L:保育園 = {
 t:名称 = 保育園(施設)
 t:要点 = 子供たち,保育園,保母さん
 t:周辺環境 = BALLS
 t:評価 = 住みやすさ0
 t:特殊 = {
  *保育園の施設カテゴリ = ,,国家施設。
  *保育園の位置づけ = ,,{建築物,教育施設,生産施設}。
  *保育園の面積 = ,,500m2。
  *保育園の授業付与 = ,,<保育園>を設置する藩国が保有する全職業アイドレスに<保育園の授業>を付与する。
  *保育園の犬士・猫士増加 = ,,(生産フェイズごとに){犬士または猫士}+1機、食料-1万t。
 }
 t:→次のアイドレス = 小学校(施設),花嫁養成学校(施設),お料理教室(施設)

L:保育園の授業 = {
 t:名称 = 保育園の授業(定義)
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *保育園の授業の定義カテゴリ = ,,能力補正。
  *保育園の授業の知識補正 = ,,知識、評価+2。
 }






「おはよーございまーす」

子供たちの元気な挨拶が響き、一日が始まる。
ここはよんた藩国保育園『わかばの里』

/*/

7歳くらいまでの小学校に上がる前の子供たちが、遊び学ぶ場所である。

最近は保育士さんと呼ばれることもある、保母さん。
登園してきた子供たちに挨拶しながら、子供たちにいつもと違うところがないか様子を窺う。
もちろん、子供達には気付かれないように。

顔が赤くないか、いつもより饒舌だったり無口だったりしないかなどなど。

子供たちは体調の変化をうまく伝えられないことが多い。
ちょっとした様子の変化も見逃さないように気を配らなくては、手遅れになりかねないのである。

実際はとても優しい目をしているのだが、そういう意味では保母さん達の眼は鷹の如く鋭い。


一方子供たちは、そんなことを気にされているとは知らずに元気に走り回る。

走る走る、どこでもどこまでも。
あたふたする新米な保母さんがいようとお構いなしで。

ベテランの保母さん達はその程度でうろたえることはない。
さりげなく危ないものを移動したり、外へ走り出たりしないようさえぎったり。
その動きは、さながら戦場を渡り歩く英雄のようである。
違いは、倒すためでなく守るために動いている、というところであろう。


保母さん達は、今日も子供たちの危険という敵を排除する戦場を渡り歩いている。



/*/

全国でおよそ2000人に一か所の割合で診療所の設立が進んでいる。
よんた藩国でもちらほらと診療所は出来始めていた。

軽い傷病であれば診察することのできるこの施設には、当然ながら医師がいる。
子供の様子がおかしいなどは保母さんでもわかるが、詳しい病名などは医師でなければ判断がつかない。
保母さん達が異常を発見した場合、速やかに医師に相談するようになっている。
もちろんながら最寄の医師が保育園へ駆けつけることになる。

ほかにも、定期的な健康診断に来てもらったり、保護者の健康相談の手助けをしてもらったりしているという。

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保育園で表だって働いているのは保母さん達であるが、実際は非常に多くの人手が必要である。
建物の補修や花壇などを造園するような力仕事は保母さん達だけでは大変なため、いわゆる用務員さんが雇われている。

他にも、少し離れた場所から通う子のためのバスの運転手や、給食を作る調理師さんが雇われている。

また月に一度くらいの頻度で、清掃業者による園内の徹底清掃が行われている。
保母さん達や有志によってこまめな掃除はされているのだが、やはり少しずつ汚れはたまっていくもので、
良い衛生状態を保つためには徹底的に掃除してしまうのが手っ取り早いのである。

/*/

よんた藩国で子供にかかわる施設と言えばもうひとつある。
ゆきしずく荘と呼ばれる、いわゆる孤児たちを守るための寮のことである。

ゆきしずく荘の子供たちは主に国のメードさん達が見ているのだが、たくさんの子供がいる以上手が足りなくなることもある。
そんなとき保育園の保母さん達が手伝いに行くこともある。

もっとも寮から保育園へ通う子もいるため、単に様子を見に行っているだけだったりする。





わかばの里 の一日


AM8:00/登園


「おはよーございまーす!」

保育園の入口に保護者に手をひかれた子供たちの姿が現れるたびに、元気な声が響いている。
入口の前では保母さん達が数名出迎えており、彼女たちにに挨拶しているのであった。

「はい、おはようございます。りっくん、今日も元気いっぱいでえらいね。」

当のりっくんはすでに連れてきた母親の手を離し、友達の所へ駆けだしていた。

「こら、りく。ちゃんと先生にご挨拶しないとダメでしょ!」
「ふふふっ。いいですよ、お母さん。ちゃんと自分から挨拶できるようになったじゃないですか。」

保育園に入ったころは、やりたい放題で挨拶さえまともにできなかったのだが、
最近、自分から挨拶することを覚えたのは進歩だと、保母さん達はよく話していたのだった。

「そうなんですけどね、まったくあの子ったら…。」
「それはそうと、お母さん。時間大丈夫ですか?」
「え。あらやだ、もうこんな時間? りくー、おかーさん行くからね。いい子にしてるのよー!」

すでに遊びに夢中になっている彼には聞こえているのかどうかわからなかったが、他の子たちと遊んでいる表情は無邪気そのものであった。

「それじゃ先生。今日もよろしくお願いします。」
「はい。お母さんもお仕事がんばってください。いってらっしゃい。」

ふふ、行ってきます。と笑顔のまま、りっくんのお母さんは近くの商店へパートに出かけるのであった。


AM9:00/体操


「はーい、みんなー。体操の時間です。お遊具は片づけてね。」

聞き分けのいい子供たちはそそくさと片付けを始め、呼びかけた保母さんの元へと集まってくる。
が、一部の聞き分けのない、というか遊ぶのに夢中になっている子供たちは別の保母さんに諭されながら、しぶしぶ準備を始める。

5分ほどして子供たちが集まったのを確認した保母さんが音楽をかける。

『こどもたいそー はーじまるよー』

流れ始めたのは、子供向けの音楽乗せて体を動かすリズム体操である。

『いっちっにっさーんしっ にーにっさーんしっ』

楽しげな音楽と声に合わせて、子供たちが体を動かす。
体操、とはいっても厳密にストレッチをやったりするわけではなく、楽しく体を動かすことが目的である。
もちろん、危なくないように保母さん達が見守っている。

『それではさいごに おーきくしんこきゅー』
『いきをゆーっくりすってー …はいてー もいちどすってー …はい はいてー』

「はーい、みんな。良くできました。今日も一日、怪我しないように元気に遊びましょう。」

保母さんの掛声代わりの言葉を聞き、一斉にそれぞれの遊びへと戻る子供たち。


AM9:15/自由あそび


「せんせー、りっくんが またいたずらしてるよ」

報告にきた女の子は、まったくしょうがないんだから、と言わんばかりの顔をしていた。
今度は何かしら、と思いながらも保母さんは笑顔で、「知らせに来てくれてありがとう」と言ってから教えられた場所へと向かう。

やってきたのは遊具倉庫。
ここでなにかをやっていると言うことなのだが…。

ふと足元を見ると、小さな黒いものが転がっていた。
よく見てみると名前を書く時に使う油性マジックのキャップだった。

なんでこんなところに? と思いながら周りを見渡すと、隅の方でキュッキュッと音がしていた。

「りっくん、こんなところで何をしてるのかな? みんなお外で遊んでるわよ。」

りっくんは後ろを振り向き、にこーっと無邪気な笑顔を見せる。

「せんせー、みてみて」

りっくんは抱えていた何かを楽しげに見せた。

それは体操の時間に使う白いゴムボールであった。
ただ、2本の黒いギザギザ線が書きこまれていた。

「えへー、ぐらんぱー」

グランパ…ああ、子供の間で人気があるテレビ番組の登場キャラクターね。
確か、BALLSとかいう丸いロボットでヒゲが書いてあったわね。
タイトルは…そうキャプテン・タルクだったかしら。

そんな事を考えながら、ボールに落書きしたことを叱ろうかどうか迷っていると、りっくんはマジックを放り出してボールを抱えたまま走り出した。

「ときはみらい。ところはうちゅう。おとこのたびは おわらないー。」

楽しげな声に微笑みながら、保母さんはマジックを拾い上げ、今日は多めに見ることにした。


AM10:45/近くをお散歩


保母さんを先頭に、外に出るとき用の上着を羽織って少しもこもこした子供たちが列をなして歩いていく。
その様子は親に連なる鳥のヒナを連想させる。

今日の行き先は近くの公園である。

公園と言っても、砂場とすべり台あとはベンチくらいしかないのだが、そこそこ広さがあるため大勢の子供が走り回っても問題がない場所であった。

「はい、とうちゃーく。みんなお外で遊ぶ時の約束、覚えてるかな?」
「「「かってに こーえんからでないことー。あぶないあそびはしないー。よばれたらすぐにあつまるー」」」

いつも保母さん達が言い聞かせている注意を口々に言う子供たち。

「正解です。よく言えました。じゃあ、お昼まで思いっきり遊びましょう」
「「はーい!」」

元気のいい返事とほぼ同時に駆けだす子供たち。
一部、返事もせずにさっさとあそび出す子供もいるにはいるが。

子供たちが飛び出していかないよう、保母さん達は出入り口付近に常に気を配っている。
当の子供たちはそんなこと気にせずに、飛び跳ねまわっている。

当然ながら普通の公園なので、他にも利用者はいる。
と言ってもこの時間に公園にいるのは、そのほとんどが近所の奥様方である。
保育園に入っていない子供を連れた若いお母さんや、すでに小学校にあがり手が空いたお母さんもいる。
普段から公園での井戸端会議を開催しているのである。
保母さんはそのほとんど全員の顔と名前を知っている。

ふと、その中に珍しい顔を見つけ、歩み寄る保母さん。

「こんにちは。あゆむくんのお母さん、珍しいですね」
「あ、先生。こんにちは。主人が『たまには息抜きしてこい』なんて言ってくれましてね。全く急にどうしたのかしら」

あゆむくんは去年卒園した子供で、この子の家は近くで八百屋をやっていた。

「ご主人の優しさじゃないですか。それに息抜きするのも大切ですよ」
「そうなんだけどね。急にそんなこと言われても何していいか分からないのよ。ほんと、雨でも降らないといいんだけどね」

あははは。と笑いながら何気なく空を見上げる奥様方。
…さっきまでは見えていた太陽が雲に隠れ始めていた。

「…あらやだ。ほんとに降ってきそうね。洗濯物取りこんどいた方がいいかしら」
「予報では夕方からって言ってましたけど、この様子だと昼過ぎには降りそうですね」
「今日は布団取り込んでおいた方がよさそうね。お昼の準備もしないといけないしそろそろ帰りましょうか」

一人、また一人と公園を後にする奥様方。自分の子供を呼び寄せて手をつないで家へと向かう。
いつの間にやら、ちょうど保育園に帰る時間にもなっていた。

「はーい、みんな。帰る時間です、集まってー。」

保母さんのもとに駆け寄る子供たち。走り回って息が上がっている子もいる。

「それじゃあ、しゅっぱーつ。」

行きと同じように、子供の行列が行きかう人々を和ませていた。


AM11:30/昼食


散歩から帰った子供たちを待っているのは、楽しい楽しい給食の時間である。

「クツを脱いだら、手をキレイに洗いましょう。うがいも忘れないようにねー。」

子供たちが風邪をひかないよう、うがい手洗いの習慣をつけさせるのは基本です。

準備ができた子から順番に教室へと入り、自分の席へと向かうように促す。
子供たちが散歩に出ている間に残った職員が子供たち用の机とイスを並べており、机の上にはすでに昼食が用意されている。
『ごはんはすわってたべましょう。いただきます、はみんなでいっしょに』
というのは、園に入った頃にまず教えることである。
食べ物に感謝し、みんなでおいしくいただく精神を育てるためである。

そうこうしているうちに、すべての席が埋まり子供たちは今か今かと『いただきます』を待っている。

「手を合わせて、みんな一緒に…」
「「「いただきまーす」」」

わーんと元気な声が教室に響き、収まるとすぐにわいわいとした声が広がる。

ちなみに今日の献立は、
主食のパンにたくさんの野菜が練り込んであるプチよんた饅(子供サイズ)、近くの農家でとれたリンゴと牛乳だった。

献立は栄養管理に詳しい医師に相談して決められている。
とはいえ、好き嫌いがある子も当然のようにいる。
出来るだけ好き嫌いがなくなるよう食べさせるのは、調理師さんと保母さんの腕の見せ所である。

「あれ、みつきちゃん。リンゴ食べないの?」
「…」

様子を見にきた保母さんに話しかけられた女の子は、リンゴを残していた。
うつむいたまま、じっとしている。
みつきちゃんがいくつかの果物を苦手にしており、その中の一つがリンゴであることは当然保母さんは知っている。
アレルギーがあるわけではなく、単に苦手なのである。

「みつきちゃん、今日こそちょっとだけがんばってみない?」
「…」

みつきちゃんは今にも泣きだしそうだ。
保母さんは不意にみつきちゃんをぎゅーっと抱きしめる。

少ししてから離して、優しく話しかける。

「じゃあ、先生と半分こしようか」
「……うん」

まだ少し納得しきっていないようだが、ぎゅーに負けたのであろう。
先生がリンゴを二つに割り、みつきちゃんは片方を受け取った。

「それじゃ、一緒に『いただきます』するよ。はい。いただきます」
「いただきます…」

かき消えそうな小さい声ではあったが、みつきちゃんはちゃんと言ってから目をつぶってリンゴをほおばる。
もぐもぐと何度が口が動いてから飲み込む。
それを確認してから、保母さんは自分が持っていた欠片を食べる。

「よくできました。えらいよー」

保母さんはご褒美と言わんばかりにもう一度抱きしめる。
二度目に保母さんの手が離れた時、みつきちゃんは笑っていた。


PM13:00/歯磨きの後、お昼寝


しゃかしゃかしゃか……

水道の前で子供たちが軽快な音を立てながら、歯磨きをしている。
大人にとったら何でもない歯磨きも、子供にとってはなかなかうまく出来ないことのひとつである。

歯磨きの終わった子供は保母さんに磨き残しがないか見てもらう。

「はい、上手にできました。次はだれかな?」
「はーい」
「あ、ちょっとゴシゴシが足りないかな。歯ブラシ貸してね」

子供の持っている歯ブラシを使い、磨ききれていない部分を優しく磨き上げる保母さん。

「はい、出来ました。口をゆすいでから教室に行ってね」
「はーい」

水道へと走って戻っていく。


一方そのころ教室では、早くに歯磨きが終わった子供たちが敷かれた布団の上で転げまわっていた。
お昼寝のために敷かれているのだが、当然のように子供たちのテンションは上がっている。

「ちょっと通してねー。あ、暴れちゃダメよ」

ちょこまかと動き回る子供たちがいては、布団を敷く方は大変である。

「よーし、捕まえたっ」

保母さんは布団を敷く手を止め、走り回っていた子を捕まえた。
このまま横にならせ、寝かせてしまう作戦である。

「さー、おとなしくお昼寝するのよー」

これですぐに寝てくれれば手はかからないのだが、なかなかそう上手くは行かないものである。
その光景を見ていたほかの子供たちがどんどん寄ってきて、添い寝を始める始末だった。

わいわいきゃっきゃっと集まってくる子供たち。
とはいえ保母さん達もそこは手慣れたもので、1人がそうやってひきつけている間に他の保母さん達がどんどん布団を敷きつめていく。
あっという間に布団の海が出来上がり、子供たちが自由に泳ぎ始めている。

…が、午前中にいっぱい遊びまわり、おなかもいっぱいになっているためか、ひとり、また一人と眠り始める。
眠った子は順番に保母さんに布団をかけられ、すやすやと寝息を立てている。
徐々に静かになっていく部屋の中、保母さん達は子供たちを起こさないように見守っていた。


PM15:00/おやつ


少しずつお昼寝から目覚める子が出てくる頃に、おやつの時間が待っている。

おやつは基本的に保母さんや調理師によって手作りされている。
とはいえ、あまり手がかかるのは時間的に難しいため、クッキーやパンケーキのような焼き菓子や、フルーツやヨーグルトなど準備の簡単なものがほとんどである。
材料の小麦粉や果物は農家から安く譲り受けたものが使われている。

おおよそ15時にはほとんどの子が起き出すのだが、当然ながら起きない子もいる。
夜に眠れなくなるといけないので出来る限りは起こすことになっているが、午前中の様子などで起こすか、そのまま寝かせるかの判断が行われる。
なお、寝たままおやつを食べそこなった子の分は、ラップでくるんだり、容器に入れて持ち帰りできるようにしている。


「せんせー、おはよー」
「おはようございます。もうすぐおやつの時間だから、手を洗ってきてね」
「はーい」

まだ眠いのか、トロンとした目をしている。
しかしおやつの誘惑は強いもので、おとなしく手を洗いに行っている。

保母さんはというと、人数分のおやつを皿にのせ運ぶ準備をしている。
準備が終わると、子供たちがお昼寝しているのとは別の教室に運び、イスと机を手際よく並べていく。
早く起き出した子の中には、保母さん達を手伝うようにイスなどを運ぼうとする子もいる。
真似がしたいだけなのか、早く食べたいからなのかは分からないが、自発的な手伝いはいいことなので危なくないよう見守りながらやりたいようにさせている。

「あー、クッキーだー」

今日のおやつに気づいた子が歓声を上げる。
皿に何枚かずつに取り分けられたクッキーは、星やハートや動物といった様々な形に焼き上がっていた。

「はい、じゃあ『いただきます』しようか」

ほとんどの子が起き出しておやつの準備が整ったころ、保母さんの言葉で一斉に自分のイスに座る子供たち。

「手を合わせて、みんな一緒に…」
「「いただきます!」」

楽しい楽しいおやつタイムの始まりである。
一口ごとに笑顔になってゆく子供たち。
サクサクと軽快な音を立てつつ、ポロポロとこぼしながらも食べている。
そんな教室の中に、まだ昼寝している子の様子を見てきた保母さんが入ってくる。

「みんな、まだ起きませんか?」
「さっきみんな起きてきましたよ。今、手を洗いに行ってます
 ただ、ゆいちゃんが少し熱があるようで」
「午前中、いつもより妙に声が大きかったようだけど、風邪かしら」
「恐らくは。念のため、お母さんには連絡入れておきました。
 これから迎えに来られるそうです」

ちなみに、この会話は子供たちに聞こえないよう、入口付近でのひそひそ話である。

「ひどくならないといいんですけど」
「本当に…」

十数分後、ゆいちゃんのお母さんが迎えに来て家へ連れ帰った。
ゆいちゃんは3日ほど大事をとって休み、元気になったという。


PM15:30/紙芝居や絵本の読み聞かせなどの保育・終了後、自由あそび


『おおむかし、ひとがまだ、そらをみあげるしかなかったころ。
 さむさにふるえてやりをにぎっていたそのころ。

 ひとはおおかみやらいおんのえさでした。
 ひとはきのみやくさをたべていました。
 まわりはたべるか、たべられるかだったのです。』

保母さんの読む絵本に魅せられ、子供たちは食い入るように見つめている。
今日のお話は『いぬかみさまのおはなし』
有名な絵本の一つである。

『わかものはかなしいこころでこきょうにかえります。

 こきょうではあいかわらずたべるかたべられるか。
 わかものはばかだと、いわれていました。』

子供たちは悲しそうな顔をしている。
心はすでに『わかもの』自身になっているようだ。

『おおかみはいいました。
 おまえのかちだ。おれをたべろ。 

 わかものはながくながくかんがえたあと、じぶんはばかではないとおもいました。
 そうしてもっていたたべものをこわいこわいおおかみにわけてあげました。』

子供たちの顔がにわかに明るくなる。
一部の子は、うんうんと頷いている。

『どこにいても、いつにあっても、とおくまでいかないでも、こころがそうおもうのなら、そこにはなにかがあるのです。なまえもない、なにかが。
 これはそういうおはなしです。

 おわり。』

ぱちぱちぱちと、かわいい拍手が教室にあふれる。

「今日のお話は『いぬかみさまのおはなし』でした。
 みんなもいろんな友達がいっぱいできるようにがんばろうね」
「「はーい」」


PM16:50/順次降園


「遅くなってすみません」

午後5時50分頃、やってきたのはりっくんのお母さんである。

「あ、おかえりなさい。大丈夫でした?」

りっくんの4つ上のお兄ちゃんが熱っぽいとのことで、
学校を早退し、パートのあと病院に連れて行っていたのである。
連絡をしていたため、保母さんは事情を知っていた。

「ええ、風邪だろうとのことでしたので。ご心配おかけしました」
「いえいえ。そんなことよりりっくんが待ってますよ」

教室では数名の子供が遊んでいる。
いつもなら元気いっぱい走り回っているりっくんが、少しおとなしい。

「りっくんーお母さん迎えに来たよー」

保母さんの声に駆けだすりっくん。

「りくー遅くなってごめんね」
「おかーさん、おにーちゃんは?」
「お兄ちゃんは風邪だって。すぐ良くなるから大丈夫」

その言葉に安心したのか、りっくんは笑顔になる。
その横で、保母さんがりっくんのカバンと上着を持ってきていた。

「はやくかえろう。きゃぷてんたるくがはじまっちゃうよ。」

キャプテンタルク 夕方6時半より絶賛放送中、である。


#以下製作者名を追記(20090313)

イラスト:小野青空
テキスト:雷羅来

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最終更新:2010年05月08日 21:36