ボクノ秘境。

何もない空2




だけど・・・・


「梨乃・・・・?」


ハルの声が、聞き飽きたようなアイツの声が、私を深い悲しみの底から救い出してくれ


た。


「ハ、ル・・・?? ハルッ!」


それは、ほぼ無意識でとった行動だったけど。


気付けば私はハルの胸に飛び込んでいた。


「ゴメンね、私・・・ハルに伝えなきゃいけないことがあったのに、


ずっと逃げてばっかりで・・・私・・・・」


「俺も・・・ハルに伝えたいことがあって戻ってきたんだ。


出発する前にどうしても言いたくて・・・さ。


なぁ・・・・ハル」


そう言った彼は私の両肩を掴み、正面に捉えていた。


「前からずっと、俺はずっと梨乃のことが・・・・」


「・・・大好き」


「・・・・えっ?」


私が言った言葉に、ハルは一瞬耳を疑ったような素振りを見せた。


「私は、ハルのことが大好きなの。


だから・・・絶対私のこと、忘れないで。」


そう言った後、私の手はしっかりと彼の右手を握り締めていた。


「ハルがどこに行っても、私、ハルのことが大好きだから・・・だから・・・・」


「分かった。」


私がそう言った後、ハルはポケットから何かを取り出して私にそっと渡した。


「これは、俺たちがずっと繋がってるっていう証。


別れた気持ちが合わさって一つになる。


これから俺と梨乃は、ずっと一緒だから・・・な、だから泣くな。」


私の掌には、半欠けのハートのキーホルダーがしっかりと握られていた。


「ありがと、ハル・・・」


そうだけ言って、もう一度私達は抱き締め合った。


これが、ハルの暖かさに初めて触れた瞬間だった。


そして月日は流れ・・・・


私は、ハルがこの街にいた頃と変わらない気持ちで日々を送っている。


もう彼の影を追ったりはしない。


私達はどんなに離れていても、きっと同じ気持ちで繋がってる。




見上げる空には、もうあの日の虚無感はなかった




















































































































































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最終更新:2008年08月23日 23:44