の時を迎えようとしていた。開戦当初はアラブ連合軍を圧倒したイスラエルであったが、北米、欧州での大戦勃発のため政治的、経済的な後ろ盾を失ったイスラエルはアラブ連合軍の数の力に抗することは出来なかった。
 アメリカ政府も、北米において戦闘状態にある現在となっては、同盟国の支援に大々的に乗り出すわけにも行かず、かくしてイスラエルは地図からその姿を消した。再びユダヤ人はその地を追われたのである。

アラブ連合 48時間以内にユダヤ人の占領地からの退去を要求 (イェルサレム発)

 パレスチナ人は歓喜に沸き、ユダヤ人たちは絶望に沈んだ。イスラエルの北、東、南は敵国であり、西側は地中海である。48時間以内の退去と言われても彼らの向かう先は西の海しかなかった。ボートで、漁船で、再び難民となったユダヤの民は生きるために着の身着のままで地中海へ逃れるしかなかった。シンドラーもスギハラもこのときの中東には存在しなかった。領海線ぎりぎりに展開するアメリカ地中海艦隊にたどり着けた難民は当初の半分にも満たない数であった。
 2020年7月、イスラエル政府の消滅を受けて地中海での活動拠点を失ったアメリカ艦隊はジブラルタルを経て本国へ帰還する。

(第5次中東戦争終了後の旧イスラエル領の勢力図)

筆者注:このとき同盟国フランスは、イタリア軍に地中海に面したすべての都市を奪われており、地中海において艦隊が寄航できる場所は英領ジブラルタルとギリシャのみでした。カナダとの戦争が始まったため、アラブ諸国には宣戦を布告せず、イスラエルへの無償援助のみでやってきましたが、やはり持ちこたえるのは無理のようでした。イスラエルの消滅後も地中海に居座るアメリカ艦隊に対して、アラブ諸国や地中海沿岸のアフリカ諸国から猛烈な抗議をうけ、難民の収容を終えた艦隊は地中海から撤退。ニューヨークへ帰還したとこじつけます。


カナダ政府の降伏を受け入れたアメリカは、カナダ連邦を構成する各州を基本行政単位として合衆国に編入した。カナダはアメリカよりもリベラルな気風を持つ国であるため、併合はスムーズに行くはずもなかった。特にアメリカ政府の行い、カナダ侵攻計画や徴兵制の復活法案の提出などに嫌気がさしたアメリカ国民がカナダ国籍を取得し、大量にカナダに逃れていたことなども占領政策に大きく影響した。各地でサボタージュやデモが頻発し、国内の主要都市には軍が引き続き駐留せざるを得なかった。しかしながら、実力で敵国を制圧したという実績はアメリカ国内の保守派を喜ばせ、勢いつかせた。「アメリカこそ神に選ばれし国である」彼らがそう考え始めるまでさほど長い時間はかからなかった。


カナダ併合で政府が忙殺されている最中、地中海へ派遣していた艦隊が大量のイスラエル難民をのせニューヨーク港に帰還する。当初アメリカ政府は、欧州のどこかに難民受け入れを要請したものの、英仏独伊の主要国が戦火を交えている情勢とあってはそれもかなわず、アメリカにおいてイスラエル難民を受け入れることとなった。このことはかねてよりアメリカ政府に対し強い影響力をもつユダヤロビーをさらに活発化されることになる。


韓国軍、中国国境まで到達南北統一を宣言 金一族の消息は依然不明(台湾中央電子台)

2020年9月4日。1月の開戦以来、北朝鮮の圧倒的物量の前になすすべがなく、首都ソウル目前まで迫られていた韓国軍は2020年の夏に反撃に転じる。半年にわたる攻勢で国内資源を使い果たした北朝鮮軍に韓国軍の北上を押しとどめる力は既になく、20年8月にピョンアンが陥落。北部の山岳地帯に篭って抵抗を続けていた部隊も9月4日、ついに韓国軍の前に屈した。
韓国政府は直ちに南北の統一を世界に宣言した。

中国政府、中韓の勢力境界線は鴨緑江にあらず、軍事境界線である(親華社通信)

同日、中国政府は声明を発表。韓国政府を朝鮮半島の統一国家政府とは認めない旨を世界に宣言。韓国に対し宣戦を布告。人民解放軍が鴨緑江を越えた。朝鮮半島の戦火はいまだとどまるところ知れず、なお、拡大をつづけるのであった。

(北朝鮮消滅から少したった時点での朝鮮半島情勢)



北京郊外のとある高級別荘地。その一軒の軒先に一台の車が滑り込む。車から下りた男は中華人民共和国国家主席、ミン・ホン。玄関で出迎えた男は2010年に父金正日の死により政権を次いだものの、軍部のクーデターにより実権を失い、さらに韓国軍の侵攻により北朝鮮を追われた息子金正男であった。両者の対談はわずか5分。この別荘で何が語られたかは不明である。ただ。唯一明らかになっていることは、翌日の新聞に、
金正日の子息、金正男氏、心臓発作で急死
と小さい記事が掲載されただけであった。

その翌日、人民解放軍は韓国軍に対して攻撃を開始した。



 開戦当初、韓国軍は敵地北朝鮮の奥深くに展開していたことにより、人民解放軍の攻勢の前に後退を余儀なくされた。しかし、韓国軍の補給体制が整ってくると、次第に形成は逆転。人民解放軍を旧北朝鮮領内から追い出すことに成功した。

 かつての中朝国境。現在の中韓国境に展開した韓国軍は迷うことなく国境を越え中国領内へ侵攻した。韓国軍は中国領内深く進撃するも広大な中国の大地に攻撃衝力を殺がれ前進ストップ。第二次朝鮮戦争は再び膠着する。

 韓国軍と朝鮮半島で戦端を開いた中国であったが、このとき既に、北にはロシア、南にはインドという2つの大国を敵に回し、さらにカザフスタンやモンゴルをはじめとする北アジア中央アジア諸国、ベトナムやタイを中心とするアセアン諸国を敵に回し四面楚歌の状態に陥っていた。しかし、いずれの戦線も、砂漠や山脈、広大な森林地帯という自然の障壁と前線と後方の距離の暴虐によって戦線が膠着。中華人民共和国を取り囲む国境線は不気味な沈黙の中にあった。



 2020年10月。イーストウッド大統領と与党共和党は以前議会に提案し、合衆国中から総スカンにあった法案。徴兵制復活案を修正して議会に提出する。このとき、9.11テロをきっかけに制定された「愛国者法」を強化・恒久化することもあわせて盛り込まれた。前回提出された徴兵制法案と異なり、今回提出されたのは、いわば選抜徴兵制というものであった。
 対テロ戦争、イラク戦争と無名の戦を繰り返してきたアメリカ軍の兵士の質は、いまや建国以来最低に落ち込んでいた。カナダ戦役では勝利したものの、カナダ軍の善戦の一因はアメリカ軍の弱体化にあるとも言われており、軍の質的向上は政権の至上命題となっていた。軍の弱体化の原因は深刻な新人不足にあった。兵士不足に対しては従来より「兵士の頭数を確保する為に貧困層に属する若者を奨学金で釣る」という採用方法をとっていたが、この方法で兵士のモーラルが上昇するわけもなかった。また、士官に関しても、国益よりも一部の人間の利益のために動いている軍に愛国心あふれる優秀な若者が志願するわけもなく、軍の頭脳・手足双方共に人手不足が蔓延していた。
 徴兵によって強制的に人手を確保することが軍の再建に効果的であるかはともかく、軍の規模を拡大することが自らの勢力の強化につながると考えるイーストウッド大統領と与党共和党は国内の反対の声を押し切り、法案を可決成立させた。


(前略)
 徴兵制度がない以上、経済的に恵まれている家庭のご子息、ご息女が戦争にに行く必要がないと多くの方は思われるでしょうが、いまから約50年前、名門大学のプリンストン大学の卒業生750名中400名が軍に志願しているということを思い出していただきたい。アメリカ市民の皆さん「ノブレス・オブリージュ(高貴なものの義務)」を思い出していただきたい。今世界がこのような事態にある。いまアメリカが貴方のご子息とご息女を必要としているのです。
(中略)
 国民皆兵制度とは戦争に勝つためのものだけではありません。身分や肌の色が違う若者たちが寝食はもとより、生死をも共にする経験を得る為の教育制度でもあるのです。
(後略)
(アーノールド・イーストウッド大統領の議会演説(一部抜粋))



大統領の勇ましい演説ではあったが、アメリカ上下両院のうち軍隊経験者はわずか5%。自らの子どもを軍に入れている議員はわずか7名という有様であった。


 事実上の選抜徴兵制ではすべての若者に一体感をなんていうのは絵に描いた餅さ。上流階層が徴兵されることはまずない。軍がほしい人材を「選抜」するんだからな。
 金持ちの生活しか知らない2世、3世の先生方に戦争や経済、福祉について庶民の痛みを理解した政策を期待しても無理さ。
(ニューヨーク証券取引所のトレーダ)


2010年11月
 「選抜徴兵で軍にとられるくらいなら今のうちに志願しておいたほうが得だ」軍の広報の効果もあり、入隊志願者が軍のリクルートオフィスに殺到した。その多くが貧困層に属する若者であった。
 入隊志願者の増加を受けて、軍首脳部は兼ねてから進行していたプロジェクトを実地実験の段階に移した。低負荷戦闘機開発計画、関係者の間では「ニンテンドープロジェクト」とジョーク交じりに呼ばれているプロジェクトは、通称に世界的に有名な家庭用ゲームメーカーである、ニンテンドーの名が冠されたことからわかるように、ビデオゲームのように操作が容易かつ直感的に動かせる兵器を開発する計画である。主に、空軍と海軍が中心となって計画が進められているこの計画は、兵器に一種のAIを搭載し、搭乗者との二人三脚で作戦行動を行うことを計画していた。このAIの技術は同時並行しているA45などの無人戦闘機開発計画とリンクしながら改良を重ねられ、11月に空軍の余剰となったF-35A戦闘機に搭載。ラスベガスの北方にある誰もがしっている秘密基地において飛行実験が行われた。実験の結果は比較的良好であった。しかし、あくまで素人に操縦させ、AIが補助をするという運用の性質上、プロの操縦する戦闘機との空中戦にはかなわないし、防空体制の整っている敵拠点への強襲も難しい。しかし、同等の技術力を有する軍隊と戦うわけではないという理由から空軍の教育訓練軍団の傘下で5個編隊が編成された。実験段階であるため、搭載するAIはパイロット個々人に合わせた設定を行う必要があるため、手間と費用が膨大なものになった。



2010年12月
 カナダ・メキシコ併合計画がマスコミにより暴露されたとき、カナダとメキシコ、そして中南米諸国は連帯してアメリカに対抗するべく協力関係を築いた。特にアメリカと国境を接するカナダとメキシコの危機感は大きく、どちらかがアメリカ軍と交戦状態になった場合は即座に支援するという協定を結んでいた。しかし、カナダ政府の謎の暴走の結果、メキシコ軍の戦争準備が間に合わず、軍の動員が完了したときにはアメリカ軍はカナダを併合し、メキシコに隣接する各州軍はメキシコ国境に展開を完了していた。開戦奇襲を断念したメキシコ軍であったが、国境沿いにアメリカ軍が展開している状況ではおいそれと動員をとくわけにもいかず、米墨国境では日に日に緊張が高まっていった。

2010年12月24日
 不幸な偶発事故であった。
 国境が封鎖されているとはいえ、メキシコ移民にとってアメリカは豊かな生活を得ることの出来る約束の地であり続けた。クリスマスの夜も豊かな生活を夢見る若者は、リスクを承知で危険な砂漠を越える。平時において警戒する必要があるのは両国の国境警備隊であるが、現在は完全武装の軍隊が対峙する危険地帯であった。時事情報すら手に入れることの出来ない貧困層の若者たちはそのことを知らなかった。夜の影にまぎれて接近する人影にアメリカ軍が発砲。それに対してメキシコ軍が応戦。近隣の部隊も次々と動き出し、小隊単位の銃撃戦が連隊単位に波及するまで1時間とかからなかった。アメリカ軍上級司令部は事態の収拾に奔走。同時にホワイトハウスに対して外交ルートでの事態の収集を要望する。
 国境地帯での武力衝突勃発の連絡によりたたき起こされたイーストウッド大統領は直ちに閣僚を招集。対応を検討した。


「司令部、『全軍前進せよ』で間違いありませんね!?」
「間違いありません。宣戦が布告されました。全軍に戦時体制に入るように指令が出ています」


「ハッピーホリデー。クリスマスを迎えた国民の皆様にお知らせすることがあります・・・。」
 24日の夜、大統領のテレビ演説が行われ、メキシコとの開戦が全世界に知らされた。



12月24日 深夜 メキシコ湾

 メキシコ湾艦隊に所属するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦スプルーアンスの甲板に設置されたミサイル発射口から次々と光の矢が放たれる。少し距離を置いて併走するタイコンデロガ級巡洋艦からもミサイルが発射されているのが確認できる。
 CICに入らず艦橋で指揮を執っている艦長のテレンス・B・カーバー大佐は次々と発射されていくミサイルを見ながらつぶやいた。
 「いまごろ、世界中の人々がテレビやインターネットでこの光景を目にしているのだろうな・・・。」
全世界の人々が開戦の事実を知って驚いたのと同様、スプルーアンスのクルーたちも突然の戦闘開始命令に驚いていた。当初、彼らの任務はメキシコとアメリカの国境線沖合いの海域の監視であったが、突然の開戦により、メキシコ領海内に侵攻し、メキシコ海軍の艦艇の出航を阻止すると共に、メキシコ軍の指揮系統を混乱させるべく、メキシコ各地に巡航ミサイルを発射するという任務に変わった。
 「CICより艦橋。レーダーに敵艦確認!」
 オペレータの報告の声によって感傷の世界から引き戻された。
「すぐ行く」
 彼はそう答え艦橋からCICへ向かう通路を下りていった。


 クリスマス戦争は当初、国境線を挟んだ砲撃戦によって始まったが、アメリカ陸軍、カリフォルニア州軍、テキサス州軍から選抜された戦車部隊と機械化歩兵部隊を主軸とする高機動部隊が戦線を一気に押し上げる。空軍の全面的な支援により、砲兵部隊の随伴を必要としない、いわゆる電撃戦を展開。メキシコ軍を圧倒する。
 空軍はF22戦闘攻撃機、F22デルタラプターの新鋭機を装備する部隊のほか、全米各地から部隊が動員された。
 海軍もカリフォルニア州、サンディエゴを母港とする太平洋艦隊(第3艦隊)から空母2隻を主軸とする機動部隊が出撃。メキシコ湾艦隊(第4艦隊)も空母3隻を出撃させた。
 そして、Groom Lake空軍基地からは「ニンテンドー計画」によって編成されたF35D戦闘攻撃機が始めて実戦に投入された。



2020年12月29日 ベルリン
2020年も残りわずかとなったこの日。ドイツ連邦の首都ベルリンがイタリア、オランダ、デンマーク、ポーランド、チェコ、スイスの連合軍によって制圧された。即座にドイツ全土に軍政が施行され、ドイツ領の5割を越える地域をイタリア軍が制圧した。ドイツを制圧したイタリア軍は直ちに全軍をパリに向け進撃させる。
2020年の欧州は予測不可能な混迷の中にあった。


第二章 2021年1月~2121年12月
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