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公休。地球防衛軍戦術的戦略的移動型拠点基地でもある超銀河大グレン艦内に職場も、
仮だが住居もあるわけで、
もっぱら休日は宇宙に止まり残務の片付けをするのだが、
この日はそれが幾許多く時間が余ってしまった…
地上に降りるには些か足りないそんな時間をどうしたものか…と思案していた中
ふと思い当たって弁当を拵えて環境調整区画へと出向いた。
自分としては珍しく軽いピクニックのつもりで出かけたのだったが…
「まったくお前って奴は…」
環境調整区画のとある木陰、この艦の女艦長ヴィラルは隣りで
自分が握った特大握り飯に嬉々としてパクついている男を睨み付ける。
「ん?何か言ったか?」
広角についた飯粒をペロリと舐め取ってあっけらかんと問う男に出かかった言葉を飲み込んだ。
「はぁ…まぁいい」
「…うん?いいならいいけど。弁当、旨いぞ食わないのか?」
「心配するな食べている」
「あ!それ最後の唐揚げ!」
「私が作ったものだ。何を食べようと文句を言われる筋合いは無い」
「あ!それは最後の卵焼きっ!」
おかずを殲滅してやれば男が年甲斐も無くしょんぼりうなだれる。
まったく、飯ごときで…と思った辺りで
そういえばカミナと初めて会った時も夕食のトビタヌキを取り合いしたんだったか…
と思い起こして、改めてシモンの頭をなぜる。
「馬鹿者、また作ってやるからそんなにへこむな」
ポフポフと暫く撫ぜていれば、シモンがおもむろに顔を上げ遠くを見つめるので、
自分もそちらに視線を移す。
「お前がそうやって優しくしてくれるから甘えたくなるんだよな」
ポツリと呟かれた言葉に何を突然!とこちらの思考が斜め45度にすっ飛んでくのを知ってか知らずか、
男シモンはふぅと息を吐いて視線を足下にうつした。
「ここ作るの、おまえが指揮したんだってな」
いつもの事だが全く脈絡の無い男は芝生を撫ぜながらそう呟くので、改めてその場を見渡す。
「…クルーは艦に缶詰になる事が多いのでな。なるべく地球の環境に近付けようと思ったんだ」
どんなに遠くに行ったとしても心の在処は母星たる地球にあるはずなのだ。
「やっぱりこの艦はお前のものだな」
「は?何を言っているんだ?」
艦長なんて職務であって艦自体は地球政府の持ち物だろうと指摘せんと振返れば、
男はニヤリと笑っていた。
「地球っていう大切なモノを身を呈して守る強さ…
 でもその実中身はクルーの事まで考えて福利厚生整えちゃったり優しい。まんまおまえじゃないか」
瞬間沸騰。顔が熱くなる…からかっているのか!そうだ!からかっているに決まってる!
「な、何を言い出すかと思えば…煽てたって何も出んぞ!」
苦し紛れに握り飯を食むとシモンはさも楽しそうに笑って同じように握り飯を含む。
久方振りにやって来たかと思えば、全く訳が分からない。
やる方ない気持ちをぶつけるようにもう一口握り飯に食らい付こうとした時、
突然隣りから腹の虫が聞こえて来た。
「…飯を食べながら腹を鳴かすとはホントに器用な奴だなおまえは!」
横目で見やった男は、あはははと悪びれる様子も無く爽やかに笑っていた。
「いやー。三日三晩寝食忘れて井戸掘りに熱中しちゃってさー」
いやー参った参った!と繋げられた言葉に眩暈を覚える。誰かコイツを早くなんとかしてくれ!
「ホントに貴様といると飽きないよ…」
そう言って自分の握り飯を差し出す。
「食べかけだが、これでも食え」
「いや、俺は構わないんだけど、それだとお前の分なくなるよな?」
「構わん。と言うかそれより帰って早く夕飯の支度をした方が良さそうだしな」
空になった弁当箱を閉じて風呂敷に包み、
手持ちの鞄に押し込める間もシモンは不思議そうな顔でその光景を眺めていた。
「どーした?食わんのか?」
「あ、いや…それって夕飯も食ってってイイって事だよな?」
「ん?今更何を…………!」
今更だったのは自分の方だ!
何を思ってコイツに飯を食わせてあまつさえ寝床を提供しよう等と考え至っているのか!?
いかんいかん!とブンブン脳震盪を起こしそうな勢いで頭を振るが、
当の男は水を得たサカナダカナンダカの如く嬉々と笑っていた。
「いやー。まさかこっちから承諾とる前にOK出されるなんてな!
 これが阿吽の呼吸とかツーカーとかそんな感じなのかー!いやぁ悪いないつもいつも☆」
「畳み掛けるように喋るな!だ、第一、突然来て腹の虫鳴かせて世話をするなと言うのが不可能なんだっ!
 要するにいい歳して自己管理も満足にできん貴様が悪い!」
「そんなこと言うなよ!自己管理の点で言うならお前だって不安要素満載だろ!
 不死身だからって鼻血垂らしながら庇われた時は俺が何とかしなくちゃって思ったもんだぞ!」
「そんな大昔の事を引っ張り出してくるな!
 そ、それにあの時はお前に貸しを作ったまま死なれたくなかっただけで、別に他意はっ!」

はたと我に返れば、辺りで和んでいた人々がこちらを注視していた…
公衆の面前で売り言葉に買い言葉でっ!は、恥ずかしすぎる!死にたい!でも死ねない!
この時程流転の運命を呪った事は無い…
しかし、隣りの男は打って変わって勝者の笑みとか言うものを浮かべてこちらを見据えていた。
なんだかそのツラを拝んでいたら無性にムカムカしてきて、
うっかり、敢えて言うがうっかり本気の右ストレートを顔面に寸分違わず打ち込んだ。
「くぅおの疫病神がぁあああっ!」
ぐへっとか何とか奇声を上げてシモンが後ろに倒れ混む。
「………お前の愛を受け止めるのも命懸けだな」
命懸けと証すわりには赤く跡が付いた程度の極めて軽傷で、
渋い顔してふくれているのが実に小憎たらしい。
「黙れ貴様に愛などない」
「嘘だー!じゃぁナニか?獣人ってのは好きでもない相手とセッ!ぶべっ!」
「それ以上言ったら生身で外にほっぽり出すっ!」
もう一発もらった顔面を擦りながらむくれていた男の顔が不意に悪戯を思い付いた子供の様に輝く。
「まぁヴィラルが飯と寝床提供してくれるって言うならやめてもいいけどな」
この男は次から次へとっ!しかしここは剣を納めて置いた方が無難かと条件を飲んだ。
「解った。解ったからもう騒ぐなよ」
「了解」
笑顔でサムズアップする男の手を取り立ち上がらせて、敷き物を片付ける。
そんな光景を受け取った握り飯を囓りながら眺めていたシモンがはたと目をしばたかせる。
「お前、今日スカートだったんだな」
今更…そう思いつつも白いスカートの裾を摘んでみる。
「普段着ないから、カモフラージュのつもりで、な」
「ふーん。でもあんなにガンガン叫んでたらカモフラージュも何も無いんじゃないか?」
「あーそうだよ!その通りだよ!周りでヒソヒソ言われてる言葉が聞こえて無いとでも思っているのか!
 このアンポンタンがぁあああっ!」
バキッ 殴った勢いのままくるりと方向転換して自宅へと足を向ける。
その背後から待てよーとか何とか言いつつ男が付いて来る気配を感じる。
まったく、コイツと会うと何時もこうだ。言い争いにならなかった試しが…ほぼ無い。


ブータにつまみのナッツを与えながら、一人と一匹で晩酌をしておれば、
脱衣所のドアが開閉する音が聞こえる。
「ふー。イイ湯だった。ごっそさん」
タオルで頭を拭きつつ隣りに座ったシモンは
「お、いいもん貰ってんじゃん」とブータの餌皿からナッツを一つ取って口に放り入れた。
「強突く張りが、それはブータの分…お前のはこっちだ」
「おっと。悪かったな」
差し出された缶から食べたナッツと同じものを餌皿に戻すと、
当たり前だと言わんばかりにチビブタモグラは一声鳴いた。
「ところでシモン、これはなんだ?」
取り出だしたるはレンタルショップの梱包ポーチ。
それを見て男はニンマリ笑った。
「あぁっ女神様っ!だよ」
なんだそりゃ?疑問が顔に出たのか、意を汲み取り男が内容を語り始める。
「バッサバッサと男千人切りするような天下無双のめちゃめちゃ強い女神様が、
始めて負けた相手の男と一夜を過ごして愛と慈しみの心に目覚めるサクセスストーリーだ!」
「結局AVかっ!」
バキッ と本日の八発目が相手の頬にめり込む。
「…お前、ホントにこれ俺じゃなきゃ死んでるぞ」
「心配するなお前にしかしない」
「できればその台詞はもっと別のシチュエーションで言って欲しいな」
知らん顔を決め込んで、手酌で注いだ酒を含む。
「…なぁ、これ見ないか」
おずおずと差し出されたそれに、更に無視を決め込んでナッツを含む。
「何なら前半部分のチャンバラだけでもいいんだぞ!
 なんか知らないけどAVにしとくには勿体ないクオリティらしいんだ!」
はぁ、どうしたものやら。ひたすら食い下がるシモンに呆れながらも、
チャンバラだけ…と決めて良しを出した。
「うっし!お前のそういうところが好きだ!」
嬉々としてセッティングを始めた男を見てブータがそそくさと退散を始める。
「チャンバラだけなのだから別に隠れる必要は無いだろう」
小さな背中にそう投げ掛けると、振返ったブタモグラは鼻を鳴らしてシモンのマントの中に潜っていった。
この野郎…と思う暇も無くセッティングを終えたシモンが舞い戻ってきて足元に腰を下ろした。
「何故そこに座る…」
「いーじゃんいーじゃん。気分だよ気分」
嫌な予感がひしひしするが、それはとりあえずあっちに置いておいて、
明るくなったテレビ画面に気持ちを移す。
提供CMが終わった途端始まった切り合いシーンは、
シモンが証した様にAVにしておくには勿体ないクオリティで、女が剣を振るう様はまるで剣舞の様だった。
しかし女の前に現れた最後の刺客は易々と両の剣を払い彼女を押し倒した。
「なんだか唐突すぎやしないか?」
「まぁまぁ。大体のAVとかエロ漫画とかヤる時のシチュエーションなんか結構やっつけ仕事だろ」
「…うむ。そういうものか」
股の間から顔を覗かせて仰ぎ見る男の言い分に納得して、画面に顔を戻した…………って!
待て待て私ッ!何完全視聴しようとしてるんだ!?
「ちょ、シモン!チャンバラだけの約束だろう!?」
「ちっ…バレたか」
「~っ!貴様最初からそのつもりだったかッ!」
慌ててリモコンに手を伸すが、掬い上げられた上ソファに押しつけられた。
「ダ~メ」
「何がダ~メだ!そんなもんでイニシアチブを取ったつもりか!?甘いわッ!」
相手が股の間からこんにちはしているのを逆手に取って、カニ挟みを決め相手の首を締め上げる。
「ふはははは!今日こそ貴様のその首へし折ってくれるっ!」
しかしそれには大いなる誤算があった。
「自分から招き入れてくれるとか、今日は随分積極的だな」
薄い布越しに陰部を舐め上げられ、うわずった声が出る。
ううっ、慣れないスカートなんか穿くんじゃなかった!防御力が皆無だぁあああっ!
「あ、シモンやめっ…はぅあ!」
しかし男はやめる素振りもなく、湿ったカ所に指を這わせる。
「ひっ!シモン、やめっ!ゃあっ!」
布越しだというのに窪みに指があてがわれると、身体に痺れが走り背がしなる。
「感度いいな」
「ふ、ふざけるな!」
黒髪の頭を鷲掴んで抗議する。と相手が返答する一拍前に女の嬌声が聞こえて来て身体が竦む。
「…アレと同じことしょっか」
「はぁ!?」
下から見上げて来る男に嫌な予感炸裂な提案をされ顔をしかめるが、
返事なんか待っちゃられないと下着をはぎ取った。
「ばばば馬鹿野郎ッ!」
ポイッと至極適当にうちやられた下着を慌ててキャッチ。
そしてこのアンポンタンの擬人化に何か言ってやろうと向き直るが、
内股に舌が這う感覚に何一つ言葉にならなかった。
「あっ!…っふ」
苦し紛れに頭に一発拳を降せる。
と、大したダメージでは無かった様だが相手が顔を上げる。
「な、何でこんなっ!」
こんなこっ恥ずかしいプレイしなきゃならんのだ!?と繋げたかったが、敢えて口にしなかった。
すると男も意を汲んでテレビを指示す。
……なんというか、そのクンニプレイの真っ最中だったorz
気を取り直して、と言わんばかりに元のポジションに戻ったシモンが今度は陰唇に舌を差し入れる。
「ひぁっ……シモン、恥ずかしっあ!」
「恥ずかしくなんか無いだろ…すごく綺麗な色してる」
景状を予感させる言葉に羞恥で身が縮まる。
その拍子に舌を咥え込んでしまい、その甘い感触に打ち震える。
「ひうっ、シモン…もうだ、めっ」
「舌だけでそんなに感じるのか?」
男が喋る度に舌先が角度を不規則に変化する。その都度身体がビクリビクリと反応を示す。
息が吸いたいのに画面から聞えて来る女の喘ぎに気圧されてうまく間が取れず苦しい。
「堪ってたのか?随分滑って来てる」
「ちが、ううっ!…はぁ、っくはぁ……シモンッ」
愛液なのか、それとも男の差し入れた唾液なのか、それが内股を濡す。
熱い、そこに熱が集中して行くのを感じる。
その時、熱い芽を摘み採られ、集まった熱が暴発した。
「ぃぁあああっ!あぁうっ!はぁああんっ」
ドクリドクリと身体中が脈打つ。
「……まさか潮吹かれるとは思って無かった」
顔を上げた男がかかったそれを掬い取りペロリと舐め取る。
「そんなにヨかったのか?」
耳元に吹き込まれる声に精一杯の襟持で頭をふる。と男は満足げに軽く笑い首筋に吸い付いた。
「そうだ…本番はまだまだこれからだからな」
スルスルと這う様に下ろされた手が巧妙な手口でスカート内に忍び込み、
潮を吹いたばかりの芽を捏ね始める。
「や、そこはやめっ…」
男の愛撫に再び熱をもち始めたソレは甘い痺れと刺激をもたらす。
そうするうちに腰が淫らにねだる様にくねる。
「んじゃいきますか」
堅く熱い男自身が入って来た途端逃すまいと内壁が吸い付く。
酷い快楽と己の浅ましさに涙が零れる。
コイツはあの方の相手だ…私がどんなにねだって食らい付いたとしても
それは変わらない事実としてそこにあるのに、
それでも快楽を覚えた身体はもっと欲しいとすがりつき、擦り上げ、全てを搾り取ろうとしている。
「イクぞヴィラル!」
「シ、モン!ぁああああああっ!」
白い闇が高揚感も不快感も全て飲み込んで包んだ。


フワッと浮き上がる様な感覚に重い瞼を押し上げる。
「シモン?」
「あ、悪い。起しちまったか?」
そう詫びながら男は抱えていた私をベッドに横たえて、丁寧にシーツをかける。
その手がポフポフと優しくリズムを刻むので、申し訳なさが膨れ上がって涙が溢れてきた。
「わわわ!何泣いてんだ!?キツかったか?いや疲れてんのに無理させて悪かったな。
 …スカート汚しちまったのも反省してます。今洗濯してるところだからさ…えっとその…」
珍しくしどろもどろに謝罪をする男にゆっくり頭をふる。
「そうじゃない。…ただあの方に申し訳なくて」
余りのいたたまれない気持ちに男の顔を直線していられなくなり枕に顔を埋める。
そんな私の頭をシモンはそっと撫でた。
「ニアと何か約束でもしたのか?」
曖昧にうなづきながら過去の記憶を呼び起こす。
「…アンチスパイラル戦の後、帰還直後は色々揉め事に巻き込まれる可能性があるからと
 政府議事堂に軟禁されたのを覚えているか?」
「あぁ。確かゾーシィ達が勝手に酒場に出かけて
 お祭状態になって大変だったってロシウがカンカンだったな」
他の大グレン団メンバーは我慢できずにまま外に繰り出していったが、
特にやることも無かったヴィラルは根が真面目なのも手伝い、
祭の後のような退屈な日々を律義に議事堂用意された部屋で過ごしていた。
「そんな時にあの方が来てな。大事な話があるからと言うので部屋に通したんだ。しかしどうしたものか、
 やれ昨日何を食べただのシモンがどうのヨーコがどうの大グレン団がどうのでロシウに叱られただの、
 他愛も無い世間話をするんだ」
腰をすえて話を聞こうとベッドに腰掛けていたシモンがフッと笑った。
「ニアらしいな」
「…私も始めはそう思って話に耳を傾けていたんだがな、段々申し訳なくなってきてな…」
男も何故?とは聞かずに遠くを見る様な素振りをする。
「いつ消えてしまうか解らない身なのに私なんかにかまけていないで
 お前のそばにいた方が良いのではないかと、そう言ったらあの方は笑って
 『あなたがそう言ってくれるだけでわたしは嬉しい。あなたは私の大切なものを守ってくれた。
 あなたに怪我をさせたのに私まで守ってくれた。
 おかげで私はこうして大好きな人と結婚できる。本当にありがとう』と、
 そう言ってお詫びの印だと鉢植えをもらった」
話を聞いていた男がよかったなと頭を撫ぜるので、いよいよ我慢が利かなくなりしゃくり上げる。
「そ、そんな風に…私などにまでっ……なのに私は、お前を惑わせてっ」
シモンは何も言わずにただ泣きじゃくる私を抱き締めて背を撫ぜたり涙を拭ったりしてくれた。
そうして優しくされる事が怖かった。どう足掻いても手に入らないものを望んでしまう事が怖かった。
「あのな」
今まで黙り込んでいたシモンが口を開くので、洟をかむ手を止めて相手を見やる。
「俺、ニアにお前の事頼まれたんだ」
「?」
本当に真意の掴めない突拍子も無い事をする人だったとはたと思い出しつつ、男の顔を訝しく見つめる。
「いや、ニアがさお前が何も知らずに不死の身体にされた事を気にしててさ…
 お前が苦しいとか悲しいってなった時は側にいて支えてやれって」
そんな事まで気にする事じゃないのに…
そう思っておれば、顔を伺ったシモンが苦笑する。
「俺も、お前の事そんなやわな奴じゃないって言ったんだ。そしたらめちゃめちゃ怒られてさぁ…」
はぁと肩を落とす仕草にあのフワフワしたお姫様が
一転カンカンになって怒っている様が容易に想像で来た。
「ヴィラルは女の子なんだから泣きたくなる時もある!
 それにあんな風に守ってくれる人なんてそう何人もいるものじゃない!ってな」
なんと言ってよいやら…複雑な心境で話を聞いていたら
気恥ずかしそうに頭を掻きながらシモンがニヤッと笑う。
「んでニアはこうも言ってた。私がいなくなった後に
 シモンの拠り所になってくれるのはヴィラルだ。ってな…」
つまりだ。といってトンと己の胸に突き付けられる指先を目で追う。
「お前が人生にアガリをつけるまで側にいて支え合って生きろって事だ」
かさついた指先からその言葉がストンと胸に降りて来た。
悩むべくも無く、あの姫様は残される者同士仲良くして欲しいと願っていたのだ。
「…本当に空恐ろしい存在だな」
ポツリと零した言葉に男はクスリと笑ってまた頭を掻いた。
「まぁだからさ、ウダウダ悩んで無いでもう寝ろ」
俺も寝るといってベッドに押しかけて来た御仁の為に場所を開けると、私を抱き込んだまま横になる。
「ところで、ニアからもらった鉢植えどーした?」
「あぁ、狭い鉢じゃ可哀相だと思って環境調整区画に植え替えした。今ではだいぶ株数も増えてるぞ」
その言葉に男が満足げによかったと笑うので、こちらも満ち足りた気持ちで瞼を閉じた。