クェスカイゼス

  ――――其は娘を守る騎士にして――――

illustration クェスカイゼス・イラスト by 小野青空

概略

クェスカイゼスと呼称される本機は、宰相府で発掘されたI=Dの原形となった発掘兵器と、そのコピーを言う。剣と盾の白兵戦を旨とし、御するのに根源力50000を必要とする騎士専用機である。複合装甲や低反動砲といった最新の科学技術による部分を持ちながらも、重力制御、対詠唱戦防御機能の搭載など、魔術的な側面も色濃く持つ。
クェスカイゼスは元々は発掘兵器であるが、科学技術による再現不可能な機能の補填や改修を経て、コピーが建造されている。しかし、その強力さの故にコストもかかり、従来の視点から言えば量産には向かない機体となってしまっている。また、魔法的な回路もいくつも刻まれている為、整備も手間が係るものとなってしまっている。
外観も全てが生産が容易な直線系というわけではなく、後述する二重装甲にしにくい部分は刃や弾丸がすべるような優美さを備えた曲線系を描いている。

装甲

クェスカイゼスの装甲は避弾経始を考慮した曲線状を持つ部分と、二重になっている部分を持つ。この二重装甲は、物理域対応のためで、上層が繊維強化プラスチックやセラミック、チタニウム合金などからなる複合装甲、下層が鋼に対物理的攻撃防御加護魔法陣を描いた装甲、となっている。高物理域では下層は殆ど無意味であり、上層だよりになり、逆に低物理域だと上層がその機能を果たすか不透明である。そのための二重装甲であり、上層は下層に取り付けられたフックに引っ掛ける形で装備される。尚、白兵戦時など、重い装甲が不要の場合にはコクピットからの操作でパージできるようになっている。また、歩兵支援が重要視される局面ではケージ装甲の追加装備も可能となっており、現場の判断での搭載が可能になっている。
クェスカイゼスのような機体に求められる機能は戦闘力だけではない。それが戦場にいるだけで味方を鼓舞し、敵をおそれさせることが必要である。そのため装甲は戦場、特に夜間では目立つ銀色に塗装され、クェスカイゼスは戦場でその姿を誇示することとなる。いくらクェスカイゼスが目立とうとも、本機の戦闘力が高いことを考慮すれば味方の士気上昇の効果は大きいといえよう。また、この塗装は装甲に刻まれた加護を覆い隠す効果を持っており、敵に心理的奇襲をかける事が可能となっている。




重力制御

クェスカイゼスは重力制御によって駆動する。そのため、燃料を消費しない為に、補給が続かなくとも行動が可能になっている。しかし、クェスカイゼスは一人乗りであるのでパイロットは重力制御をしつつ戦闘を行う、ということをする必要がある。そのために熟練したパイロットでなくてはクェスカイゼスを操縦できない。また、重力制御は狭い範囲であれば外部にも出力可能であるが、外部への出力と同時に機体に重力制御を行うことはきわめて難しい為、攻撃や防御のために重力制御を行う時は機体が停止する、という弱点をもつ。また、重力制御による機体制御は機体への負荷も大きく、オーバーホールの期間が従来機に比べ短く、ランニングコストがかかりやすい、という特徴がある。しかしながら、従来の内燃機関などによる駆動よりも自由度が高く、小回りも効き、操縦手によっては従来の機関では不可能な動きをすることも可能であることは確かであり、剣と盾を使った白兵戦を主眼とするクェスカイゼスの戦闘力を飛躍的に高める一因となっていることは確かだろう。



武装

 クェスカイゼスの主武装は剣と盾である。これらは低物理域でもその機能を果たすよう、合金などは使われず、単一の金属によって出来ている。剣は純粋に斬ることに主眼を置かれて鍛えられ、日本刀を参考に製造されており、その漆黒の刀身は弧を描く反りを持っている。この目立つ装甲とは対照的な漆黒の刀身は、夜間においては太刀筋が見えにくく、乱戦になった際にはクェスカイゼスの攻撃を隠蔽する。また、熟練した刀工らが一本一本鍛え上げるハンドメイドに近い形で生産されているので、生産数は少なく、コストも係るようになっている。しかしながら、そのコストに見合う機能は持っており、クェスカイゼスの白兵戦能力を裏付けるものとなっている。
盾は戦闘時には左腕に固定されている。この素材は装甲下層とおなじではあるが、対詠唱戦防御機能を持った回路が刻まれており、クェスカイゼスに対詠唱戦能力を付与している。この盾の主な役割はこれであり、高物理域における対砲撃能力は複合装甲の装甲上層が受け持つ。この盾の重量は大きく、そのため平時は腕に負担をかけないため外されており、また白兵戦時にも腕の自由度を上げ、更に重量を軽くする為にパージされる。
また、補助武装として高物理域戦闘用に砲が搭載されている。あくまで補助武装ではあるため元々歩兵用として開発されていた84㎜無反動砲に給弾装置を装備し、更にある程度の反動はあっても問題ないため低反動化装置を簡略化し、軽量化を図ったものを搭載している。砲弾は対装甲/人兼用として多目的対戦車榴弾を、歩兵支援用として発煙弾を装備する。これらは一回装填すると戦闘中にその順番を入れ替えることが出来ないので、事前に戦局にあわせた装填をすることが求められる。腹部に対歩兵用に機関銃を搭載することも検討されたが、クェスカイゼスが十分な機動性を持っており、小回りも効くこと、装甲の間に武装を搭載することによる防御力の低下をおそれた結果、装備は取りやめられた。
前述した重力制御による攻撃は裏技とでも言うもので、かなりのベテランしか使うこと出が出来ない。主な使用方法は重力制御によって白兵戦時に敵機の体勢を崩す、という補助的なものであるが、敵機を吹き飛ばす、というような主たる攻撃方法として使うこともできる。

電子機器

クェスカイゼスは全物理域での行動を前提としている。そのために低物理域では役に立たない電子機器は固定装備にされず、高物理域戦闘時のみ追加で装備される。そのためのアタッチメント自体は固定されており、搭載が迅速に行えるようになっている。
高物理域では基本的に二次元レーダー、背部ガンカメラ、ECM、無線アンテナが装備され、それらを稼動させるための小型発電装置も搭載される。電子機器の数が少ないのは、一人しかいないパイロットに負荷をかけすぎないようにするためと、発電装置でまかなえる電力がさほど多くはないからである。このうちECMはクェスカイゼスが得意とする接近戦に持ち込むための装備で、最も重要視されており、本来ならば艦船に搭載される規模の物を備えている。しかしながらこのECMが重量をとりすぎ、電力を使いすぎるために前述のように電力が不足気味なってしまっていることは否定できない事実である。尚、これらの装備は極力目立たないように装備されており、重要な装備を狙いうちされることを防いでいる。


情報収集

クェスカイゼスの持つ直接情報収集能力は、高物理域では二次元レーダー、ガンカメラ、低物理域では鏡を利用した潜望鏡と似たシステムの外部映像映写装置による。前者は前述したように低物理域では使用できないが、後者は高物理域でも使用でき、特に白兵戦時に死角をなくすことに貢献している。
また、部隊間のやり取りの為の機器としては高物理域では追加装備のアンテナを利用した無線、低物理域では巨大糸電話を用いている。しかしながら、後者は停止中にしか使用できないため、低物理域ではコミュニケーション能力が著しく低下する。しかしながらこの巨大糸電話は簡単に戦場で作ることが可能であり、その上盗聴されるの惧れがないため、高物理域でも時々用いられる。

コックピット

クェスカイゼスのパイロットは一人であり、コックピットも一人のりとなっている。コックピット自体は胸部にあり、そこは最も装甲の厚い部分の後ろである。これはクェスカイゼスを完全に乗りこなすには熟練した技術が必要であり、それゆえ最もパイロットが生存しやすい所にコックピットが設置されている。
操縦機器としては戦闘機に見られるHOTAS概念が一部導入されており、重力制御、武装運用などが最大限一本の操縦棹でできるようになっている。これにより、白兵戦時にも細かい重力制御をできるようになっており、白兵戦能力の上昇につながっている。