「マーテルの遺伝情報(固有マナ)に近い者」をクルシスが見いだし、神託の名のもとに「マナの血族(一族)」として定義した一族の婚姻関係を管理し、よりマーテルに近い遺伝子を持つ子が生まれるのを待ち続けていた。
こうして生まれ続けるマナの血族の中で、特にマーテルに固有マナが近いと認定されたものが「マーテルの器」、すなわち神子である。
「マーテルの子孫ではないが、限りなくマーテルに近い遺伝子を持つ」と考えるとわかりやすいかもしれない。
歴代の神子の中でも
コレットは特にマーテルに近い遺伝子を持っているとされている。
繁栄世界(テセアラ)と衰退世界(シルヴァラント)では、それぞれ神子の役割が異なっている。
コレットに代表される衰退世界の神子は、神託とともに現れた救いの塔の封印を解いていく過程で徐々にクルシスの輝石と同化、天使へと変質していき、最終的にはマーテルの器として役割を果たすことになる。
一方の繁栄世界の神子、
ゼロスらの役割はマーテルの器としての純度を保つ事。来るべき世界再生の旅に備えて、遺伝子情報の近い者(マナの血族)同士で婚姻を結びより純度の高い器を求めるのである。
衰退世界の神子は16歳になるとマーテルの器として世界再生の旅へ出されるが、繁栄世界の神子は基本的に男の神子であり、単なる血筋継承(選ばれた相手と結婚させられ、子を為す)の役割を負わされている。
仮に世界再生の旅が成功しても繁栄と衰退を入れ替えるだけで、女の神子の場合はさらにマーテルの器として試され失敗したら不適合品として棺に入れられる。
こういった事情から、クルシスにより、繁栄世界の神子は、血筋を残しやすい男、衰退世界の神子は再生の旅に備えるために女が生まれるよう調整されている。
シンフォニアの世界ではこのおぞましい歴史を4000年間繰り返していた。
過去に再生の旅を完遂させた神子はいたものの、器となる際、マーテルのマナとの不適合が原因で全員死亡、生き延びたコレットは最初で最後の、「真の世界再生の神子」となった。