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特別授業 技族編(娘と姐さんとメードの場合)」(2008/07/03 (木) 18:10:28) の最新版変更点

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特別授業 技族編(娘と姐さんとメードの場合)   ここはよんた藩国分校。 今日も今日とて特別授業が行われる。 「はい、みなさん。今日は技族の裕樹さん、支那実さん、坂下さんに来ていただきました。」 現れたのは、ちょっと目つきの悪いにーちゃんと、ちょっとボーとした様なお姉さん2人である。 片方のお姉さんは、なにやらスーツケースのようなものを持っている。 「こんにちは、裕樹です。」 「支那実です。」 「坂下真砂です。」 「えー、今日は技族の仕事を皆さんに教えて来いという事なので、その辺について言わせてもらいます。」 裕樹は少し疲れている様子でそう言った。 「まず最初に、技族ってどんな事をすると思いますか?」 支那実、疲れ気味の裕樹に代わって進行を勤めようとする。 「はい、えをたくさんかきます。」 すぐに手を上げる生徒達。文族編とはえらい違いである。 「そうですね、私達は沢山の絵を描きます。」 「描くものには色々種類があるんだけど何か分かるかな?  文族さん達がもう来たって聞いたけど、彼らと大体同じような種類があるわよ。」 坂下は深い意味なく言ったのだが、文族と聞いた生徒達の表情は一瞬曇っていた。 生徒達にしてみれば、『あのひとたち』といっしょなの?である。 「あれ、私なにか変なこと言ったかしら?」 「あー、大体聞いてます。この子達の前であまり文族さん達の授業の話、しない方がいいですよ。」 「なんか、引っかかるわね。まあいいわ。  支那実ちゃん、あとはちゃっちゃと進めちゃってちょうだい。」 「あ、はい。」 このへんはやはり年齢による力関係であろうか。 「えっと、さっき言った描く絵の種類について説明しますね。  藩国内にある施設や風景なんかを描くもの、藩国の人を描くもの、中央政府からの通達で描くもの、なんかがあります。  ときにはI=Dのデザインなんかも私達がします。」 指折りしながら話す支那実は、年齢の割りにかわいい印象である。 一方坂下は、ヒールを履いて年相応に綺麗なお姉さんの雰囲気を振りまいている。 そんな両手に華な裕樹だが、どうやら相当疲れているようだ。 目つきがいつも以上に悪い、というか目が開いているかどうか怪しい。 「みんなでいっしょに、かかないんですか?」 「皆で合作する事もあります。  ただ、枚数がいるときなんかは手分けした方が効率がいいので、一人一人別な絵を描きます。  私達の仕事のお話はこれで終わりにして、今日はみんなで絵を描こうと思います。」 「どんなえをかけばいいんですか?」 「何がいいかな…?」 考えながら周りを見渡す支那実。 「そういえば支那実ちゃん、そのスーツケースって絵を描く道具?」 「え、あ、そうだこれがあったんだ。  今日ここへ来る前に、授業でみんなに絵を描いてもらうつもりだって言ったら、  来さんが、何を描くか困ったらこれを使うといいってくれたんです。」 「…あの奇術師がねえ。びっくり箱とかじゃないわよね?」 「大丈夫ですって。来さんも誰かからこれを渡されたらしいですから。  自分には不要だって言ってましたけど。」 支那実、そういいながらスーツケースを開ける スーツケースの中には紺と白の布が詰められていた。 その上に、封筒が2つ置いてある。 「封筒…、手紙? 片方は裕樹さん宛ですね、もう一通は…。」 とりあえず、裕樹に手紙を渡す支那実。 「俺宛? どれどれ…。」 『親愛なるA君へ   物書きの手により、同じ道を進む事になるであろう同士に、心から哀悼の意を表する。    かくたより』 「…意味分からんな。かくたさん、なに言いたかったんやろ?」 すでにその答えは坂下の、いや、真砂姐さんの手に握られていた。 「ふふ、裕樹君。お楽しみの時間が来たようです。」 その手にはなぜか『ガーターベルト』が握られていた。 「そ…そのガーターベルトは…まさか!」 スーツケースに収められていたのは、紛れもなくメード衣装フルセット(裕樹サイズ)であった。 「そういう事よ、裕樹君。  さあ、とっとと着替えて、おとなしく絵のモデルになりなさい。」 ちなみに、もう一通の手紙にはこう書かれていた。 『先日、真砂姐さんより託された品、たしかに裕樹さんの元へお送りいたしました。  らいより』 「い、嫌や。よりによって子供の前やなんて、あんまりや。」 後ずさりしながら、素が出始める裕樹。 「諦めなさい。支那実ちゃんも手伝って。」 「あ、はい。」 その一瞬を狙ってエスケープする裕樹、だが。 「甘い!」 ヒールの高さなど、まるで気にしない動きで脱出口を塞ぐ真砂姐さん。 しかもその一瞬で、裕樹にメード衣装を着せる超人芸まで見せている。 「な…、い、いつの間に! いや、どうやって!?」 「この間、来君に教わった入れ替え手品の応用よ。」 真砂姐さんの腕には、裕樹がさっきまで着ていた服が掛けられている。 「って、まさか…ガーターベルトまで!?」 「今の私に不可能は無いの。さあ、裕樹君、観念なさい。」 がっくりと膝をつく裕樹。 ああ、母さん。俺はもう、お婿にいけません(裕樹の心の声より) 「と、とりあえず、メードの裕樹さんをみんなで描いてみましょう。」 なんとかまとめようとする支那実だが、意外と生徒達は乗り気の様子である。 「すげー、めえどだ。めえど。」 「かくたさんは、めえどじゃなかったもんね。」 微妙に好評なようだ。 その後、生徒達の描いた、真っ白に燃え尽きたメードスタイルの裕樹の絵が、校内にたくさん飾られたという。 (文:雷羅 来)

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