F級フレーム

其は天駆ける女装兵器―――――――――


設計仮名称 XFS-01「カドゥケウス」

illustration(by 小野青空)F級フレーム(絵) 

設計段階仮名称として「カドゥケウス」と名づけられた本機体は、ある一つのことを念頭において作られた。それは、運用/生産コストの低減、である。EV116ののちに、莫大なリソースを保持していた宰相府がリソース不足を考えなければならなくなったように、帝国においては食糧以外のリソース不足は慢性的なものになっている。そこで「カドゥケウス」ではいかにコストを低減するか、が求められた。尚、F級フレームはもともとRBにもかかわらず「カドゥケウス」では用途を限定させ、開発期間の限定、ひいては開発コストの低減を目的としてRBにかかわらず宇宙空間限定として設計されている。しかしながら絶対物理防壁を展開すれば水中での行動もある程度は可能であり、後述する「フォックスバット」は水中でも使用可能とされている。

まず、燃費が悪い遠距離及びそれ以上の距離での戦闘能力は取り除かれ、また機体を損傷しやすく装甲を厚くせざるを得ない白兵戦能力も機体そのものの装甲の厚さが関係ないシールド突撃を除いて除外された。つまり、その攻撃能力を中距離、近距離に絞った。もともと、F級フレームという、いわば「戦闘機」にあたる機体が遠距離戦闘力を追い求めても艦艇クラスには初めから太刀打ちできない。また、高速で戦闘が行われる宇宙空間では白兵戦闘をするには高度の軌道予測システムが必要であり、それではコストが嵩む、という事情があった。これらはそれゆえの判断であった。第二に、軽装甲化、である。重装甲化すればその分生産コストは上がるし、機動性も悪くなる。また、「戦闘機」にすぎないF級フレームがいくら重装甲化しようとも、たかがしれている。
また、これらのほかにもデッドウエイトになりかねないパイロットを減らすためパイロットのロードワークを軽減することが求められた。この結果、パイロットは通常は1名となったが、レーダーなどの操作が煩雑でしかも整備にてまがかかる電子機器は最低限に収め、機体がわでは受け取るだけですむ通信・情報交換設備を充実させた。結果として貧弱な電子的情報収集能力でも部隊単位で広範囲に展開することにより十分な情報を得ることが出来るようになり、また強力なレーダーを持つ母艦などから少ない作業量で情報を得ることが出来るようになった。AIに関しては、高度な物は開発コストがかかるとして搭載されていないが、民生品を改良した性能限定型AIを搭載することとなった。しかしながら改良の過程でバグがおきてしまい、後述する特徴を「カドゥケウス」に与えることとなった。
この結果、「カドゥケウス」に搭載された兵装等は以下のようになった。


1)320mm航宙長魚雷六連装発射管「フォックスバット」(×2)
「カドゥケウス」の主武装となる装備。バックパックに片側に一基づつ装備される。射程はおよそ3000m。多弾頭式ノイマン効果弾を弾頭として積む。主に艦艇級の敵を相手に使われるが、威力自体は大きくない為同時に複数使われる。誘導方式はイメージホーミングで有線方式であり、これは対空射撃を回避しながらでも、つまり誘導にパイロットの集中力をそがれないようにするためのものである。尚、「ミサイル」ではなく「魚雷」なのは設計者の趣味である。


2)57mm単装速射砲「ファルクラム」
マニュピレータ保持式の砲。宇宙空間戦闘用である。アサルトライフル型。30mmクラスの口径で、より連射能力のある砲の装備も考えられたが、それでは命中率が低く、弾丸が勿体無い、と言うリソース重視主義のもと、57mmと言う比較的大口径で命中率が高い砲を採用した。連射速度は最大分速120発程度。単発・分速30発・分速80発・最大の四つを使い分けることが出来る。「ファルクラム」は主に近接/中距離での対戦闘機(対空)用途に用いられ、弾頭は炸裂弾頭が採用されている。




3)絶対物理防壁
F級フレームの特徴の一つ。「カドゥケウス」においては弾幕を突破する時に高機動回避と併用して使用される。攻撃用途としてはエネルギー消費が激しく長時間展開できないため向いていない為に使用タイミングは限定される。しかし「切り札」としては十分な機能を持っており、攻撃力の低い「カドゥケウス」が良好な攻撃位置を占位し、攻撃効率を向上させることに貢献している。尚、白兵戦用には使用されず、あくまで移動補助に使用される。



4)情報収集用子機「ファーマー2000」
「カドゥケウス」の両肩に装備される情報収集用子機。「カドゥケウス」本体に情報収集機器を積んだ場合、機体そのものの重量増につながってしまうし、そもそも絶対物理防壁展開中はレーダーが使えない。そのため情報収集系機材は当初は搭載されないことになっていたが、それではあまりにも情報収集能力が低すぎ、デブリなどに隠れている敵にたいしてもいちいち接近してその存在を確かめる危険を冒す必要が生じてしまう。また、何らかの情報収集能力を持っていれば同じように絶対物理防壁を持つ機体に対して有利に立てる。そこで搭載された機材がこの「ファーマー2000」である。光学偵察機材を搭載し、「カドゥケウス」からの有線操作に従って機動する。機関は初期加速用ロケットエンジンと加速した後にもちいる小型ロケットエンジンである。レーザー通信で操縦し、且つ光学機材のみを搭載する為、強度のECM環境下でも情報を収集できる、と言う利点を持っている。

5)AI「フランカー」
前述したAI。保有する機能は限定的で、LANを経由して得た情報の処理、機体の姿勢制御、パイロット認証、「ファーマー2000」の操縦補佐程度である。この中でも主に情報の整理に重点が置かれており、音声認識システムをとおしてパイロットは望む情報をディスプレイ上に表示することが出来る。
「フランカー」は値段の割には高性能なのだが、前述のとおりある意味致命的ともいえるバグを抱えている。
つまり、女性もしくは女装した者しかパイロットとして認識しない、というバグである。
「カドゥケウス」ではパイロット認証をAIがコクピット内カメラの画像で行っている。これは宇宙空間での運用と言う特性上、パイロットが規定どおりに各種装備(スーツ、ヘルメット等)を身につけているかチェックする必要があり、「カドゥケウス」ではパイロット認証がそのチェックを兼ねている。しかし、「カドゥケウス」のコクピットはスペース節約のためにコクピットが狭く、それゆえパイロット認証システムに「各種装備を含めたパイロットが一定スペースしか占めていないか」という条項を追加した結果、それをAIが間違った解釈をし、「女性のみ搭乗可」としてしまった。しかしながら、もともと狭いコクピットには男では搭乗しにくく、開発段階でも女性専用機にしてもいいのではないか、という案が出ていたために(まあ開発期間がなかった、という事情もあるが)このバグは放置され、結果として女性、若しくは女装した男性のみ搭乗可、となった。

6)投棄式デコイ「フォックスロット」
高熱を帯び、更に浴びせられたレーダー波を分析し、そのレーダー波と同じ波長の波を自動で返すことが出来る、という対ミサイル用の囮。前者は対赤外線誘導ミサイル、後者はレーダーホーミングミサイルに対抗する為の手段である。「カドゥケウス」は通常は「フォックスバット」を1機につき4基搭載する。尚、「フォックスバット」自体に推進能力がなく、また、コスト削減のためにやわに作られているため使い捨てとなっている。尚、魚雷と名前が似ている為に、よく勘違いが起こる。

また、発動機としてteraでは採用実績がある対消滅反応炉を採用し、冒険せずに開発コストを下げることを目指した。また、他にも装甲、コクピット周りなどを極力既存の技術で設計し、開発コスト削減を行っている。

一方で、新規開発された装備は通信機器である。従来の無線式通信設備により部隊単位でのLANを構築し情報を共有するほか、ECMを受けた際に冗長性がますよう妨害に強いレーザー通信装置も装備している。これらの通信ネットワークは中心というべきものが用意されず、情報は全てLANに組み込まれた各機体で分散処理する為にLAN内の機体が撃墜されても情報処理自体は継続して行われる。これによりネットワークの冗長性が確保されており、情報処理が停止しにくくなっている。

また、コクピットは武装などを多量につめない以上、戦闘効率を上げることが戦力向上の道だとして、重点を置かれている。とはいえ、ほぼ全てが民生品や既存の技術を改良した物で、コスト削減が優先されている。操縦者が操縦棹から手を話さずに武装などを操作できるHOTAS概念が導入されており、もともと武装などが少ないこともあいまってパイロットの負担がかなり軽減されている他、戦闘効率も非HOTAS機にくらべ上昇しており、機体そのものの戦闘力の低さをある程度補うことに成功している。

既述のように、「カドゥケウス」はRBでありながらもLANなどの構築を行っている。これは、機体の小規模化からなるエネルギー不足で物理防壁を展開できる時間がごく僅かであることを逆手に取り、物理障壁を寧ろ補助的な役割として利用したためである。結果として、かなり異端な機体となってしまってはいる。


#尚、名称は設計段階で呼びやすくするためになづけた物で、特に深い意味はありません。