≪詩≫
廃(すた)れた場所
潰れた設備
砕けた木片
へし曲がった鉄屑
使い古された機材
そんな廃材で溢れる現場
それが廃墟
中には冷気が充満し、渇いた空気が吹き抜ける
人の気配は皆無
まるでその場所だけ時間に取り残されたような、そんな感覚
廃材の一つ一つに、利用していた者の魂が宿り、廃墟を見守っている
気味が悪いんじゃない
本当に〝何か〟があり〝誰か〟がいるのだ
そんな場所の中にも、思わず言葉を失ってしまう程に魅力的な箇所がある
だが、反対に死臭の漂うような物騒なところもある
実際、廃墟で一般人が遺体を見つけることは、そんなに珍しいことではない
だが、そんな発見をしたいがために、廃墟に足を踏み入れる者はそうはいない
廃墟に興味を持ち、中を散策しようとする者の大概は、物寂しい廃れた建造物に
、ロマンのようなものを求めているに違いない
何年何十年と使われ続け、古びた建物に何かを求めることは、ある意味宝探しに
似通っていると言っても言い過ぎではない
そんな現代の宝探しは、今も世代を問わず行われている
失われた時の流れの中に、人々は何かを求め続けているのである
それは止まった時を、再び動き出させることになり得(う)るのかもしれない
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最終更新:2008年08月30日 22:35