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  • 強制TS(女体化)の上に半陵辱なのでダメな人はご注意
  • オチがひどいのは仕様です

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「何故です螺旋王、何故私をこのような体に!」
 怒りと当惑、そして僅かな怯えを滲ませた青年士官――だった者の声を耳にし、玉座の前へ転がるように進み出たその姿を目にしても、王と呼ばれた男は眉ひとつ動かさず、深い穴の如き虚無を湛えた視線を揺らがせもせず。
 ただ、無感動な声で哀れな道化の名を呼んだ。
「ヴィラル」
「…はっ」
 片膝をついて跪く人影は調整槽から出てすぐに慌てて支度したのだろう、乱れた金髪と軍服、かつては一分の隙無く体を覆っていたが今は体型に合わずに大きく胸元を開けて着るしかなくなっているそれを時折気にするそぶりで、しかし臣下としての礼は最低限保ったままにいらえを返す。
「お前には眠らずとも死なぬ身体をくれてやった。何が不満だ」
「お、恐れながら、この身を不死とするのに…その、どうして、女のような………」
 王の、絶対者のすることに逆らっては、疑問を抱いてはならない。獣人にとってのその不文律を重ねて破る事となっているのは自覚しつつも、ヴィラルの口は止まらなかった。
 変わってしまった肉体が、胸の中でただただ五月蝿く心臓を鳴り響かせている。
 怒りか、屈辱か、それとも恐怖ゆえにか――
「余興だ、ただのな」
 気怠げな声で呟いた王が犬でも追い払うかのように手を振れば、それまで王の傍らや足元に侍っていた女官たちが小鳥が囀るに似た声を上げて玉座から離れ、するすると水が引くように玉座の間からいなくなる。
 途端にがらんと広さを増して見える部屋の中に、王の御前に、ただ一人取り残される。
「近くへ寄るがいい、ヴィラル。仕上がりを見せてみろ」

 >>>

 来いと言われ、王の足元までは膝行り寄ったがそれ以上どうすればいいのか判らない。
 視線の先には、緩やかに重なり合った螺旋状のスロープがある。この頂に据えられた玉座に王が座し、今も自分を見下ろしているのだと思うと胃の腑を冷たい手で掴まれているような怖気に襲われる。
「どうした、上がって来い」
 逡巡している間にこの戯れにも飽きて、下がって良いと言ってくれるのではないかと儚い期待を抱いていたのだがどうやら叶わないようだ。無情な声音に引きずり上げられるよう、のろのろと一段ずつ螺旋の階を登る。
 下に落としたままの視線の先に、大きな爪先が目に入った。
 白い、緩やかな衣を纏った王の足元はなんと裸足だ。意外さに驚いて上げた顔の正面で、虚無を湛えた目が自分をじっと見ていた。
「あ………」
 あまりの恐ろしさに、舌が縺れて言葉を形作れない。気が付けば、至尊の王の間近に――そう、愛玩物として傍らに侍る女官たち以外では四天王ですら許された事はないだろう、手を伸ばせば触れられるほど近くに自分がいることに今更のように気付き、背筋に氷の棒を差し込まれたが如き緊張と、そして戦慄を覚える。
「見せてみろ」
 重ねて要求する声。何を?
 ――この、身体を。
 王の手により、戯れに作り変えられた、この歪な姿を。
「…あ、あの……」
 震える唇を、合わぬ歯の根を強いて動かし何を言おうとしたのか。
 非礼を詫び、二度と疑わぬと忠誠を誓い、許しを請えばこの場から解放してくれはしないか、そんな甘い考えはしかし、王の次の言葉で半ば予想通り、粉々に砕かれた。
「どうした?」
「は、はい……」
 何もかもを諦めて、上衣の前を閉じるファスナーに指を掛ける。引き下ろすべく力を込めようとして、そこで急に己の今の姿、王の目前で自ら衣を脱ぎ裸身を晒そうとしているこの状況をまざと自覚し、途端に顔へ、ざあっと血が上った。

 ああ。
 恥辱で死んでしまいそうだ。

 >>>

 ジジッ、とファスナーの滑る音が静寂の中で耳を刺した。
 一番下まで引き下ろされた金具は服の前を閉じる役目を完全に放棄し、暗赤色の上衣は内側からの圧力に屈して敢え無くはだけられる。
 露わにされた白く柔らかな丸みが目に入り、仮にも己の身体だというのに慌てて目を背けてしまいそうになった。
 かつて、一時期の上官だった流麗のアディーネの、その豊満なプロポーションを見せ付けるよう際どい衣服を纏っていた姿を見るたび、何とも形容できない、背筋がそわそわして落ち着かない気持ちになっていたものだが、今こうして自分の体に具わっているそれを見たところで、ただ忌まわしさがいや増すばかりで微塵もああいった浮き足立つような心境には到底なれない。
(身体の変化した様子さえご覧になれれば、王も納得して下さるだろうか)
 そう考えて袖は抜かず、上衣は肩に羽織ったままズボンのウエストに指を掛ける。一瞬の躊躇いの後、震える指先で緩められた衣服はするりと下肢を滑り降りて膝の辺りでわだかまった。
 残り一枚、腰部を包むのは頼りなく薄い、伸縮性を持つ布地。
 もはや恐ろしくて顔を上げる事も出来ないが、全身の感覚は自分の頭頂から足元までを這い回る気配を手に取るように知覚する。

 見られている。
 皮一枚の表面だけではない、この身の内に渦巻く羞恥も、怯懦も、何もかも。

 小さく息を呑み、奥歯を噛み締めながら下着を落とす。
 どんなに目を凝らしてもかつてあった雄の象徴の影も形も見出せない股間には、ただ髪と同じ色の繁みだけが淡くけぶっていた。
「…ふむ、完全に変わっているな」
 突如、眼下に伸ばされてきた指先が動くのが見えた。
 王の大きな手が、指先が胸元に触れ、つうっと肌の上を滑る。その動きに、指の冷たさに背筋には寒気にも似た嫌悪感が走り、知らず全身がびくりとわなないた。
「螺…旋、王……、もう……」
 もうこれで許してくれと、解放して欲しいと願う心はだがしかし、無情にも押し拉がれる。
「近くへ来い」
 絶望が身体の内側を蝕んで、ばらばらに自壊してしまうのではないかと思いながらも足は操られるよう一歩を踏み出した。膝に絡んだ衣服が邪魔で、半ば無意識のうちに足を引き抜いて払い落とす。

 今、自分の立っている場所が信じられない。手を伸ばせば触れられそう、どころではなくあと僅か身動きすれば己の脚が王の膝に触れてしまいそうな近さ。
 今、自分の姿が信じられない。身に着けているものといえば辛うじて腕が通っているだけの軍服の上一枚で、残りは隠しようもなく素肌を晒した不様な格好。
 頭を押さえつけられたように上げられない視線の先で、再び大きな手が軽く脇腹を撫で、そこに醜く残る深い傷の痕へと指先が触れた。
「お……王……」
 戦士として生を享けた以上、戦いで負った傷を恥じはしない。そう思っていたのに、今こうして指先で確認するようその痕をなぞられると、言葉ではない言葉で、下等な裸猿如きに深手を負わされた自分の無能を詰られているような気がする。
 耐えかねて両腕で顔を覆ってしまうのと、上衣の下を滑り上がってきた手が胸の膨らみに触れるのとはほとんど同時だった。
「な……ッ…!?」
 大きな手が、指が、胸部に盛り上がる柔い肉の塊を圧し、その弾性を確かめるようゆっくりと揉み、丸みの頂で先程よりも大きさを増したような気がする突起を周りの肉へ押し込むよう捏ね回す。
 生命活動の上で必要なわけでもなく、戦いの役にも立たないこんなものが何故備わっているのかいっこうに理由の解らない膨らみが、そうやって触れられただけで突如全身の血と神経を集めたように重くなり、過敏さを増す。
 そこを柔らかく、時に強く撫でられ、突付かれ圧迫されるだけで全身をがくがくと震えが貫いて膝が崩れそうになる。腰の辺りが、何故かじんわりと熱く鈍く疼くような感覚。
 思わず腕の隙間から自分の身体を見下ろしてしまった目は、更に信じられない光景を捉えた。
「あ………、そ…んなっ、何を……!?」
 胸に触れていない方の王の手が、両脚の間へ滑り込んだのだ。
 自分の認識では、ただ排泄孔があるだけの不浄の場所へ、王が。

「お、お止め下さい………!!」
「儂に指図をするのか?」
 獣人の意識を縛る、それ以上の反論を許さぬ言葉。
 もはや抵う意思すら殺され、されるがままの身体のかしこを大きな手が、太い指が這い回る。
「ひっ!」
 両脚の間を割った手が、何か粘膜のような場所に触れたことを感じてびくりと背が引き攣った。
 しかも皮膚からの刺激は、その手指がぬるりとした液体に濡らされていくのを感じ取る。
 己が遂に粗相をしてしまったのではないかと怯え、絶望しかける獣人の心など知ったことではないとばかりにその場所を弄る指はどんどんその動きを激しく、複雑にしていく。
 おかしな声を出してしまわないよう口を塞いだ自分の手の間から、それでも熱く湿った呼吸と低い、獣が唸るような声ばかりがただただ漏れる。
「……ぅ、んんっ、……く……」
「すっかりと雌の身体だな」
 耳の内側で鼓動の音が、血管を流れる血の音がひどく煩くて、外からの音は膜を一枚通したかのように遠く、不鮮明に聴こえた。
(俺の…体……いったい…何、が……?)
 脳裏にぼんやりと浮かんだ疑問に答える言葉はなく、ただ、ぬるぬるとした液体を絡めた指がずぷりと体の中に侵入する感触が。
 他の全感覚をマスキングして、ただひとつの強烈な衝撃となって体の中を荒れ狂った。
「あ……っ、ぁ………あ、あああああああァっ!!」
 手で塞ごうにも抑えきれない叫びを喉から漏らす。
 王の御前にいることも、不敬ではないかという思いも全て意識から抜け落ち、体の内側まで侵された感触に何度も何度も体を跳ねさせる。
 片手で人の頭くらいは掴んでしまえそうなほど大きな手の、太く節くれた中指に押し入られたその場所は内側の固く閉じた襞を強引に開かれ、ぽたり、ぽたりと鮮血混じりの淫水を両脚の間に滴らせた。
「うぁ…あ……ぁ…」
 信じられない。
 そんな場所に、それだけの異物を受け入れられる隙間が存在するという事が。
 そんな場所に、指を入れられ動かされるだけで、引き裂かれた痛みすらいつしか脇へ押しやってしまうほどの得体の知れない感覚が下半身を満たしはじめた事が。
 がくがくと震えた膝から完全に力が抜け、崩れ落ちそうになった体躯は引き寄せられるままに倒れ込んで王に縋る形になる。
 もはやこの場所から、この身を蹂躙する手の中から、逃げ出す事も叶わない。

 ぬち、ぬち、と湿った音が自分の脚の間から響く。
 そこから体の中に侵入しているものが内側の敏感な粘膜を擦り、掻き回すごとに音は大きくなってゆく。
 音の源から流れ出したものでしとどに濡れた内腿は緊張に震え、無意識のうちに必死に脚を閉じようと試みているが大きな手を差し込まれているせいで果たせない。
 腰砕けになった体を預けるようにして縋り付いてしまっているものが王の腕だと頭の片隅で理解はしているのに、一刻も早く姿勢を正せという頭からの命令を体が受け付けようとしなかった。
 この、何もかもがままならない、訳の解らない状態が全て、雌性体と化したこの身からもたらされているというのか。
 一体何故、こんな事に。

(──余興だ、ただのな)
 脳裏に先程の王の言葉が再生される。
 余興、だと──?
 兵士たるこの身を戯れに造り替え、玉座の周りに侍らせた女官のように玩ぶことが?

 何故だ──何故です、螺旋王。
 この様な仕打ちで思い知らせずとも、獣人としてこの世に生み出された時からこの身体は血の一滴、髪の一筋に至るまであなたの所有物だと言うのに。我々の生も死も、全てはあなたの手中にあるというのに。
「螺、旋………王……」
 喉から押し出される掠れた声は、既に自分のものとは思えない。
 全ての気力を振り絞って上げた顔は、正面から無感動に見返してくる昏い視線に射すくめられて凍り付いたように、それ以上の言葉を紡ぐ事は出来なかった。
「…どうした、何か納得が行かぬ事があるなら囀ってみせるがいい」
 顎を捉えて上向かせた指先は優しげに見えて、籠められた力は万力の如くに哀れな獣人の頤を押さえ付け、視線すらも逃げることは許さないのだと無言の内に宣告している。
 ただ空しく動かされるだけで用を為さない口の代わりに、見開かれた金色の眼から涙の筋が滴って王の指を僅かに濡らした。

 >>>

 ぎしぎしと肉の軋む音がする。
 いや、それは己の気のせいに過ぎず、実際に音として聞こえるものといえばこの泥濘を掻き混ぜるような湿った音と、忙しく荒げられた呼吸の合間に織り交ぜられる獣の鳴き声だけだ。
「……ひっ、あ、あぁ……っ、く、ぅっ……」
 意味の通る言葉など到底発せられない。身を裂くような痛みと質量に腹の奥を突き上げられて、内臓が押し潰されんばかりに圧迫される。吸い込む息は喉の辺りに一旦引っかかってから肺腑を吹き荒れ、再び喉に絡まってはぜいぜいと息咳く音、死に瀕した獣が吠えるような声を伴って口から出て行く。
 何故だ、何故こんな事に。
 大きな手に掬い上げられるよう跨がされた膝の上で、限界いっぱいにまで開かれた脚の間を太逞しく熱い塊に貫かれ、僅かに自由になる上体を捩ってはなんとかこの責め苦から逃れようと必死に抗う。しかし背後から這わされる冷たい手はがっちりと腰を掴んでそれを許さず、それどころか手荒く揺すり立てる事で更なる苦痛を与えてくる。
 足腰の関節が外れるのではないかと思う程に押し拡げられた場所が容赦なく擦られ、掻き回され、奥の奥まで突き抉られ、もはや自分の意志ではどうにも出来ないほどに重く痺れているというのにどういう訳かそこから感覚を受け取る神経だけは一向に鈍麻もせず、荒れ狂う苦痛とほんの少しの快楽が休みなく意識を苛んだ。
 涙で歪む視界には自分が突っ伏している王の膝を覆う白い衣と、石のような色合いの玉座の間の床、そして揺れる体に合わせてばらばらと踊る、己の金の髪ばかりが映る。貫かれている場所から滴った血や体液、全身をじっとりと濡らす汗、そしてだらしなく開け放したままの口から垂れ落ちる涎がその衣や床を汚していることを意識の端ではおぼろげに捉えてはいるが、だからといってどうすることも出来ず、ただされるがままに獣じみた声を上げ続ける。
「…ぁ…おぉ……お、ゆる…し…くだ…さ……っ…」
 喘ぎと鳴き声の合間に辛うじて言葉らしきものが形作られる。ようやく口にすることの出来たそれを縋るような思いで、壊れた玩具のようにただひたすらに繰り返し容赦を請う。
「お許しを……お許し、ください……王よ………!」
「…許せとは、何をだ」
 これだけの激しい動きを加えながら、変わらず淡々と乾いた無感動な声。
 ──何を?
 王に世界の真実を問うた事をか。人間とは、獣人とは何なのかと。
 王の道具に過ぎぬ身に、己の意思を通そうとした事をか。あの人間達と関わり合い、戦う内に育っていった心を。

 答えを出せないままに、それでも何かを言おうとして開いた口を、体に篭もる熱を吐き出そうとした呼吸を、不意に唇を割って差し入れられたもので塞がれる。
 反射的に歯を立ててしまいそうになり、半瞬ののちにそれが王の指だと気が付いて、閉じようとする顎を懸命に堪えた。
「……っ、ウ……」
 口中を犯しているのと反対側の手は未だ上半身にまとわりついたままの軍服の裾をたくし上げて胸を弄る。腹の奥を突き上げられながら太い指に乳房を掴まれ、すっかりと硬く勃ち上がった先端を押し潰されると形容もできない感覚が腰から脳天までを貫いて、下腹が壊れてしまいそうなほどに痙攣した。
 思わず上げそうになった悲鳴は口を塞ぐ指に阻まれて鼻へと抜け、どこか甘い、媚びて強請るような響きを帯びる。

 いつ終わるとも知れない苦痛と絶望に塗り潰されて行く意識の中で、何故なのか、遠い光へ指先を伸ばすように一人の人間のことを思い浮かべた。
(……カミ、ナ)

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『────というような顛末だった訳だが、まああの頃は無聊にまかせて色々と要らん事をした』
「はぁ、なるほど」

 巨大宇宙戦艦型ダイガン・超銀河ダイグレンの文字通り頭脳であるブレインルームで、強化ガラス容器の中に入った生首がそう言って長話を締めくくったのに対し、取り敢えず現在はこの艦の主であるシモンはひどく気の抜けた返事をした。
 流石にそこまでしといて要らん事で片付けるのってどうなんだろうなあー、とか思いつつ周囲を見渡せば、すぐ隣ではまさか自分が「そういやアイツ、なんで途中から女になってたんだ?」とか質問したせいでこんな事になるとは予想だにしていなかっただろうキタンが下腹の辺りを押さえてしゃがみ込んでいる。
 その向こうにいるリーロンは「ホーント、男ってしょうがないわねえ」とか言いつつその態度はいつも通り超然としていて実際のところを窺い取るのは難しい。ヨーコはやっぱり女性なだけあって無茶苦茶イヤそうな顔をしていた。
 で、当事者であるところのヴィラルはと言えば──すぐ側のコンソールデスクの下に入り込んでしまったのだろうか、姿は見えないがデスクの足の陰からちょろっとはみ出した赤いマフラーと、何やらぐすぐすと嗚咽するような声が籠もった反響を伴って聞こえる辺りで見当が付く。
「……ええと……まあ、ほら、犬に噛まれたと思って……」
 デスクの脇にしゃがみ込み、被害者への配慮に欠けること甚だしい慰めの言葉の見本のようなものを口にしたシモンを、デスク下の薄暗がりからギラリと眼底反射で光る金色の眼がきっと睨んだ。
「……シモン、ドリルを貸せ」
「? これ?」
 紐から首を抜いて差し出したコアドリルを受け取った手が、次の瞬間その持ち主の額目がけてすこーんと小さな突起物を投げつける。
「いてっ!」
 幸いにしてドリルの尖った先端でなく、紐のついた握り部分が当たった額をさすりながら目を瞬くシモンのコートの襟元を、デスクの下からにゅっと伸びた手が掴んでがくがくと前後に揺さぶった。
「貴様じゃあるまいしそんな小さなドリルで役に立つか! ええい何でもいい、硬くて重量のある鈍器のような物を貸せッ!!」
「……貸したらアレを叩き割るつもりなんだろー」
 当たり前だ、いいからそこをどけそいつ殺せないなどと叫んで暴れ出した獣人を羽交い締めにしたままずるずると引きずりつつ、「じゃ、ちょっと頭冷やさせて来るから」とシモンがブレインルームを辞す。
 それを見送ったヨーコもだいぶげんなりとした表情で「あたしも持ち場に帰るわ…」と踵を返し、キタンもそれを追いかけるように心なしかひょこひょことした足取りで部屋を出ていった。


「…それで、本当に退屈しのぎの余興だったワケ?」
 最後に残ったリーロンが、ロージェノム・ヘッドの収まったガラス容器をぺちぺちと叩きながら顔を近付ければ、透明なドームの中で生命維持用の溶液に漬かった禿頭が「うむ」としかつめらしい表情を作る。
『螺旋王ロージェノム本人ではないため当時の精細な心理を全て追体験するのは不可能だが、おそらくは直前に娘であるニアを捨てる契機となったものと同じ言葉を、これもまた自己の被造物である獣人が発したことに対して何らかの心理的葛藤を感じ、そのストレスを解消するために前述の行為に出た――つまりは一種の代償行動であると推定する』
「それはそれでサイテーねぇ。自分の子供に八つ当たりする親なんてロクなものじゃないわよ」
『うむ、螺旋王ロージェノム本人ではないが今は反省している』

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ねこみみ幼女だったら小さい分もっと大変だったよ! とかフォローにもならない事をとりあえず言ってみる。



オマケ:もっとダメ人間バージョン
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「何故です螺旋王、何故私をこのような体に!」
 怒りと当惑、そして僅かな怯えを滲ませた青年士官――だった者の声を耳にし、
玉座の前へ転がるように進み出たその姿を目にしても、王と呼ばれた男は眉ひとつ動かさず
深い穴の如き虚無を湛えた視線を揺らがせもせず、ただ一言答えを返した。
「単に趣味だ」
「はぁ!?」
「ちなみに鏡を見れば解る事だが、外見年齢も少々下げておいた上に猫耳と尻尾も生やしてある」
「あっ、あんたの血は何色だァァァァァァァァァアアアア!!!?」