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L:地下都市 = {  t:名称 = 地下都市(施設)  t:要点 = 地下,墳墓,都市  t:周辺環境 = 地下  t:評価 = なし  t:特殊 = {   *地下都市の施設カテゴリ = ,,,国家施設。   *地下都市の位置づけ = ,,,特殊施設。   *地下都市の敷地面積 = ,,,15km×15kmが藩国地図に追加される。   *地下都市の特殊能力 = ,,,地下都市建設に伴い、公共事業が発生し、失業率が20%低下する。  }  t:→次のアイドレス = 補強して空爆対策(イベント),環境改善(イベント),巨大キノコの開発(イベント),怪獣との出会い(イベント) } &link_anchor(地下都市,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ あー、おれの墓は出来るだけ人気の無いとこには作んなよ。なんか出たら怖いから。 ……こらそこ、笑うんじゃない。 ―――とある日の日誌の隅に残されていた落書き /*/ #image(undercolor2.jpg) よんた藩国には自然現象でできたそこそこ大きな地下空洞がある。 ぽっかりあいた口の奥に広がるその空洞の中には、数十年前まで藩王の住む城を含む都市があったのだが事情があって今の場所に遷都した、という記録が残っている。 “事情”といっても別に「怪物が出た」とか「呪われた」とかそういうファンタジーな理由ではない。 簡単に言うと不便だったのである。 地下なので所々で岩やでっぱりが出ていたり、変に滑らかで滑りやすかったり。 体力がある者はあまり問題ではないが、お年寄りや子供は大変である。 明かりを灯していても、昼の地上に比べればどうしても薄暗くなる。 開口部からさす光も、やはり大空の下で浴びる日の光とは明るさが違う。 人間は、空が見えなくなると心まで暗くなるものである。 心と周りの薄暗さは、簡単に治安の悪化を誘発する。 そういったものすごく分かりやすい問題を解決するために当時の藩王がとった対策が、地上への遷都であった。 この先代の藩王、記録によるととりたてて問題があったわけではない。が、別段功績があるわけでもない。 遷都は一世一代の大仕事だったようだ。 トップがそんなんで国がちゃんと回っていたのは、周りがうまいことやっていたのだろう。 人当たりの良さから人望だけはそこそこあり、国民からもそれなりに慕われていたという。 王の死後、遷都に随分と国庫を使ってしまっており、ちゃんとした墓を建てるのも財政的に厳しかった。 考えあぐねた末出した結論は、旧都市の城を改築して墳墓を築いてしまえ、である。 そうして出来たのが今のよんた藩国地下空洞である。 /*/ 時は流れ、現在。 地下鉄建設のためによんた藩国の地下についての資料をいろいろ集めていたところ、昔の日誌の隅に落書きが残されていた。 記載されている日付などからして、地下空洞に眠る王の時代の話であるらしい。 それによると、その王はなかなかの寂しがりで怖がりだったらしい。 だが、今現在その王の墓のある地下空洞に出入りするのは、盆の時期に墓参りに行く今のよんた藩王くらいのものでほとんど人気はない。 これはあまりにかわいそうじゃないか、この地下空洞に人が出入りするようにしよう、と思い立った藩王よんた。 側近たちと簡単に相談して、この地下都市を復活させることにした。 もっとも、経済対策として利用した面もある。 帝國の中でもなかなかにして貧しい方である国の経済状況を、ちょっとでも良くするのに使えるものは使いたいと側近達も考えていたのだ。 何度か人を派遣して内部を調査させたところ、数十年前から放置されていた割には建物などの保存状態は良く、多くの建物は手を加えるだけで使えるようだった。 地下であるため、紫外線などによる劣化や雨による浸食が少なかったのであろう。 ただし都市として復活させるためには、当時問題とされた点をつぶしていくことが最低条件だった。 都市機能を移動させた一番の理由である交通の不便さは、地下鉄を通すことであっさりと解決。 都市部分の区画を整備し地下鉄がそのまま入れるようにし、路面電車のように運用された。 大きく開いた口からは長距離輸送システムでぃーグル号の線路を通し、物資の運搬に利用されている。 ただ、新しい施設を組み込むことで、環境の悪化、おもに換気の問題が起こると想定された。 地下とはいえ、大きな口が開いておりほぼ半地下の状態ではあるが、やはり空気はこもりやすい。 そもそも、この地下空洞に都市が建設されたのは、この空洞の地形の特性で風が抜けやすいことがある。 各出入り口の高低差や向き、気温、空洞内部の構造などによるものである。 北国である以上よんた藩国は冬は雪に覆われるが、地下ならば雪の影響はあまりなく、気温も地上よりは安定していた。 都市があったのはそういった利点によるものだったが、技術レベルがある程度向上した今、自然の力だけで自然環境を守れるかは疑問であった。 ひとまず、風の流れを調べ、それに沿うように送風機をところどころに設置した。 もともと風の通り道なので、人の手でそれを助けようという考えである。 同時に、空気の成分構成を調べる検知器を空気がこもりやすい場所を優先に配置した。 都市の重要施設には詳細データが表示されているが、通路などでは酸素と二酸化炭素のように特に注意すべきデータだけ表示できる簡易版を用いている。 送風機の稼働状態や各所の空気の状態データは、地下都市内の管理センターで監視されている。 なお、全ての検知器の近くには緊急時の装備(酸素ボンベ・ライト・スコップなど)が用意されている。 次の問題は明るさ…というよりも治安の問題である。 治安は交番や警察署が国にあり、警官も国に多くいるためいざという時の対応は出来るであろう、という予測がたてられた。 とはいえ、治安対策の手を休めるほどいい加減な仕事はしなかった。 街灯を設置したり、警官による街中パトロールを頻繁に実施したり、出来る対策は施してある。 他にも、街の中の清潔さが失われると治安が悪化しやすいなどの理由により、治安対策として清掃活動を行うよう推奨していたりする。 具体的には、月に一回各町内会で落書き消しやゴミ拾いなど各地域による参加型の美化運動の奨励・支援などである。 都市機能復活の目処がつけば残るはハード、つまり建物や施設の復旧である。 かつての設備で使えるものは整備して使い、技術的に新しくなっているものは入れ替え、人の出入りがなくなり傷んだ建物は改装・補修・建て替えが行われた。 これを行うためによんた藩国内において大々的に作業者が募られた。 大規模事業であるため募集人員もなかなかに多いのである。 それだけでなく、実際この都市に住む人や出店する企業のような都市に命を吹き込むことになる人々も募集された。 それと同時に、この都市を移動させた王の眠る墓の周辺も綺麗に整備された。 人々が気軽に訪れることができるよう、周辺をくまなく掃除し通り道を舗装しなおした。 またすこしでも閉鎖空間であることを意識させないようにと、地下都市の壁面にカキワリの如く星空や都市の遠景を描き、奥行きがあるように見せかけた。 こうして再整備された先王の墓だったが、ほんの少しだけお金をかけ、公園に改修され憩いの場として国民に開放されている。 /*/ かつて、何度か空爆によるダメージを受けたよんた藩国。 その記憶があるからこそ、地下にある都市というのはなかなかにして魅力的に映った。 上空からの攻撃は相手が核やドラゴンのような破壊力でもない限りあまり心配はしなくて大丈夫だろう、と結論付けられた。 むしろ、核やドラゴンを持ち出されれば普通の方法で防ぐこともできないだろう。 なので“比較的”普通の爆撃などに対応できるような計画が立てられた。 一番危険なのは、ぽっかりと開いた出入口。 でぃーグル号の出入りもそこからである以上、狙われる可能性はある。 そういうわけで隔壁を用意し、緊急時に口を閉じられるようにした。 基本は上下から十数mほどのシャッターがかみ合うように閉じるものである。 緊急時にいちばん最初に閉まる隔壁で、同時に閉まりだすために完全に閉鎖するまでの時間が短い。 そして、そのシャッターの外側に横から一枚で全てのシャッターを覆う大きさの隔壁が出るようになっている。 これはシャッター同士の隙間を狙われるのを防ぐためで、強度を優先している。 隔壁を閉じてしまうと、完全な地下となるため空気の汚染が問題になる。 二酸化炭素の吸収機や酸素生成機は用意してあるが、それだけではあまり長く持たないのは明らかだった。 電力などは(設備を破壊されない限りは)外からも供給できるようになっているため、火を使わないなどの対策を取っても一週間~二週間が限度であろうと推測された。 もっとも、数日持てば十分であろうという見方もある。 二週間隔壁が開けない状況というのは、恐らく国ないしは世界の滅亡がかかっているような時だけだろう、という理由である。 そもそも、こんな設備は使わないに越したことはないのである。 なお、このページ上部の画像はこの段階における完成予想イメージであった。 ここまで決定した後に大きな計画変更があったためにこの姿を見ることはなかった。 悲しいかな、シャッター機能は追加されなかったのである。 /*/ ひとまず、計画内容だけは固まった地下都市活性化計画であったが、なかなか進まなかった。 理由はいろいろあるのだが、何より気がかりな点が多かったのである。 一番の気がかりはやはり明るさから来る、人の心の暗さである。 地下はどうやっても地下であり、薄暗くなってしまう。 街灯やらなんやらを増やしたとしても、それは変わらない。 かつてこの都市を放棄したときと同じ問題を再発させるわけにはいかない。 頭をひねった結果出した答えは「なら天井破ろうか」である。 突拍子もない考えに聞こえたが、「光の当たるところに悪の栄える場所はなしさ」という話を藩王が宰相に聞いてきたということで決定されてしまった。 ひとまず内部壁面に足場を組み、そこから天井を覆うように巨大なネットが張られた。 崩落時に上で作業していた人員が落下するのを防ぐのと同時に、下に人がいた場合に岩盤が落下するのを防ぐ狙いである。 地表など掘りやすい地層は掘削機やショベルカー、農作業用機械であるヤドカニオウなどで大きく掘り出した。 途中硬い岩盤に当たると強度を計算した上で調合された爆薬を使用し、掘り進められた。 この作業には過去に何度かレムーリアで資源の採掘を行った時の経験が活かされている。 さまざまな機器を使える分レムーリアでの資源採掘よりは幾分楽ではあったが、崩落などの危険がある為命綱などの危機回避は徹底された。 また、この作業は大規模であるため大量の人員を必要とした。 この作業員は広く国内すべてから募集がかけられたが、近年の市場における食料あまりから収入の下がっていた農家の中から体力のある人が多く応募したという。 そしてこの作業員の中から、今後レムーリアでの資源採掘が行われる際に優先的に雇用するという条件が付けられた。 資源採掘りの練習も兼ねているのである。 次に資金面である。 昨今、敵性資本流入で介入が行われるケースがあった。大規模公共事業でもある都市工事ともなればその懸念は大いにありえる。 そこで、念には念を入れて資本面での支援が必要な場合は宰相府資本にかぎることとし敵性資本の流入を防ぐこととした。なお、資金面以外でも宰相府の支援を求めその了承も得る。メンツよりも国民のためになるよりよい街をつくりたいということを優先させたのだ。 /*/ だが、この計画変更は、一つだけ問題があった。 それは「地下都市なのに地下でなくなる」ことであった。 ある会議の席でその話が上がった際、参加者の一人が突然血迷ったことを言い出した。 「これでは確かに地下都市ではない、元・地下都市だ。しかしこの『元・地下都市』の略称を考えてほしい。  間違いなく『地下都市』になると思わないか!」 言いきったその人物の迫力に負け、列席者たちは頷きだした。 冷静に考えれば何のことはないただの世迷言ではあるが、皆疲れていたのだろう。 そういうことならと、この問題は解決とされたという。 何事も勢いは大事、である。 /*/ もともとあった建物を補修すると言っても補修が必要な量は建物によって様々であり、技術的に難しいものもあった。 結局、作業量は都市一つを新しく作るのと大して変わらず、むしろ区画整備などがある分多いのではないか、と言われるくらいであった。 それでも出来る限り昔の建物の利用を心がけた計画がたてられた。 もったいない精神が働いたのももちろんあるのだが、なにより過去を忘れないために残そうと考えたのである。 ここに遺されている想いを、後世に伝えることが必要だと感じられたのである。 /*/ 【作成者】 イラスト:竿崎裕樹 設定文:雷羅 来 よんた補足
L:地下都市 = {  t:名称 = 地下都市(施設)  t:要点 = 地下,墳墓,都市  t:周辺環境 = 地下  t:評価 = なし  t:特殊 = {   *地下都市の施設カテゴリ = ,,国家施設。   *地下都市の位置づけ = ,,特殊施設。   *地下都市の敷地面積 = ,,15km×15kmが藩国地図に追加される。   *地下都市の特殊効果 = ,,地下都市建設に伴い、公共事業が発生し、失業率が20%低下する。  }  t:→次のアイドレス = 補強して空爆対策(イベント),環境改善(イベント),巨大キノコの開発(イベント),怪獣との出会い(イベント) } &link_anchor(地下都市,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ あー、おれの墓は出来るだけ人気の無いとこには作んなよ。なんか出たら怖いから。 ……こらそこ、笑うんじゃない。 ―――とある日の日誌の隅に残されていた落書き /*/ #image(undercolor2.jpg) よんた藩国には自然現象でできたそこそこ大きな地下空洞がある。 ぽっかりあいた口の奥に広がるその空洞の中には、数十年前まで藩王の住む城を含む都市があったのだが事情があって今の場所に遷都した、という記録が残っている。 “事情”といっても別に「怪物が出た」とか「呪われた」とかそういうファンタジーな理由ではない。 簡単に言うと不便だったのである。 地下なので所々で岩やでっぱりが出ていたり、変に滑らかで滑りやすかったり。 体力がある者はあまり問題ではないが、お年寄りや子供は大変である。 明かりを灯していても、昼の地上に比べればどうしても薄暗くなる。 開口部からさす光も、やはり大空の下で浴びる日の光とは明るさが違う。 人間は、空が見えなくなると心まで暗くなるものである。 心と周りの薄暗さは、簡単に治安の悪化を誘発する。 そういったものすごく分かりやすい問題を解決するために当時の藩王がとった対策が、地上への遷都であった。 この先代の藩王、記録によるととりたてて問題があったわけではない。が、別段功績があるわけでもない。 遷都は一世一代の大仕事だったようだ。 トップがそんなんで国がちゃんと回っていたのは、周りがうまいことやっていたのだろう。 人当たりの良さから人望だけはそこそこあり、国民からもそれなりに慕われていたという。 王の死後、遷都に随分と国庫を使ってしまっており、ちゃんとした墓を建てるのも財政的に厳しかった。 考えあぐねた末出した結論は、旧都市の城を改築して墳墓を築いてしまえ、である。 そうして出来たのが今のよんた藩国地下空洞である。 /*/ 時は流れ、現在。 地下鉄建設のためによんた藩国の地下についての資料をいろいろ集めていたところ、昔の日誌の隅に落書きが残されていた。 記載されている日付などからして、地下空洞に眠る王の時代の話であるらしい。 それによると、その王はなかなかの寂しがりで怖がりだったらしい。 だが、今現在その王の墓のある地下空洞に出入りするのは、盆の時期に墓参りに行く今のよんた藩王くらいのものでほとんど人気はない。 これはあまりにかわいそうじゃないか、この地下空洞に人が出入りするようにしよう、と思い立った藩王よんた。 側近たちと簡単に相談して、この地下都市を復活させることにした。 もっとも、経済対策として利用した面もある。 帝國の中でもなかなかにして貧しい方である国の経済状況を、ちょっとでも良くするのに使えるものは使いたいと側近達も考えていたのだ。 何度か人を派遣して内部を調査させたところ、数十年前から放置されていた割には建物などの保存状態は良く、多くの建物は手を加えるだけで使えるようだった。 地下であるため、紫外線などによる劣化や雨による浸食が少なかったのであろう。 ただし都市として復活させるためには、当時問題とされた点をつぶしていくことが最低条件だった。 都市機能を移動させた一番の理由である交通の不便さは、地下鉄を通すことであっさりと解決。 都市部分の区画を整備し地下鉄がそのまま入れるようにし、路面電車のように運用された。 大きく開いた口からは長距離輸送システムでぃーグル号の線路を通し、物資の運搬に利用されている。 ただ、新しい施設を組み込むことで、環境の悪化、おもに換気の問題が起こると想定された。 地下とはいえ、大きな口が開いておりほぼ半地下の状態ではあるが、やはり空気はこもりやすい。 そもそも、この地下空洞に都市が建設されたのは、この空洞の地形の特性で風が抜けやすいことがある。 各出入り口の高低差や向き、気温、空洞内部の構造などによるものである。 北国である以上よんた藩国は冬は雪に覆われるが、地下ならば雪の影響はあまりなく、気温も地上よりは安定していた。 都市があったのはそういった利点によるものだったが、技術レベルがある程度向上した今、自然の力だけで自然環境を守れるかは疑問であった。 ひとまず、風の流れを調べ、それに沿うように送風機をところどころに設置した。 もともと風の通り道なので、人の手でそれを助けようという考えである。 同時に、空気の成分構成を調べる検知器を空気がこもりやすい場所を優先に配置した。 都市の重要施設には詳細データが表示されているが、通路などでは酸素と二酸化炭素のように特に注意すべきデータだけ表示できる簡易版を用いている。 送風機の稼働状態や各所の空気の状態データは、地下都市内の管理センターで監視されている。 なお、全ての検知器の近くには緊急時の装備(酸素ボンベ・ライト・スコップなど)が用意されている。 次の問題は明るさ…というよりも治安の問題である。 治安は交番や警察署が国にあり、警官も国に多くいるためいざという時の対応は出来るであろう、という予測がたてられた。 とはいえ、治安対策の手を休めるほどいい加減な仕事はしなかった。 街灯を設置したり、警官による街中パトロールを頻繁に実施したり、出来る対策は施してある。 他にも、街の中の清潔さが失われると治安が悪化しやすいなどの理由により、治安対策として清掃活動を行うよう推奨していたりする。 具体的には、月に一回各町内会で落書き消しやゴミ拾いなど各地域による参加型の美化運動の奨励・支援などである。 都市機能復活の目処がつけば残るはハード、つまり建物や施設の復旧である。 かつての設備で使えるものは整備して使い、技術的に新しくなっているものは入れ替え、人の出入りがなくなり傷んだ建物は改装・補修・建て替えが行われた。 これを行うためによんた藩国内において大々的に作業者が募られた。 大規模事業であるため募集人員もなかなかに多いのである。 それだけでなく、実際この都市に住む人や出店する企業のような都市に命を吹き込むことになる人々も募集された。 それと同時に、この都市を移動させた王の眠る墓の周辺も綺麗に整備された。 人々が気軽に訪れることができるよう、周辺をくまなく掃除し通り道を舗装しなおした。 またすこしでも閉鎖空間であることを意識させないようにと、地下都市の壁面にカキワリの如く星空や都市の遠景を描き、奥行きがあるように見せかけた。 こうして再整備された先王の墓だったが、ほんの少しだけお金をかけ、公園に改修され憩いの場として国民に開放されている。 /*/ かつて、何度か空爆によるダメージを受けたよんた藩国。 その記憶があるからこそ、地下にある都市というのはなかなかにして魅力的に映った。 上空からの攻撃は相手が核やドラゴンのような破壊力でもない限りあまり心配はしなくて大丈夫だろう、と結論付けられた。 むしろ、核やドラゴンを持ち出されれば普通の方法で防ぐこともできないだろう。 なので“比較的”普通の爆撃などに対応できるような計画が立てられた。 一番危険なのは、ぽっかりと開いた出入口。 でぃーグル号の出入りもそこからである以上、狙われる可能性はある。 そういうわけで隔壁を用意し、緊急時に口を閉じられるようにした。 基本は上下から十数mほどのシャッターがかみ合うように閉じるものである。 緊急時にいちばん最初に閉まる隔壁で、同時に閉まりだすために完全に閉鎖するまでの時間が短い。 そして、そのシャッターの外側に横から一枚で全てのシャッターを覆う大きさの隔壁が出るようになっている。 これはシャッター同士の隙間を狙われるのを防ぐためで、強度を優先している。 隔壁を閉じてしまうと、完全な地下となるため空気の汚染が問題になる。 二酸化炭素の吸収機や酸素生成機は用意してあるが、それだけではあまり長く持たないのは明らかだった。 電力などは(設備を破壊されない限りは)外からも供給できるようになっているため、火を使わないなどの対策を取っても一週間~二週間が限度であろうと推測された。 もっとも、数日持てば十分であろうという見方もある。 二週間隔壁が開けない状況というのは、恐らく国ないしは世界の滅亡がかかっているような時だけだろう、という理由である。 そもそも、こんな設備は使わないに越したことはないのである。 なお、このページ上部の画像はこの段階における完成予想イメージであった。 ここまで決定した後に大きな計画変更があったためにこの姿を見ることはなかった。 悲しいかな、シャッター機能は追加されなかったのである。 /*/ ひとまず、計画内容だけは固まった地下都市活性化計画であったが、なかなか進まなかった。 理由はいろいろあるのだが、何より気がかりな点が多かったのである。 一番の気がかりはやはり明るさから来る、人の心の暗さである。 地下はどうやっても地下であり、薄暗くなってしまう。 街灯やらなんやらを増やしたとしても、それは変わらない。 かつてこの都市を放棄したときと同じ問題を再発させるわけにはいかない。 頭をひねった結果出した答えは「なら天井破ろうか」である。 突拍子もない考えに聞こえたが、「光の当たるところに悪の栄える場所はなしさ」という話を藩王が宰相に聞いてきたということで決定されてしまった。 ひとまず内部壁面に足場を組み、そこから天井を覆うように巨大なネットが張られた。 崩落時に上で作業していた人員が落下するのを防ぐのと同時に、下に人がいた場合に岩盤が落下するのを防ぐ狙いである。 地表など掘りやすい地層は掘削機やショベルカー、農作業用機械であるヤドカニオウなどで大きく掘り出した。 途中硬い岩盤に当たると強度を計算した上で調合された爆薬を使用し、掘り進められた。 この作業には過去に何度かレムーリアで資源の採掘を行った時の経験が活かされている。 さまざまな機器を使える分レムーリアでの資源採掘よりは幾分楽ではあったが、崩落などの危険がある為命綱などの危機回避は徹底された。 また、この作業は大規模であるため大量の人員を必要とした。 この作業員は広く国内すべてから募集がかけられたが、近年の市場における食料あまりから収入の下がっていた農家の中から体力のある人が多く応募したという。 そしてこの作業員の中から、今後レムーリアでの資源採掘が行われる際に優先的に雇用するという条件が付けられた。 資源採掘りの練習も兼ねているのである。 次に資金面である。 昨今、敵性資本流入で介入が行われるケースがあった。大規模公共事業でもある都市工事ともなればその懸念は大いにありえる。 そこで、念には念を入れて資本面での支援が必要な場合は宰相府資本にかぎることとし敵性資本の流入を防ぐこととした。なお、資金面以外でも宰相府の支援を求めその了承も得る。メンツよりも国民のためになるよりよい街をつくりたいということを優先させたのだ。 /*/ だが、この計画変更は、一つだけ問題があった。 それは「地下都市なのに地下でなくなる」ことであった。 ある会議の席でその話が上がった際、参加者の一人が突然血迷ったことを言い出した。 「これでは確かに地下都市ではない、元・地下都市だ。しかしこの『元・地下都市』の略称を考えてほしい。  間違いなく『地下都市』になると思わないか!」 言いきったその人物の迫力に負け、列席者たちは頷きだした。 冷静に考えれば何のことはないただの世迷言ではあるが、皆疲れていたのだろう。 そういうことならと、この問題は解決とされたという。 何事も勢いは大事、である。 /*/ もともとあった建物を補修すると言っても補修が必要な量は建物によって様々であり、技術的に難しいものもあった。 結局、作業量は都市一つを新しく作るのと大して変わらず、むしろ区画整備などがある分多いのではないか、と言われるくらいであった。 それでも出来る限り昔の建物の利用を心がけた計画がたてられた。 もったいない精神が働いたのももちろんあるのだが、なにより過去を忘れないために残そうと考えたのである。 ここに遺されている想いを、後世に伝えることが必要だと感じられたのである。 /*/ 【作成者】 イラスト:竿崎裕樹 設定文:雷羅 来 よんた補足

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