「みんな、いるか?・・・おるな、それじゃあおまちかねの手品の時間や!」

懐から赤色のハンカチを取り出す。

「この赤いハンカチをよく見ときや?こうハンカチをひらひらさせると・・・ほらだんだん色が変わってきたやろ?」

赤いハンカチはいつの間にか、青色に変わっていた。

「わー!すごーい!なんで?」

「お兄ちゃん、青色以外にも変えられるの?」

「おぅ、もちろんやで、何色がいい?」

「えーと、それじゃあねー・・・ピンク!」

「よっしゃ、ピンクやな、任せとき。ピンク、ピンク・・・ピンク!」

二回目のピンクのときに青いハンカチを上に放り投げて、三回目のピンクでキャッチした。すると、ハンカチは青からきれいなピンク色に変わっていた。

「ほら、どうや?きれいやろ?これは、あげるわ。大事にしてや?」

ピンクをリクエストした女の子に手渡した。

「うん。ありがとう!」

「さてと、次はこの普通にありふれたコインとこの普通のガラスのコップを使うで?このコインを、右手に握って、左手にコップをもつ。それで、この右手にあるコインをコップの中に瞬間移動させるで?よく見ときや?」

コインには天使のレリーフがされている。来の右手に力がこもる。その瞬間、チャリーン、チャリーン、とコインが落ち始めた。

「わー、なんでだろう?」

子供たちはみんな不思議な顔をしながら来の手元を見つめている。これに気をよくした来は、

「これはおまけや!」

と、叫んだあと右手にさらに力を加えた。すると、ジャラジャラジャラ!と、すごい枚数のコインが左手から出現した。とても片手に持ちきれる量ではない枚数だ。コインはコップからあふれ来の足元に山積みになる。

「みんなに一人一枚ずつプレゼントするわ!部屋にでも飾ったってな。」

わー、と子供たちがコインの山にさっとうする。

「あせらんでもええ、一人一枚は必ずあるさかい。って、おいそこ、一人で何枚もとったらあかんで!あっ、先生方にもプレゼントですわ」

来がコインをシェリルのもとへ持っていった。

「このコインなかなか、重たいんですねん。はい!」

と、渡す瞬間手をすばやくひらめかせた。
シェイナにコインを渡したとき、コインが大きくなっていた。

「大きくなっちゃった・・・なんちゃって・・・」

「あら?もう、びっくりしました。おどかすなんてひどいじゃないですか!」

「人をおどかしたり、びっくりさせるんが手品師の仕事やで、先生」

「そういえばそうですね。ふふふ。雷羅さんって楽しいかたですね。」

「人を楽しませんのも手品師の仕事やで? あぁ、それと、雷羅さんちゅうのはかたくるしいから来でええよ」

「来兄ちゃん!いつまで先生と話してるの?はやく手品の続きをしてよ!」

「わかった、すぐ行く! せっかくいい感じやったのに・・・」

来がぶつぶつと愚痴ってると、子供たちがさらにせかす。

「来兄ちゃん!」

「おぅ、すまんすまん、手品再開や。さて、次の手品やけど、この象とキリンのぬいぐるみを使うんや。」

懐から小さいぬいぐるみをいくつか取り出した。そして、マントを脱いだ。

「さて、お立会いや!このかわいいぬいぐるみたちをこのマントにくるんで、上に放り投げると・・・あとはお楽しみや」

「どうなるの?」

「気になるー!」

ぬいぐるみをマントでくるみながら

「すぐわかるさかい、楽しみにな。 さて、準備完了や!いくで、みんなでカウントダウンや!」

『3・2・1・0!』

0!とともに真上へ思いっきり放り投げる。そう真上へ・・・

「なにが落ちてくるか楽しみやな」

決定的瞬間まで

「みんなはなにが落ちてくると思う?」


「えっとね、いっぱいのぞうさんときりんさんのぬいぐるみ!」


「僕は色が変わったぞうさんのぬいぐるみ!」


「ちがうって、ぬいぐるみがなくなる手品だろ?」


「きっと、代わりにペンフが落ちてくるんだよ。」

0 「正解は、ぞうさんとキリンさんの・・・ん・・・やばい、まちがえ・ギャーー」

ドーーン!!(プチッ)来の叫びは一瞬で収まった。
予定(同じ量のぬいぐるみを大きくしてみんなにプレゼント)→結果(ぬいぐるみと同じ量の本物の象とキリンに変換。もちろん原寸大)

「みんな、みちゃだめ!」

シェイナと校長、ほかの先生方が子供たちの前に立ち、来を隠した。

「パオーン?」

象たちとキリンたちは混乱している。いきなり呼び出された上に、高いところから落とされて、もうなにがなんだかわからなくなっている。

「パオーン!」

一頭の象がいきなり走り出した。それにつられてほかの象やキリンたちも走り出す。
シェイナたちは目を閉じて来るであろう衝撃に対して身構えたが、予想していた衝撃はこなかった。

「?」

象やキリンたちは学校の門を盛大に破壊し街中へと消えていった。
ダールはおそるおそる来に近づいた。少しはなれたところから観察してみる・・・不思議なことに血の類は一切見受けられない。ただ、すこし平べったい感じはする。手足もへんな方向に曲がってるようだし・・・

「お城に連絡を入れたほうがいいですかね?なんか来さんやばい感じですし・・・」

「そうやなぁ、やばい感じがするなぁ・・・」

いきなりダールの背後から声がかかった。しかも関西弁・・・
ダールがゆっくり後ろを振り向いた。そこである人物と目があった。

「うわぁぁぁぁぁ!!来さんの化け物!成仏してください!!なんまんだぶ、なんまんだぶ!」

校長は顔を真っ青にしながら、目の前にあらわれた怨霊雷羅来を成仏させようと

「校長先生、ひどいで、勝手に殺さんどいてぇな・・・ちゃんと生きてるし・・・」

「なんまんだ・・・・え?生きてるんですか?」

「おぅ、ぴんぴんしとるで!」

確かに目の前の来は幽霊にしては顔色もいいし、なにより足がある。

「じゃあ、あそこにいるのは?」

薄くなった来はかわらずに放置されている。

「あ、あれか?あれは小来や。」

「小来ですか・・・なんですかそれは・・・?」

「?なにて、小来は小さい来や。それ以上でもそれ以下でもあれへん。」

「は?意味が・・・」

「それに、1時間ほどしたら消えるから心配いらへん。」

「いや、でも・・」

「小来のことなんてどうでもいいやないか。それよりも問題は・・・」

ドーーン!!大きな音とともにのろしの様に一筋の煙があがる。

「やばい、あれは城の方向やん!めっちゃいやな予感がするわ・・・つうことで、校長先生とシェイナちゃんまたな! おーい!ペンフ!いくで!」

「グワッ!」

来とペンフは一陣の風となって去っていった。

「校長先生・・・あれどうしましょう?」

シェイナは小来を指差した。

「しばらく、放っておきましょう。1時間したら消えるそうですし・・・」

「はぁ、分かりました。じゃあ、みんな教室に戻って、明日の連絡をするから・・・」

「校門の修理費をお城に請求しないといけませんねぇ・・・」

ダールは校門跡地を見ながらつぶやいた。



(文責:言 成)