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※注意 ダリーとシベラがヴィラルの後輩でお友達設定。
シモン先生が何かお裁縫にチャレンジ。
何だかギミーが可哀相な気がする。
以上が受け入れられる心の広い奴は駄文に付き合ってorz


放課後の職員室。机にブライダルカタログを広げ、計算機片手に頭を抱える男が一匹…
「何でこう言う関連ものは料金に0がいっぱい付いてんだよっ!いっそ保険金のため回線切って首吊って死ぬか!?」
クシャクシャと寝癖頭を掻き回し、ぼやく担任教諭をコッソリ覗く女子生徒が二人…
彼女等は顔を見合わせそっとうなづくと、未だうんうん悩みの園にいる男の肩を叩いた。
「先生」
「あ、シベラにダリー。どうした?」
上げられた顔にホッとしつつ、ダリーは広げっ放しにされているカタログを手に取った。
「どうしたもこうしたも無いよ。先生困ってるのが隠せて無いんだもん」
「そ、そうかな…」
バツが悪そうにボリボリ頭を掻く担任にシベラが更にトドメをさす。
「首吊って死んだとしても保険金はおりませんよ」
「あーはい最初から聞いてたのね…」
「それ以前に若妻をいきなり未亡人にしてどーするの?」
「ごめんなさい…」
やんややんやとグサグサ釘を刺されまくって、思わずくったりとなる。
「…で?お二人はわざわざ俺を小姑みたいに苛めに来た訳じゃないよね?」
スッカリ萎みきって、拗ねている担任に二人は苦笑する。
「勿論そのつもりだったんだけど、ほら、女の子って話している内に話題がすり変わっちゃうから…」
ね!と宥められて一応居ずまいを正す。
「シモン先生がしっかりしていてくれなきゃ先輩も安心できませんよ」
なんて女子高生に指摘されて、尖らせていた唇を元に戻す。
「まぁ先生がやさぐれモードから復活したみたいだから、私達のプラン教えてあげよっか」
お姉さんぶって腕組みなんてしてみせるダリーが視線を送ると、うなづいたシベラが鞄からスケッチブックを取り出す。
「被服部の友達と笑い話みたいに、もしシモン先生がお金足りなくて結婚式先送り…とかになったら皆で式挙げようって」
と広げられたページには、ウエディングドレスと思しきデッサンが幾通りか描かれていた。
「それで、先生に提案があってきたの」
また、ね!と顔を見合わせる二人は、本当に仲がいいんだなぁ…なんてズレだ事を考えて居ると、突拍子もない言葉が耳をかすめる。
「この中で好きなデザインのドレス、先生が作ってください!」
「はぁ!?」
何となく、自分達に任せろ的なノリだと思って聞いてたら、思いっきりこちらに矛先が…
え?本気デスカ?
「だって、婚約指輪も手作りだったんでしょ?」
何デ知ッテルンデスカ!?
「これでウエディングドレスも手作りにすれば、先輩は完璧に先生色に染まりますよ!」
え?えっ!?
「やだ~俺色?」
「先輩そういうの好きそうじゃない?」
「うんうん解る!好きそう好きそう!」
とんとん拍子で勝手に会話が進んで行く。
そんでもって、全く口を挟む余地が無い…
「じゃあ先生、明日迄にどれにするか決めといてくださいね!」
「さようなら」
「え?あ!ちょ…」
嵐の様に現れた二人組は、帰りも嵐の様に去って行った。
女の子ってヤツァ……



それから約一ヵ月。
増える指先の絆創膏に、多少遅くなる帰り…と幼妻に大いに気をもませて、やっとの思いで完成しましたウエディングドレス!
「ィヤッター!」
あまりの感動に目から汁が…
「先生!ついに……」
「素敵…」
今日も今日とて、差し入れに顔出した二人は出来上がりを見てうっとりと立ち尽くす。
「あぁ、二人のおかげだな!」
ポンポンと頭を叩けば、嬉しそうに破顔する。
何だかんだ言ってまだ高校生なんだな…なんてしみじみ感じる。
「先生!あとは場所だけね!」
ん?
「ダリー…確か場所はロシウ先輩が任せてって…」
へ?何故そこでロシウが出て来るんですか?!
「あぁ!そうだったね!」
「ちょ、ちょっとお二人さん?それは何の話で?」
慌てて差し挟んだ言葉に一瞬時が止まる。
「何って」
「結婚式に決まってるじゃないですか」
ですよねー。
…じゃなくて!うっかり流されそうになった気持ちを引き戻して、顔をしかめる。
「当人に何の相談も無しに、勝手に決めるんじゃありません!」
ビシッと言ってやったつもりなのだが、ダリーもシベラもポカンとするばかり。
「先生?」
「だいたいな!」
「先生!」
「何だよ!言い訳なら聞かないからな!」
思いっきり怖い顔で見つめるが、やっぱり効果が無い…
何故だろう?と訝しく思って居れば、二人は何と無しに苦笑する。
「先生、当人に話は通してありますよ」
一体いつの間に?ボケるには早いぞ!と一生懸命頭を捻っていれば、冷静なシベラが吹き出し笑いをする。
「な!何だよ!!ちょーっと思い出せなかっただけだろっ!」
「違います。先生じゃなくて、いえ、ふっふふふ」
お箸が転げてもおかしいお年頃なのは解るが、まさか担任がボケたって笑うなよ!俺だって必死なんだぞ!
とか心中で言い返すが、どうやらそれすら的を得て居なかったらしい。
その証拠にニコニコしたダリーが、明らかに不機嫌な俺に向かってヒラヒラ手を振って否定の仕草を取る。
「違う違う!シベラが言いたいのは先生じゃなくて先輩に話をしたよって事。だよね?」
何てふりにシベラが笑いの発作起こしつつ、こくこくうなづく。
「え?ヴィラルに?」
再度尋ねると、今度は二人でうなづく。
「先輩悩んでるようだったから、気晴らしに連れ出したんです」
ふんふん。確かに思春期終わりかけ、悩みの一つや二つあるだろうと内心で相槌をうつ。
「それがどうも先生の事で悩んでるらしくて…」
「はぁ!?」
予期せぬ事態にすっとんきょんな声を上げると、相手も「解ります」と言いながらうなづく。
「だから先輩に何がそんなに不安何ですか?って聞いたんです。そしたら…」
言い難そうに隣りを見やるダリーの後をシベラが汲む。
「お二人…まだ籍も入って無い上に、同棲すらしてないんですってね」
あー…ザックリ刺さるところに切り込んで来たな…
と脳内で自分が頭を抱える。
「それにはいろいろ理由が…」
「知ってます」
へ?
肩透かしを食らってマヌケな顔してる俺に二人は神妙な態度で接する。
「いきなり結婚って訳にはいかないって、今のところ健全なお付き合いしてるんですよね」
確かにその通りだったので、一つうなづく。
「先輩もその事を理解して受け入れてるって言ってました」
「じゃあ何で…」
もう全く想像がつかない。女心っていうのは奥が深過ぎる!
「先輩。先生のお荷物になってるんじゃないかって」
「はぁ!?」
俺の反応にホッとしたのか、ダリーは頬を緩める。
「私達もそんなことないって励ましたんですけど、何だか疑心暗鬼になってるみたいで…」
「もしかしたら先生の事、自分のワガガマで縛り付けただけなんじゃないか?自分は先生の事幸せにできないんじゃないか?って具合だったんですよ」
あーまたそんなに思い詰めて…
やるせない思いに頭をわしゃわしゃ掻き回し、思いっきり溜め息。
「あれはマリッジブルーだと思ったから…」
「今先生がやっている事は伏せて、結婚式の概要伝えたんです」
ふんふん。本当にこの子達がヴィラルの友達で良かったなぁ…と思いつつ相槌をうつ。
「忙しい先生に代わって、結婚式の事決めてビックリさせましょ!って」
「きっと喜んでくれるからって」
「シベラ…ダリー…お前達」
高校生はもっとお子様だと考えていた…今日から改めよう。
そう思わざるを得ない彼女達の行動力と機転に、寄る年波。涙腺が脆くなったものだ。
「でもね。先生覚えて置いて」
「ん?」
「ヴィラル先輩ものすごく倍率が高かったの」
倍率???なんのこっちゃと「?」を飛ばしまくる俺に、彼女達はやれやれと肩を竦める。
「先輩、異常なまでに後輩ウケが良くて。私のクラスでも何人か集まってファンクラブみたいなことしていたり…」
「ギミーも卒業式終わってから先輩のところに走ったんだから!」
え!?全く知らなかった内部事情が突然露見する。
ファンクラブ?それよりギミーが?嘘だろ!?
「それで、見事玉砕」
「でもそれはダリー、先輩の気持ち知ってたんだから言ってあげるべきだったんじゃ…」
「ダメダメ!言ったって聞かないんだもん!」
それに男の子にとって失恋はイイ通過点でしょ!と言う彼女の言葉を何処か遠くに聞く。
そんなに沢山の野郎共を淘汰したっていうのが少し。いや、大いに嬉しい。
こんなくたびれたオッさんの何処が良かったんだかは後でジックリ聞くにせよ、兎にも角にも小躍りしたくなるぐらい嬉しい!
待ってろよ俺の嫁!今晩は風呂よりも飯よりも先に、お前をいただきますwwwwww
「…に、ニヤニヤしてる」
「先生。奴等お百度参りとか、丑三つ時に藁人形に五寸釘…って聞こえてないみたい」
「帰ろう」
「うん」


とうとう迎えました!挙式当日。
塗りこめた様な青空を仰いで、ふと懐かしさと感傷にふける。
「兄貴…俺、ついにこの日を迎えられたよ」
青いあおい空は懐かしい人を思い出させてくれる。
「なにやってんのよ先生。ロシウがそろそろ始めるって!」
「あぁ!今行く!」
迎えに来た元生徒に付いて、俺は教会へと向かう。
行って来るよ兄貴――――