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―――2年程前に、熊井夫妻は現在の低層分讓マンションへ移り住んだ。 賃貸ではあるが、閑靜な住宅街に建ち、3LDKと間取りも廣く、オートロック等設備も充實してをり、 西北に延びた陽當りの好いバルコニィや、地下駐車場が魅力的だつた爲、夫婦とも即決した。 尤も、普段自家用車を乘り囘してゐるのは茉麻だし、バルコニィも茉麻の育てた草花が犇めいてゐるから、 殆んど彼女の專有物としての機能しか果たせてゐないと考へて構はない。生活圈は原則的に女の物だ。 茉麻は、夫が家を後にすると、娘達にもパンや卵燒きを與へる。それからプランターの植物へ水を遣る。 物干に取り掛からんとする母を、次女の舞が觀察しながらニヤついてゐるので、梨沙子が自重を促した。 彼女達の樣子を横目に察した茉麻は「マセてるんだから」と獨りごち、尻を態と艷かしく律動させて歩いた。 搗き立ての餅に似た茉麻の臀部は、觀る者に、性欲と言ふより食欲に近い興味を抱かせる。 娘達も送出した頃には洗濯物も片付き、自分の食事と洗ひ物を濟ませてしまへば、家には暇だけが殘る。 ソファに寢そべり昨晩の夫を想つた。 彼の持つ障害を、出來れば取り拂つてあげたかつたが、その障害の原因すらも解らない。 一度、熊井には泌尿器科等で診察を受けるやう勸める心算であつたが、 ある日の朝方、眠る夫の下著からはみ出す程に膨れ上がつた龜頭を目の當たりにした。 急に何となく理由を知る事が怖くなり、妻として夫を氣遣ふよりも、これまで積み上げてきた、 夫婦の絆の樣なものが崩れ去る事への危惧に靡いた。 下著越しに夫を愛撫し、また布團を被せた。
―――2年程前に、熊井夫妻は現在の低層分讓マンションへ移り住んだ。 賃貸ではあるが、閑靜な住宅街に建ち、3LDKと間取りも廣く、オートロック等設備も充實してをり、 西北に延びた陽當りの好いバルコニィや、地下駐車場が魅力的だつた爲、夫婦とも即決した。 尤も、普段自家用車を乘り囘してゐるのは茉麻だし、バルコニィも茉麻の育てた草花が犇めいてゐるから、 殆んど彼女の專有物としての機能しか果たせてゐないと考へて構はない。生活圈は原則的に女の物だ。 茉麻は、夫が家を後にすると、娘達にもパンや卵燒きを與へる。それからプランターの植物へ水を遣る。 物干に取り掛からんとする母を、次女の舞が觀察しながらニヤついてゐるので、梨沙子が自重を促した。 彼女達の樣子を横目に察した茉麻は「マセてるんだから」と獨りごち、尻を態と艷かしく律動させて歩いた。 搗き立ての餅に似た茉麻の臀部は、觀る者に、性欲と言ふより食欲に近い興味を抱かせる。 娘達も送出した頃には洗濯物も片付き、自分の食事と洗ひ物を濟ませてしまへば、家には暇だけが殘る。 ソファに寢そべり昨晩の夫を想つた。 彼の持つ障害を、出來れば取り拂つてあげたかつたが、その障害の原因すらも解らない。 一度、熊井には泌尿器科等で診察を受けるやう勸める心算であつたが、 ある日の朝方、眠る夫の下著からはみ出す程に膨れ上がつた龜頭を目の當たりにした。 急に何となく理由を知る事が怖くなり、妻として夫を氣遣ふよりも、これまで積み上げてきた、 夫婦の絆の樣なものが崩れ去る事への危惧に靡いた。 下著越しに夫を愛撫し、また布團を被せた。 [[←前頁>玖]]  [[次頁→>拾壹]]

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