深宇宙から絢爛近郊世界へ、絢爛近郊世界から詩歌藩国へ、ダークサマーレルムから無名騎士藩国へ。共和国、帝國問わず持てる全力を振り絞り戦った3方面作戦は3方面とも転戦し連戦することとなった。
 結果全方面で勝利を得られたがNWに残された傷もまた多い。
 無名騎士藩国、詩歌藩国、FVB。この戦闘で人を土地を建物を焼かれ打ち壊された。
 そして、このよんた藩国も・・・・・・。
 「やられたなあ・・・・・・」
 苦い顔で荒れた土地をみつめる坊主頭。この国の藩王だ。
 今日は野良着をきている。その周りにいる人間達も同じく野良着である。
 3方面作戦を終え、国に帰還した藩王以下の面々は不在時に謎の四本腕によって蹂躙された食料生産地の再建作業を行っていたからだ。
 なぜ藩王から率先してそんな格好をしているかといえばわけがある。
 よんた大爆発とよばれる四本腕襲撃事件に伴い国土全域に避難勧告をだし犠牲多くの犠牲を出したものの周辺国へと逃がすことには成功はしていた。
 しかし、避難中に国民の中である噂が流れていた。曰く「襲撃事件は藩王が引き起こした物で帰れば粛清される」というものだ。無論デマである。
 おそらくどこかの誰かの工作だとは推察されているが、捜査指示を出したとたん悪化したところみると工作以外にも根があるのだろう。不安という名の。
 ならば、やるべきことは言葉でなく行動でしめすしかないと藩王は思った。
 無論、工作を行った者達をどうにかしなければ完全に払拭することはできないのでこれはこれで対処する必要があるが、工作を行った組織は自国だけで対処できる規模の物ではないし、他の国でもその被害が出てもいるので全国規模で当たらねばならないだろう。対処するにも協調が必要だ。
 だから今はクワを持ち汗を流すことで自らの意思を示す。そのための野良着なのだ。
 それに付き従うのはレムーリア方面軍に参加していた摂政以下の面々である。
 国民に向けたパフォーマンスであるという意味もないとは言わない。
 だがそれ以上に復興は自分の手で汗で血でやらねばならないとそう思った。
 それともう一つ切実な事情がある。作業は復興する土地の規模からして人力のみで出来る物ではなく、農業機械も投入して行われており、周りを見れば土を掘り返し慣らす農業機械ヤドカニオウ(開墾仕様)の群れがガシャガシャ動いているがそれでも噂の影響もあるのだろう人手は足りているとはいえない。
 それゆえ、働ける人間ならば身分の上下問わずかりだされたという事情もあった。
 言いだしっぺである藩王だけ怠けるわけにもいかないのだから。
 そのような事情から人力でできる作業をこなしつつ、摂政と協力し農業従事者をオブザーバーに置き復興作業の監督を行うこととなったのだ。
 「俺の手は大きくないけど、できることはしないとなあ・・・・・・」
 汗を首にかけたタオルで拭い、クワを振るう。できることを一歩つづ・・・・・・。



 設定補追:
 帝國の食糧事情はよく知られている通り余りに余りまくっている。
 その余りまくった食料は国際貢献、緊急支援に使われており、そのようなときによんた藩国の小麦袋を目にする機会は多い。
 よってさらに生産量を増加をうながすような土壌つくりを行うことはしなかったが、代わりとして収穫後の小麦の質の向上を狙う工夫を施した。
 どうせ使われるなら美味しいほうがいいだろう、と。
 かといって価格があがりすぎては大量仕入れにはむかなくなるため新技術を導入してコストをかけて改良したわけではない。
 刈りいれ後の扱いに工夫を施しただけである。機材はそれまでのものを買いなおすなり、修復しそのまま使用している。なお乾燥機はこれを機に低温乾燥が行える物に買い換えたりもした。
 その資金は王城の冬場の弱暖房にしたり、コピー用紙は両面にしたりと地道な削減を行いどうにかこうにか援助金を捻出。
 十全とはいえないがそれでも出来る範囲のことはしなければならない義務はあったからだ。

 その具体的な工夫とは以下の通りである。

 1)コンバイン、乾燥機等の清掃・整備の強化
 被害粒や異種穀粒の混入は品質低下の原因となるので、コンバイン、乾燥・調製施設は丁寧に清掃することを徹底。

 2)適期収穫の徹底
 刈りいれが早すぎればコンバインを用いた場合剥皮や裂皮が増えたり、胚が傷つくことで発芽力が低下して品質低下してしまう。
 逆に刈りおくれると降雨にあう可能性が増え、退色粒、発芽粒、くされ粒などが発生し、外観品質が低下するとともに、でんぷんの性質が変化して加工適性も低下してしまう。
 これらの理由から適期に収穫を行い、最適の穀粒水分の時に収穫することで脱穀時の質をあげる。

 3)脱穀後の早期乾燥の徹底
 コンバイン収穫された生脱穀の麦を手早く収穫後3~4時間以内に乾燥機に張り込むことでさらなる質の向上を行う。

 4)低温乾燥の徹底
 高音乾燥を行うと小麦では粒の表面が茶褐色に変色した熱損粒になり質が低下するため、40℃以下の低温で乾燥を行う。

 5)調製選別の徹底
 細麦や夾雑物の除去を徹底して行うことで小麦の品質を高めどの製品も一定の質を保持できるよう努力する。

 簡単に言ってしまえば丁寧に小麦を扱おうというだけである。
 ただし手間はふえるため、そこは戦闘で行き場を失ったマンパワーをあて、就業機会をふやすことで作業を成立させることを狙こととした。
 一時的にであるが収入の宛を用意できないか?との苦肉の策でもあった。


文責よんた