よんた国 狂詩曲 第一番 第二楽章

後日、謁見の間にて・・・
よんた王はイスに座り、ヨンタ饅をほおばりながら隣に立つかくたに話しかける。
「かくたさん、今日の謁見はみんな終わりかな?」
「いえ、グラジオラス様の謁見が残っております。」
折り目正しくこたえるかくた(ミュン○ハウ○ンみたいですね。)
「あぁ、そうだったね。うっかりしていたよ。ありがとう。ミュン・・・じゃないかくたさん。」
「いえいえ、お気になさらずに。ではグラジオラス様を呼んでまいります。」
扉をあけて待合室に向かうかくた。いつの間に移動したのかとその場にいた新人衛兵はびっくりするが、よんた王は見慣れているのか無反応だった。
(うちのかくたさんは、あの式神執事に勝てる。)とよんた王が考えていると、謁見室の扉が開いた。
「よんた様、グラジオラス様をお連れしました。」
とかくたがそう言った次の瞬間には、よんた王のそばに紅茶を持ってかくたが控えている。
「どうぞ、よんた様」と紅茶を差し出すかくた。
「ああ、ありがとう」と受け取りながら(やっぱりかくたさんは勝てる)と思った。そして
「どうもこんにちは、グラジオラスさん。今日はどうしましたか?」
よんた王は話を切り出した。
しばらくその光景をびっくりした顔で見つめていたグラジオラスは、その言葉に気を取りなおし、にこやかに
「お久しぶりですわ、よんた様。雪祭り以来ですわね。 それで今日はお願いにまいりましたの。」
「お願いですか?どんな内容です?」
身を乗り出すよんた王。すこし興味があるみたいだ。
「はい、実はひろきさんと槙さんをメードとして各家庭に派遣していただきたいのですが・・・」
それを聞いてかくたは目を光らせた!が、これに気付いた者はいなかった。
「えっひろき君と槙君をですか・・・。しかも、メード・・・。それは本人達に聞いてみないことには判断できませんね。」
よんた王は難色を示した。と同時にグラジオラスは切り札を放った。
「もちろんただとは言いません!」
「ほう・・・ただではない・・・」さらに身を乗り出すよんた王。さらに興味がわいたみたいだ。
「はい」グラジオラスは指をパチンと鳴らした。それと同時に後ろに控えていた。乙女が手にお皿を持ったまま前に出る。そのお皿のうえには雪のように白いヨンタ饅がのっていた。
「まずはこちらをおめしあがりください。」とグラジオラス
そうグラジオラスの作戦とは、うまいもので釣るという、単純明快なものであった。さらに、古今東西うまいものに勝てる人はいない。そしてよんた王のうまいもの好きは別格であった。
ヨンタ饅を見たよんた王は目にも留まらぬ速さでお皿の前まで行き、よんた饅を無造作につかむと一口食べた。
しばらく無言の時間が流れた。
突然よんた王が異界の言葉を叫んだ!
「はっ!ほへははんへうふぁいんだ。ほんはヒョンハはんはひゅったほとぐあなふぃ!!」(注:食べながら叫んでいます)
「えーと、驚いているのは分かりますが、さすがの私もなんておっしゃっておられるかが分かりませんわ」
汗を流しながら答えるグラジオラス。電波の許容範囲外であった。
かくたがよんた王の言葉をとなりで訳し始める。さすがはミスターホテルマン!
「はっ!これはなんて美味いんだ。こんなヨンタ饅は食ったことがない!!   と申しております。」
うんうん、と何度もうなずくよんた王。グラジオラスは「はぁ」と言いながらなんで分かるんだと内心思った。
「ほうひゃっへほほあひほふぁひたんは?ほひえへふへ!!」(注:食べながら以下略)
「どうやってこの味を出したんだ?教えてくれ!!   と申しております。」
それを聞いたグラジオラスはにこっと微笑みながら
「教えるのはかまいませんわ。その代わりといってはなんですが先ほどの件、了承していただけますでしょうか?」
「ふーん、へほほへはほんひんひゃひひひゃふひんひふぁいほほひひゃひゃんほほ・・・」(注:以下略)
「うーん、でもそれは本人達に確認しないことにはなんとも・・・   と申しております。」
「そうですか、それではこの話はなかったことに・・・帰りましょう」
グラジオラスはよんた饅のレシピが書かれた紙をひらひらさせながら、きびすを返し立ち去ろうとする。
「・・・ひゃってふへ!ふぁはっは。・・・ほほひょうへんほほう。」(どうでもいいが、いつまで食べてるんだこの人・・・?)
「・・・待ってくれ!わかった。・・・その条件を飲もう。   と申しております。ところでよんた様そろそろ食べ終わっていただきませんと、さすがにそろそろ読者と作者からクレームがくるかと・・・もといお行儀が悪うございます」
かくたは紅茶を差し出した。さすがはスーパー紳士!
「ふん・・ほうは・・(ごくごく)ぷはぁーー。すまんすまん。あまりにも美味くてな。さて、もう一度言おう、その条件を飲もう。だからそのヨンタ饅のレシピを教えてはくれないか?」
後ろを向いたまま様子を伺っていたグラジオラスに問いかけた。その言葉を聞いたグラジオラスはにやりと笑い、振り返った。もちろん顔はにやりから天使の微笑みに変わっている。
「ありがとうございます、よんた様。 るん♪」
グラジオラスの完全勝利であった。

これ以後グラジオラスは乙女たちの中で英雄となり、この話は男たちの間で『A君とS君の悲劇』として語られた。 完・・・?

追記:これは温泉ヨンタ饅がブームになる前の話である。


(文責 言 成)