03 妖々「全て桜の下に」



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|circle=凋叶棕
|vocal=Φ串Φ
|lyric=RD-Sounds
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|original=アルティメットトゥルース;ボーダーオブライフ
 遠い昔、問うたことがある。

  ”桜の下に何が“

  それに返る、答えは(つい)ぞなく。

  ”おそろしいもの“とだけ。


  桜が咲くことがあるならば。
  それが目覚めるならば。

  おそろしいものが何であるか。
  知ることが叶うのか。


不甲斐(ふがい)無さと、焦燥と。己の未熟を(さいな)んで。
傷つく体を抱えて、走る。

ただ只管(ひたすら)に、主の下へ。何が出来るでもないのに。
胸騒ぎの静まらぬままに。


桜の下に。眠る何かに。
主は何を思うのだろう。

あれの下には。恐ろしい何かが。
眠っていると聞いたのに…


かつて教わった、(ふる)い記憶が。桜に重ね見せた幻は。
(はね)を広げた二匹の蝶となる。
何よりも幽雅に。



   只、立ち尽くすのみ。

   この光景はきっと。

   生きては見えず。死しても見れず。



放たれる光の(いろ)
広がる。集まる。四散する。
苛烈に舞い続ける紅白の蝶。

追いすがっては、()ぜる光に。
ひらりひらりと遊ぶように。
優雅に舞うは桜色の蝶。


桜の下に。眠る何かが。
夢見る光景(けしき)を重ね見る。

生きるも死ぬも
その境目までもがここでは酷く曖昧で。


二匹(ふたり)、舞い戻る。桜の下へ。
最後のときとばかり相向かう。

咲かぬ桜を、今、咲かさんとして。
再び舞い上がる。


芽吹(めぶ)く花。
吹雪(ふぶ)花片(はなびら)
何か見てはいけないものをみて。

どの桜より。
それは、美しくて。そして、怖ろしくて。


桜の下、眠る貴女が。
”誰“なのか今―それがおぼろげに。

おそろしいものは、きっと、はじめから。私の傍にいた。


   只、立ち尽くすのみ。

   この光景はきっと。

   生きては見えず。死しても見れず。
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最終更新:2018年07月20日 18:05
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