※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

私は墓場に立っていた
一つ一つの墓が誰の墓なのか、私には手にとるように解った…
あれはヨーコ…こちらはロシウ…あっちに二つ並びに立っているのはギミーとダリー…そしてこれが
「シモン」
自分で発した言葉なのに意味が理解できなかった
シモンが死んだ…
皆死んでしまった…
「嘘だ」
そうだ、皆生きていて私を驚かせるために昔のように土の中に隠れているんだ…
言い聞かせるように私は土を掘った
掘って掘って掘り進んだ先にあったのは…
「嘘だぁあああっ!」

跳ね起きるとそこは我が家だった
見慣れた家具にお気に入りの毛布…
紛れも無くそこはヴィラルの自宅だった
「どうした?嫌な夢でも見たのか?」
今最も聞きたかった声が耳に届いて脈拍が跳ね上がる
「シモン…」
自分で予想した以上に声が震えた
それが相手の心配をかったのか、そっと抱き締める胸に身を任せた
「大丈夫…どんなに怖くても夢だ気にするな」
優しく髪を梳かれる感触が心地よいが、気持ちの高ぶりは治まらなかった
あれは恐らく夢などでは無い
これから起こり得る未来予想図…人の命は有限
不死の体を手にしてしまった私が異質なのだ

この温もりも、この心地よさもいつかは消えて無くなってしまう…
そんな考えが身を震わせた
温もりなんて知らなければ良かった
心地よさなんて気付かなければ良かった

つぅと頬を伝う熱い感情にシモンを抱き締める手を強めた
この温もりは儚い
この心地よさは脆い
しかし、だからこそ愛しいと思う

ならば今伝えなければならないことは何だ?
私自身が彼に伝えたい事とは
「シモン」
ん?と首をかしげる男の顔をしっかりと見つめて言った
「ゆっくりしね」
「は?」
「できるだけゆっくりしね」「言ってる事がサッパリなんだが…」
「できるだけゆっくりして最後は死んでもいい」

目の前でぽかんとしていた顔が急に引き締まる
「最後は笑って見送ってやる」
「ヴィラル…」
何かを紡ごうと開いた口を閉じて男は頭を振って微笑んだ
「言われなくたって俺はもう少しゆっくりしてくつもりだったよ」
そう言って口付けられると何も言い返せなくなる
調子が狂う
でも、この気持ちも嫌いじゃない
何故なら…
シ モ ン が 教 え て く れ た か ら